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沖縄県で利用できる公的な相談窓口
逮捕されたら沖縄弁護士会の当番弁護士
当番弁護士は、平日なら身柄のある警察署の場所を問わず098-865-3737で受け付けます。土日祝は留守番電話で、勾留場所によって098-865-3737と098-894-8663に分かれます。弁護士会のページでは、派遣を頼むと原則として24時間以内に当番の弁護士が本人と面会し、初回は無料です。録音する内容として弁護士会が挙げるのは、①かけた人の名前、②その連絡先、③逮捕された人との続柄、④逮捕された人の名前、⑤容疑、⑥逮捕された日時、⑦身柄を置かれている場所、の7つです。横領なら、会社の名前と告訴の有無も分かる範囲で添えてください。
在宅のうちの相談と、会社からの返還請求
沖縄弁護士会の法律相談センターは、那覇(098-865-3737)・沖縄支部(沖縄市知花・098-934-5722・月水金)・名護支部(0980-52-5559・月木)の3か所で、30分5,500円(資力が一定以下なら法テラスの援助で無料)です。相談の種類に「刑事弁護に関する相談」があり、弁護士会は、家族が弁護人を探していて心当たりがない場合もこの相談へ案内しています。宮古・八重山にはセンターがないので、島で呼出しを受けているなら、刑事事件を扱う事務所へ直接電話してください。
会社からの返金や損害賠償の請求は民事の問題です。収入と資産が基準以下の人は、法テラスの無料法律相談で金銭トラブル(貸金・損害賠償)を相談でき、会場は法テラス沖縄(毎週水・金曜)と弁護士会の沖縄支部の相談センター(第1・3・5金曜)です。刑事事件の相談は対象として挙がっていません。返済額を書いた書面が会社から届いたら、それを持って相談に行きましょう。請求額の根拠を弁護士と一緒に読み解けます。
※那覇地方検察庁のサイトには告訴・告発の担当別の番号は載っておらず、掲載されているのは代表番号(098-835-9200)です。沖縄県警察の警察安全相談(#9110・098-863-9110)と各警察署の相談窓口の受付は、平日8時30分〜17時15分です。
出典:沖縄弁護士会「当番弁護士」、日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」、e-Gov法令検索「弁護士法」第32条、沖縄弁護士会「法律相談」、沖縄弁護士会「アクセス」、沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」、法テラス「法テラス沖縄」、那覇地方検察庁「交通案内」、沖縄県警察「窓口一覧」
沖縄県で横領・背任を勤め先に知られたときの最初の一手
職場のお金の使い込みが明るみに出ると、最初に動くのはたいてい警察ではなく勤め先の会社です。事情を聞く面談、返してほしい金額の提示、刑事告訴に踏み切るかの判断が相次ぎます。会社が告訴すれば、職場の地域を受け持つ沖縄県警の警察署が捜査し、那覇地方検察庁の本庁か、沖縄・名護・平良・石垣の4支部の検察官が起訴するかを決めます。県警の統計では、令和6年に横領で検挙された19人のうち逮捕は8人で、11人は在宅のまま捜査を受けました。社内の面談で話したことも、のちに捜査の資料として扱われることがあります。会社に返答する前に、刑事事件を扱う弁護士へ連絡してください。
いまの状況別・最初にすること
- 経理の担当者や上司から、帳簿の合わない分を面談で説明するよう求められた
- 面談の席で書かされる念書や始末書は、告訴のときに会社から警察署へ渡されることがあります。面談の日までに弁護士と会い、認める範囲と金額の伝え方を決めてから出向いてください。
- 「告訴する」と告げられた、県内の警察署から出頭を求める電話が来た
- 頼める弁護士に心当たりがなければ、沖縄弁護士会の法律相談で「刑事弁護に関する相談」を予約できます(那覇・沖縄市・名護の3センター、電話は平日10時〜15時、Webは24時間)。返済の見通しを弁護士と組み立て、会社との連絡はその弁護士に引き継ぎましょう。
- 宮古島・石垣島の職場で発覚し、検察庁から呼出状が届いた
