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盗撮罪とは?撮影罪と迷惑防止条例違反の違いや逮捕されたときの対処法

須賀翔紀
監修記事
盗撮罪とは?撮影罪と迷惑防止条例違反の違いや逮捕されたときの対処法

「盗撮行為をおこなった場合、どのような罪に問われるのかを知りたい」

「盗撮事件で逮捕されたあとの流れを把握しておきたい」

多くの人がスマートフォンや携帯電話を所有する今の時代、盗撮は誰でも加害者になり得る身近な犯罪といえるでしょう。

実際に軽い気持ちで盗撮してしまい、今後どうなってしまうのか、不安を覚える方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、盗撮を禁止している法令の種類や刑罰の内容、逮捕後の流れなどを詳しく解説します。

盗撮の罪が成立する要件や、過去に盗撮で逮捕されている事例なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

盗撮罪とは?盗撮を禁止している2つの法令と法定刑

刑法には、「盗撮罪」という直接的な罪名は存在しません。

盗撮行為は、主に性的姿態撮影等処罰法と迷惑防止条例によって禁止されているのが実情です。

ここでは、上記2つの法令について詳しく解説していきます。

1.性的姿態撮影等処罰法|3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

盗撮を禁止する法令のひとつが、性的姿態撮影等処罰法です。

性的姿態撮影等処罰法では、正当な理由なくひそかに性的姿態等を撮影する行為を禁止しており、違反した場合の処罰は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」とされています。

なお、拘禁刑とは受刑者を刑務所に収容・拘束する刑罰のことです。

執行面でほとんど違いのない懲役と禁固を一本化するかたちで、2025年6月1日から導入される予定であり、導入後は、受刑者の改善更生に対する比重が大きくなるといわれています。

(性的姿態等撮影)

第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

引用元:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 | e-Gov法令検索

なお、性的姿態撮影等処罰法は2023年7月に施行された法律です。

盗撮行為は、主に各都道府県が定めている迷惑防止条例によって処罰されていましたが、処罰の内容に違いがあったり、どの都道府県でおこなわれたのかわからない盗撮行為を処罰できなかったりと、さまざまな問題点がありました。

しかし、性的姿態撮影等処罰法の新設によって、盗撮行為が全国一律の基準で処罰されるようになり、処罰の内容もより厳しくなったのです。

2.迷惑防止条例|1年以下の懲役または100万円以下の罰金

性的姿態撮影等処罰法が新設されたものの、今なお、盗撮行為は迷惑防止条例違反として取り締まられることもあります。

迷惑防止条例は都道府県ごとに制定されているものなので、それぞれ適用範囲や処罰の内容が少しずつ異なる点に注意が必要です。

たとえば、公共の場所だけを取り締まり対象とし、私有地や会社、タクシーなどでの盗撮は処罰されないケースなどもあります。

罰則も常習かどうかによって違いはありますが、「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」など、都道府県によってばらつきがあるのが実態です。

