『借りパク』は横領罪!弁護士が教える正しい取り返し方

~いざという時の備えに~刑事事件マガジン

ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ) > 刑事事件マガジン > その他 > 『借りパク』は横領罪!弁護士が教える正しい取り返し方
キーワードからマガジンを探す
刑事事件マガジン
公開日:2018.7.6
その他 弁護士監修記事

『借りパク』は横領罪!弁護士が教える正しい取り返し方

何気なく貸したものが返ってこない…。このような経験をしたことがある人は少なくないでしょう。実際にマイナビが大学生406人を対象にこれまで“借りパク”された経験の有無を調査したところ…

 

(参考:貸したものを「借りパク」されたことがある大学生は約◯割! なにを取られた?|マイナビ)

 

40%の人は借りパクされた経験があることがわかりました。返してもらえないまま、忘れてしまうものもあるでしょう。しかし、「絶対許せない!」といつまでも頭の隅に残っているものもあると思います。

 

 

この記事では、借りパクを日本の法律にのっとって取り返す方法を弁護士に聞いてみました。どうしても、返してほしいものがある人はぜひ参考にしてみてください。

 

 

『借りパク』は横領罪!

多くの人が被害に遭っている『借りパク』ですが、これは横領罪に該当する可能性があります

 

極端な話ですが、たとえ100円もしない消しゴム1個でも、借りたものを相手に返さないで自分のものにしてしまえば、横領罪の構成要件に該当します。

 

 

弁護士が教える『借りパクされたもの』を取り返す方法

友人に借りパクされて、何回「返して!」って言っても返してくれないんです…。どうしても取り返したいのですが、方法はありますか?

プラム綜合法律事務所

 

相手が不法に占有するものを法律に則って取り返す方法は

①相手が任意に返却する

②民事訴訟等法的手続で返還を求める

 

以外にありません。自力で取り返す行為は自救行為といって違法です。2の手続きを行うにあたり、財物の所有権を主張する必要があります。

 

所有権は、当該財物に係る取得時効(※1)が完成しない限りは消滅しません。そのため、相手が善意者(財物が自分の物と信じていた場合)であれば10年、相手が悪意者(財物が自分の物ではないと知っている場合)であれば20年は返還請求が可能です。

 

ただし、相手が当該財物を第三者に譲渡し、第三者がこれを即時取得(※2)すれば、所有権は当然に相手に移転します。そのため、もはや返還を求めることはできません。

 

 

※1 取得時効

他人の財物を一定期間保持していた人に、その財物の所有権が移る制度(民法162条)。

※2 即時取得

正式な取引行為によって、財物(動産)を所有した人に過失や悪意がない場合は、即時にその財物を行使する権利を取得する(民法第192条)。

 

 

借りパクされたため再度購入した場合は費用を請求できる?

借りパクされてしまったため、仕方なく買い直した人も少なくないと思います。金額の程度にかかわらず、相手に費用を請求したいと思ってしまうのではないでしょうか。

 

実際に費用を請求できるのでしょうか?

 

プラム綜合法律事務所

任意の返却が期待できないことが客観的に明らかで、かつ当該物品の代替品を購入しなければならない理由がある場合であれば、費用の一部を請求することはあり得ると思います。

 

しかし、相手に渡した物品の時価額を超える請求は難しいと思います。そのため新品の購入代金全額の請求は難しいかもしれません。

 

当該請求は不法行為に基づく損害賠償請求であるため、時効は被害および加害者を知ったときから3年です。

 

 

まとめ|借りパクされたものは正攻法で相手から取り返そう!

いつまでたっても返してくれない相手にはストレスがたまるでしょう。また、丁寧に返却を求めても応じてくれないと、相手を脅すように返却を要求してしまうかもしれません。

 

 

相手に非があることは間違いありません。しかし、冒頭でもお伝えしたとおり、自力で取り返すのは違法行為です。また、脅迫や暴力が伴うとさらに大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。

 

どうしても返してほしい場合は、正攻法でいくことを強くおすすめします。

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

その他に関する新着マガジン

その他に関する人気のマガジン


その他マガジン一覧へ戻る
弁護士の方はこちら