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沖縄県で利用できる公的な相談窓口
当番弁護士は平日と土日祝で受け付け方が違う
沖縄弁護士会の当番弁護士は、平日なら本人がどの警察署にいても098-865-3737で受け付けます。土日祝は留守番電話での受付で、弁護士会の案内では、那覇・豊見城・浦添・宮古島・八重山の各署と那覇・宮古の拘置支所に勾留されている場合は098-865-3737、宜野湾・沖縄・うるま・石川・名護の各署なら098-894-8663です。依頼を受けた弁護士は原則として24時間以内に本人と面会し、初回は無料です。本人からは、警察官に「当番弁護士を頼みたい」と伝えれば申し込めます。
留守番電話に残す7項目(沖縄弁護士会の案内)
- 電話をかけた人の名前
- 折り返しの連絡先
- 逮捕された人との続柄
- 逮捕された人の名前
- 疑われている罪(殺人か殺人未遂か、分かる範囲で)
- 逮捕された日時
- 身柄のある警察署や施設の名前
※日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」(2026年6月24日現在)の沖縄の番号は098-865-3737です。糸満・与那原・嘉手納・本部の各署は、土日祝の番号の振り分けが資料によって異なるか記載がないため、ここでは挙げていません。
自首や任意の呼び出しを考えている段階
沖縄弁護士会の法律相談センターは、那覇(弁護士会館)・沖縄支部(沖縄市知花)・名護支部(名護市)の3か所で、相談の種類に「刑事弁護に関する相談」があります。相談料は30分5,500円で、資力が一定以下なら無料です。心当たりの弁護士がいない家族には、予約制の法律相談で相談担当の弁護士と依頼を話し合う方法を弁護士会が案内しています。宮古・八重山には弁護士会の相談センターがないため、島で出頭を考えているなら、刑事事件を扱う事務所へ直接電話してください。
遺族の立場で相談できる窓口
家庭の中で起きた事件では、逮捕された人の家族が、亡くなった人の遺族にもあたる場合があります。遺族としての支えが要るときは、本人の弁護とは切り離して、次の窓口に電話してください。
| 窓口 | 受付 | 電話 |
|---|---|---|
| (公社)沖縄被害者支援ゆいセンター | 平日10時〜16時 | 098-866-7830 |
| 沖縄県犯罪被害者等支援総合窓口 | 平日9時〜17時(12時〜13時を除く) | 098-866-4115 |
| 那覇地方検察庁 被害者ホットライン | 平日9時〜17時。時間外は留守番電話・FAX | 098-835-9997 |
| 沖縄弁護士会(犯罪被害の法律相談) | 初回30分は無料 | 098-865-3737 |
| 法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル | 平日9時〜21時、土曜9時〜17時 | 0120-079714 |
※ゆいセンターは沖縄県公安委員会の指定を受けた犯罪被害者等早期援助団体(県内で1つ)で、令和4年度からは県の総合窓口もゆいセンターが担っています。どちらも6月23日の慰霊の日は受付を休みます。
沖縄県の犯罪被害者等見舞金は、令和6年4月1日以後の故意の犯罪行為による被害が対象で、遺族見舞金は60万円です。ただし加害者と親族関係がある場合などは原則として支給されないと定められています。申請できるのは、被害を知った日から2年以内、かつ発生から7年以内です。家族の間の事件で申請を考えるなら、総合窓口(098-866-4115)に事情を話してください。例外にあたる余地があるかの説明を、申請の前に受けられます。
出典:沖縄弁護士会「当番弁護士」、日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」、沖縄弁護士会「法律相談」、沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」、沖縄弁護士会「犯罪被害に関する相談」、法テラス「法テラス沖縄」、沖縄県「犯罪被害者等支援(相談窓口)」、沖縄県「沖縄県犯罪被害者等見舞金」、那覇地方検察庁「被害者支援」
沖縄県で家族が殺人の疑いで逮捕されたときに、まず動くこと
