死刑執行当日の流れとは?意外と知らない死刑執行手順を解説!

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公開日:2018.7.14
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死刑執行当日の流れとは?意外と知らない死刑執行手順を解説!

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日本は、先進国の中でも死刑制度を導入している数少ない国の1つです。2018年7月には、オウム真理教元代表の死刑が執行され、大きな話題となりました。

 

2014年に、内閣府が発表した世論調査によると、死刑は廃止すべきと回答したのが約10%であったのに対し、死刑もやむを得ないと回答したのは約80%。一部では、『日本から死刑はなくならないだろう』と予想する声もあるようです。

 

しかし、『そもそも、どのような流れで死刑執行されるのか知らない』という方も少なくないでしょう。この記事では、死刑執行当日の流れについて解説します。

 

死刑に関する基本概要

死刑が確定した死刑囚は、拘置所内の死刑囚房に収監されます。

拘置所は日本全国で111ヶ所。そのうち独立してある拘置所は8ヶ所、刑務所・少年刑務所などと併設されている拘置支所は103ヶ所で、中には『ほぼ満員状態』というところもあるそうです。

 

死刑の執行方法は絞首刑(刑法第11条)で、死刑の執行時期は判決確定後6ヶ月以内に、法務大臣が命令するものと定められています(刑事訴訟法第475条)。

ただ、執行時期については、再審請求や法務大臣の判断などによって、6ヶ月を超えてから執行されるというケースもあるようです。

 

法務省は、拘置所内部に関する情報をあまり公表していません。しかし、東京拘置所については、過去に内部写真を一部公開しています。

 

東京拘置所の全体図としては、以下のような配置になっています。

 

 

引用元:知ってほしい刑罰のこと|日本弁護士連合会

 

死刑執行手順

拘置所によって、手続きに細部の違いがあることも考えられますが、死刑執行は以下のような流れで進められることがほとんどです。

 

出房

死刑執行当日、刑務官が死刑囚に出房する(部屋から出る)よう命じます。死刑囚は、いつ死刑執行されるか当日になるまで分かりません

 

前日に告知していたこともあったようですが、過去に告知を受けた死刑囚が自殺するという事件が発生したことがあったため、運用を変えたそうですが、真偽は不明です。死刑囚の精神安定のためにも、現在は行われていないそうです。

 

教誨室

最初に通される部屋が、教誨(きょうかい)室です。

教誨室では、所持品の処分方法について聞かれたのち、教誨師(※)と話をしたり、遺書を書いたり、お菓子を食べたりすることもできます。

 

 

 

※教誨師

受刑者に対して、道徳的教育をするなどして、改心に導く人のこと。

 

前室

次に通される部屋が、前室です。

前室は、死刑執行の『控えの間』のようなもので、執行室とはカーテンで区切られています。

 

ここでは、拘置所所長より正式に死刑執行の旨が伝えられます。そののち、死刑囚は目隠しと手錠がかけられ、カーテンが開いて執行室へと通されます。

 

 

 

執行室

最後に通される部屋が、執行室です。

室内中央に印付けされた踏板に立たされて、首にロープがかけられます。そして、複数の刑務官によって踏板開閉用のボタンが押され、死刑囚が落下。

 

以上で死刑執行が完了します。

 

引用元:「死刑・刑場写真」情報公開請求で入手|公益社団法人 自由人権協会

 

まとめ

教誨室や執行室などは、普段なかなか目にすることはありません。『今回初めて見た』という方も多いのではないでしょうか。

 

死刑制度については、賛成派と反対派とで議論が交わされることもありますが『どちらが正しいのか』という明確な答えを出すのは、非常に難しいところです。

 

この記事が、死刑制度に関する知識を深めるきっかけとなれば幸いです。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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