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広島県で利用できる公的な相談窓口
当番弁護士は、留置先の署で4つの専用電話に分かれる
弁護士会は地方裁判所の管轄区域ごとに設けられ(弁護士法第32条)、広島県の地方裁判所は広島地裁1つなので、県内の弁護士会は広島弁護士会だけです。身内が当番弁護士を頼むときは、本人が捕まっている警察署の所在地に応じた専用電話にかけます。4つとも、弁護士会の代表電話(082-228-0230)とは違う番号です。本人が警察署の職員に「当番弁護士を呼んでほしい」と伝えて呼ぶこともできます。
| ブロック | 専用電話 | 対象の警察署・施設 |
|---|---|---|
| 広島 | 082-222-4915 | 県警本部の留置場、広島中央・広島東・広島西・広島南・安佐南・安佐北・海田・廿日市・東広島・山県・大竹・佐伯・三次・庄原・安芸高田の各署、広島拘置所、三次拘置支所、広島少年鑑別所 |
| 呉 | 0823-24-6755 | 呉・広・竹原の各署、呉拘置支所(江田島署は日弁連の一覧でこのブロック) |
| 尾道 | 0848-22-4237 | 尾道・三原・世羅の各署、尾道刑務支所 |
| 福山 | 084-923-1798 | 福山東・福山西・福山北・府中の各署、福山拘置支所 |
費用をすぐ用意できなくても、経済状況などの条件を満たせば法律援助を使えると弁護士会は案内しています。
法律相談センターと、交通事故の無料相談の扱い
広島弁護士会の法律相談センターは、広島(予約082-225-1600・40分6,600円)、福山(084-973-5900)、呉(0120-969-214)、東広島(082-421-0021)、尾道(0848-38-1640)にあり、広島以外は30分5,500円です。三次市・庄原市を回る広島北部巡回法律相談センター(予約0120-969-214)は無料で、1年度に1人2回までです。弁護士会は、借金と交通事故の無料相談の枠について「刑事・行政処分に関する相談は除く」としています。危険運転や免許処分の相談は、有料の法律相談か刑事弁護を扱う事務所へ申し込んでください。
警察・被害者支援の窓口
| 窓口 | 電話 | 受付・内容 |
|---|---|---|
| 広島県警察 警察安全相談電話 | 082-228-9110 | 携帯電話・プッシュ回線は#9110。平日8時30分〜17時15分(時間外は自動音声) |
| ヤングテレホン広島(県警 少年サポートセンター) | 082-228-3993 | 少年の非行などの相談。8時30分〜17時(土日祝日を除く) |
| (公社)広島被害者支援センター | 082-544-1110 | 月曜〜土曜9時〜17時(祝日・8月13〜16日・年末年始を除く)。福山市役所内・呉市役所内でも予約制の相談室 |
| 法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル | 0120-079714 | 平日9時〜21時、土曜9時〜17時 |
| 法テラス・サポートダイヤル | 0570-078374 | 平日9時〜21時、土曜9時〜17時。制度や相談先の案内 |
出典:広島弁護士会「逮捕・刑事事件」、日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」、e-Gov法令検索「弁護士法」第32条、広島弁護士会「法律相談センター」、広島弁護士会、広島県警察「警察の相談窓口などのご案内」、広島県警察「少年相談」、広島県警察「公益社団法人広島被害者支援センターのご紹介」、法テラス「法テラス広島」
広島県で危険運転・あおり運転(煽り運転)の疑いをかけられた運転者と家族が、最初にすること
このページは、広島県内の道路で起きた事故や走行をめぐり、危険運転致死傷罪や妨害運転罪(あおり運転)の容疑をかけられた運転者側の刑事事件(逮捕・前科・示談・不起訴)を扱うページです。民事の損害賠償の相談は対象外です。酒気を帯びて運転しただけなら飲酒運転、人身事故の現場で救護せずに走り去ればひき逃げ、物損事故を届け出ずに離れれば当て逃げ、アルコールの影響・制御できない高速度・通行を妨げる目的の運転で人を死傷させれば危険運転致死傷です。広島県では、危険運転致死の裁判員裁判は広島県福山市や三次市で起きた事故でも広島市中区上八丁堀の広島地方裁判所(本庁)だけで開かれ、控訴審は同じ敷地にある広島高等裁判所の本庁が受け持ちます。家族が県内の警察署に逮捕されたら、留置先の署がある地域の当番弁護士専用電話にかけてください。
いまの状況別・最初にすること
