【弁護士に聞いた!】ぼったくり居酒屋の違法性と正しい対処法

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公開日:2018.7.30
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【弁護士に聞いた!】ぼったくり居酒屋の違法性と正しい対処法

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客引きに案内され、ふらっと入った居酒屋でぼったくりの被害に遭ったことはありませんか?

 

 

質の低いサービスに対して、相当と思えない金額を請求されたら納得できませんよね。とはいえ、警察を呼び面倒事になるのも…と支払っている人も少なくないと思います。

 

この記事では、ぼったくり居酒屋の違法性や対処法などを弁護士に聞いてみました。

 

Q1:事前告知のない『週末料金』『サービス料』『席料』は拒否できる?

飲食店を利用する行為を法的に評価すると、店側は飲食サービスを提供し、利用客が同サービスに対価を支払うサービス契約と考えられます。

 

契約には契約締結自由の原則があり、契約当事者は契約を締結するかどうか自由に決定することができます

 

同原則に基づき、飲食店は飲食サービス提供契約を締結する前であれば、相手との契約締結(すなわち飲食提供サービスの提供)を拒否する権利が認められます。

 

注文後(契約成立後)にまったく事前説明のないチャージが請求された場合は、そのような支払いに合意していないとして支払いを拒否する余地はあるでしょう。

 

Q2:『1人〇品』は拒否できない?強制されたら罪に問える?

先ほど紹介したように、契約には契約締結自由の原則があります。店側が店舗利用に一定のルールを課している場合(1人2品以上注文が必要など)、店側はこれに従わない客の店舗利用を拒否できます

 

反対に、客側はそのルールに従うことを拒否して退店することも自由です

 

客は気に入らなければ店を出ればよいのであり、店が客に注文を『強要』するということは想定できません。

 

もし店が客の退店を実力で阻止して注文を強要するようなことがあれば、監禁罪、強要罪等が成立する余地はあるかと思われます。

 

Q3:ぼったくりは何罪なの?

現在、居酒屋のぼったくり被害を規制する法律はありません。都道府県によっては、『ぼったくり防止条例』を制定しています。しかし、この条例は、『性風俗営業』のみと限定されているため、居酒屋には適用されていません

 

状況や証拠によっては『詐欺罪』になる可能性もゼロではありません。詐欺罪になる状況とは、

 

  • 注文前に店員から具体的な料金を提示されていたにもかかわらず、支払い時の提示金額と違う
  • お通し代・席代・サービス代はいらないと店員から言われたのに、支払い時に支払わされた

 

という場合です。また、店員から言われた具体的な料金や、いらないと言った事実を証明できる証拠が重要になります。

 

まとめ|ぼったくりに遭った場合の正しい対処法

最後に、ぼったくりの被害に遭った場合の正しい対処法を弁護士に教えてもらいました。

 

<弁護士からのアドバイス>

① 注文前であればおかしいと感じた時点でただちに店を出ること。

② 注文後であれば、事前の説明と異なり代金額に合意していないことを告げて支払いを拒否すること。なお、店から『食い逃げ』などといいがかりをつけられる可能性があるので、合意の範囲内で料金を支払う意思を示し、身分を明かして後日協議すること。

③ 最悪支払う場合でも現金ではなくてクレジットカードで支払いを行い、後日、弁護士に相談すること(支払いを止めることができる場合があります)。

 

なお、①~③のいずれのケースでも証拠が最も大切なので、客引きとの会話を録音する、最初に提示されたメニュー表をスマホで撮影する、店員とのやり取りをスマホで録音するなどは有効とのこと。

せっかく楽しく飲みたいときに、ここまで気を使わないといけないなんて…。

面倒でも、入店前にお店の評判・口コミを調べたほうがよさそうですね…!ぼったくり居酒屋には近寄らないように自衛したいものです。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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