殺人罪(刑法第199条)の法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑で、起訴されると裁判官と裁判員が審理します。沖縄県内で裁判員裁判を開くのは那覇市樋川にある那覇地方裁判所の本庁だけです。沖縄支部・平良支部・石垣支部はほかの合議事件を受け持ちますが殺人の公判は開かず、宮古島や石垣島で起きた事件も那覇で審理されます。逮捕直後に呼べる当番弁護士の申し込み先は県内に1つで、沖縄弁護士会(平日は098-865-3737)です。本人が留置されている警察署が分かった時点で電話し、接見を頼んでください。最初の取調べで何を話すかを、弁護士と決めてから臨めます。
いまの状況別・最初にすること
- 家族が本島の警察署に逮捕された
- 平日は098-865-3737へ電話して、当番弁護士の派遣を申し込んでください。土日祝は留守番電話になり、宜野湾・沖縄・うるま・石川・名護の各署に勾留されているときは098-894-8663が受け付けます。
- 本人が「殺すつもりはなかった」と話している
- 殺意が認められなければ、問われる罪は傷害致死(刑法第205条)や傷害に変わります。殺人の取調べは録音・録画されるので、供述を始める前に、接見に来た弁護士と話す内容を固めてください。
- 宮古島署や八重山署に身柄がある
- 起訴されれば公判は那覇の本庁で開かれ、島と那覇をまたいだ弁護になります。島の署への接見と那覇での公判の両方を担える弁護士を、起訴の前に決めてください。
- 家族の中で起きた事件で、自分も遺族にあたる
- 本人の弁護とは別に、遺族として支援を受けられます。沖縄被害者支援ゆいセンター(098-866-7830・平日10時〜16時)へ電話してください。病院や裁判所への付き添いも頼めます。
出典:沖縄弁護士会「当番弁護士」、那覇地方裁判所「県内の裁判員制度関連の情報」、裁判所「沖縄県内の管轄区域表」、沖縄県「犯罪被害者等支援(相談窓口)」
沖縄県で殺人の容疑で逮捕されたあとの流れと裁判の場所
逮捕された人は48時間以内に検察官へ送られ、検察官はそこから24時間以内に勾留を請求するかを決めます。勾留は10日間、延長されると最長20日間で(刑事訴訟法第203条・第205条・第208条)、その間に那覇地方検察庁が起訴するかを判断します。段階ごとの説明は逮捕後の流れを解説した記事にあります。
捜査は島や地域ごとでも、殺人の公判は那覇の本庁に集まる
沖縄県警の警察署は14署です。那覇地方検察庁と那覇地方裁判所は、那覇市の本庁のほか、沖縄市・名護市・宮古島市・石垣市に支部を置いています。ふだんの刑事事件は事件のあった地域の庁が扱いますが、殺人と殺人未遂は、起訴されるとどの地域の事件も那覇の本庁で審理されます。
| 事件のあった地域・島 | 主な警察署 | ふだんの刑事事件の庁 | 殺人・殺人未遂の公判 | 少年事件の家庭裁判所 |
|---|---|---|---|---|
| 那覇市・浦添市・糸満市・豊見城市・南城市・南風原町・与那原町・八重瀬町・西原町 | 那覇・豊見城・浦添・糸満・与那原 | 本庁 | 那覇の本庁 | 那覇家裁 本庁 |
| 久米島町・渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・南大東村・北大東村 | 那覇 | 本庁 | 那覇の本庁 | 那覇家裁 本庁 |
| 沖縄市・宜野湾市・うるま市・読谷村・嘉手納町・北谷町・北中城村・中城村 | 沖縄・宜野湾・うるま・嘉手納・石川 | 沖縄支部 | 那覇の本庁 | 家裁 沖縄支部 |
| 名護市・国頭郡の9町村・伊是名村・伊平屋村 | 名護・本部・石川 | 名護支部 | 那覇の本庁 | 家裁 名護支部 |
| 宮古島市・多良間村 | 宮古島 | 平良支部 | 那覇の本庁 | 家裁 平良支部 |
| 石垣市・竹富町・与那国町 | 八重山 | 石垣支部 | 那覇の本庁 | 家裁 石垣支部 |
※裁判所「沖縄県内の管轄区域表」(市町村名は平成18年4月1日現在の行政区画による表示)と「沖縄県警察の組織に関する条例」の別表をもとに作成しました。国頭郡の9町村とは、国頭村・大宜味村・東村・今帰仁村・本部町・恩納村・宜野座村・金武町・伊江村を指します。那覇市の小禄地区は豊見城署、恩納村・金武町・宜野座村は石川署の受け持ちで、警察署と裁判所の区域が一致しない地域があります。
裁判所の管轄区域表には、裁判員制度の対象事件は地方裁判所の本庁のみで取り扱い、支部では取り扱わないという注記があります。沖縄支部・平良支部・石垣支部は合議事件を受け持つ庁ですが、殺人と殺人未遂の公判は開きません。罪名が傷害致死に変わっても裁判員裁判の対象なので、審理は那覇です。名護支部の区域では、合議事件そのものが本庁へ回ります。一方、起訴までの接見の行き先は本人が留置されている署なので、名護署や宮古島署に身柄があれば、弁護士は起訴前にその署へ、起訴後の公判には那覇へと通い分けます。弁護士に依頼するときは、留置先の署の名前と、事件が起きた市町村や島の名前をそろえて伝えてください。