二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例|東京都

性的姿態撮影等処罰法に規定されている盗撮罪の構成要件

次に、性的姿態撮影等処罰法に規定されている盗撮罪の構成要件を解説します。

1.人の性的姿態等を撮影していること

ひとつ目の構成要件は、「人の性的姿態等を撮影していること」です。

性的姿態等とは、具体的に以下のようなものを指します。

  • 性器・肛門・尻・胸部などの性的な部位
  • 性的な部位を直接または間接的に覆っている下着の部位
  • わいせつな行為や性行為などがおこなわれている様子

たとえば、スカートの中を撮影するといった行為は性的姿態等を対象としているため、盗撮罪が成立する可能性は高いといえます。

一方、下着が映り込まないように他人の後ろ姿を撮影している場合などは上記のいずれにも該当しないため、基本的には盗撮にあたりません。

2.ひそかに撮影していること

ふたつ目の構成要件は、「ひそかに撮影していること」です。

つまり、相手に気づかれないように撮影した場合に、盗撮罪が成立する可能性があります。

たとえば、背後から撮影したり、隠しカメラを設置したりするケースが挙げられるでしょう。

3.正当な理由がないこと

盗撮罪は、「正当な理由がないこと」も構成要件のひとつとされています。

たとえば、個人的な欲求の解消を目的として他人を撮影する行為は正当な理由があるとはいえないため、盗撮罪に問われる可能性が高いでしょう。

一方、医療行為をおこなうためにやむを得ず撮影した場合などは、正当な理由があったと認められます。

とはいえ、日常生活を送るなかで、正当な理由が認められる状況に置かれることはほとんどないはずです。

よほどの事情がない限り、盗撮行為に及んだ理由を正当化することは難しいでしょう。

盗撮罪(撮影罪)で実際に捜査機関に逮捕されたケース

ここでは、盗撮罪(撮影罪)で実際に捜査機関に逮捕されたケースを2つ紹介します。

自身がおこなった盗撮行為と類似する点がある場合は逮捕される可能性が高いので、早めに対策を講じることが大切です。

1.サンダルに小型カメラを仕込んで盗撮に及んだ事件

サンダルに小型カメラを仕込んで盗撮に及んだ団体職員が、盗撮罪(撮影罪)で捜査機関に逮捕された事例があります。

加害者はスーパーで40代女性のスカートの中を盗撮し、翌日に被害者が警察に相談したことで事件が発覚しました。

このように、盗撮は現行犯逮捕ではなく、後日逮捕されるケースも珍しくありません

被害届に提出期限はないので、犯行から数ヵ月経過したあとに逮捕されるケースも多数存在します。

2.学習塾のトイレにペン型カメラを設置して盗撮に及んだ事件

学習塾のトイレにペン型カメラを設置して盗撮に及んだとして、18歳の男子高校生が逮捕された事例もあります。

女子高生の下着や下半身を盗撮することが目的だったようです。

学習塾の職員がカメラを見つけ、警察に相談したことで、男子高校生の犯行が特定されました。

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盗撮事件を起こして捜査機関に逮捕されてからの大まかな流れ