- 人身事故の取調べで「危険運転にあたるかどうかを調べる」と告げられた
- 危険運転致傷の刑は15年以下の拘禁刑のみで、罰金刑の選択肢がありません。走っていた速度や飲んだ量を推測の数字で答えると、その数字が供述調書に残ります。広島県警から次の呼出しを受ける前に、刑事弁護を扱う弁護士へ相談してください。
- 家族が広島中央署・東広島署・呉署・福山東署などに逮捕された
- 当番弁護士の専用電話は、留置されている署の所在地で4つに分かれます。広島ブロック082-222-4915、呉ブロック0823-24-6755、尾道ブロック0848-22-4237、福山ブロック084-923-1798です。広島弁護士会は申込みから48時間以内に弁護士を派遣すると案内しており、その事件で最初の派遣なら費用はかかりません。電話では本人の氏名と留置先の署名を最初に伝えてください。
- 相手の車のドライブレコーダー映像をもとに、あおり運転の疑いで呼び出された
- 妨害運転罪は、接触や事故がなくても成立します。刑事手続と並行して、運転免許の行政処分も進みます。自分の車の映像を上書きされる前に複製し、弁護士に預けてください。前後の車の動きが記録されていれば、減速や車線変更をした理由を説明する根拠になります。
- 三次・庄原の県北や、広島県尾道市・福山市など広島市から離れた地域の事故で疑われている
- 裁判官1人で審理する事件は事故のあった区域の支部で開かれますが、合議になると本庁・呉支部・福山支部の3庁に集まり、危険運転致死の裁判員裁判は本庁だけです。弁護士に連絡するときは、事故現場の市町と留置先の署名をあわせて伝えてください。どの庁へ何回通うことになるかの見込みを、最初の相談で示してもらえます。
出典:広島弁護士会「逮捕・刑事事件」、裁判所「広島県内の管轄区域表」、広島地方裁判所「広島県内の裁判員制度関連情報」、e-Gov法令検索「自動車運転死傷処罰法」
広島県で危険運転の容疑により逮捕されたあとの流れと、事件を扱う庁
警察は48時間以内に事件を検察官へ送り、検察官は24時間以内に勾留を請求するかを決め、勾留は原則10日、延長されると最長20日続きます(刑事訴訟法第203条・第205条・第208条)。危険運転致死傷には罰金刑がないため、起訴されれば書面審理の略式手続ではなく公開の法廷での裁判になります。広島県内の事件では、警察から送られた事件を広島地方検察庁(広島市中区上八丁堀の本庁と、呉・尾道・福山・三次の4支部)が受け持ちます。起訴前の弁護活動は逮捕後の流れを解説した記事にまとめています。
裁判員裁判は本庁だけ、合議は3庁、少年は5庁、控訴は広島高裁の本庁
広島地方裁判所は本庁と呉・尾道・福山・三次の4支部からなり、県内の簡易裁判所は11、家庭裁判所の出張所は管轄区域表に載っていません。危険運転致傷や妨害運転を裁判官1人で審理するなら、事故があった区域の本庁か支部で公判が開かれます。裁判官3人の合議事件を扱うのは本庁・呉支部・福山支部の3庁だけで、尾道支部の区域の事件は福山支部へ、三次支部の区域の事件は本庁へ移ります。一方、少年事件は家庭裁判所の本庁と4支部の5庁すべてが扱うため、三次市の事件は少年なら三次支部、合議なら広島市の本庁と、庁がずれます。裁判員制度の対象となる危険運転致死は、広島地裁が「広島県内では,広島地方裁判所でのみ裁判員裁判を行っています」と案内しているとおり、どの区域の事故も本庁で審理されます。控訴審は広島市中区上八丁堀2-43の広島高等裁判所(本庁)で、県内の全区域が本庁の受け持ちです。
| 事故のあった地域 | 警察署(条例の管轄区域) | 当番弁護士の受付 | 地裁(単独事件) | 合議 | 少年(家裁) | 裁判員裁判 | 控訴審 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 広島市の中区・東区・南区・西区・佐伯区、府中町 | 広島中央・広島東(府中町も)・広島南・広島西・佐伯 | 広島 082-222-4915 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 広島高裁 |
| 広島市の安佐南区・安佐北区、安芸太田町・北広島町 | 安佐南・安佐北・山県 | 広島 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 広島高裁 |
| 広島市安芸区、海田町・熊野町・坂町 | 海田 | 広島 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 広島高裁 |
| 広島県廿日市市・大竹市 | 廿日市・大竹 | 広島 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 広島高裁 |