県内の拘置支所は、那覇地裁の隣にある那覇拘置支所と、平良支部の隣にある宮古拘置支所の2つで、石垣市の施設は八重山刑務支所です。沖縄市と名護市には刑事施設がありません。控訴審は那覇地裁と同じ建物に入る福岡高等裁判所那覇支部が県内全域の事件を受け持ち、第一審から控訴審まで那覇で続きます。島の署へ本島から接見に行くには飛行機を使い、台風で欠航すると面会の予定が後ろへずれます。宮古島と石垣島には、日弁連のひまわり基金法律事務所として開かれ、そのまま島に根づいた事務所もあります。島の事務所と本島の事務所のどちらが那覇の公判まで続けて担当するかを、依頼の段階で決めてください。
米軍関係者が被疑者になったとき
米軍の構成員(軍人)や軍属が殺人の疑いをかけられたときは、日米地位協定第17条が刑事手続の枠組みになります。公務の執行中の行為から生じた罪は米軍当局に第一次の裁判権がありますが、公務外の罪は日本の当局が第一次の裁判権を持ちます(第17条3(a)・(b))。日本の警察が米軍関係者を逮捕すると、最寄りの米軍の憲兵司令官へただちに通知されます。
米側が先に身柄を押さえている場合、日本が起訴するまでは米側が拘禁を続けます(第17条5(c))。ただし1995年の日米合同委員会の合意で、殺人を含む凶悪な犯罪の特定の場合に日本が起訴前の身柄の移転を求めたときは、米側が「好意的な考慮を払う」とされました。2004年の合意では、移転を求める可能性がある事件などで、米軍司令部の代表者が日本側の取調べに同席できることになっています。沖縄県警の集計では、令和7年に米軍人・軍属とその家族が刑法犯で検挙されたのは101件・80人で、うち凶悪犯は6件・6人でした。家族が米軍関係者なら、事件が公務中だったかと、いま日米どちらの当局に身柄があるかを、最初の接見で弁護士に伝えてください。
出典:裁判所「沖縄県内の管轄区域表」、那覇地方裁判所「県内の裁判員制度関連の情報」、那覇地方裁判所「所在地一覧」、福岡高等裁判所「所在地一覧」、那覇地方検察庁「交通案内」、沖縄県警察「県内の警察署」、沖縄県法規集「沖縄県警察の組織に関する条例」、法務省「刑事施設の所在地一覧」、日本弁護士連合会「沖縄弁護士会」、日米地位協定 本文(沖縄県掲載)、第17条関係の日米合同委員会合意(沖縄県掲載)、沖縄県警察「犯罪統計資料 令和7年(確定値)」、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
沖縄県で殺人が問われる罪と刑罰
殺人は刑法の罪で、沖縄県の条例によって刑の重さが変わることはありません。那覇でも離島でも、どの条文にあたるかで刑の幅と裁判の形が決まります。逮捕を知らせる連絡で警察官が告げた罪名をメモし、面会に来た弁護士にそのまま伝えてください。
| 罪名(条文) | 法定刑 | 裁判員裁判 |
|---|---|---|
| 殺人(刑法第199条) | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 | 対象 |
| 殺人未遂(刑法第203条) | 殺人と同じ幅。未遂を理由に刑を減軽できる(刑法第43条) | 対象 |
| 殺人予備(刑法第201条) | 2年以下の拘禁刑。情状により刑を免除できる | 対象外 |
| 自殺関与・同意殺人(刑法第202条) | 6月以上7年以下の拘禁刑 | 対象外 |
| 比べる罪:傷害致死(刑法第205条) | 3年以上の有期拘禁刑 | 対象 |
殺人か傷害致死かは、殺意の有無で分かれる
亡くなった結果が同じでも、殺す意思がなかったと認められれば罪名は傷害致死です。殺意の有無は本人の説明だけで決まらず、使った凶器、傷の位置と深さ、攻撃を繰り返したか、事件のあとに119番通報や手当てをしたかといった事情から判断されます。記憶があいまいな部分を推測で埋めずに、取調べの前に弁護士と当時の経過を整理してください。法医学の鑑定と食い違う説明が調書に固まるのを避けられます。
起訴から判決まで1年を超えることが多い
