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被告人とは|原告との違い・刑事裁判の義務や与えられる権利を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
被告人とは|原告との違い・刑事裁判の義務や与えられる権利を解説

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被告人(ひこくにん)は被疑者・容疑者と並んで、刑事事件の現場でよく聞く言葉かもしれません。

ただしそれらの意味や成り立ちは異なるので、それぞれ使い分ける必要があります。さらに、ほとんど同じに聞こえる「被告」という言葉も、「被告人」とは異なるのです。

また被告人になってしまった場合、何ができて、どうすべきか専門知識がなければわかりません。これまで被疑者と呼ばれていた被告人は、どうなってしまうのでしょうか。

被告人となってしまった以上は、刑事裁判を受けなければなりません。刑事裁判では有罪率が非常に高く、ランダムで選ばれる国選弁護人では不安だという人がいるかもしれません。

そんなときには、刑事事件に強みを持つ私選弁護人を雇うのがおすすめです。

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被告人の意味

被告人とは、犯罪の疑いをかけられ、検事から起訴された人のことを指します。わかりやすくいえば、刑事裁判にかけられる人のことです。

被疑者・容疑者・被告など似たような言葉がありますが、いずれも意味が異なります。それぞれ使い方もシチュエーションも、状況によって使い分けられるので、しっかりと把握しておきましょう。

被告人と「被疑者」「容疑者」の違いとは

被告人とあわせてよく聞く「被疑者」、「容疑者」について、それぞれ以下をご確認ください。

犯罪の疑いがあり、捜査機関(警察や検察)に捜査をされている人物。

被疑者と同じ意味だが、捜査機関ではあまり使われず、主に報道現場で使われる。

同じ意味ですが、「被疑者(ヒギシャ)」と「被害者(ヒガイシャ)」を聞き間違える恐れがあるため、報道現場では容疑者が使われているのです。

被疑者に犯罪の疑いがあり、検察が刑事裁判により罰則を与える必要があると判断した場合、起訴されて被告人となります。

同じ人物でも、段階によって呼び方が変化していくのです。

民事裁判の「被告」と刑事裁判の「被告人」の違い

「被告人」とは別に「被告」という言葉があり、こちらも裁判当事者という意味では同じです。しかし被告は、民事裁判で訴えられた当事者を指します。刑事裁判にかけられている被告人とは、まったく使い方が異なるのです。

そもそも民事と刑事は、全く趣旨が異なる裁判です。両者は混同されがちですが、民事裁判と刑事裁判は手続が全く異なりますし、当事者の呼称も異なるという点を押さえておきましょう。

被告人の対義語は「原告」ではない

被告人の反対の意味の言葉は、原告であると勘違いをしてしまうこともあるかもしれません。しかし、これは間違いです。

原告は「被告」の対義語であって、「被告人」の対義語ではありません。原告も被告も民事裁判の当事者に対する呼称であり、刑事裁判とは無関係です。

被告人の反対の立場、つまり起訴をする当事者は検察官です。そのため、被告人の対義語は検察官と考えるのが正しい理解と言えます。

判決が出れば被告人ではなくなる

起訴された被告人は、刑事裁判にかけられ判決が出るまでは、身柄を拘束されていようがいまいが被告人のままです。そして、刑事裁判の結果判決が出て、これが確定した段階で被告人という立場ではなくなります。

仮に、無罪判決だった場合や執行猶予付き判決を受けたような場合は特段の呼称はありません。被告人ではなくなりますので、単なる一般人ということになります。

他方、実刑の判決を受けてこれが確定し、刑務所に収容されるような場合は受刑者と呼ばれます。

起訴されて被告人になったら

もしも刑事事件で起訴された場合、これまで被疑者だったところから被告人になってしまいます。不起訴にならなかった以上は、必ず刑事裁判を受けることになるでしょう。

また必要的弁護事件の場合は被告人に弁護士が付かなければ、裁判を開くことはできません。また、任意的弁護事件でも、正式裁判の場合には基本的には全件で弁護士が付けられています。

そのため、刑事事件で起訴された場合は、私選弁護人にせよ、国選弁護人にせよ、ほぼ確実に弁護士によるサポートを受けることになります。

国選弁護人と私選弁護人を雇えるタイミングと違い

被告人・被疑者が弁護を依頼する弁護士といえば、国選弁護人もしくは私選弁護人の2種類です。いずれも同じ弁護士ではありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

