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親告罪とは|該当する犯罪と告訴されたときの対処法

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親告罪とは|該当する犯罪と告訴されたときの対処法

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親告罪(しんこくざい)とは、被害者からの告訴がなければ検察が起訴(公訴の提起)をすることができない犯罪の種類を言います。つまり、捜査機関が単独で捜査を進めることができない犯罪のことです。

「どのような罪が親告罪にあたるのか?」「なぜ親告罪があるのか?」など、親告罪について疑問がある人も少なくないでしょう。

この記事では、親告罪について解説します。

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親告罪とは?該当する罪一覧

まずは親告罪の意味と親告罪に該当する犯罪について説明します。

親告罪とは

親告罪とは、告訴がなければ検察が起訴できない犯罪のことです。

告訴する権利がある人のことを「告訴権者」といいます。

告訴権者には、被害者が未成年のときの法定代理人や、被害者が亡くなっているときの配偶者や親族間などが、これにあたります。

たとえば殺人事件が起きた場合を想定しましょう。人を殺すことは殺人罪に該当し、殺人罪は非親告罪になっています。したがって、被害者家族の告訴がなくても検察は起訴できます。

これに対して親告罪に該当する犯罪の場合は、「犯人を処罰してください」と告訴権者からの申告がないと、捜査機関が捜査することも起訴することもありません。

親告罪に該当する罪の場合は犯罪行為自体が実際にあったとしても、告訴がなければ検察は裁判にかけることができないのです。

日本の犯罪の多くは非親告罪になっています。例で取り上げた殺人罪なども非親告罪です。

一部の「被害者の意向が重視される犯罪」については親告罪として定められています。

親告罪に該当する罪一覧【絶対的親告罪】

絶対的親告罪とは、告訴があることが公訴の条件になっている犯罪のことです。

絶対的親告罪として次のものがあります。

  • 過失傷害罪
  • 私用文書等毀棄罪
  • 器物損壊罪及び信書隠匿罪
  • 信書開封罪及び秘密漏示罪
  • 未成年者略取罪
  • 未成年者誘拐罪
  • 名誉毀損罪及び侮辱罪

強姦罪(現強制性交等罪)も親告罪でしたが、2017年の刑法改正で非親告罪になりました。

また、著作権侵害に対する罪についても、平成30年の著作権法改正で、一定の要件を満たすものについては親告罪から非親告罪となっています。

親告罪に該当する罪一覧【相対的的親告罪】

相対的親告罪とは、被害者と加害者が親族関係にあるなど一定の関係がある場合に、起訴をするために告訴が必要になる犯罪のことです。

例えば、同居していない従弟が自分の財布からお金を盗んだとします。窃盗罪は本来親告罪ではありませんから、通常は被害者であるご自身の告訴がなくても検察は犯人を起訴できるはずです。

しかし、従弟が起訴されることを望まない場合もあるでしょう。この場合、告訴をしない限り、従弟は起訴されることはありません。

(なお、窃盗の場合、配偶者や直系血族、同居の親族の間で窃盗をしたとしても、刑が免除されます。)

(窃盗)

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(親族間の犯罪に関する特例)

第二百四十四条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3 前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

【引用:刑法|e-Gov

相対的親告罪として定められているのは、次のような財産に関する犯罪になります。

  • 窃盗罪
  • 不動産侵奪罪
  • 恐喝罪
  • 背任罪
  • 横領罪
  • 業務上横領罪
  • 遺失物横領罪
  • 詐欺罪
  • 準詐欺罪
  • 電子計算機使用詐欺罪

親告罪が設けられている理由

ここまでが親告罪についての主な内容です。中には「なぜ親告罪があるのか?」と、思われた方も多いでしょう。こちらでは、親告罪が設けられている理由について解説していきます。

比較的軽微な犯罪であるため

例えば、器物損壊罪や過失傷害罪などは、当事者同士での謝罪や弁済などで解決されることが期待でき、それ以上刑事罰を与える必要のない、比較的軽微な犯罪とも言えます。被害感情が強くないケースであれば、あえて刑事事件に発展させる必要性はないといえるでしょう。

被害者のプライバシー保護・負担軽減のため

名誉毀損罪などは、被害者にとって、あまり明るみにしたくない事の場合もあるでしょう。事件内容が明るみになることで、被害者の利益やプライバシーが損なわれるおそれがある場合には、被害者の意思を尊重して親告罪とされていることがあります。

親族間での解決が適切であるため

親族間の事件の場合は、親族同士の話し合い等で解決したほうが良い場合もあるでしょう。特に金銭関係での事件の場合は、警察などが介入するより、親族間で解決させたほうが適切な場合もあるでしょう。

告訴可能な期間とその後の流れ

親告罪の告訴はどのくらいの期間可能なのでしょうか。告訴の意味と合わせて期間について説明します。

告訴とは

告訴とは、被害者が「加害者に罰を与えてください」と、処罰を求めて警察などの捜査機関に申告することです。

なお、これと似たような内容で、「被害届」があります。被害届は、「こういう事件の被害に遭った」と、犯罪被害を申告するに過ぎません。

また、「告発」という言葉もあります。こちらは被害を直接受けていない第三者が「あの人が犯罪を起こしているので罰を与えてください」と、捜査機関に訴えることを指します。

