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準抗告とは?対象事由や類似の手続きについて解説

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準抗告とは?対象事由や類似の手続きについて解説

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準抗告(じゅんこうこく)とは、勾留決定など裁判官による判断や接見に関する捜査機関が行った処分などに対する不服申立手続きです。刑事手続の中で準抗告が行われることの多いのは、勾留決定など身柄拘束についての判断に対して異議がある場合です。

 

この記事では、準抗告を行うのはどのようなときで、準抗告を認めてもらうにはどのようにするのが良いのか、また準抗告と似た他の手続きとの違いなどを解説していきます。

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この記事に記載の情報は2023年12月08日時点のものです

準抗告の基礎知識

まずは準抗告の意味や抗告との違い、申し立てのタイミングなどの基本的な部分について説明します。

準抗告とは

準抗告とは、裁判官の判断や捜査機関の処分などに対する不服申し立てのことです。準抗告を申し立てることができる裁判官の処分は、原則として、第一回の公判期日前の処分です。

 

初回の後半期日後の処分は、公判を担当する裁判所が行い、裁判所が行った処分に対しては抗告という手続きが用意されています。

抗告とは

抗告とは、裁判所がした決定・命令に対する不服申立てのことです。たとえば、勾留等に関する決定であっても、第一回公判後に裁判所によってなされた判断に対する不服であれば、準抗告ではなく抗告によって不服を申し立てることになります。

準抗告ができる裁判

準抗告ができる裁判には主に次の5つがあります(刑事訴訟法第429条第1項参照)。

  • 忌避の申し立てを却下する裁判
  • 勾留・保釈・押収等に関する裁判
  • 鑑定留置を命ずる裁判
  • 証人・鑑定人・通訳又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
  • 身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判

それぞれの内容を確認してみましょう。

忌避の申し立てを却下する裁判

忌避とは、担当の裁判官が事件と特殊な関係にあるなどの理由により不公平な裁判をするおそれがあると認められるとき、「裁判官を変えてください」と申し立てることです。被害者が担当裁判官の親族であるなどのケースが代表例です。

 

忌避の申し立てを却下された場合は準抗告が可能です。

勾留、保釈、押収等に関する裁判

逮捕後勾留決定をされた場合には、その勾留決定を争うことができます。準抗告が認められると、勾留の効果が否定され、身柄を解放してもらえます。

 

その後は「在宅捜査」と同じような扱いになります。

 

また、保釈請求が却下されたときにも、(第一回公判期日までは)準抗告によって争うことが可能です。加えて、実務ではまれなケースですが、押収物の押収や還付についても準抗告が可能です。

 

たとえば、被疑事実とは無関係な、包括的な差押えを許可している捜索差押許可を争うというようなケースです

鑑定留置を命ずる裁判

刑事事件では被告人や被疑者の責任能力を確認する精神鑑定のために、留置を行うことがあります。初公判前に捜査機関から行われる鑑定留置の請求は、裁判官が判断します。

 

裁判官が鑑定留置を認めた場合は、弁護人が準抗告を申し立てて争うことが可能です。

証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判

刑事手続き内で証人や鑑定人、通訳人や翻訳人に対し、過料やその他の費用の支払いが命じられる場合があります。その場合、費用負担を命じられた証人らは準抗告によって争うことが可能です。

身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判

刑事手続き内で身体検査を受けた人が過料やその他の費用支払いを命じられた場合にも、その決定に対して準抗告で争えます。証人や鑑定人、通訳人などの費用負担及び身体検査を受けるものへの費用負担の決定に対する準抗告の場合には、決定があってから3日以内に準抗告を行う必要があります(刑事訴訟法第429条第4項)。

準抗告ができる検察官の処分

次の捜査機関の処分についても準抗告が可能です。

接見の指定に関する処分

捜査に必要があるときは、捜査機関は弁護人と被疑者の接見の日時等を指定できます。この捜査機関が行う接見指定に不服がある場合には、準抗告により指定の取り消し等を請求することができます。

押収に関する処分

事件に関係しているとして押収された物が事件と無関係な場合や、押収の必要がないのに物を持って行かれた場合などは、その処分に対して準抗告により争うことが可能です。弁護人が検察官に押収物の返還を求めたが応じてもらえない場合なども、準抗告が可能です。

勾留に対する準抗告で主張すること

身柄を解放してもらうために勾留に対する準抗告が認められるためには、以下のような「勾留の要件(刑事訴訟法第60条第1項)を満たさない」ことを主張する必要があります。