殺人と殺人未遂は、裁判員法第2条第1項第1号の「死刑又は無期拘禁刑に当たる罪に係る事件」にあたり、裁判官3人と裁判員6人が審理します。最高裁判所の資料では、令和7年に全国で受理した裁判員裁判の被告人822人のうち殺人は201人で罪名別の最多、殺人事件の平均審理期間は13.9か月(自白10.8か月・否認16.8か月)でした。起訴が見込まれるなら、裁判員裁判で弁護人を務めた経験のある弁護士に、勾留中から依頼してください。公判前整理手続に向けた主張と証拠の準備を早く始められます。
制度の参考:e-Gov法令検索「刑法」第199条〜第203条・第205条、e-Gov法令検索「裁判員法」第2条、出典:最高裁判所「令和7年における裁判員裁判の実施状況等に関する資料」
事実を認める場合と殺意を否認する場合
認めるなら、事件の背景を記録で裁判員に示す
事実に争いがない事件では、なぜ事件が起きたのかを裁判員に伝わる形で示すことが弁護の柱です。警察庁の統計では、令和7年に全国で検挙された殺人の既遂240件のうち127件(52.9%)で被害者が親族でした。沖縄県警が令和6年に受けた配偶者からの暴力の相談等は1,297件(暫定値)で、DVに関連した検挙は129件です。
長く続いた介護や暴力の被害は、量刑を決める場面で考慮されます。通院や介護サービスの記録、暴力を受けていたと分かる写真やメッセージ、県内の警察署や相談機関に相談した記録を集め、弁護士に渡してください。本人や家族が遺族へ直接連絡すると、保釈の判断で証拠隠滅や被害者側への働きかけ(刑事訴訟法第89条第4号・第5号)を疑われるおそれがあります。謝罪や賠償の申し入れは、弁護士を通して行ってください。
殺意を否認するときに使える権利
取調べの前には、自分の意思に反して供述しなくてよいと告げられます(刑事訴訟法第198条第2項)。調書は読み聞かせのあとで誤りがないかを問われ、署名押印を断ることもできます(同条第4項・第5項)。殺人は録音・録画が義務づけられた事件(同法第301条の2第1項第1号)なので、逮捕・勾留中の取調べは原則として映像で残ります。殺意を認めたように読める表現が調書にあれば署名を保留し、次の接見で弁護士に相談してください。那覇の署でも宮古島・石垣島の署でも、弁護士との面会に警察官は立ち会いません(同法第39条第1項)。
心の病気や通院歴があるとき
刑法第39条は、心神喪失の状態での行為を罰せず、心神耗弱なら刑を減軽すると定めています。全国の検察統計では、令和6年に殺人(殺人予備を含む)で不起訴とされた552人のうち、心神喪失を理由とするものが55人ありました。通っている医療機関の名前、診察券、お薬手帳をそろえ、接見に来る弁護士に預けてください。本人の病状について家族が相談したいときは、南風原町の沖縄県立総合精神保健福祉センター「こころの電話相談」(098-888-1450)が月・水・木・金曜の9時〜11時と13時〜16時に受け付けています(火曜は休み)。
制度の参考:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第39条・第89条・第198条・第301条の2、e-Gov法令検索「刑法」第39条、出典:警察庁「令和7年の刑法犯に関する統計資料」図表2-1-1-3、沖縄県警察「配偶者からの暴力相談等の概況(令和6年中暫定値)」、法務省「検察統計調査」令和6年年報、沖縄県「精神保健福祉相談」(沖縄県立総合精神保健福祉センター)
殺人事件の保釈・公訴時効・在留資格
保釈は起訴後に、第90条の裁量で判断される
保釈を請求できるのは起訴されたあとの被告人だけです(刑事訴訟法第88条第1項・第207条第1項ただし書)。殺人と殺人未遂は第89条第1号の「死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪」なので権利保釈の枠に入らず、裁判所が第90条の裁量保釈として判断します。考え合わされるのは、逃亡や証拠隠滅のおそれの程度と、拘束が続くことで本人が受ける健康上・経済上・社会生活上・防御の準備上の不利益です。遺族や関係者と離れて暮らせる住まい、持病の診断書、仕事や扶養の状況を示す資料を、起訴される前から弁護士と用意してください。
全国では、令和7年に第一審を終えた被告人のうち勾留されていた35,125人のうち11,132人(31.7%・算出)が保釈保証金を納めて釈放されました。宮古島や石垣島の事件でも公判は本庁なので、保証金の納め方の問い合わせ先は那覇地裁本庁の会計課(098-918-3310)です。
殺人の既遂に公訴時効はない