告訴可能な期間は6ヶ月

告訴期間は「犯人を知った日から6カ月」です。犯人については住所氏名から顔、連絡先まで詳細に知る必要はありませんが、犯人を他の人と区別して明確に特定できる程度の情報は必要になります。

なお、公訴時効期間と告訴期間は混同しやすいので注意が必要です。

告訴期間とは告訴するためのタイムリミットです。対して公訴時効期間とは、犯罪が起訴される際のタイムリミットです。

公訴時効期間については犯罪によって異なっています。

第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年

二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年

三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年

② 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

一 死刑に当たる罪については二十五年

二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年

三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年

四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年

五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年

六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年

七 拘留又は科料に当たる罪については一年

【引用:刑事訴訟法|e-Gov

告訴された後の流れ

被害者に告訴されたのちは次の図のように手続きが進みます。

告訴された後の流れ

まずは、告訴権者が告訴状を作成します。被害者から告訴状が提出され捜査機関が受理すると、犯罪についての捜査がはじまるという流れです。捜査の結果、必要があれば加害者は逮捕されることになります。

逮捕後は捜査機関から取り調べを受け、必要に応じて勾留されます。その後も捜査が続けられ、勾留期間満了にあたり「起訴」「不起訴」の処分を受けることになります。

なお、前述のとおり、親告罪は告訴がなければ起訴されません。そのため、被害者の告訴がない親告罪(告訴が取り下げられた親告罪)は不起訴処分になります。

不起訴処分になると裁判が開かれないため、刑罰はなく前科がつくこともありません。

親告罪に該当する事件を起こしたときは示談が重要

もし、身内の方やあなた自身が、これら親告罪に当てはまる罪で捜査がされているのであれば、被害者と示談ができるか否かが重要です。

示談とは、簡単に言うと、被害者に謝罪するとともに示談金を払い、和解することです。示談の結果、被害者が告訴を取り下げてくれれば、刑事手続きはそれ以上進められなくなるでしょう。

告訴が取り下げられなくても、示談したことにより反省の意思があると判断され、その後の処分にも影響してくることは十分に考えられます。

親告罪に該当する事件を起こしたとき示談が重要になる理由

親告罪は告訴権者の告訴がなければ起訴されない犯罪類型です。そのため、告訴をやめてもらう(告訴を取下げてもらう)ための行動が重要になります。

示談を行う際に、示談金を支払う代わりに告訴を取り下げることを条件にし、被害者が告訴を取り下げれば、刑事手続きはそこでストップするでしょう。

また、示談は民事事件との関連でも意味があります。

事件によっては、刑事事件手続の他に、被害者から損害賠償請求をされるケースもあるでしょう。

被害者との間で示談することによって、刑事事件のみならず、民事事件もまとめて解決を図れる可能性がある、というメリットが考えられます。

このように示談にはメリットがあるため、示談ができるか否かが重要となるのです。

被害者に告訴すると脅された場合

被害者に告訴すると脅された場合は脅迫罪に該当する可能性があります。脅迫罪とは、他人の生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を加えることを告知する行為を言います。

親告罪の被害者には告訴する権利がありますから、「告訴する」と言ったからといって直ちに脅迫罪にあたることはないように思われるかもしれません。しかし、実際には告訴するつもりがないのに、相手を畏怖させる目的のみで「告訴する」と告げるような場合には脅迫罪が成立する可能性は十分にあります。

被害者と示談したいのに被害者側が「告訴してやる」などと脅して示談金の額をつり上げたり、別の要求を突きつけたりする場合などは、事態が深刻化する前に弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士が間に入ることで被害者感情が収まる可能性がある他、適切な条件で示談を成立させられることが期待できます。

被害者と示談するなら弁護士に相談

示談は親告罪の加害者の命運を左右するといっても過言ではありません。

迅速に示談を成立させることでそもそも告訴されなかったり、告訴状を取り下げたりしてもらえる可能性が高まります。親告罪において告訴されないということは、起訴されないことを意味し、事件の収束を図ることができます。

ただ、被害者との示談は必ず成立するわけではありません。

被害者に示談を持ちかけても被害者側が拒むこともあります。

示談交渉ができても、交渉の途中で、条件が合わないなどの理由で交渉決裂となってしまうこともあります。

また、示談交渉が十分に出来ず、「告訴しない」「告訴を取り下げる」などの条件を示談書に盛り込めない場合もあるでしょう。この場合には、告訴を回避できず、起訴されてしまう可能性も残ってしまいます。

被害者との示談交渉を十分に行い、交渉を成功させるためにも、被害者との示談は弁護士に相談のうえ、依頼することをおすすめします。

まとめ

親告罪は告訴がなければ起訴できない犯罪のことです。示談を成立させることにより告訴の回避や、すでにした告訴の取下げをしてもらうことが可能です。

起訴を回避して穏便に解決するためにも、示談の際は刑事事件に注力している弁護士に依頼しましょう。

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弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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