次に、盗撮事件を起こして捜査機関に逮捕されてからの大まかな流れを紹介します。

1.逮捕|警察に逮捕されて取調べを受ける

警察に逮捕されると、まずは取調べを受けます。

取調室の中で、警察官と直接対峙しながらおこなわれるケースが一般的です。

取り調べで話したことは供述調書にまとめられ、法的な証拠として扱われます。

供述調書の内容によってその後の捜査や裁判が大きく左右されることもあるため、取調べには慎重に臨まなければなりません。

2.送致|検察に事件が送られて取調べを受ける

軽微な事案で釈放される場合を除き、逮捕後は48時間以内に検察へ送致され、検察官による取調べを受けることになります。

検察官は、警察官とは異なり法律の専門家です。

そのため、法的な観点から再度取り調べをおこない、供述調書も警察官とは別に作成します。

そして、取調べの内容を踏まえ、24時間以内に被疑者を勾留するかどうかを判断します。

3.勾留|最長20日間にわたり身柄を拘束される

検察官が被疑者の勾留を請求し、裁判官に認められた場合は最大20日間にわたって身柄が拘束されます。

勾留場所は、警察の留置場を使用するケースが一般的です。

留置場では3畳程度の部屋に複数人が収容され、ともに生活していくことになります。

なお、一定の制限はありますが、勾留期間中は家族などと面会することも可能です。

4.起訴|検察が起訴するか不起訴にするかを判断する

勾留期間中に、検察官が起訴か不起訴かを判断します。

起訴されると、被告人はそのまま留置場や拘置所で身柄拘束されるケースが一般的です。

しかし、保証金を納付すれば、裁判まで身柄を解放してもらえる可能性もあります。

不起訴になった場合は、その時点で釈放され、前科がつくこともありません。

5.刑事裁判|事件について審理し、判決が言い渡される

起訴されると刑事裁判に移行し、事件についての審理がおこなわれます。

通常、起訴から1ヵ月~2ヵ月後に最初の審理がおこなわれ、以降は1ヵ月に一回程度のペースで進められます。

事件の大きさや双方の主張内容にもよりますが、判決が出るまでには早くても3ヵ月~4ヵ月、審理に時間がかかる場合は半年程度続くことも珍しくありません

とはいえ、日本の刑事事件における有罪率は99%以上なので、ほぼ確実に有罪判決が下されることになるでしょう。

もし判決に不服があったときは、上級裁判所に上訴することも検討する必要があります。

盗撮事件を起こした際に弁護士に依頼する3つのメリット

盗撮事件を起こした際は、できるだけ早く弁護士にサポートを依頼することが大切です。

ここでは、弁護士に依頼する3つのメリットを詳しく見ていきましょう。

1.逮捕や勾留を阻止できる可能性が高まる

弁護士に依頼するメリットのひとつが、逮捕や勾留を阻止しやすくなる点です。

盗撮行為に及んだとしても、被害者が警察に通報したり、被害届を出したりしなければ基本的に逮捕されることはありません。

交渉のプロである弁護士なら、和解に向けた話し合いを円滑に進め、被害者が早期に説得できる可能性があります。

もし逮捕され、勾留が決定すると最大23日間は身柄が拘束されてしまうため、会社や学校に何事もなく復帰することは難しくなるでしょう。

そのため、被害者が行動を起こす前に、できるだけ早く弁護士から交渉を持ちかけてもらうことが重要です。

2.不起訴処分や執行猶予の獲得が期待できる

不起訴処分や執行猶予の獲得を期待できる点も、弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

たとえ逮捕されたとしても、弁護士に交渉を依頼し、被害者との示談が成立すれば不起訴となる可能性が高まります。

また、示談が難しい場合は弁護士に情状面を主張・立証してもらうことで、執行猶予を勝ち取れるかもしれません。

執行猶予つきの判決を得られた場合、前科はつくものの、ほとんど制限を受けずに日常生活を送れるようになります。

3.実名報道や解雇も回避できる可能性がある

弁護士のサポートがあれば実名報道を回避し、勤め先からも解雇されることなく事態を収集できるかもしれません。

盗撮問題が得意な弁護士なら、被害者に素早く示談交渉を持ちかけ、逮捕される前に説得できる可能性があります。

当然、逮捕されなければ、実名が新聞やニュースで報道されることもありません

また、逮捕されたとしても、弁護士の弁護活動次第では早期に身柄を解放してもらえることもあります。

勾留さえ避けることができれば、身柄拘束の期間は最大3日間にとどまるので、会社に怪しまれることもないでしょう。

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盗撮罪に関するよくある質問

最後に、盗撮罪に関するよくある質問を紹介します。

少しでも疑問を解消できれば不安も和らぐはずなので、ぜひ参考にしてみてください。

Q.盗撮は撮影罪と迷惑防止条例違反のどちらになるのか?

盗撮行為に関しては、迷惑防止条例違反を理由に検挙されるケースが現状といえるでしょう。

性的姿態撮影等処罰法に基づく撮影罪は、どこまでを盗撮行為として処罰するのか線引きが難しいとされています。

そのため、2023年7月から導入されてはいるものの、盗撮行為は従来同様、迷惑防止条例違反として検挙される傾向があります。

ただし、撮影罪で逮捕されている事例もゼロではありません。

事件に内容によっては撮影罪が成立し、迷惑防止条例違反より厳しい処罰が下される可能性もあります。

Q.これまでに撮影罪で検挙された人はどれくらいいるのか?

撮影罪が施行された2023年7月13日から9月30日までの間、撮影罪で検挙された人数は21人です。

上述のとおり、現状は迷惑防止条例違反として検挙されるケースがほとんどなので、撮影罪の検挙事例はそれほど多くありません。

しかし、今後、撮影罪の運用に関する議論が進んでいけば、検挙数が増えていく可能性もあるでしょう。

Q.撮影罪で検挙された場合、起訴される確率はどれくらいか?

盗撮を含め、性的姿態撮影等処罰法に違反する行為として逮捕された場合、起訴される確率は約4割程度と考えておきましょう。

たとえば、2023年9月は109人が検挙され、47人が起訴されています。

なお、起訴された事件が有罪判決となる割合は99%以上です。

つまり、盗撮などによって検挙された場合は、有罪となる確率も4割程度あると考えられます。

さいごに|盗撮事件が得意な弁護士はベンナビ刑事事件で探せる

盗撮事件を起こしてしまったときは、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

弁護士のサポートがあれば、早期に和解を成立させ、逮捕される前に事態を収集できる可能性があります。

たとえ逮捕されたとしても、弁護活動がうまくいけば勾留を回避したり、不起訴を獲得できたりするかもしれません。

弁護士に依頼する際は、盗撮事件を得意分野としているかどうかを確認しておくことが大切です。

十分な知識・経験がない弁護士に依頼しても、思うような成果は得られない場合があります。

盗撮事件が得意な弁護士を探すならベンナビ刑事事件の利用を検討してみてください。

ベンナビ刑事事件には、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が多数登録されています。

また、事務所の所在地を絞ったり、休日相談や無料相談の可否などの条件を設定したりできるので、ご自身にあった弁護士を素早く見つけられるはずです。

特に逮捕されてしまった場合は、初動次第でその後の運命が大きく左右されるので、迅速に弁護士のサポートを得ることをおすすめします。

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この記事の監修者
須賀翔紀 (東京弁護士会)
刑事分野全般に注力しているが、幅広い分野の相談が可能。依頼者に寄り添った迅速丁寧な対応を心がけているほか、オンラインでの面談も可能なため遠方の依頼者でも柔軟に相談を受け付けている。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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