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大分県で利用できる公的な相談窓口
当番弁護士は代表電話と同じ番号。日本で最初に制度を始めた弁護士会
弁護士会は地方裁判所の管轄区域ごとに置かれ(弁護士法第32条)、大分県の地裁は大分地裁1つなので、当番弁護士を頼む先は大分県弁護士会です。大分県弁護士会は1990年(平成2年)9月14日、日本で最初に当番弁護士制度を始めた会です。受付は097-536-1458で、夜間と土日祝日も、留守番電話に録音すれば24時間以内に折り返しがあり、当番弁護士は原則24時間以内に本人と面会します。頼めるのは逮捕された本人、親・子・兄弟姉妹、法定代理人、保佐人で、本人は警察官や検察官、裁判官に「当番弁護士を呼んでほしい」と告げれば足ります。電話の前に、本人の氏名、いる警察署、わかる範囲の罪名をメモしてください。
| 窓口 | 電話 | 受付・内容 |
|---|---|---|
| 大分県弁護士会 当番弁護士(少年の当番付添人も同じ) | 097-536-1458 | 平日9時〜17時は事務職員、夜間・土日祝は留守番電話(24時間以内に折り返し)・1回目無料 |
| 大分県弁護士会 法律相談センター(大分市中島西1-3-14) | 097-536-1458 | 平日9時〜17時に予約・30分5,500円の完全予約制 |
| 法テラス大分(大分市城崎町2-1-7) | 0570-078363 | 平日9時〜17時・無料法律相談は刑事事件が対象外 |
| 法務少年支援センター大分(大分少年鑑別所内) | 097-538-4152 | 少年や保護者の相談 |
| 大分っ子フレンドリーサポートセンター(ヤングテレフォン) | 097-532-3741 | 平日9時〜17時45分・県北0979-24-3741、県西0973-24-3711 |
| 大分県警察 警察安全相談 | #9110/097-534-9110 | 平日9時〜17時45分(時間外は自動音声でかけ直し先を案内) |
被害を受けた方の相談先
| 窓口 | 電話 | 受付 |
|---|---|---|
| おおいた性暴力救援センター・すみれ(大分県設置) | #8891/097-532-0330 | 24時間365日(夜間・土日祝・年末年始はコールセンター)・男性の被害も相談可 |
| 大分県警察 性犯罪被害相談電話 | #8103/0120-810355 | 性犯罪被害の相談 |
| 大分県弁護士会 犯罪被害者の相談 | 097-536-1467 | 平日9時〜17時・初回無料 |
出典:e-Gov法令検索「弁護士法」第32条、大分県弁護士会「刑事弁護センター(当番弁護士)」、大分県弁護士会「相談制度」、大分県弁護士会「相談の仕方」、法テラス「法テラス大分」、法務省「法務少年支援センター大分」、大分県警察「大分っ子フレンドリーサポートセンター」、大分県警察「警察安全相談」、大分県警察「問い合わせ・相談」、大分県「おおいた性暴力救援センター・すみれ」案内資料
大分県で不同意わいせつの疑いをかけられたら、最初にすること
このページは、大分県内で不同意わいせつ罪(刑法第176条・旧強制わいせつ罪)の疑いをかけられた本人と家族に向けた、刑事事件(逮捕・前科・示談・不起訴)の案内です。令和5年7月の刑法改正で罪名が変わり、大分県警察の統計も現在は「不同意わいせつ」で集計しています。性交やそれと同じに扱われる行為まで及んだ事件は不同意性交等罪(第177条・旧強制性交等罪)として大分県の別ページが受け持ちます。JRの駅や路線バスの車内で体に触れた事件は大分県迷惑行為防止条例の痴漢、ひそかな撮影は盗撮、人前で裸になる行為は公然わいせつのページで扱います。被害を受けた方は、大分県が設置したおおいた性暴力救援センター・すみれ(#8891・097-532-0330・24時間365日)へ相談できます。不同意わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑だけで、罰金で終わる道がありません。家族の逮捕を知ったら、大分県弁護士会の当番弁護士(097-536-1458)へ今日のうちに電話してください。
いまの状況別・最初にすること
- 家族が大分中央署・別府署・中津署など大分県内の警察署に留置された
- 当番弁護士の受付は大分県弁護士会の代表電話と同じ097-536-1458です。平日9時〜17時は事務職員が受け、夜間と土日祝日は留守番電話に氏名と折り返し先を録音すると、24時間以内に担当者から連絡が来ます。頼めるのは本人のほか親・子・兄弟姉妹などで、1回目は無料です。留置先の署名と罪名をメモしてから電話してください。