| 広島県東広島市 | 東広島 | 広島 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 広島高裁 |
| 広島県三原市の旧大和町 | 三原 | 尾道 0848-22-4237 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 本庁 | 広島高裁 |
| 安芸高田市 | 安芸高田 | 広島 | 三次支部(八千代支所の区域は本庁) | 本庁 | 三次支部(八千代支所の区域は本庁) | 本庁 | 広島高裁 |
| 三次市(甲奴を除く)・庄原市(旧総領町を除く) | 三次・庄原 | 広島 | 三次支部 | 本庁 | 三次支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 三次市の甲奴、庄原市の旧総領町 | 三次・庄原 | 広島 | 福山支部 | 福山支部 | 福山支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 広島県呉市・江田島市 | 呉・広・江田島 | 呉 0823-24-6755 | 呉支部 | 呉支部 | 呉支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 竹原市・大崎上島町 | 竹原 | 呉 | 呉支部 | 呉支部 | 呉支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 尾道市(浦崎町を除く)、三原市(旧大和町を除く)、世羅町(せらにし支所の区域を除く) | 尾道・三原・世羅 | 尾道 | 尾道支部 | 福山支部 | 尾道支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 世羅町のせらにし支所の区域 | 世羅 | 尾道 | 三次支部 | 本庁 | 三次支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 尾道市浦崎町 | 福山西 | 福山 084-923-1798 | 尾道支部 | 福山支部 | 尾道支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 福山市・神石高原町 | 福山東・福山西・福山北 | 福山 | 福山支部 | 福山支部 | 福山支部 | 本庁 | 広島高裁 |
| 府中市 | 府中 | 福山 | 福山支部 | 福山支部 | 福山支部 | 本庁 | 広島高裁 |
※地裁・合議・少年の区分は裁判所「広島県内の管轄区域表」(平成28年1月18日現在の行政区画による)、裁判員裁判は広島地方裁判所の案内、警察署は広島県法規集「警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例」別表(令和5年4月1日の行政区画による)、当番弁護士の受付は広島弁護士会と日弁連の一覧によります。江田島署を呉ブロックとする扱いは日弁連の一覧の記載です。「本庁」は広島市中区上八丁堀の広島地方裁判所・広島家庭裁判所を指します。
警察署の受け持ち区域と裁判所の区域は、県内の4か所で境目が一致しません。尾道市浦崎町は福山西署の受け持ちでも裁判所は尾道支部、三原市の旧大和町は三原署の受け持ちでも裁判所は広島市の本庁、三次市の甲奴と庄原市の旧総領町は県北の署の受け持ちでも裁判所は福山支部です。当番弁護士の電話は留置先の署で選び、裁判所は事故現場の地名をもとに弁護士に判断してもらいましょう。
起訴されたあとの身柄を収容する施設は、広島市中区上八丁堀の広島拘置所が独立して置かれているほか、広島刑務所の支所として尾道刑務支所・呉拘置支所・福山拘置支所・三次拘置支所の4つがあります。移送先は事件ごとに決まるため、差し入れや面会の段取りは弁護人を通じて組みましょう。
出典:裁判所「広島県内の管轄区域表」、広島地方裁判所「管内の裁判所の所在地」、広島地方裁判所「広島県内の裁判員制度関連情報」、広島高等裁判所「管内の裁判所の所在地」、広島地方検察庁「交通案内・問合せ先(本庁・支部)」、広島県法規集「警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例」、日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」、法務省「広島拘置所」、法務省「全国の矯正管区・矯正施設・矯正研修所一覧」、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