たとえば国選弁護人は、勾留後でなければ呼べませんし、弁護士を選ぶこともできませんが、依頼費用は基本的にかかりません(国が負担します。)。

一方私選弁護人は個人的な契約で雇う弁護士なので当然依頼費用がかかりますが、自由なタイミングで雇えますし、依頼する弁護士を自由に選べます

確実に刑事事件が得意な弁護士に依頼したいのであれば、私選弁護人を検討すべきかもしれません。

【関連記事】私選弁護人と国選弁護人を比較|どちらに相談するか迷っている人必見

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起訴後の身柄

被疑者が逮捕・勾留と身柄拘束がされた状態で起訴された場合、被告人となっても身柄拘束は続くのが通常です。

しかし被告人は被疑者と異なり、裁判所に対して保釈の申請が可能です。保釈とは、保釈保証金の支払いを条件に身柄を一時的に自由にする制度です。

実際に身柄拘束を受けている被告人が保釈申請を行う場合、弁護士に処理を依頼することが一般的です。このような処理は国選弁護人でも私選弁護人でも可能です。

ただし保釈は申請すれば必ず認められるというものではなく、保釈事由の存在や保釈の必要性・相当性を的確に主張・立証する必要があります。

なお、保釈の申請は何度もできます。仮に1度保釈申請を却下されたとしても、再び保釈を申請することは可能です。

もっとも、やみくもに保釈申請しても認められる可能性は低いので、どのようなタイミングで保釈申請をするべきかも含めて弁護士へ相談するのがおすすめです。

【関連記事】在宅事件とは?身柄事件との違い、在宅事件になる要件や流れについて

保釈をされても被告人は自由とはいえない

仮に被告人が保釈をされたとしても、完全に自由の身となるわけではありませんし、刑事事件が終わるわけでもありません。保釈はあくまで一定の条件下で一時的に身柄を解放する制度に過ぎません。

例えば、保釈条件としては以下のような条件が想定されます(被告人によって若干の調整はあり得ますが、基本的な内容は同じです。)。

  • 許可なく住所地を変更しない
  • 裁判所から呼び出しがあれば必ず応じる
  • 事件関係者と接触しないこと
  • 逃亡や罪証隠滅を疑われる行為をしない
  • 裁判所からの手紙・通知は必ず受け取る
  • 国内外問わず、長期間(一般的に3日以上)の旅行時には裁判所に許可を得ること

このような厳格なルールを遵守することを条件に、一時的に身柄拘束が解かれるのです。

ルールを破った場合は身柄を拘束され、保釈金も没収

もしも、保釈された被告人が保釈の条件となっているルールに違反した場合、保釈が取り消されて再度身柄を拘束される可能性があります。

また、この場合に納めた保釈金の全部又は一部が没収されることもあります。

もし上記の条件に抵触しそうな場合(例えば仕事の都合で出張を要する場合など)、必ず弁護人に相談してください。また、どんなに忙しくても裁判期日には必ず出頭してください。

ルールを守れば保釈金は還付される

保釈の際に支払う保釈金は、基本的には現金を一括で納める必要があります。被告人は身柄を拘束されていますので、実際には弁護人や家族が処理を代行します(もちろん、保釈金は被告人側で用意する必要があります。)。

この保釈金は、保釈時に指定された条件を守っていれば、刑事裁判が終了した時点で全額還付されます。

なお、保釈金の一般的水準は150万円〜300万円程度とされていますが、被告人の資産状況によってはより高額の保釈金が指定されることもあります。

これは、保釈金は裁判への出頭を確保するために押さえておくお金であるため、没収されたときに被告人にとって非常に厳しいものである必要があるからです。

【関連記事】在宅事件とは?身柄事件との違い、在宅事件になる要件や流れについて

保釈されない場合の勾留は事実上無期限

起訴後の保釈が認められなかった場合は刑事裁判が終わるまでは身柄は解放されません。裁判が長引けば、その分身柄拘束の期間が長くなってしまうこともあります。

したがって、被告人の勾留期間は事実上無期限といってよいかもしれません。

保釈されても被告人であることは変わらない

保釈保証金を支払い、保釈が認められたとしても、刑事事件は続いていますので被告人であることに変わりはありません。

身柄が解放され、帰宅して日常生活・社会生活に戻れますが、被告人として刑事裁判を受けなければいけないことに変わりはないのです。

被告人は刑事裁判を受けなければいけない

検察に起訴されて被告人になってしまった以上、刑事裁判は必ず受けなければいけません。基本的に欠席することは許されていません。

刑事裁判の欠席はできるのか

身柄を拘束されている被告人であれば、刑事裁判の日に裁判所まで移送され、法廷に連行されますので、出頭は確保されます。

他方、保釈中の被告人の場合は被告人が自主的に裁判所に行く必要があります。そのため、被告人は刑事裁判に行きたくなければ行かないということもできてしまいます。

しかし、この場合、保釈条件に違反したことを理由に保釈が取り消されて再度身柄を拘束される可能性がありますし、保釈金の全部又は一部が没収される可能性があります。

したがって、事実上、刑事裁判に行かないという選択は取り得ないでしょう。

もちろん、病気・怪我・天災など不可抗力により出頭できない場合は直ちに保釈が取り消されたり、保釈金が没収されるということは考えにくいです。

とはいえ、これらの事情があったとしても、弁護士への事前相談や裁判所への事前連絡は必須でしょう。

裁判時の被告人の服装に決まりはあるか

普通の生活を送っていれば、一般人はほとんど用事のない裁判所なので、服装について迷う人がいるかもしれません。

出廷について特別な決まりはありませんが、スーツを着るのが無難でしょう。スーツの用意が難しければ、無地の白・黒・紺といった、なるべく地味で落ち着いた服装でも問題ないと思われます。