人を死亡させた罪で死刑にあたる殺人の既遂は、刑事訴訟法第250条の第1項にも第2項にも含まれず、公訴時効がありません。平成22年の改正(法律第26号)で廃止され、施行の時点で時効が完成していなかった事件にもさかのぼって適用されています(附則第3条)。時効が残るのは、殺人未遂の25年(第250条第2項第1号)、自殺関与・同意殺人の既遂の10年(同条第1項第3号)、殺人予備の3年(同条第2項第6号)です。犯人が国外にいる間や逃げ隠れている間は進みません(第255条第1項)。何年も前の出来事について県警から話を聞きたいと連絡が来たら、署へ行く前に弁護士に相談してください。
留学・特定技能の人は、執行猶予でも在留資格を失うことがある
沖縄県の在留外国人は令和7年末で33,402人で、在留資格は永住者6,488人・留学5,379人・特定技能4,651人・技能実習3,615人などです(米軍関係者はこの人数に含まれません)。殺人は刑法第2編第26章の罪で、入管法第24条第4号の2にあたります。留学・特定技能・技能実習のような別表第一の在留資格なら、拘禁刑に処せられると執行猶予が付いても退去強制の対象です。永住者など別表第二の在留資格は第24条第4号リで判断され、1年を超える拘禁刑の実刑なら対象、刑の全部に執行猶予が付けば外れます。在留カードの資格と期限を最初の接見で弁護士に伝え、通訳が必要なら当番弁護士を頼む電話で言い添えてください。在留資格にかかわらず多言語で暮らしの相談に応じる宜野湾市の沖縄県国際交流・人材育成財団(098-942-9215)は、沖縄弁護士会と協力した法律相談も行っています。
出典:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第88条〜第90条・第207条・第250条・第255条、e-Gov法令検索「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)、裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」第32表、那覇地方裁判所「ダイヤルイン一覧」、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」、出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」第4〜6表、沖縄県国際交流・人材育成財団「法律・生活相談」
殺人事件で弁護士に依頼できることと選び方・費用
殺人事件の弁護は、起訴を見すえて、那覇の本庁で開かれる裁判員裁判までを一続きで準備する仕事です。依頼の中身は次の2つに分かれます。
本人のいる署へ接見に通い、話すことと黙ることを決め、調書の中身を点検します。接見禁止が付いても弁護士は面会できます。
殺意や責任能力をどう争うか、事件の背景をどの資料で示すか、遺族への謝罪と賠償をどう申し入れるかを、公判前整理手続までに固めます。処分の見通しは不起訴・刑罰・刑事処分に関する記事、遺族とのやり取りは被害者との示談交渉に関する記事で説明しています。
留置先の署と那覇の本庁の両方へ通える弁護士を選ぶ
沖縄弁護士会の会員は301人(2026年9月1日現在)です。日本弁護士連合会の紹介では、中部の沖縄支部や北部の名護支部で登録する会員が増えています。殺人事件では、名護や宮古島の事務所に頼んでも、公判のたびに那覇の本庁へ出向くことになります。依頼先を決める前の電話で、次の3点への答えを出してもらいましょう。
依頼の前に事務所へ聞く3点
- 裁判員裁判で弁護人を務めた経験があるか
- 名護署・宮古島署・八重山署など本人のいる署へ、いつ最初の接見に行けるか
- 島への航空運賃や北部への移動を含む接見の日当・交通費、那覇の本庁への出廷ごとの費用と、分割払いの可否
当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違い
| 区分 | 始められる時期 | 弁護士を選べるか | 沖縄での要点 |
|---|---|---|---|
| 当番弁護士 | 逮捕の直後から | 選べない | 平日は098-865-3737。最初の面会は無料 |
| 国選弁護人 | 勾留を請求されたあと | 選べない | 資力が合計50万円以上なら、先に弁護士会へ私選弁護人の選任を申し出る |
| 私選弁護人 | 逮捕の前や任意の呼び出しの段階から | 選べる | 離島や北部の署への接見は、日当と交通費が加わる |
費用の目安と法テラス沖縄