- 島の事件は那覇地検の平良支部(宮古島市)か石垣支部(石垣市)が受け持ち、宮古・八重山には弁護士会の相談センターがありません。島で動ける事務所か、飛行機で通ってくる本島の事務所かを決め、出頭日より前に打合せを入れてください。
- 家族が逮捕された
- 当番弁護士の申込先は沖縄弁護士会で、平日は098-865-3737です。土日祝は留守番電話になり、那覇・豊見城・浦添・宮古島・八重山の署と那覇・宮古の拘置支所なら098-865-3737、宜野湾・沖縄・うるま・石川・名護の署なら098-894-8663です。本人の名前といる警察署を吹き込み、派遣を頼んでください。
使い込みが表に出たあとは、那覇地検へ向かう刑事の手続き、会社が返金や損害賠償を求める民事の話し合い、社内の懲戒が、それぞれ別の速さで進みます。3つをまとめて見渡せる弁護士を、会社へ書面で回答する前に決めておきましょう。
出典:沖縄弁護士会「当番弁護士」、沖縄弁護士会「法律相談」、沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」、那覇地方検察庁「交通案内」、沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」
使い込みの発覚から那覇地検の処分までの流れ
使い込みが分かるきっかけは、決算や監査、税務調査、担当の交代や退職時の引き継ぎ、取引先からの問い合わせなどです。県内の事件は、おおむね次の順に進みます。
会社が入出金の記録や伝票を集めて金額と期間を洗い出し、本人を呼んで返済や退職の条件を示します。返済を約束する書面に署名する前に、弁護士に文面を見せてください。
告訴状や被害届を受け取った県内の警察署が、職場の地域ごとに捜査を始めます。
呼出しに応じて出頭する形が多く、逮捕された場合は48時間以内に検察官へ送られ、そこから24時間以内に勾留を請求するかが決まり、勾留は延長を含めて最長20日です(刑事訴訟法第203条・第205条・第208条)。段階ごとの中身は逮捕後の流れ・身柄事件に関する記事で説明しています。
那覇地検の本庁か支部の検察官が判断します。不起訴で終われば前科は付きません。業務上横領罪で起訴されれば、那覇地裁の本庁か支部の法廷で審理を受けます。
職場のある地域と島で、呼出し先の地検と法廷が決まる
沖縄県警の警察署は14署です。那覇地方検察庁と那覇地方裁判所は、どちらも那覇市の本庁と沖縄・名護・平良・石垣の4支部で構成され、地検の各庁には同じ名前の区検察庁が同居しています。地検の庁舎は5か所とも、地裁の庁舎と同じ町の、同じか隣の番地にあります。
| 職場のある地域・島 | 捜査する主な警察署 | 対応する那覇地検の庁(所在地) | 起訴後の法廷 |
|---|---|---|---|
| 本島南部(那覇市・浦添市・糸満市・豊見城市・南城市・南風原町・与那原町・八重瀬町・西原町) | 那覇・豊見城・糸満・与那原・浦添 | 本庁(那覇市樋川) | 本庁 |
| 久米島町・渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・南大東村・北大東村 | 那覇 | 本庁(那覇市樋川) | 本庁 |
| 本島中部(沖縄市・宜野湾市・うるま市・読谷村・嘉手納町・北谷町・北中城村・中城村) | 沖縄・宜野湾・うるま・石川・嘉手納 | 沖縄支部(沖縄市知花) | 沖縄支部 |
| 本島北部(名護市・国頭郡の9町村)と伊是名村・伊平屋村 | 名護・本部・石川 | 名護支部(名護市宮里) | 名護支部(合議になれば本庁) |
| 宮古(宮古島市・多良間村) | 宮古島 | 平良支部(宮古島市平良字西里) | 平良支部 |
| 八重山(石垣市・竹富町・与那国町) | 八重山 | 石垣支部(石垣市字登野城) | 石垣支部 |
※裁判所の区分は裁判所「沖縄県内の管轄区域表」(市町村名は平成18年4月1日現在の行政区画による表示)、警察署の受け持ちは「沖縄県警察の組織に関する条例」の別表、地検の所在地は那覇地方検察庁「交通案内」(2024年9月26日更新)によります。国頭郡に含まれるのは、本部町・金武町と、国頭村・大宜味村・東村・今帰仁村・恩納村・宜野座村・伊江村です。控訴審は県内全域が福岡高等裁判所那覇支部で、那覇地裁と同じ建物にあります。