裁判官の印象で判決が出るわけではありませんが、印象が良いに越したことはありません。

刑事裁判の一般的な流れ

刑事裁判では一般的に、以下のような流れで裁判が執り行われます。

  1. 人定質問
  2. 起訴状の朗読
  3. 黙秘権の告知
  4. 被告人・弁護人の罪状認否
  5. 冒頭陳述
  6. 証拠調べ請求
  7. 弁護人の証拠調べに関する意見陳述
  8. 書証・物証の取り調べ
  9. 証人の取り調べ(もしあれば)
  10. 被告人質問
  11. 論告・求刑
  12. 弁護人の弁論
  13. 弁論終結
  14. 判決

刑事裁判の流れについての詳細は、以下を確認してみてください。

【関連記事】刑事裁判の全て|知っておくべき基礎知識-刑事裁判の流れ

裁判中の被告人にはどんな権利があるか

刑事裁判を受けている被告人であっても、憲法に基づいて無罪であることが推定されますので、被告人=犯罪者という認識は誤りです。

また、被告人であっても人間である以上、憲法上の基本的人権が保障されています。刑事訴訟法は、このような憲法に基づく被告人の権利を保障する目的で、被告人に様々な権利を認めています。

例えば、専門知識のある弁護士を弁護人として選任する権利や、証人に対する審問の権利などが挙げられます。

もちろん有罪判決に不服があるときの上訴(控訴・上告)なども被告人の権利として保障されています。

公平で迅速な裁判を受けられる

また、同じく被告人の基本的人権として重要である権利は、公平・公正な裁判を受ける権利でしょう。裁判を受ける権利は、憲法で明確に認められる権利なのです。

では、この公正・公平な裁判を受ける権利を保障するため、検察官や裁判官が事件を担当することに問題がある場合に、忌避・除斥・回避などの制度が認められています。

実際に、これら制度が発動する機会は多くありませんが、公正・公平な裁判システムを担保するための大切な制度です。

黙秘権の保障

また、被告人のもっとも重要な権利の一つが黙秘権です。この権利は憲法上被疑者・被告人に認められた権利であり、具体的には発言を強制されない権利と言えます。

そのため、被告人は刑事裁判に出頭する義務はありますが、発言する義務はありません。被告人は質問された内容について一切発言をしないことも自由ですし、自分が発言したい時にのみ発言するということも可能です。

そして、被告人がこのような黙秘権を行使したことを理由に、被告人を刑事裁判で不利益に扱うことは許されません(もっとも、黙秘せず自白した被告人が情状で有利な扱いを受ける反射的効果として、黙秘権を行使した被告人の立場が相対的に不利になることはやむを得ないと考えられています。)。

これはあくまで発言を強制されない権利であって、被告人に自由な発言を許す権利ではありません。被告人は、刑事裁判を受ける場合、訴訟規則に従って発言する必要があり、不規則な発言は許されません。この点は留意してください。

判決が出るまで被告人は罪のない国民

刑事裁判をかけられていたとしても、被告人はまだ罪が確定したわけではありません。被告人は刑事裁判で有罪とならない限り無罪の推定を受けることは上記のとおりです。

マスコミの報道は刑事裁判で起訴された時点で(ひどい場合は逮捕された時点で)当然のように犯人扱いがされるケースが大半ですが、このような姿勢は憲法的には誤りというほかないのです。

まとめ

捜査を受けていた被疑者から、起訴された時点で被告人になってしまいます。

場合によってはこの時点で保釈してもらえるかもしれませんが、保釈金や保釈条件など、決して簡単な手続きではありません。絶対条件ではありませんが、事実上弁護士への相談がマストになるでしょう。

保釈されれば日常生活に戻れますが、再び勾留されないためには気をつけるべきポイントがあります。

その内容は疑われる罪の種類や、事件の状況によって変わるので、こちらも弁護士への相談がベターです。

また被告人にとって最も重要な刑事裁判は、弁護人なしで行うことはできません。国選弁護人を付けることもできますが、刑事事件に対して強みがある弁護士がおすすめです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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