殺人事件の弁護士費用は、着手金・報酬金・接見や出廷の日当を合わせて総額150万円から400万円程度が目安です。公判前整理手続は全国平均で11.6か月かかり、島や北部の署への接見と那覇の本庁への出廷が重なるほど日当と交通費が増えます。費用の項目の考え方は刑事事件の弁護士選び・費用に関する記事にまとめています。
法テラスの県内の拠点は、那覇市楚辺の法テラス沖縄(0570-078368・平日9時〜17時)と、スタッフ弁護士が勤める法テラス沖縄法律事務所・法テラス宮古島法律事務所で、石垣市・名護市・沖縄市にはありません。私選の費用をすぐに用意できないときは、面会に来た当番弁護士に、国選弁護人へ切り替える場合の流れを説明してもらいましょう。
出典:日本弁護士連合会「沖縄弁護士会」、日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」、沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」、最高裁判所「令和7年における裁判員裁判の実施状況等に関する資料」、法テラス「法テラス沖縄」、法テラス沖縄「アクセス」、法テラス沖縄「法テラス宮古島法律事務所」
沖縄県の殺人事件の検挙状況
県内で殺人事件がどれだけ起き、何人が検挙されたかは、警察庁と沖縄県警の統計で年ごとに追えます。令和7年の認知件数は13件で、令和6年の17件から減りました。
| 年 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙人員 |
|---|---|---|---|
| 令和5年(2023年) | 12件 | 13件 | 12人 |
| 令和6年(2024年) | 17件 | 18件 | 18人 |
| 令和7年(2025年) | 13件 | 11件 | 11人 |
※令和5年・令和6年は警察庁「令和5年の犯罪」「令和6年の犯罪」、令和7年は警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」の値です。検挙件数には前の年までに認知された事件の検挙も含まれるため、令和5年・令和6年は認知件数を上回っています。令和6年の検挙人員18人に少年はいませんでした。
殺人・強盗・放火・不同意性交等を合わせた凶悪犯は、令和7年に116件(前年比27.5%増)と、過去10年で最も多かった令和6年の91件をさらに上回りました。刑法犯全体の認知件数は10,677件で4年続けて増え、検挙率は47.8%です。沖縄県警の犯罪統計書によると、昭和47年の復帰から令和6年までに米軍人・軍属とその家族による殺人の検挙は27件でした。
殺人で検挙された人のほとんどが逮捕されている
沖縄県警の「犯罪統計書」は、罪種ごとに逮捕か在宅かの内訳まで公表しています。令和6年に殺人で検挙された18人のうち16人が逮捕され(現行犯4人・緊急逮捕4人・通常逮捕8人)、身柄を拘束されずに捜査されたのは2人でした。刑法犯全体でも、令和7年に県内で検挙された3,377人のうち逮捕は1,198人(35.5%・算出)で、全国の32.2%(算出)を上回ります。県警から任意で事情を聞きたいと連絡があったら、出向く前に弁護士に依頼してください。聴取から逮捕に移っても、事情を知る弁護士がすぐ接見に向かえます。
全国の検察統計では、令和6年に殺人(殺人予備を含む)として処理された964人のうち、起訴された258人はすべて公判請求で、罰金の略式手続はありませんでした。県内の事件も、起訴されれば那覇の本庁の公開の法廷で審理されます。
出典:警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」、警察庁「令和6年の犯罪」、警察庁「令和5年の犯罪」、沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」、沖縄県警察「犯罪統計資料 令和7年(確定値)」、法務省「検察統計調査」令和6年年報 表24-00-08
沖縄県の殺人事件でよくある質問
Q1. 石垣島で起きた事件の裁判員裁判に、家族は那覇まで行くことになりますか?
なります。石垣支部は合議事件を扱う庁ですが裁判員裁判は開かないため、公判は那覇市樋川の本庁で開かれ、傍聴や情状証人としての出廷は那覇へ出向きます。刑事裁判一般の問い合わせは、那覇地裁の刑事訟廷事務室(098-918-3333)が受け付けています。情状証人として出廷する予定があれば、航空便の手配も含めて弁護士と早めに日程を合わせましょう。
Q2. 恩納村や那覇市小禄で起きた事件は、どこの警察署と裁判所が扱いますか?