業務上横領も背任も裁判員裁判の対象ではなく、職場の地域を受け持つ本庁か支部で審理されます。合議で審理することになった場合、名護支部の区域の事件は那覇の本庁が扱います。警察と裁判所の受け持ちがずれる地域もあり、那覇市小禄地区の職場は豊見城署が捜査しても裁判所は本庁、恩納村・金武町・宜野座村の職場は石川署が捜査して裁判所は名護支部、西原町は浦添署の受け持ちで裁判所は本庁です。職場の所在地を字や地区の名前まで弁護士に伝え、通うことになる庁を最初の相談で割り出してもらってください。
県内の拘置支所は、那覇地裁の隣の那覇拘置支所と、平良支部の隣の宮古拘置支所の2つで、石垣市にあるのは八重山刑務支所です。宮古・八重山の署や庁へ本島の弁護士が向かうには飛行機を使い、台風で欠航すれば出頭や打合せの日取りが動きます。島の職場の事件なら、島で動ける弁護士か、欠航したときの段取りまで引き受ける弁護士に依頼しましょう。
出典:裁判所「沖縄県内の管轄区域表」、那覇地方裁判所「所在地一覧」、那覇地方裁判所「県内の裁判員制度関連の情報」、福岡高等裁判所「所在地一覧」、那覇地方検察庁「交通案内」、沖縄県警察「県内の警察署」、沖縄県法規集「沖縄県警察の組織に関する条例」、法務省「刑事施設の所在地一覧」、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
沖縄県で横領・背任に問われるときの罪と法定刑
どの罪になるかは、預かっていたお金や物の持ち主と、どんな立場で管理していたかで決まります。店の売上金や集金、経理で扱う口座、顧客からの預り金のように、仕事として他人の財産を管理する人が自分のために使えば、最も重い業務上横領罪が問題になります。沖縄県で令和6年に認知された横領52件のうち、業務上横領は18件でした。
| 罪名(条文) | あてはまる場面 | 法定刑 | 公訴時効 | 未遂の処罰 |
|---|---|---|---|---|
| 業務上横領罪(刑法第253条) | 仕事として預かった会社や顧客のお金・物を自分のものにした | 10年以下の拘禁刑(罰金刑なし) | 7年 | なし |
| 横領罪(刑法第252条) | 仕事とは別の関係で預かった他人の物を使い込んだ | 5年以下の拘禁刑(罰金刑なし) | 5年 | なし |
| 背任罪(刑法第247条) | 他人の事務を任された人が、自分や第三者の利益を図って任務に背き、財産上の損害を与えた | 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 5年 | あり(第250条) |
※拘禁刑は令和7年6月1日施行の改正刑法による刑罰です。時効は刑事訴訟法第250条第2項第4号・第5号によります。落とし物などを自分のものにする行為は、遺失物等横領罪(刑法第254条)として別に定められています。件数は警察庁「令和6年の犯罪」第3表の沖縄県の値です。
業務上横領罪と横領罪は刑が拘禁刑に限られるため、起訴されれば略式手続で罰金を納めて終えることはできず、法廷で審理されます。背任罪は罰金刑を選べる一方、実行に着手して損害が出なかった段階でも未遂として罰せられます。会社や警察署で告げられた罪名を書き留め、弁護士との最初の打合せでそのまま伝えてください。
親族のお金、家族で営む会社のお金だったとき
刑法第255条は、親族の間の特例(第244条)を横領の罪にも使うと定めています。配偶者・直系血族・同居の親族のお金なら刑が免除され、それ以外の親族なら告訴がなければ起訴されません。背任罪にも第251条で同じ特例があります。ただし、親族でない共犯者には及ばず(第244条第3項)、被害者が法人であれば、家族で営む会社でも特例は使えません。相手との続柄と、個人の事業か会社組織かを弁護士に話せば、特例が働くかの見立てを早いうちに聞けます。
制度の参考:e-Gov法令検索「刑法」第244条・第247条・第250条〜第255条、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第250条、出典:警察庁「令和6年の犯罪」第3表
使い込みを認めるとき、金額や経緯を争うとき
認めるなら、会社より先に返済の段取りを固める
