大声でネタバレを叫ぶのは犯罪か?弁護士に聞いてみた!

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公開日:2018.7.5  更新日:2023.6.6
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大声でネタバレを叫ぶのは犯罪か?弁護士に聞いてみた!

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とある月曜日の早朝、会社に行こうとしていたら…

 

 

「○○が死んだらしいぞー!!」

と、まだ結末までいきついていない読みかけのジャンプの内容を、知らない誰かが大声で叫んでいる。

 

仕事に忙殺される日々の中で、唯一幸せを感じられる瞬間。ジャンプとともに過ごすかけがえのない大切な時間を、まったく知らないアイツに奪われてしまった…。

 

 

「これはもはや、迷惑を超えて犯罪行為…。絶対にアイツを許さない…!」

ストーリーの展開を心から楽しみにしている人にとって、勝手にネタバレをされてしまうのはもはや犯罪行為に匹敵するほど、絶対に許せないことでしょう。

 

こちら側から聞いたならまだしも、勝手にバラされてしまうのは本当にあり得ないですよね。

 

実際に弁護士の先生に聞いてみた

このことについて、プラム綜合法律事務所の梅澤先生に質問してみました!

 

 

編集部

Q.不可抗力でネタバレをされた場合、罪に問うことはできますか?

 

梅澤康二 弁護士

そのようなケースでのネタバレを罪に問うことは一切できません

 

なんと…。

 

勝手にネタをばらしてきた相手が一切悪くないのだとすると、この怒りはいったいどこにぶつけたらいいのでしょうか…

 

こちら側が聞いてもないのにネタをばらされるのは、確かに頭に来ることではありますが、それが法律違反なのかというと、そういうことではないようです。

 

『マナー違反』と『法律違反』は、まったくの別物だということですね。

 

また、インターネット上にはたくさんのネタバレ記事が並んでいますが、こちらも不可抗力でのネタバレと同様に、一切罪には問われないようです。

 

 

このように、インターネット上にはたくさんのネタバレ記事が並んでいます。この記事を見るのはその人の自由でもあるので、罪には問われません。

 

 

ネタバレが違法になるラインとは?

不可抗力でのネタバレも、インターネット上のネタバレ記事も違法にならないとすると、そのラインはいったいどこにあるのでしょうか?

 

こちらについても、梅澤先生に伺ってみました!

 

梅澤康二 弁護士

ネタバレ記事内にアップロードした画像が著作権で保護されるものであれば、違法となる可能性はあります。 他方、書籍・漫画のストーリーを自分の言葉で表現する行為は違法ではなく、刑事はもちろん、民事の責任を問われることもありません。 書籍・漫画の公開で責任を問われるのは基本的には著作権を侵害した場合ですが、著作権で保護されるのは書籍・漫画の表現行為です(文章とか画像などの表現)。 ストーリーの内容は情報としての価値はあるかもしれませんが、その内容・アイデアには著作権はありません(著作権はあくまで著作物の表現それ自体を保護するものなので、表現の中身(内容)には保護は及びません)。

 

そもそもこういった記事は、その記事を書いた人の感想の一種であり、それを読んだからといってストーリーのすべてがわかるわけではありません。たとえ思いがけず目にしてしまい、結末がわかってしまったとしても、結末だけに作品の価値があるわけではありませんよね。

 

しかし、これがいわゆる『ネタバレ』の範疇を超え、著作権を侵害している場合、法律違反となることもあります。過去にはこのような事例もありました。

 

発売前の人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」などの画像データをインターネットサイトで公開したとして、熊本県警などは6日までに、著作権法違反の疑いで秋田市中通3丁目、ウェブデザイナー、堀田井良史容疑者(31)と沖縄県北谷町、自営業、上原暢容疑者(30)ら計5人を逮捕した。捜査当局は、広告費などで得た収入は少なくとも3億円以上とみている。

引用元:産経ニュース

 

著作権侵害が与える影響とは?

この事件では、発売前の漫画の作品情報をインターネット上に拡散したことが違法行為となり、逮捕に至りました。

 

この行為で問題視されているのは、発売前に画像データが無断転載されていること、そして自分たちのサイトに掲載し、多額の広告収入を得ていたという点です。※発売後であっても、適切な引用を除き漫画(著作物)の画像データをアップロードすることは著作権侵害となる場合があります。

 

ただ、著作権侵害とならないのであれば何をしてもよいということではないと思います。

 

まとめサイトやネタバレ記事を見てストーリーが分かってしまったら、あなたは実際に購入してみようと思うでしょうか? 「それでも絶対に買う!」という熱烈なファンも当然いますが、このようなネタバレ記事が販売数に影響することは少なからずあるはずです。そのため、公開後の情報であればともかく、公開前の情報をネタバレとして無断で公開してしまう行為はマナー的にはアウトだと思われます。

 

もちろん、いち早く情報を得たいというユーザーにとってみたら、ネタバレはありがたいことなのかもしれません。しかし、著者にとっては多額の損害を被るかもしれない迷惑な行為なのです。

 

まとめ

著作権侵害は絶対にやってはいけない行為ですが、著作権を侵害しない形でのネタバレ行為は責任を問われないということがわかりました。しかし、法的な責任を問われないから何をしてもよいということではありません。マナー違反行為はそれ自体恥ずべき行為でしょう。

 

ご自身もまた、周囲に人がいるときに大声で話して意図せず誰かにネタバレ爆弾を投下してしまうことのないよう注意しましょう。電車の中や書店、居酒屋の隣の席…あなたと同じようにその作品を愛し、発売や公開を楽しみにしている人がすぐ近くにいるかもしれません。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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