住居不定でないこと

被疑者の住居が定まっていなければ、裁判手続を滞りなく進行させるため勾留の必要性が認められてしまいます。まず一定の住所地で実態のある生活をしている事実を主張することが考えられます。

逃走のおそれがないこと

家族によってしっかり監督されていることや定職についているので逃亡する可能性がないことも主張し得るでしょう。この場合、家族に身元引受書を書いてもらう方法なども有効です

証拠隠滅のおそれがないこと

  • 被害者の連絡先を知らない(証人威迫のおそれがない)
  • 罪を認め反省している
  • 事件が軽微で比較的軽い処分が見込まれる
  • すでに証拠は集められている

など、証拠隠滅のおそれがないことも主張し得ます。

準抗告の認容件数と認容されるまでの期間

勾留決定などに対しての準抗告はどのくらい行われているのでしょうか。また、被疑者側が準抗告の手続きをした場合に認められるのはどれくらいの件数なのでしょうか。

 

準抗告を申し立てて認容される期間も合わせて説明します。

準抗告の認容件数

2019年版『弁護士白書』によると、2018年の準抗告の件数は1万3,263件でした。そのうち準抗告が認容された件数は2,541件になっています。

 

単純計算で5~6件に1件は準抗告が認容されている状況です。

 

勾留決定などの準抗告の認容件数は近年増えていると言われています。準抗告の認容件数が増えている理由のひとつとして考えられるのが、弁護人による早期の弁護活動です。

 

弁護人と早期に連携を取り、準抗告の準備を早期に行えば、それだけ準抗告の準備に時間を割くことができるうえ、手続きがスムーズになり、勾留からの解放も早くなります。

準抗告が認容されるまでの期間

準抗告をした時間にもよりますが、基本的には準抗告をして即日または翌日には結果が出ます。準抗告棄却決定に対しては、棄却の決定書が送達された日から5日以内に特別抗告が可能です

勾留された場合の弁護活動

犯罪の嫌疑をかけられて逮捕されてしまったら、まずは勾留を防ぐ努力をすべきです。もしも勾留決定されてしまったら、すぐに弁護人に依頼して、以下のような方法で弁護活動を行ってもらいましょう。

準抗告

まずは準抗告により勾留決定を争う方法です。勾留の理由がないことなどを主張しましょう。

勾留取消請求・執行停止の申し立て

その他にも身柄の解放を求める方法は存在します。

 

ひとつは「勾留取消請求」です。これは、勾留決定後から事情が変更し、勾留すべき理由がなくなったときに行う方法です。

 

もうひとつは、「勾留執行停止」の申し立てです。これは、被疑者が重大な病気のため入院する必要がある等の事情がある場合に、いったん身柄拘束を解いてもらうものです。

準抗告の棄却に対する特別抗告

準抗告が認められずに棄却されたときには、最高裁判所に対して「特別抗告」を行うことができます。ただし、申し立てをしても認容される可能性は高くはないでしょう。

勾留延長に対する準抗告

勾留決定されたときの勾留期間は、基本的に10日間が限度です。しかし、10日で捜査が終わらなかった場合には、さらに10日間勾留延長することが可能です

 

この「勾留延長の決定」に対しても、あらためて「準抗告」を行うことができます。手続は勾留決定に対する準抗告と基本的に同じです。

 

勾留時とは捜査の進捗などの状況が変わっていたら、準抗告が認められて身柄を解放してもらえる可能性があります。

被害者との示談交渉

上記のような身柄拘束に関する決定を争う手続きと並行して、被害者と示談交渉などを行うことも重要です。被害者と示談が成立すると、検察官の判断で早期釈放となることもあります。

 

ただし、身柄拘束を受けている被疑者本人が示談交渉を進めるのは不可能ですので、弁護人に進めてもらいましょう。

まとめ|家族が勾留されたら弁護士に相談を

準抗告とは裁判官の判断や捜査機関の処分に対して行う不服申立てのことです。準抗告がよく使われるのは、被疑者が勾留されたときです。

 

勾留が長引いてしまうと、それだけ被疑者や家族の生活への影響も大きくなってしまいます。準抗告が認められるためには、勾留の要件を満たさないことなど、適切な主張を行わなければいけません。

 

早期釈放されるためには早い段階で弁護士に依頼することが重要です。刑事事件に注力している弁護士に相談し、適切かつスムーズな手続きによって勾留からの早期釈放を目指しましょう。

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この記事の監修者
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弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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