危険運転・あおり運転で問われる罪と刑罰(広島県の条例との関係)
危険運転致死傷は自動車運転死傷処罰法、あおり運転は道路交通法の罪で、広島県の条例によって刑が重くなる仕組みはありません。広島県暴走族追放の促進に関する条例(平成11年条例第39号)も、罰則は第19条(指定暴力団等の威力を示した集会・勧誘などの禁止違反に6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)だけです。飲酒運転の根絶を目的とする県の条例は、広島県法規集の検索では確認できません。警察から告げられた罪名と条文をメモに残し、接見の際に弁護士へ渡してください。
令和8年7月21日施行の改正で、アルコールと速度に数値の線が引かれた
第2条の危険運転は類型を問わず、相手を負傷させれば15年以下の拘禁刑、死亡させれば1年以上の有期拘禁刑です。令和8年7月21日に施行された改正では、アルコールと高速度の類型について、危険運転にあたる数値が条文で示されました。
| 類型 | 改正後の条文が定める基準 |
|---|---|
| アルコール | 呼気1リットルにつき0.5mg以上、または血液1ミリリットルにつき1.0mg以上のアルコールを身体に保有した状態で運転すること |
| 高速度 | 最高速度が60km/h以下の道路で50km/hを超える超過、60km/hを超える道路で60km/hを超える超過で運転すること |
| 車体の挙動 | 車体を横滑りさせて曲がる運転や、二輪車の前輪を浮かせた走行 |
広島県警の交通統計では、令和7年に県内で起きた飲酒運転の事故は52件・死者4人(前年は68件・6人)でした。平成27年から令和6年までの10年間では、飲酒運転の事故のうち死亡事故になった割合が7.3%で、飲酒がない事故の1.0%の約7倍です。前日の夜からの酒も含め、飲み始めと飲み終わりの時刻、酒の種類と量を書き出して弁護士に渡してください。検知された数値が改正後の基準に届くかを含め、どの条文で起訴される見込みかを早い段階で示してもらえます。
危険運転にあたらないと判断された場合でも、準危険運転(第3条:負傷は12年以下、死亡は15年以下の拘禁刑)や過失運転致死傷(第5条:7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)で起訴されることがあります。過失運転致死傷にとどまれば、罰金で終わる道が開けます。広島地検が処分を決める前に、事故状況を示す資料を弁護士と一緒にそろえましょう。
妨害運転罪(あおり運転)は、相手の通行を妨げる目的があったかが分かれ目
妨害運転罪は、ほかの車の通行を妨げる目的で、車間距離を極端に詰める・不必要な急ブレーキをかける・急な進路変更をするなどの違反をした時点で成立し、事故の有無は問いません。刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、高速道路で相手の車を止めさせるなど著しい交通の危険を生じさせた場合は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(道路交通法第117条の2の2第1項第8号・第117条の2第1項第4号)。道路上の障害物や飛び出しを避けるためにハンドルを切ったなどの事情があれば、映像とあわせて弁護士に話してください。妨害する目的が認められなければ、この罪は成立しません。
出典:e-Gov法令検索「自動車運転死傷処罰法」第2条〜第5条、法務省「危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正Q&A」、e-Gov法令検索「道路交通法」、警察庁「危険!『あおり運転』はやめましょう」、広島県法規集「広島県暴走族追放の促進に関する条例」、広島県警察「広島の交通統計(令和7年版)」、広島県警察「統計インフォメーション(令和7年12月号)」
容疑を認める場合と否認する場合
認めるなら、保険会社の賠償交渉とは別に、謝罪と示談を弁護士に任せる
運転したことも、危険運転にあたることも争わないなら、弁護の中心は被害者や遺族への謝罪と、処罰を求めない意思(宥恕)を書き入れた示談書です。任意保険の会社が扱うのは損害賠償の金額であり、刑事処分に向けた謝罪や宥恕の取り付けまでは引き受けません。謝罪の申し入れから示談書の取り交わしまでを、弁護士に一本化してください。広島県内でも、本人や家族が相手方へ直接連絡を重ねると証拠隠しを疑われ、勾留が長引くおそれがあり、弁護士を窓口にすればその心配を減らせます。
否認するなら、速度・飲酒量・目的について答えた内容を毎回書き残す