使い込みを認める場合、弁護活動の中心は会社への返済と示談です。会社がまず望むのはお金が戻ることである場合が多く、続けられる返済計画を示して支払いを始めれば、告訴を見送ったり、処罰を強く求めない意思を示したりしてもらえる余地が出てきます。返済の記録は、起訴するかを決めるときに考え合わされる「犯罪後の情況」(刑事訴訟法第248条)として那覇地検に届けられます。本人が口にした返済の約束が、横領を認めた証拠として使われることもあるため、会社とのやり取りは弁護士に一本化してください。
発覚した直後にしてはいけない3つのこと
- 帳簿やメール、業務システムの記録を消したり書き換えたりすれば、証拠を隠そうとしたとみられ、逮捕や勾留の理由にされます。
- 会社の調べと合わない説明や、同僚への責任の押しつけは、その後に話す内容すべての信用を下げます。
- 無断欠勤や連絡を絶つことは逃亡のおそれと受け取られ、在宅で進んでいた事件でも身柄を拘束される可能性が上がります。
争うなら、金額と期間の食い違いを資料で示す
身に覚えがない場合に限らず、会社の示す金額や期間が実際と合わない、その支出を決める権限があった、立て替えた分を精算しただけだ、といった点もよく争われます。取調べの前には黙っていてよいことが告げられ(刑事訴訟法第198条第2項)、調書は読み聞かされたうえで誤りの訂正を申し立てられ、納得できない調書には署名も押印もしなくてかまいません(同条第4項・第5項)。横領事件の取調べは、録音・録画が義務づけられた事件に含まれていません(同法第301条の2)。取調べから戻ったら、聞かれたことと答えたことをその日のうちにメモし、次の打合せで弁護士に見せてください。宮古島署や八重山署に留置された場合でも、弁護士とは警察官を立ち会わせずに話せます(同法第39条第1項)。
制度の参考:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第39条・第198条・第248条・第301条の2
横領・背任事件の保釈・時効・在留資格と米軍関係者の扱い
保釈は起訴のあと、会社の資料に手が届かないことを示す
保釈を求められるのは起訴されたあとで、起訴前の勾留中には請求できません(刑事訴訟法第88条第1項・第207条第1項ただし書)。横領・背任で保釈の妨げになりやすいのは証拠隠滅のおそれ(第89条第4号)で、帳簿や業務システムにまだ触れられる立場だと認められにくくなります。第89条第2号は「長期10年を超える罪」の前科が要件なので、上限がちょうど10年の業務上横領罪の前科だけでは当たりません。令和7年に全国の裁判所で第一審を終えた被告人では、勾留された35,125人のうち11,132人(31.7%・算出)が保釈されています。退職や配置換えが済み、資料を会社が管理していることを、弁護人から裁判所へ示してもらいましょう。
時効は、行為が終わった時から数える
公訴時効は業務上横領罪が7年、横領罪と背任罪が5年で、犯罪行為が終わった時から進みます(第253条第1項)。何度にも分けて引き出していたときは、1回ごとに数えるか、包括一罪として最後の引き出しから数えるかが、事案によって分かれます。共犯者がいれば最後の行為が終わった時から全員の時効が進み(同条第2項)、国外にいる間はその人の時効が止まります(第255条第1項)。会社は刑事の時効とは別に、民法第724条の期間内なら損害賠償を請求できます。処理した日付と金額を一覧にして弁護士に渡せば、時効にかかる分とかからない分を仕分けてもらえます。
外国籍の人と米軍関係者
沖縄県の在留外国人は33,402人(令和7年末)で、在留資格は永住者・留学・特定技能が上位です。横領の罪(刑法第2編第38章)は、執行猶予でも退去強制になる入管法第24条第4号の2の対象に入っていません。こちらは第24条第4号リ(1年を超える拘禁刑。刑の全部の執行猶予なら除かれる)で判断されます。一方、背任罪(第247条)は第37章にあるため第4号の2の対象で、留学・特定技能など別表第一の資格の人は、拘禁刑に処せられれば執行猶予付きでも退去強制の事由になります。在留資格にかかわらず多言語で相談できる窓口として、宜野湾市に沖縄県国際交流・人材育成財団(098-942-9215)があり、必要に応じて沖縄弁護士会と連携した法律相談にもつないでいます。在留カードの資格と期限を、最初の相談で弁護士に見せてください。