- 逮捕はされていないが、大分県内の警察署から呼び出しを受けた
- 当番弁護士は逮捕・勾留された人のための制度で、法テラス大分の無料法律相談も刑事事件は対象外です。このページの一覧から大分県内の事務所を選び、出頭の日より前に相談を予約しましょう。取調べでどこまで話すかを、弁護士と先に決めておけます。
- 相手が18歳未満だったと後から分かった
- 13歳未満、または13〜15歳で自分が5歳以上年上なら刑法第176条第3項、16歳・17歳なら大分県の青少年の健全な育成に関する条例 第37条第1項(2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)が問題になります。相手が応じていたことは罪を否定する理由になりません。相手の年齢や学校名が読み取れるメッセージは削除せず、接見の場で弁護士に見せてください。
- 大分県中津市や日田(ひた)市の事件で、相手がけがをしたと言われている
- 不同意わいせつ等致傷罪は裁判員裁判の対象で、大分県内では大分市荷揚町の大分地方裁判所(本庁)だけが審理します。合議事件を扱う中津支部でも、裁判員裁判は開かれません。診断書の有無と、けがについて警察から聞いた内容を、接見に来た弁護士へ伝えてください。
出典:大分県弁護士会「刑事弁護センター(当番弁護士)」、法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」、裁判所「大分県内の管轄区域表」、大分県「おおいた性暴力救援センター・すみれ」案内資料、e-Gov法令検索「刑法」第176条・第177条・第181条
大分県で不同意わいせつ容疑で逮捕されたあとの流れと手続きの場所
逮捕から48時間以内に警察は事件を検察官へ送り、検察官は受け取ってから24時間以内に勾留を請求するかを決めます。勾留は原則10日、延長されると最長20日です(刑事訴訟法第203条・第205条・第208条)。罰金刑のない不同意わいせつ罪は略式命令で終わらないため、起訴されれば大分地方裁判所の本庁か、杵築(きつき)・佐伯・竹田・中津・日田の5支部で公判が開かれます。勾留中の手続きの順番は逮捕後の流れを解説した記事で扱っています。
大分県は「合議と少年は大分・中津の2か所、裁判員は本庁だけ、控訴審は佐伯市だけ宮崎支部」
大分県警察の警察署は15署で、受け持ちの区域は「警察署の名称、位置及び管轄区域条例」の別表で決まっています。大分市は大分中央署(中心部)・大分東署(鶴崎・大在・坂ノ市・佐賀関方面)・大分南署(敷戸・判田・戸次・野津原方面)の3署に分かれ、境は町丁単位です。大分南署は由布市も受け持ち、杵築日出署(日出〈ひじ〉町に所在)は大分県杵築市と日出町、臼杵津久見署は臼杵市と津久見市、玖珠(くす)署は玖珠町と九重町、国東(くにさき)署は国東市と姫島村の区域です。176条の事件は通常、大分地裁の本庁か地域の支部で、裁判官1人が審理します。ところが3人の裁判官による合議事件と少年事件を扱うのは大分(本庁)と中津の2か所だけで、日田市・玖珠郡の事件は一審が日田支部でも、合議・少年は中津支部へ回ります。裁判員裁判は、大分県内のどこで起きた事件でも大分地裁本庁です。
| 地域・市町村 | 受け持つ警察署 | 176条の一審 | 合議・少年 | 検察審査会 | 致傷(裁判員) | 控訴審(福岡高等裁判所) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大分市 | 大分中央・大分東・大分南 | 本庁 | 大分 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 由布市 | 大分南 | 本庁 | 大分 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 別府市 | 別府 | 本庁 | 大分 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 臼杵市・津久見市 | 臼杵津久見 | 本庁 | 大分 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 杵築市・日出町・国東市(国見町を除く) | 杵築日出・国東 | 杵築支部 | 大分 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 竹田市・豊後大野市 | 竹田・豊後大野 | 竹田支部 | 大分 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 佐伯市 | 佐伯 | 佐伯支部 | 大分 | 大分 | 本庁 | 宮崎支部(宮崎市) |