危険運転かどうかを争う事件では、広島県警の取調べは走行中の速度、飲酒の量と時刻、相手の進路をふさぐ意図に集中します。取調べの前には供述を拒めることが告げられ(刑事訴訟法第198条第2項)、調書の内容が話したことと違えば署名押印を拒めます(同条第4項・第5項)。「前に入られて腹が立った」など目的を認める表現が入った調書には署名せず、その日のうちに弁護士へ知らせてください。取調べの録音・録画が法律で義務づけられるのは危険運転致死の事件だけで(同法第301条の2)、致傷・妨害運転・過失運転致死傷の取調べは録画のないまま進みます。取調べが終わるたびに、聞かれたことと答えた内容をメモにして、接見の弁護士に渡しましょう。
出典:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第198条・第301条の2、広島県警察「公益社団法人広島被害者支援センターのご紹介」、法テラス「法テラス広島」
危険運転事件の保釈・公訴時効・在留資格
危険運転致死は権利保釈の枠から外れ、裁判所の裁量で判断される
保釈を請求できるのは起訴されたあとです(刑事訴訟法第88条第1項・第207条第1項ただし書)。危険運転致死は「短期1年以上の拘禁刑にあたる罪」のため、第89条第1号で権利保釈の対象から外れ、第90条の裁量保釈として判断されます。危険運転致傷と妨害運転は権利保釈の対象で、同乗者との口裏合わせや映像の削除といった罪証隠滅のおそれ(第4号)、被害者側への働きかけのおそれ(第5号)がないことを示せるかが争点です。勤務先の在籍証明や、家族の介護・育児を担っている事情を示す書類を集め、弁護人に渡してください。全国では、令和7年に勾留された35,125人のうち11,132人が保釈で釈放されました(司法統計年報 第32表)。広島高等裁判所では、保釈請求や上告の申立てなど刑事訴訟の書類を刑事訟廷事務室(082-221-2492)が受け付けています。
危険運転致死の公訴時効は20年、致傷は10年
| 罪(自動車運転死傷処罰法) | 人が死亡した場合 | 人が負傷した場合 |
|---|---|---|
| 危険運転(第2条) | 20年 | 10年 |
| 準危険運転(第3条) | 10年 | 7年 |
| 過失運転(第5条) | 10年 | 5年 |
※刑事訴訟法第250条(人を死亡させた罪は第1項、それ以外の罪は第2項)に各罪の刑の上限をあてはめた年数です。妨害運転罪は、著しい交通の危険を生じさせた場合が5年、それ以外が3年です。
時効の進行は運転行為が終わった時点から始まり(第253条第1項)、起訴で停止します(第254条第1項)。広島県警から呼出しを受けたまま日にちが過ぎているなら、弁護士と相談して出頭する日を決めてください。自分から出頭した事実は、逃げるおそれがないことを示す事情として、勾留や保釈の判断で考慮されます。
外国籍の人は、執行猶予が付いても退去強制の対象になりうる
広島県の在留外国人は72,628人(令和7年末・前年末比7.1%増)で人口の2.71%にあたり、在留資格では技能実習と特定技能が合わせて39.4%を占めます(いずれも出入国在留管理庁の統計から算出)。入管法第24条第4号の2は自動車運転死傷処罰法第2条・第6条第1項の罪を挙げているため、技能実習・特定技能・留学など別表第一の在留資格の人が危険運転致死傷で拘禁刑に処せられると、執行猶予付きでも退去強制の対象になります。別表第二の資格(永住者・日本人の配偶者等など)の人と、準危険運転・過失運転致死傷・妨害運転にとどまった人は、第24条第4号リにより1年を超える実刑かどうかで扱いが分かれます。家族は本人の在留カードの資格と期限を控え、最初の接見の前に弁護士へ伝えてください。
出典:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第88条〜第90条・第250条・第253条・第254条、裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」第32表、広島高等裁判所「ダイヤルイン一覧」、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第24条、出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」
危険運転・あおり運転の事件で弁護士に依頼できることと選び方・費用
広島県内の危険運転事件で弁護士に任せる柱は、示談交渉と身柄の解放の2つです。過失運転致死傷にとどまる見込みがあるかどうかも、実況見分の記録や車載映像と照らし合わせて弁護士から説明を受けられます。