米軍の軍人・軍属が横領や背任を疑われたときは、日米地位協定第17条が適用されます。公務の執行中の行為から生じた罪なら米軍側が、それ以外の罪なら日本の当局が裁判権を行使する第一次の権利を持ち(第17条3)、米側がすでに身柄を押さえていれば、日本が起訴するまで米側が拘禁を続けます(同条5(c))。沖縄県警の集計では、令和7年に米軍人・軍属とその家族が検挙された刑法犯のうち、詐欺や横領などをまとめた知能犯は2件・1人でした。家族が米軍関係者なら、公務との関わりと、いま日米どちらに身柄があるかを弁護士に伝えてください。
制度の参考:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第88条・第89条・第207条・第253条・第255条、e-Gov法令検索「民法」第724条、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第24条、出典:裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」第32表、出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」第4〜6表、沖縄県国際交流・人材育成財団「法律・生活相談」、日米地位協定 本文(沖縄県掲載)、沖縄県警察「犯罪統計資料 令和7年(確定値)」
横領事件で弁護士に任せられることと、沖縄での選び方・費用
県内の横領事件で弁護士に頼む柱は、会社との返済交渉と、身柄を拘束させない・早く解くための活動の2つです。どちらも那覇地検が処分を決める前に動き出すほど、判断の材料として使ってもらえる期間が長くなります。
返す総額と期日、退職金や最後の給与と相殺する範囲を書面にし、告訴しない、または処罰を求めないという会社の意思を取り付ける交渉を代わりに進めます。示談金や費用の目安は横領事件の弁護士費用・示談金の相場を解説した記事にまとめています。
在宅のうちは返済と出頭の予定を捜査機関に伝え、逮捕されれば勾留を請求しないよう意見書を出し、勾留後は準抗告、起訴後は保釈を請求します。処分の見込みは不起訴・刑罰・刑事処分に関する記事で整理しています。
呼出し先の庁と島まで通えるかで事務所を選ぶ
沖縄弁護士会の会員は301人(2026年9月1日現在)です。日本弁護士連合会の紹介では、本島中部・北部の支部で登録する会員が増え、宮古島と石垣島に置かれたひまわり基金法律事務所もそれぞれ定着しています。在宅の横領は会社との面談や警察署・検察庁への同行が何度も続くため、名護支部や島の支部に通う事件では、同行のたびに日当と交通費(島なら航空運賃)が重なります。最初の電話で次の3点を話題にすれば、条件の合う事務所を早く絞り込めます。
事務所に最初に聞く3点
- 会社との返済交渉や損害賠償の請求にも、刑事弁護と同じ弁護士が対応するか
- 県内の警察署や那覇地検の本庁・支部へ同行してもらうとき、1回ごとの日当と交通費はいくらか
- 返済のお金と弁護士費用を並行して用意するとき、着手金を分けて払えるか
当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人
| 区分 | 付く時期と頼み方 | 在宅の横領で気をつけること |
|---|---|---|
| 当番弁護士 | 逮捕のあと。家族が沖縄弁護士会へ電話するか、本人が警察官に申し出る | 初回の面会は無料。逮捕されていない段階では呼べない |
| 国選弁護人 | 勾留を請求されたあと、本人が裁判官に請求する | 在宅のままなら起訴まで付かない。資力が合計50万円以上の人は、先に弁護士会へ私選弁護人の選任を申し出る |
| 私選弁護人 | 発覚した直後から、本人か家族が事務所と契約する | 会社との交渉を最初から任せられる。料金は事務所ごと |
費用の目安と法テラス沖縄