| 中津市・宇佐市 | 中津・宇佐 | 中津支部 | 中津 | 中津 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 豊後高田市・国東市国見町・姫島村 | 豊後高田・国東 | 中津支部 | 中津 | 中津 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
| 日田市・九重町・玖珠町 | 日田・玖珠 | 日田支部 | 中津 | 大分 | 本庁 | 本庁(福岡市) |
※一審・合議・少年・検察審査会・控訴審の欄は裁判所「大分県内の管轄区域表」と、その注記「裁判員制度対象事件は、地方裁判所の本庁のみで取り扱い、支部では取り扱いません」によります。警察署の欄は条例の別表によります。豊後大野市のうち旧千歳村・旧犬飼町と、臼杵市野津町の一部の大字は本庁の区域、杵築市のうち旧大田村は中津支部の区域です。杵築日出署の区域でも簡易裁判所は杵築で、宇佐署と中津署は別の署でも裁判所は同じ中津支部です。大分市の3署の境は入り組んでいるため、方面は目安として示しています。
控訴審は福岡市中央区六本松の福岡高等裁判所が原則ですが、大分県佐伯市の事件だけは宮崎市旭の福岡高等裁判所宮崎支部が扱います。大分県内に独立した拘置所はなく、拘置施設は中津拘置支所(中津市二ノ丁)だけで、大分市畑中には大分刑務所があります。不起訴に被害者側が不服を申し立てる検察審査会は大分と中津の2つです。どの署に留置施設があるかは公表されておらず、留置中の人との面会は平日10時〜11時30分・13時〜16時30分、1日1回15分以内です。弁護士に頼むときは、留置されている署の名前と、事件が起きた大分県内の市町村名を一緒に伝えてください。支部で終わるのか、中津や大分市の本庁まで通うのかを、最初の相談で見通せます。
出典:裁判所「大分県内の管轄区域表」、大分地方裁判所「管内の裁判所の所在地」、福岡高等裁判所「管内の裁判所の所在地」、裁判所「全国の検察審査会一覧表」、大分地方検察庁「所在地・交通アクセス」、大分県法規集データベース「警察署の名称、位置及び管轄区域条例」、大分県警察「警察署の紹介」、大分県警察「留置施設での面会・差入れ」、法務省「施設所在地及び面会受付時間一覧」
大分県で不同意わいせつが問われる罪と刑罰
不同意わいせつ罪は、令和5年7月13日施行の刑法改正で設けられた罪で、旧来の罪名から改められました。成立を分けるのは暴行や脅迫があったかではなく、相手が同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが難しい状態にあったかで、夫婦や交際相手の間でも成立します。大分県では、相手の年齢と行為の場所によって、2つの県条例も検討の対象になります。
| 罪名と根拠 | 法定刑 | 罰金 | 大分県内で審理する裁判所 |
|---|---|---|---|
| 不同意わいせつ(刑法第176条) | 6月以上10年以下の拘禁刑 | なし | 地域に応じて本庁か杵築・佐伯・竹田・中津・日田の支部 |
| 不同意わいせつ等致傷(第181条第1項) | 無期又は3年以上の拘禁刑 | なし | 裁判員裁判・大分地裁本庁だけ |
| 不同意性交等(第177条) | 5年以上の有期拘禁刑 | なし | 性交等まで及んだときの別の罪 |
| 痴漢(大分県迷惑行為防止条例 第3条第1項第1号・罰則は第11条第1項) | 6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(常習は第11条第2項で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金) | あり | 公共の場所・公共の乗物での行為だけ |
第176条第1項は、暴行・脅迫、アルコールや薬物の影響、睡眠、予想できない不意打ち、経済的・社会的な関係上の地位にもとづく影響力で不利益を心配させることなど8つの原因を挙げています。相手が拒まなかった、黙っていたという事情は、同意があった証拠として扱われません。
相手が18歳未満なら、大分県の青少年条例も関わる
| 相手の年齢 | 主な規定 | 法定刑 | 相手が応じていた場合 |
|---|---|---|---|
| 13歳未満 | 刑法第176条第3項 | 6月以上10年以下の拘禁刑 | 罪になる |
| 13歳以上16歳未満 | 刑法第176条第3項(行為者が5歳以上年上のとき) | 6月以上10年以下の拘禁刑 | 罪になる |