保険会社による賠償の交渉とは別に、謝罪の申し入れ、宥恕を書き入れた示談書の作成、広島地検への提出までを引き受けます。進め方は被害者との示談交渉に関する記事で紹介しています。
広島地検へ勾留請求をしないよう意見書を出し、勾留されれば準抗告、起訴されれば保釈請求へ進みます。処分の考え方は不起訴・刑罰・刑事処分に関する記事で解説しています。
備後・県北・島しょ部の事件は、接見の移動と広島市への出廷を前提に選ぶ
広島弁護士会は県内でただ一つの弁護士会で、会員は630名(2026年10月1日現在)です。支部はなく、広島・福山・呉・尾道・三次の5つの地区会があり、日弁連の紹介では広島地区会が全会員の80%以上を占めています。庄原署・世羅署・江田島署など広島市から遠い署への接見には、そのたびに移動時間と日当・交通費がかかります。危険運転致死で起訴されれば公判前整理手続から判決まで広島市中区の本庁へ出廷し、控訴審も同じ広島市の広島高裁で続きます。次の3点を電話で聞き、はっきり答えた事務所に早めに依頼しましょう。
依頼の前に聞く3点
- 留置されている署へ、今日か明日のうちに接見に行けるか
- 危険運転か過失運転かを争った事件や、広島地裁本庁の裁判員裁判を担当した経験があるか
- 県北・島しょ部・備後の署への接見と、広島市の本庁・高裁への出廷を含めた日当・交通費の総額と、分割払いに応じるか
費用の目安と法テラス広島
着手金・報酬金・接見日当を合わせた総額は70万〜150万円程度が一つの目安で、裁判員裁判になる場合や危険運転の成否を法廷で争う場合はさらに増えます。示談金や損害賠償の支払いは、この総額に含まれません。内訳は刑事事件の弁護士選び・費用に関する記事にまとめています。法テラスの県内拠点は広島市中区八丁堀2-31 広島鴻池ビル1階の法テラス広島(0570-078352・平日9時〜17時)の1か所で、同じビルの6階にスタッフ弁護士の法テラス広島法律事務所があります。勾留が決まれば、起訴前でも国選弁護人が選任されます。私選の費用を用意できないときは、接見に来た当番弁護士に国選弁護や法律援助の利用を相談してください。
出典:日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」(2026年10月1日現在)、日本弁護士連合会「[中国]広島弁護士会」、広島弁護士会「逮捕・刑事事件」、法テラス「法テラス広島 アクセス」、法テラス「法テラス広島法律事務所 アクセス」
広島県の危険運転・あおり運転の検挙状況と交通事故の傾向
広島県警の公表資料には危険運転致死傷・妨害運転罪の件数の項目がなく、県警の犯罪統計書にも自動車運転死傷処罰法の検挙は載っていないため、県内の件数は読み取れません。代わりに交通事故の数字を示します。
令和7年の交通事故死者は58人で、統計が残る昭和23年以降で最少
| 区分 | 令和6年 | 令和7年 |
|---|---|---|
| 人身事故の件数 | 4,403件 | 4,260件 |
| 死者 | 68人 | 58人 |
| 負傷者 | 5,236人 | 5,052人 |
| 飲酒運転による事故 | 68件 | 52件 |
| 飲酒運転による事故の死者 | 6人 | 4人 |
※広島県警察 交通企画課「広島の交通統計(令和7年版)」によります。飲酒運転による事故は第1当事者が原付以上の事故です。
一方で自転車乗用中の死者は11人(前年比4人増・過去10年で最多)でした。令和8年は9月末までの死者が34人で、前年同期の46人より12人少なくなっています(暫定値)。県内で危険運転として起訴される事件の数は公表されていないため、同じ類型の事件を担当した経験がある弁護士を選びましょう。
広島県は、刑法犯で逮捕される割合が全国より高い
広島県警が令和7年に検挙した刑法犯全体では、検挙人員4,337人のうち逮捕が1,602人で36.9%にのぼり、全国の32.2%を上回って都道府県で高い方から5番目でした。令和8年1〜8月も33.2%で、全国の31.1%を上回っています(いずれも算出・令和8年は暫定値)。この割合は刑法犯の値で、危険運転などの交通事件に限った割合は公表されていません。在宅のまま捜査が進んでいる段階でも、呼出しの連絡が来た時点で弁護士に相談し、取調べでの答え方を決めておきましょう。
出典:広島県警察「広島の交通統計(令和7年版)」、広島県警察「令和7年中の交通死亡事故分析」、広島県警察「交通企画課だより」(令和8年9月末)、広島県警察「犯罪統計書(令和7年)」表26、警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分)」第10表
広島県の危険運転・あおり運転でよくある質問
Q1. 福山市や尾道市の事故で危険運転致死に問われたら、裁判はどこで開かれますか?