恩納村・金武町・宜野座村は石川署の受け持ちで、ふだんの刑事事件は名護支部の区域です。那覇市の小禄地区は豊見城署の管轄ですが、裁判所は本庁の区域です。殺人と殺人未遂なら、どちらの地域でも那覇の本庁で裁判員裁判になります。弁護士には、署の名前と事件のあった字や地区の名前まで伝えてください。
Q3. 起訴されたあと、家族はどこで面会できますか?
県内の拘置支所は那覇拘置支所(那覇市樋川1-14-2・098-832-4593)と宮古拘置支所(宮古島市平良字西里345-6・0980-72-3118)で、面会受付はどちらも8時30分〜11時30分と13時〜16時です。石垣市にあるのは八重山刑務支所(0980-82-2019)です。本島中部・北部で逮捕された人が起訴後にどこへ移されるかは、公表資料からは読み取れません。接見禁止の間も弁護士は面会できます。出かける前に、本人の移送先と接見禁止の有無を弁護士から聞いておきましょう。
Q4. 観光や出張で沖縄に来ていた家族が逮捕されました。県外に住む私たちは何をすればいいですか?
当番弁護士は逮捕された地域の弁護士会が派遣するので、県外からでも沖縄弁護士会へ電話してください。沖縄県の入域観光客は令和7年に1,075万6,000人で、暦年で過去最高でした。県内では殺人で検挙された人の大半が逮捕されており、捜査は那覇地検、公判は那覇の本庁で進みます。地元の事務所に頼む場合は、沖縄への接見と出廷ごとの旅費・日当の見積もりを先に出してもらいましょう。
Q5. 夫が米軍の軍人です。沖縄で殺人の疑いをかけられたら、日本の裁判になりますか?
公務の執行中の行為でなければ、日米地位協定第17条3(b)により日本の当局が第一次の裁判権を持ち、起訴されれば那覇地裁の本庁で裁判員裁判になります。米側が先に身柄を確保していれば起訴までは米側が拘禁しますが、殺人を含む凶悪な犯罪では、日本の求めによる起訴前の移転に米側が好意的な考慮を払う合意があります。公務中だったかどうかが争点になるので、当日の勤務の予定や命令の内容が分かる資料を、弁護士に早めに渡してください。
Q6. 16歳の子どもが殺人の疑いで逮捕されました。どこの家庭裁判所が扱いますか?
那覇家裁は、本庁と沖縄・名護・平良・石垣の4支部の5庁すべてで少年事件を扱い、事件のあった地域の庁が担当します。犯行時に16歳以上で、故意の犯罪行為によって人を死亡させた事件は、原則として検察官へ送り返され(少年法第20条第2項)、起訴されれば那覇の本庁で裁判員裁判になります。観護措置がとられると、県内1か所の那覇少年鑑別所(那覇市西3-14-20・098-862-4606)に収容されます。家庭裁判所へ送られる前の段階から、付添人を務める弁護士と今後の方針を詰めてください。
Q7. 殺人で執行猶予が付くことはありますか?
令和6年に全国の地方裁判所で殺人の判決を受けた207人を見ると、実刑が159人、全部執行猶予が48人で、猶予が付いた刑はすべて2年以上3年以下でした。法定刑の下限は5年なので、未遂による減軽(刑法第43条)や酌むべき事情による減軽(刑法第66条)などで3年以下まで下がった事案です。減軽の根拠になる事情は、那覇の本庁での公判に向けて、起訴の前から弁護士と集めてください。
Q8. 判決に不服があるとき、控訴審は福岡で開かれますか?