| 16歳・17歳 | 青少年の健全な育成に関する条例 第37条第1項(罰則は第47条第1項) | 2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 罪になり得る |
| 18歳以上 | 刑法第176条第1項 | 6月以上10年以下の拘禁刑 | 8つの原因などにあたらなければ成立しない |
※大分県の青少年条例は正式な題名の頭に「大分県」が付かず、条例でいう「青少年」は18歳未満の者です(第3条第1号)。相手が13〜15歳で年の差が5歳未満のときも、この条例の対象になり得ます。
大分県の青少年条例は第37条第1項で、青少年に対する「いん行又はわいせつ行為」を禁じ、違反すれば2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。同じ行為を教え、見せ、聞かせることは第37条第2項で禁じられ、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。裸の画像などを求める行為(第37条の2)は、拒まれたのに求めた場合か、威迫・欺き・困惑・対償の供与によって求めた場合に、30万円以下の罰金又は科料になります。条例でいう深夜は午後11時から翌午前4時までで、深夜に保護者の委託や同意なく青少年を連れ出す行為(第17条第2項)は10万円以下の罰金又は科料です。刑名は令和7年大分県条例第3号で改められ、令和7年6月1日から拘禁刑になりました。
「18歳未満とは知らなかった」という言い分について、第47条第7項は第37条などの違反を挙げ、年齢を知らないことに過失がないときを除いて処罰を免れないと定めます。画像を求める第37条の2は、この列挙に入っていません。また第49条は、違反した者が青少年なら条例の罰則を適用しないと定めています。相手が名乗った年齢や学年が写る画面を保存し、接見で弁護士に渡してください。年齢を知らなかったことに過失がないと言えるかを、大分地検の処分前に検討してもらえます。
痴漢・盗撮との境目は、大分県迷惑行為防止条例第3条の「場所」
大分県迷惑行為防止条例の第3条第1項第1号は、駅や道路などの公共の場所と、電車やバスなどの公共の乗物で、衣服等の上から又は直接人の身体に触れることを禁じています。第2項(集会場・事務所・教室・タクシーなど)と第3項(住居・浴場・便所・更衣室など)が対象にするのは、のぞき見と撮影、撮影目的でカメラを向ける・設置する行為で、体に触れる行為は入っていません。職場や学校の中、住宅やタクシーの車内で体に触れた事件は条例の痴漢にあたらず、刑法の不同意わいせつ罪にあたるかで捜査されます。大分市中心部の路上やバスの車内でも、不意打ちなど第176条第1項の原因にあたる状況なら、条例ではなく176条で扱われることがあります。警察で告げられた罪名と条文をメモに残し、条例か刑法かを接見で弁護士に伝えてください。罰金で終わり得る条例違反なのか、176条の公判に備える事件なのかを、勾留の早い段階で見極めてもらえます。
出典:e-Gov法令検索「刑法」第176条・第177条・第181条、法務省「性犯罪関係の法改正等Q&A」、大分県法規集データベース「大分県迷惑行為防止条例」「青少年の健全な育成に関する条例」(内容現在 令和8年10月1日)
容疑を認める場合と否認する場合
認めるなら、起訴が決まる前に示談を申し入れる
行為を認めるなら、弁護の柱は謝罪と被害の弁償を尽くし、示談をまとめることです。令和7年版犯罪白書(法務省)では、令和6年に全国の検察庁が処理した不同意わいせつ事件のうち起訴は33.7%、起訴猶予は37.2%で、起訴猶予の判断には示談の成否や再発防止の取り組みも影響します。大分県内の署に勾留されれば、最長20日の勾留期間がそのまま交渉の期限になります。勾留が決まったその日に、被害者側への申し入れを弁護士に頼んでください。
被害者の連絡先は、本人の了承があるときに限り、検察官や警察から弁護士にだけ伝えられます。家族が独自に被害者の自宅や職場を訪ねると、口止めや証拠隠しを疑われ、釈放が遅れます。大分県では、おおいた性暴力救援センター・すみれが被害を受けた方の相談に応じ、病院・警察・弁護士事務所への付き添いも行っています。おわびの手紙や弁償の申し出は、すべて弁護士を通して届けましょう。
同意があった、触れていないと争うなら
酔った相手を介抱した、自宅まで送っただけという場面でも、触れた体の部位と目的が捜査の焦点になります。知り合ったきっかけ、当日の移動の道順、やり取りしたメッセージ、同席者の名前を早いうちに書き出し、弁護士に渡してください。