広島市中区上八丁堀の広島地方裁判所(本庁)です。福山支部は合議事件を扱いますが、裁判員裁判は開きません。原則は裁判官3人と裁判員6人で、初公判の前に公判前整理手続を経ます(裁判員法第2条・第49条)。備後から広島市へ何回通う見込みか、交通費と弁護士の日当を含めて依頼の段階で見積もってもらいましょう。
Q2. 三次市(甲奴を除く)や庄原市(旧総領町を除く)の事故で危険運転致傷に問われたら、どこの裁判所になりますか?
裁判官1人で審理するなら三次市三次町の三次支部です。合議体で審理することになれば、三次支部は合議事件を扱わないため広島市の本庁へ移ります。運転者が18歳未満なら、少年事件として家庭裁判所の三次支部が扱います。三次支部か本庁かの見通しを弁護士と共有し、出廷日に合わせて休みと送迎を段取りしましょう。
Q3. 尾道市で起きた事故が合議事件になると、尾道支部で審理されないのはなぜですか?
管轄区域表で、尾道支部の区域の合議事件は福山支部が扱うと定められているからです。裁判官1人の事件なら尾道支部、合議なら福山市三吉町の福山支部、危険運転致死の裁判員裁判なら広島市の本庁と、同じ尾道市の事故でも審理の形で庁が変わります。起訴の見通しが立った段階で、通う庁を弁護士と共有しておきましょう。
Q4. 判決に納得できず控訴すると、どこで審理されますか?
広島県内のすべての区域の控訴審は、広島市中区上八丁堀2-43の広島高等裁判所(本庁)が受け持ちます。広島高裁の支部へ回ることはありません。危険運転の成否を争うなら、控訴審まで続けて担当できるかを依頼の時点で話し合いましょう。
Q5. 呉市で逮捕されたと聞きました。呉署と広署のどちらにいるのでしょうか?
警察署の管轄区域を定める条例では、呉市のうち阿賀・広・仁方・郷原・下蒲刈・川尻・蒲刈・安浦・豊浜・豊の各町域が広署、それ以外の区域が呉署の受け持ちです。当番弁護士は、どちらの署でも呉ブロックの0823-24-6755が受け付けます。電話では、警察から聞いた署名をそのまま伝えてください。
Q6. 福山市には警察署が3つあると聞きました。どこがどこを受け持っていますか?
福山市は福山東・福山西・福山北の3署に分かれます。福山北署は御幸町・芦田町・加茂町・駅家町・新市町・神辺町などと神石高原町を、福山西署は松永町・今津町・鞆町・沼隈町・内海町などのほか尾道市浦崎町を受け持ち、残りの区域が福山東署です。3署と府中署はいずれも福山ブロックの084-923-1798で当番弁護士を受け付けます。家族は署名と本人の氏名をメモにして、その番号に電話してください。
Q7. 広島県廿日市市や東広島市で逮捕された場合、当番弁護士はどの番号に頼めばよいですか?
廿日市署と東広島署は、広島市内の各署と同じ広島ブロック(082-222-4915)です。廿日市市には簡易裁判所がなく広島簡裁の区域に入り、東広島市は東広島簡裁の区域ですが、地方裁判所の事件はどちらも広島市の本庁で審理されます。申込みの電話では、留置先の署名と事故現場の地名をあわせて伝えてください。
Q8. 起訴されたあと、家族はどこで面会できますか?
広島県には、広島市中区上八丁堀の広島拘置所のほか、広島刑務所の支所として尾道刑務支所(尾道市防地町)・呉拘置支所(呉市吉浦上城町)・福山拘置支所(福山市沖野上町)・三次拘置支所(三次市三次町)があります。起訴後の移送先と面会の受付方法は弁護人から教えてもらいましょう。
Q9. 不起訴で終わったあと、遺族が検察審査会へ申し立てることはありますか?
あり得ます。広島県の検察審査会は広島第一・広島第二・三次・呉・福山・尾道の6つで、それぞれ広島地裁の本庁と各支部の庁舎内に置かれています。不起訴になったあとも、示談と謝罪の記録を弁護士に保管してもらいましょう。
Q10. 18歳未満の子が危険運転の疑いで逮捕されたら、どこの家庭裁判所が扱いますか?
