学校のいじめ問題。知っていて黙認した場合の責任は?

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公開日:2018.7.5
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学校のいじめ問題。知っていて黙認した場合の責任は?

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最近、いじめが大きなニュースとなっています。子供が仲間はずれにされる、嫌がらせを受けるなどのいじめ問題は昔から存在していましたが、最近ではネットいじめLINEいじめなどが多発し、深刻な問題となっています。

 

そのような手口は多くの人たちが目にしているはずで、よく議論されるのが『見ているだけ』でも罪になるのか?という点です。止めないことは『いじめを認めている』という解釈もできるからです。

 

いじめを見て見ぬふりは同罪?(生徒編)

「告げ口をすれば自分が次のターゲットにされてしまうかも…」という恐怖心から、止めたいけどその勇気がないという子供は多いはず。

 

『いじめを知っている』というだけでは何らかの法令に抵触することはありません。また、これを知りながらあえて何もしない行為も特に法令違反とはなりません。

 

これを超えて、いじめ目的での加害行為に参加したり、加害行為を行う者を積極的に煽って増長させたりした場合には違法または不法な行為として、刑事責任や民事責任を問われる可能性があります。

 

いじめを見て見ぬふりは同罪?(教師編)

小中高校での児童や生徒のいじめを防ぐため、いじめ防止対策推進法という法律があります。児童生徒がいじめを受けていると思われるときには、学校や教師は適切かつ迅速にこれに対処すべき(同法8条)、と義務を定めています。

 

担任教師がいじめの事実を知りながら、何の対応もしなかったどころか、問題意識さえ持っていなかったことが防止義務に違反していると指摘された事例があります。

 

したがって、教師がいじめを知りつつこれを放置した場合、この法令に違反するということはありえます。また、教師は生徒を適切に監督する義務を負っていますので、いじめを知りつつこれを放置していた場合、同義務違反を理由として民事責任を追及される可能性もあります。

 

まとめ

いじめについては、倫理的な責任と民事・刑事・行政の責任があります。

いじめを知りつつこれを放置しても、一定の場合や立場にない限り、民事・刑事・行政が責任を負うことはありません。しかし、このような行為は倫理的には許されません。倫理的な責任は問われることになるでしょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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