大分県内のどの署でも、取調べで答えたくない質問には答えなくてよく(刑事訴訟法第198条第2項)、内容が違うと感じた供述調書には署名も押印も拒めます(同条第4項・第5項)。取調べの録音・録画が義務になるのは致傷罪のような裁判員裁判の対象事件で、176条だけの事件には義務がありません(同法第301条の2)。日田署や佐伯署のように大分市から離れた署に留置されていても、弁護士との接見に警察官は立ち会いません(同法第39条第1項)。何を聞かれ、どう答えたかを、接見のたびに弁護士へ報告してください。
出典:法務省「令和7年版犯罪白書」性犯罪 起訴・不起訴人員等の推移、大分県「性暴力被害相談」資料、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第39条・第198条・第301条の2
不同意わいせつ事件の保釈・公訴時効・在留資格
保釈は起訴されてから。致傷罪は裁量保釈の扱い
保釈は起訴後の被告人のための制度で(刑事訴訟法第88条第1項・第207条第1項ただし書)、起訴前の勾留中は請求できません。権利保釈の例外を定める第89条第1号(短期1年以上の罪)に、短期6月の不同意わいせつ罪はあたりません。一方、短期3年の致傷罪はあたるため、第90条の裁量保釈として判断されます。不同意わいせつ事件では、第4号(罪証隠滅のおそれ)と第5号(被害者らへの接触のおそれ)が争点になりやすくなります。全国では令和7年、勾留された35,125人のうち11,132人が保釈されています。被害者の生活圏と重ならない住まいと通勤の道順を弁護人と固めたうえで、保釈を請求してください。大分県内の署や中津拘置支所から自宅に戻り、裁判の準備を進められます。
時効は12年、致傷なら20年
刑事訴訟法第250条第3項により、不同意わいせつ罪の公訴時効は12年(第3号)、致傷罪は20年(第1号)です。被害者が当時18歳未満なら、18歳になるまでの期間が加算されます(同条第4項)。大分県の青少年条例第37条第1項の違反は上限2年の罪なので、時効は3年(同条第2項第6号)で、この加算はありません。
外国籍の人の在留資格
大分県の在留外国人は令和7年末で23,027人(前年末比13.3%増)、県の人口の2.14%(算出)で、在留資格では技能実習と特定技能が合わせて39.4%、留学が19.8%(いずれも算出)を占めます。執行猶予でも退去強制になる罪を並べた入管法第24条第4号の2に、不同意わいせつ罪は入っておらず、第24条第4号リで判断されます。退去強制になるのは1年を超える拘禁刑の実刑判決を受けたときで、刑の全部が執行猶予なら対象外です。ただし勾留で就労や通学が止まり、在留資格の活動を正当な理由なく3か月以上続けて行わないと、在留資格の取消しが問題になり得ます(第22条の4第1項第6号)。在留カードの資格と期限は、最初の接見で弁護士に伝えましょう。在留の継続まで見すえた示談と処分の方針を、勾留中に立ててもらえます。
出典:e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第88条〜第90条・第250条、裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」第32表、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」、出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
不同意わいせつ事件で弁護士に依頼できることと選び方・費用
大分県内の不同意わいせつ事件で弁護士に任せる仕事の柱は、被害者との示談交渉と身柄の解放です。逮捕されていれば、どちらも最長20日の勾留のうちに結果を出すことが求められます。
被害者側への謝罪と弁償の申し入れから示談書の作成まで、弁護士が窓口になります(被害者との示談交渉に関する記事)。
勾留請求を防ぐ意見書、勾留決定に対する準抗告、起訴後の保釈請求で、留置先からの早い釈放を目指します(不起訴・刑罰・刑事処分に関する記事)。
中津・日田・佐伯の事件は、通える距離と裁判の庁で選ぶ
大分県弁護士会は県内唯一の弁護士会で、正会員は161名(2025年3月31日現在・日弁連「弁護士白書」)、支部の記載はありません。日弁連の紹介では会員の大半が大分市で業務を営み、中津・日田・杵築・佐伯・別府などにも事務所があります。大分県日田市や玖珠町の事件は日田支部で審理されますが、合議になれば中津支部へ移り、致傷罪なら大分市の本庁で裁判員裁判です。佐伯市の事件は、控訴すれば宮崎市の福岡高等裁判所宮崎支部まで続きます。大分県内の私選の事務所に電話したら、次の3点の答えを比べて依頼先を選びましょう。