福岡へ行く必要はありません。沖縄県内の事件の控訴審は、那覇地裁と同じ那覇市樋川1-14-1の建物にある福岡高等裁判所那覇支部が扱います。控訴まで同じ弁護士に続けて任せたいなら、最初の契約の段階で控訴審の費用の扱いを決めておきましょう。
出典:裁判所「沖縄県内の管轄区域表」、那覇地方裁判所「窓口案内」、那覇地方裁判所「ダイヤルイン一覧」、福岡高等裁判所「所在地一覧」、法務省「刑事施設の所在地一覧」、法務省「面会受付時間一覧」、法務省「少年鑑別所の所在地一覧」、沖縄県「令和7年(暦年)沖縄県入域観光客統計概況(確定版)」、日米地位協定 本文(沖縄県掲載)、e-Gov法令検索「少年法」第20条、e-Gov法令検索「刑法」第43条・第66条、法務省「令和7年版犯罪白書」資料2-3
県内の殺人事件は、本島の南部・中部・北部、宮古・八重山のどこで起きても、那覇地方裁判所の本庁で裁判員裁判として審理されます。家族がもう県内の署に留置されているなら、きょう接見に動ける事務所へ電話をかけてください。当番弁護士を頼めば、最初の面会に費用はかかりません。
参考資料・更新情報
- 警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」
- 警察庁「令和6年の犯罪」
- 警察庁「令和5年の犯罪」
- 警察庁「令和7年の刑法犯に関する統計資料」
- 沖縄県警察「犯罪統計資料 令和7年(確定値)」
- 沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」(令和7年10月31日公開)
- 沖縄県警察「配偶者からの暴力相談等の概況(令和6年中暫定値)」
- 沖縄県警察「県内の警察署」
- 沖縄県法規集「沖縄県警察の組織に関する条例」
- 沖縄県「犯罪被害者等支援(相談窓口)」
- 沖縄県「沖縄県犯罪被害者等見舞金」
- 沖縄県「精神保健福祉相談」(2026年5月14日更新)
- 日米地位協定 本文(沖縄県掲載)
- 第17条関係の日米合同委員会合意(沖縄県掲載)
- 沖縄県「令和7年(暦年)沖縄県入域観光客統計概況(確定版)」
- 裁判所「沖縄県内の管轄区域表」
- 那覇地方裁判所「県内の裁判員制度関連の情報」
- 那覇地方裁判所「所在地一覧」
- 那覇地方裁判所「ダイヤルイン一覧」
- 那覇地方裁判所「窓口案内」
- 福岡高等裁判所「所在地一覧」
- 裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」
- 最高裁判所「令和7年における裁判員裁判の実施状況等に関する資料」
- 那覇地方検察庁「交通案内」(2024年9月26日更新)
- 那覇地方検察庁「被害者支援」(2026年5月11日更新)
- 法務省「刑事施設の所在地一覧」(令和7年4月1日現在)
- 法務省「面会受付時間一覧」(令和8年3月1日現在)
- 法務省「少年鑑別所の所在地一覧」(令和7年4月1日現在)
- 法務省「検察統計調査」令和6年年報
- 法務省「令和7年版犯罪白書」
- 沖縄弁護士会「当番弁護士」
- 沖縄弁護士会「刑事弁護に関する相談」
- 沖縄弁護士会「法律相談」
- 沖縄弁護士会「犯罪被害に関する相談」
- 日本弁護士連合会「当番弁護士連絡先一覧」(2026年6月24日現在)
- 日本弁護士連合会「沖縄弁護士会」
- 日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」(2026年9月1日現在)
- 法テラス「法テラス沖縄」
- 法テラス沖縄「アクセス」
- 法テラス沖縄「法テラス宮古島法律事務所」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」第4〜6表
- 沖縄県国際交流・人材育成財団「法律・生活相談」
- e-Gov法令検索「刑法」
- e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
- e-Gov法令検索「裁判員法」
- e-Gov法令検索「少年法」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
※本コンテンツは2026年9月30日時点で確認できた公表情報をもとに作成しています。殺人の令和7年の件数と刑法犯の身柄措置は警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」、令和5年・令和6年の件数は警察庁「令和5年の犯罪」「令和6年の犯罪」、殺人の身柄措置と米軍人等による殺人の復帰後の累計は沖縄県警察「令和6年犯罪統計書」、凶悪犯と米軍人等による刑法犯は沖縄県警察の犯罪統計資料(令和7年確定値)、配偶者からの暴力の相談件数は沖縄県警察の令和6年中暫定値です。逮捕の割合は、これらの値から算出しました。被害者との関係・処分・判決・裁判員裁判・保釈の人員は全国値で、在留外国人数は令和7年末、弁護士会の会員数は2026年9月1日現在の値です。制度や窓口の情報は変更される場合があるため、利用前に各機関および法律事務所の公式情報をご確認ください。本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするもので、個別の事件についての法的助言ではありません。