広島県で少年事件を扱う家庭裁判所は本庁と呉・尾道・福山・三次の各支部の5か所で、竹原市の事件は呉支部、府中市の事件は福山支部、庄原市の大部分の事件は三次支部が扱います。観護措置がとられれば、広島市中区吉島西の広島少年鑑別所に移ります。保護者は広島ブロックの082-222-4915など留置先の署に応じた番号へ電話し、子どもの氏名と留置先を伝えてください。
出典:裁判所「広島県内の管轄区域表」、広島地方裁判所「管内の裁判所の所在地」、広島家庭裁判所「管内の裁判所の所在地」、広島地方裁判所「広島県内の裁判員制度関連情報」、広島高等裁判所「管内の裁判所の所在地」、裁判所「全国の検察審査会一覧表」、e-Gov法令検索「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」、広島県法規集「警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例」、広島県警察「警察署のご案内」、広島弁護士会「逮捕・刑事事件」、法務省「広島拘置所」、法務省「全国の矯正管区・矯正施設・矯正研修所一覧」、法務省「少年鑑別所一覧」
危険運転致死なら広島地裁本庁の裁判員裁判、致傷や妨害運転なら事故現場の区域の本庁・支部と、罪名によって通う裁判所も弁護の組み立ても変わります。家族が県内の署に留置されているなら、その署へ今日のうちに接見できる事務所へ連絡してください。在宅で呼出しを受けている段階なら、備後・県北・島しょ部の署への接見や広島高裁での控訴審にも対応できる事務所まで広げて探しましょう。
参考資料・更新情報
- e-Gov法令検索「自動車運転死傷処罰法」
- e-Gov法令検索「道路交通法」
- e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
- e-Gov法令検索「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
- e-Gov法令検索「弁護士法」
- 法務省「危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正Q&A」
- 警察庁「危険!『あおり運転』はやめましょう」
- 警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分)」
- 広島県法規集「警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例」
- 広島県法規集「広島県暴走族追放の促進に関する条例」
- 広島県警察「広島の交通統計(令和7年版)」
- 広島県警察「令和7年中の交通死亡事故分析」
- 広島県警察「統計インフォメーション(令和7年12月号)」
- 広島県警察「交通企画課だより」
- 広島県警察「犯罪統計書(令和7年)」
- 広島県警察「警察署のご案内」
- 広島県警察「警察の相談窓口などのご案内」
- 広島県警察「少年相談」
- 広島県警察「公益社団法人広島被害者支援センターのご紹介」
- 裁判所「広島県内の管轄区域表」
- 広島地方裁判所「管内の裁判所の所在地」
- 広島家庭裁判所「管内の裁判所の所在地」
- 広島地方裁判所「広島県内の裁判員制度関連情報」
- 広島高等裁判所「管内の裁判所の所在地」
- 広島高等裁判所「ダイヤルイン一覧」
- 裁判所「全国の検察審査会一覧表」
- 裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」
- 広島地方検察庁「交通案内・問合せ先(本庁・支部)」
- 法務省「広島拘置所」
- 法務省「全国の矯正管区・矯正施設・矯正研修所一覧」
- 法務省「少年鑑別所一覧」
- 広島弁護士会
- 広島弁護士会「逮捕・刑事事件」
- 広島弁護士会「法律相談センター」
- 日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」
- 日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」(2026年10月1日現在)
- 日本弁護士連合会「[中国]広島弁護士会」
- 法テラス「法テラス広島」
- 法テラス「法テラス広島 アクセス」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」
※本コンテンツは2026年10月13日時点で確認できた公表情報をもとに作成しています。法令は令和8年7月21日施行の自動車運転死傷処罰法の改正を反映しています。広島県内の危険運転致死傷・妨害運転罪の件数は公表資料に見当たらないため掲載していません。交通事故は広島県警察の令和7年の値(令和8年は9月末の暫定値)、逮捕の割合は広島県警察「犯罪統計書」と警察庁「犯罪統計資料」の刑法犯全体から算出した値(令和7年は確定値、令和8年1〜8月は暫定値)、保釈の人員は「司法統計年報 刑事編(令和7年)」の全国値、在留外国人数は令和7年末、弁護士会の会員数は2026年10月1日現在の値です。割合のうち「算出」としたものは公表値をもとに計算しています。制度や窓口の情報は変わることがあるため、利用の前に各機関と法律事務所の公式情報を見てから手続きを進めてください。本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするもので、個別の事件についての法的助言ではありません。