大分県内の事務所に最初の電話で聞く3点
- 留置先の警察署へ初回の接見に行ける日と、その後に通える頻度
- 中津・日田・佐伯・竹田・杵築の支部や、県北・県西の警察署へ通う日当と交通費
- 同意の有無を争った事件と、示談で起訴猶予になった事件の両方の経験
費用と示談金の目安、法テラス大分
弁護士費用は着手金・報酬金・日当を合わせて90万円前後からが目安で、同意を争って公判が長引けば増えます。示談金には公的な統計がなく、50万〜100万円程度で合意する例が多く見られます。被害者側から金額を示されてもその場で応じず、金額と示談書の条項は弁護士に交渉を任せてください。費用の項目ごとの説明は刑事事件の弁護士選び・費用に関する記事で扱っています。
大分県の法テラスは法テラス大分(大分市城崎町2-1-7・0570-078363・平日9時〜17時)の1か所で、支部や地域事務所はありません。その無料法律相談は刑事事件に関する相談を対象外としており、大分市中島西の弁護士会の法律相談センターは30分5,500円の完全予約制です。刑事で無料になるのは当番弁護士の1回目で、勾留されたあとは資力などの要件を満たせば、本人の請求で国選弁護人が付きます(刑事訴訟法第37条の2)。費用の負担が心配なら、接見に来た当番弁護士にそのまま打ち明けてください。国選と私選のどちらで進めるかを、その場で相談できます。
出典:日本弁護士連合会「弁護士白書」弁護士会別弁護士数(2025年3月31日現在)、日本弁護士連合会「大分県弁護士会の紹介」、大分県弁護士会「費用・扶助について」、法テラス「法テラス大分 アクセス」、法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」、法テラス「国選弁護等関連業務」、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第37条の2
大分県の不同意わいせつの検挙状況
大分県の不同意わいせつは令和7年に増えましたが、人口当たりでは全国で少ない方です。
令和7年は29件で、人口当たり全国44位
| 年 | 認知件数 | 前年との差 | 検挙 |
|---|---|---|---|
| 令和6年(2024年) | 22件 | — | — |
| 令和7年(2025年) | 29件 | 7件増(+31.8%・算出) | 26件・25人(うち少年4人) |
※大分県警察「犯罪統計書(令和7年分)」の確定値です。令和5年7月の刑法改正で罪名が変わったため、令和5年以前の件数とは並べていません。
令和7年の29件は人口10万人当たり2.69件で全国44位(算出)にあたり、全国の5.85件の半分以下です。大分県警察の市町村別の表では、29件のうち大分市が11件、別府市が2件です。同じ年の不同意性交等は20件(1.86件・全国46位・算出)で、ひそかな撮影を罰する性的姿態撮影等処罰法違反は44件、公然わいせつは21件でした。痴漢や盗撮に使われる大分県迷惑行為防止条例違反は検挙22件ですが、痴漢と盗撮の内訳は公表されておらず、増減の理由も県警の資料に書かれていません。心当たりがあるなら、大分県警察から連絡が来る前に弁護士へ相談しましょう。自首や出頭の判断と、取調べで話す範囲を、警察からの連絡より先に決めておけます。
大分県では刑法犯の8割近くが在宅のまま捜査される
大分県の刑法犯は令和7年に4,151件(前年比20.6%増)と大きく増えましたが、人口10万人当たり385.7件は全国42位(算出)で、多発県ではありません。罪種ごとの逮捕の割合は公表されていませんが、警察庁の統計では、同じ年に大分県内で刑法犯として検挙された1,408人のうち逮捕は321人(22.8%・算出)で、残る1,087人(77.2%)は逮捕されずに捜査されています。全国の32.2%より低く、47都道府県で高い方から38番目です。逮捕されずに呼び出しを受けている段階でも、大分地検の処分が出る前に弁護士へ依頼してください。在宅のうちに、示談の申し入れと検察官への意見書の準備を進められます。
出典:大分県警察「犯罪統計書(令和7年分)」、大分県警察「犯罪統計書 令和7年 本編」、大分県警察「犯罪統計書 令和7年 統計表」、大分県警察「大分県の犯罪情勢(令和7年)」、警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」、総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約」
大分県の不同意わいせつ事件でよくある質問
Q1. 大分市内のバスで体に触れたとして、痴漢ではなく不同意わいせつで逮捕されました。なぜですか?