着手金は50万円前後からが目安で、否認や公判まで続けば報酬金や日当が加わります。返済に回せる額を先に伝え、そのうえで弁護士費用の見積もりを出してもらいましょう。返済金を弁護士に預けるなら、いつ・誰に支払うかを委任契約書に書き入れてもらってください。費用の考え方は刑事事件の弁護士選び・費用に関する記事で紹介しています。
県内の法テラスは、那覇市楚辺にある法テラス沖縄(0570-078368・平日9時〜17時)と、同じビルの法テラス沖縄法律事務所、宮古合同庁舎の法テラス宮古島法律事務所の3つで、八重山・名護・沖縄市には拠点がありません。勾留が決まるまでの弁護士費用を工面できないときは、面会に来た当番弁護士にその場で事情を話してください。私選で続けるか、勾留後に国選弁護人を求めるかを一緒に決められます。
出典:日本弁護士連合会「沖縄弁護士会」、日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」、沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」、法テラス「法テラス沖縄」、法テラス沖縄「アクセス」、法テラス沖縄「法テラス宮古島法律事務所」
沖縄県の横領・背任の検挙状況
横領・背任の県内の件数は、警察庁と県警の罪種別の統計で令和6年まで分かります。落とし物などを持ち去る占有離脱物横領は、別の罪種として数えられています。
| 罪種(沖縄県) | 令和5年 認知件数 | 令和6年 認知件数 | 令和6年 検挙件数 | 令和6年 検挙人員 |
|---|---|---|---|---|
| 横領 | 34件 | 52件 | 21件 | 19人 |
| うち業務上横領 | 18件 | 18件 | — | — |
| 背任 | 1件 | 2件 | — | — |
| 占有離脱物横領(別の罪種) | 186件 | 181件 | 60件 | 55人 |
※警察庁「令和5年の犯罪」「令和6年の犯罪」第3表と、沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」の沖縄県の値です。「—」は研究に用いた資料で内訳を確認できなかった欄です。検挙の数には、前の年までに起きた事件を検挙した分も含まれます。沖縄県の令和7年の罪種別の値は、2026年9月の時点で公表されていません。
令和6年の横領の認知は52件で、前年の34件から増えましたが、業務上横領は2年とも18件でした。検挙件数は21件、検挙率は40.4%(算出)で、同じ年の県内の刑法犯全体の45.9%を下回ります。告訴状が出される前の、会社と話し合える段階で弁護士をつけ、返済の見通しを示しましょう。
横領で検挙された19人のうち、逮捕は8人
県警の「犯罪統計書」は、罪種ごとに逮捕か在宅かの内訳を載せています。令和6年に横領で検挙された19人のうち逮捕は8人で、全員が裁判官の令状による通常逮捕でした。現行犯逮捕と緊急逮捕は0人で、11人は身柄を拘束されずに捜査を受けています。占有離脱物横領では、55人のうち逮捕は1人でした。刑法犯全体では、令和7年に県警が検挙した3,377人のうち逮捕は1,198人(35.5%・算出)で、全国の32.2%(算出)より高い割合です。在宅のまま捜査が進んでいるうちに弁護士をつけ、返済と出頭の予定を示せる形を整えてください。
令和7年は包括罪種の「知能犯」まで
令和7年分は、詐欺・横領・背任などをまとめた包括罪種の「知能犯」までしか公表されていません。県内の知能犯の認知は令和7年に1,164件(前年比25.8%増)で、県警が過去10年で最も多いとしていた令和6年の925件をさらに上回りました。令和8年も1〜8月で809件(前年同期比20.2%増・暫定値)です。詐欺を含む数なので、横領そのものが増えたとまでは言えません。
出典:警察庁「令和6年の犯罪」、警察庁「令和5年の犯罪」、警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」、沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」、沖縄県警察「犯罪統計資料 令和7年(確定値)」、沖縄県警察「犯罪統計資料 令和8年8月末(暫定値)」
沖縄県の横領・背任事件でよくある質問
Q1. 使い込みが会社に知られました。沖縄県警にすぐ逮捕されますか?