大分県迷惑行為防止条例の痴漢(第3条第1項第1号)は公共の場所・公共の乗物での行為が対象ですが、不意打ちや酩酊など刑法第176条第1項の原因にあたる状況なら、車内でも176条で扱われることがあります。176条は罰金がなく、条例違反より重い罪です。警察から告げられた罪名と行為の場所・状況を、当番弁護士の接見で詳しく伝えてください。条例違反にとどまる余地があるかを、勾留中に検討してもらえます。
Q2. 別府署や杵築日出署で逮捕されました。裁判はどこで開かれますか?
大分県別府市の事件は大分市荷揚町の大分地裁本庁、杵築市・日出町と国東市(国見町を除く)の事件は杵築市大字杵築の杵築支部で一審が開かれます。杵築支部の区域でも、合議事件と少年事件は大分の本庁が扱います。起訴後に通う裁判所を弁護士から聞き、家族の付き添いの段取りを決めておきましょう。
Q3. 中津署・宇佐署・豊後高田署の事件は、どこで手続きが進みますか?
大分県中津市・宇佐市・豊後高田市の事件は中津市二ノ丁の大分地裁中津支部の区域で、合議事件も少年事件も、検察審査会も中津です。県内で唯一の拘置施設である中津拘置支所も同じ中津市二ノ丁にあります。中津市や宇佐市の署まで接見に通える事務所を、最初の電話で選んでください。
Q4. 日田署・玖珠署で逮捕されたら、どの裁判所ですか?
大分県日田市と玖珠郡(九重町・玖珠町)の事件は、一審が日田市淡窓の日田支部ですが、合議事件と少年事件は中津支部へ回り、検察審査会は大分です。庁ごとに行き先が違う地域なので、留置先が日田署か玖珠署かを電話で伝え、どの庁まで通えるかを事務所に聞いてください。
Q5. 佐伯市の事件で、控訴審はどこになりますか?
大分県内の事件の控訴審は原則として福岡市中央区六本松の福岡高等裁判所ですが、佐伯市の事件だけは宮崎市旭の福岡高等裁判所宮崎支部です。一審は佐伯市野岡町の佐伯支部で、合議事件と少年事件は大分の本庁が扱います。控訴の申立ては判決の翌日から14日以内です(刑事訴訟法第373条)。判決の言い渡しを受けたら、その日のうちに控訴の要否を弁護人と話し合ってください。
Q6. 大分市内で逮捕されました。どの署の区域ですか?
大分市は大分中央署(荷揚町)・大分東署(鶴崎)・大分南署(横瀬)の3署に分かれ、境は町丁単位で入り組んでいます。中心部はおおむね大分中央署、鶴崎・大在・坂ノ市・佐賀関方面は大分東署、敷戸・判田・戸次・野津原方面と由布市は大分南署です。当番弁護士へは、警察から聞いた署名をそのまま伝えて申し込んでください。弁護士が署を取り違えずに接見へ向かえます。
Q7. 夜中や日曜日に当番弁護士へ電話しても大丈夫ですか?
大分県弁護士会の097-536-1458は、夜間と土日祝日は留守番電話で受け付け、録音から24時間以内に担当者が折り返します。頼めるのは本人、親・子・兄弟姉妹、法定代理人、保佐人です。本人の氏名、いる警察署、罪名、折り返し先を録音し、電話を手元に置いてください。
Q8. 法テラス大分で刑事事件の相談はできますか?
法テラスの無料法律相談は刑事事件に関する相談では利用できないと案内されています。家族が逮捕されたときは当番弁護士(1回目無料)を呼び、勾留後は国選弁護人の請求ができます。逮捕されていない段階なら、このページの一覧から大分県内の事務所に直接相談を申し込みましょう。
Q9. 高校生の子どもが同級生への行為を疑われています。大分県ではどこの家庭裁判所ですか?