在宅のまま進むことも多く、令和6年に県内で横領により検挙された19人のうち11人は逮捕されていません。ただ、残る8人は令状で逮捕されており、記録の削除や呼出しの無視は、逮捕に切り替わる理由にされます。呼出しを待つあいだに弁護士へ依頼し、返済の計画と出頭の日を先に固めておきましょう。
Q2. 宮古島や石垣島の職場で発覚しました。取調べや裁判はどこで行われますか?
宮古島市・多良間村の事件は那覇地検と那覇地裁の平良支部、石垣市・竹富町・与那国町の事件は石垣支部が受け持ち、どちらも地検と地裁が同じ町に並んでいます。業務上横領・背任は裁判員裁判の対象ではないため、起訴後の審理も島の支部で行われます。本島の弁護士に頼むと、打合せや同行のたびに飛行機での往復になります。島に拠点のある事務所か、台風で欠航したときの代わりの段取りまで示せる事務所を選びましょう。
Q3. 恩納村や名護市の職場の場合、どこの警察と裁判所になりますか?
恩納村・金武町・宜野座村の職場は、警察がうるま市にある石川署、裁判所が名護支部です。名護市や本部町などの事件も名護支部の担当ですが、合議で審理することになれば那覇の本庁で開かれます。那覇地検の名護支部は、名護市宮里の名護地方合同庁舎の3階にあります。職場の住所を弁護士に伝えれば、どの署と庁に通うことになるかを、初回の相談で見通してもらえます。
Q4. 沖縄の職場を辞めて本土へ戻ったあと、告訴すると連絡が来ました。
県外へ転居しても、沖縄の職場で起きた事件として、県内の警察署や那覇地検で捜査が続くことがあります。公訴時効が止まるのは国外にいる間や逃げ隠れしている間で、県外に住んでいるだけでは止まりません(刑事訴訟法第255条第1項)。沖縄弁護士会の法律相談はWebなら24時間予約できます。呼出しへの対応と会社との返済交渉を、沖縄の事件を扱える弁護士にまとめて任せてください。
Q5. 県や市町村の職員、公立学校の教員が横領すると、仕事はどうなりますか?
地方公務員法は、拘禁刑以上の刑に処せられた職員は、条例に特別の定めがない限り職を失うと定めています(第16条第1号・第28条第4項)。業務上横領罪は刑が拘禁刑だけなので、有罪なら執行猶予が付いてもこの規定にかかります。背任罪で罰金にとどまれば、失職の規定からは外れます。起訴の段階で休職を命じられることがあり(第28条第2項第2号)、懲戒処分(第29条)は刑事手続きとは別に決まります。県庁や県内の役場、学校の職員なら、那覇地検の処分が出る前に返済と示談をそろえ、不起訴を目指しましょう。
Q6. 全額を返せば、不起訴になりますか?
返しただけで不起訴になるとは限りません。被害の回復は「犯罪後の情況」(刑事訴訟法第248条)として考慮されますが、検察官は金額や続けた期間、立場をどう利用したかもあわせて見ます。返済した日と金額の記録をそろえ、弁護士の意見書として那覇地検の担当検察官へ届けてもらいましょう。
Q7. 落とし物の財布や、置かれたままの自転車を持ち帰った場合も横領ですか?
持ち主の手を離れた物を自分のものにする行為は、会社のお金の使い込みとは別の遺失物等横領罪(刑法第254条)で、法定刑は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料、公訴時効は3年です。統計では占有離脱物横領として数えられ、沖縄県では令和6年に181件が認知され、55人(うち少年9人)が検挙されましたが、逮捕されたのは1人でした。どちらの罪で調べられているかを、呼出しを受けた段階で弁護士に伝えてください。
Q8. 使い込みにまだ誰も気づいていません。自分から申し出るべきですか?
業務上横領の公訴時効は7年で、過ぎていない分は起訴の対象に残ります。刑法第42条第1項により、捜査機関に知られる前に自首すれば刑を減軽できる場合があり、事件そのものが発覚していても、誰がやったかまで突き止められていなければ自首と認められる余地があります。実際に刑を軽くするかは、裁判所の判断に委ねられます。会社に申し出て返済を始めるか、県内の警察署へ自首するかを、弁護士と方針を固めてから選びましょう。
Q9. 一審の判決に納得できないとき、控訴審のために福岡まで行きますか?
行く必要はありません。県内のどの地域で起訴された事件でも、控訴審は那覇市樋川の福岡高等裁判所那覇支部が扱い、那覇地裁と同じ建物にあります。金額を争って控訴まで視野に入れるなら、控訴審も続けて担当できるかを依頼の前に弁護士と話し合っておきましょう。
出典:裁判所「沖縄県内の管轄区域表」、那覇地方検察庁「交通案内」、沖縄県法規集「沖縄県警察の組織に関する条例」、福岡高等裁判所「所在地一覧」、沖縄弁護士会「法律相談」、e-Gov法令検索「地方公務員法」第16条・第28条・第29条、e-Gov法令検索「刑法」第42条・第254条、沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」
県内の横領事件は、職場のある地域や島によって那覇地検の本庁と4支部のどこが扱うかが決まり、宮古・八重山の事件では同行に飛行機を使います。始末書や会社への回答書を書く前に、まず電話で相談してください。家族がすでに県内の警察署にいるなら、今日のうちに接見へ向かえる事務所へ電話しましょう。
参考資料・更新情報
- 沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」(令和7年10月31日公開)
- 沖縄県警察「犯罪統計資料 令和7年(確定値)」
- 沖縄県警察「犯罪統計資料 令和8年8月末(暫定値)」
- 沖縄県警察「県内の警察署」
- 沖縄県警察「窓口一覧」(2026年3月25日更新)
- 沖縄県法規集「沖縄県警察の組織に関する条例」
- 警察庁「令和6年の犯罪」
- 警察庁「令和5年の犯罪」
- 警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」
- 裁判所「沖縄県内の管轄区域表」
- 那覇地方裁判所「所在地一覧」
- 那覇地方裁判所「県内の裁判員制度関連の情報」
- 福岡高等裁判所「所在地一覧」
- 裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」
- 那覇地方検察庁「交通案内」(2024年9月26日更新)
- 法務省「刑事施設の所在地一覧」(令和7年4月1日現在)
- 沖縄弁護士会「当番弁護士」
- 沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」
- 沖縄弁護士会「法律相談」
- 沖縄弁護士会「アクセス」
- 日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」(2026年6月24日現在)
- 日本弁護士連合会「沖縄弁護士会」
- 日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」(2026年9月1日現在)
- 法テラス「法テラス沖縄」
- 法テラス沖縄「アクセス」
- 法テラス沖縄「法テラス宮古島法律事務所」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」第4〜6表
- 沖縄県国際交流・人材育成財団「法律・生活相談」
- 沖縄県「地位協定ポータルサイト」
- 日米地位協定 本文(沖縄県掲載)
- e-Gov法令検索「刑法」
- e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
- e-Gov法令検索「地方公務員法」
- e-Gov法令検索「弁護士法」
※本コンテンツは2026年9月30日時点で確認できた公表情報をもとに作成しています。横領・背任・占有離脱物横領の件数は警察庁「令和5年の犯罪」「令和6年の犯罪」第3表と沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」、罪種別の逮捕・在宅の内訳は同統計書(令和6年)、知能犯の件数と米軍人・軍属と家族による刑法犯は沖縄県警察の犯罪統計資料(令和7年確定値・令和8年8月末暫定値)、刑法犯全体の逮捕・在宅の内訳は警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」の値です。検挙率と逮捕の割合は、これらの値から算出しました。保釈の人員は裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」の全国値、在留外国人数は令和7年末、弁護士会の会員数は2026年9月1日現在の値です。制度や窓口の情報は変更される場合があるため、利用前に各機関および法律事務所の公式情報をご確認ください。本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするもので、個別の事件についての法的助言ではありません。