大分県で少年事件を扱う家庭裁判所は大分(本庁)と中津の2か所で、日田・玖珠や豊後高田の管内は中津、佐伯・竹田・杵築の管内は大分が担当します。観護措置がとられた場合の収容先は大分少年鑑別所(大分市新川町)で、県内の少年院は中津少年学院と大分少年院(豊後大野市)です。家庭裁判所に送られる前に付添人となる弁護士を決め、学校への伝え方もあわせて相談しましょう。
出典:裁判所「大分県内の管轄区域表」、大分地方裁判所「管内の裁判所の所在地」、福岡高等裁判所「管内の裁判所の所在地」、大分県警察「問い合わせ・相談」、大分県弁護士会「刑事弁護センター(当番弁護士)」、法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」、e-Gov法令検索「刑事訴訟法」第373条、法務省「少年鑑別所一覧」、法務省「少年院一覧」
176条の事件は大分地裁の本庁と5つの支部に分かれて審理されますが、合議・少年は大分と中津の2か所、けがをさせた事件は大分市の本庁の裁判員裁判になります。家族が大分県内の署にいるなら、今日中に接見へ向かえる事務所を一覧から選んで電話してください。
参考資料・更新情報
- e-Gov法令検索「刑法」
- e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
- e-Gov法令検索「弁護士法」
- 法務省「性犯罪関係の法改正等Q&A」
- 大分県法規集データベース(大分県迷惑行為防止条例・青少年の健全な育成に関する条例・警察署の名称、位置及び管轄区域条例/内容現在 令和8年10月1日)
- 大分県警察「警察署の紹介」
- 大分県警察「留置施設での面会・差入れ」
- 大分県警察「問い合わせ・相談」
- 大分県警察「警察安全相談」
- 大分県警察「大分っ子フレンドリーサポートセンター」
- 大分県警察「犯罪統計書(令和7年分)」
- 大分県警察「犯罪統計書 令和7年 本編」
- 大分県警察「犯罪統計書 令和7年 統計表」
- 大分県警察「大分県の犯罪情勢(令和7年)」
- 大分県「おおいた性暴力救援センター・すみれ」案内資料
- 大分県「性暴力被害相談」資料
- 警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」
- 法務省「令和7年版犯罪白書」性犯罪 起訴・不起訴人員等の推移
- 裁判所「大分県内の管轄区域表」
- 大分地方裁判所「管内の裁判所の所在地」
- 福岡高等裁判所「管内の裁判所の所在地」
- 裁判所「全国の検察審査会一覧表」
- 裁判所「司法統計年報 刑事編(令和7年)」
- 大分地方検察庁「所在地・交通アクセス」
- 法務省「施設所在地及び面会受付時間一覧」
- 法務省「少年鑑別所一覧」
- 法務省「少年院一覧」
- 法務省「法務少年支援センター大分」
- 大分県弁護士会「刑事弁護センター(当番弁護士)」
- 大分県弁護士会「相談制度」
- 大分県弁護士会「相談の仕方」
- 大分県弁護士会「費用・扶助について」
- 日本弁護士連合会「弁護士白書」弁護士会別弁護士数(2025年3月31日現在)
- 日本弁護士連合会「大分県弁護士会の紹介」
- 法テラス「法テラス大分」
- 法テラス「法テラス大分 アクセス」
- 法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」
- 法テラス「国選弁護等関連業務」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
- 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約」
※本コンテンツは2026年10月22日時点で確認できた公表情報をもとに作成しています。不同意わいせつなどの件数は大分県警察「犯罪統計書(令和7年分・確定)」、身柄措置別の検挙人員と全国値は警察庁「犯罪統計資料」によります。人口10万人当たりの件数・全国順位・逮捕の割合・増減率・構成比は公表値から算出しました(人口は令和7年国勢調査の確報値1,076,353人)。処分の割合(令和6年)と保釈の人員(令和7年)は全国値です。大分県迷惑行為防止条例と青少年の健全な育成に関する条例の刑名は、令和7年大分県条例第3号(令和7年6月1日施行)による拘禁刑表記です。制度や窓口の情報は変更される場合があるため、利用前に各機関および法律事務所の公式情報をご確認ください。本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするもので、個別の事件についての法的助言ではありません。