あなたは知ってる?これまで適用されたことがない3つの罪名!
刑法では、殺人罪や詐欺罪など、さまざまな犯罪に関する構成要件や罰則が定められています。その中には、これまで1度も適用されたことがないと言われているものも存在します。
この記事では、2018年7月時点で、適用例がないとされている罪名を3つピックアップしてご紹介します。
適用例のない3つの罪名
過去に適用例がないとされているものは、外患誘致罪、出水危険罪、水防妨害罪などのようです(ただ、インターネット上の情報であるため、真偽はわかりません)。では、それぞれの中身や罰則などについてご紹介していきます。
外患誘致罪
外患誘致罪とは、外国と手を組んで日本に武力行使を誘発したり、武力行使されることを知った上で協力したりする犯罪行為です。法定刑は死刑のみ。死刑以外に罰則が設けられていない犯罪は、この外患誘致罪しかありません(刑法第81条)。
これまで外患誘致罪が適用されたことはないそうです。そもそも想定されるケースが特殊過ぎるので、今後も適用されるケースは考えにくいでしょうね。
出水危険罪
出水危険罪とは、出水させるような行為を行って公共に危険を及ぼす犯罪行為で、堤防や水門を破壊するなどした場合に成立する可能性があります。法定刑は2年以下の懲役か禁錮、または20万円以下の罰金です(刑法第123条)。
また、出水危険罪については抽象的危険犯(※)にあたるとして、たとえ他者に被害が生じていなかったとしても、刑法で規定されている行為に及び、構成要件を満たしていると判断されれば犯罪が成立する、という考えもあるようです。
ただ、本当に適用例・判例が存在しないのであれば、どの場合にどのような解釈がされるか、ということについて断言するのは難しいかもしれませんね。
※抽象的危険犯 |
実際には他者に具体的な危険などが生じていなかったとしても、その行為によって危険が生じるおそれがある場合には、犯罪とすること。 |
水防妨害罪
水防妨害罪とは、水害防止活動を妨害する犯罪行為で、法定刑は1年以上10年以下の懲役です(刑法第121条)。
河川の氾濫のような水害が起きている際、ゴムボートや土のうなどの水害防止用の道具を隠して発見を困難にしたり、破壊したりするなどした場合に成立する可能性があります。ちなみに、出水危険罪と同様、抽象的危険犯にあたるという考えもあるようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したものについては、いずれも現実的に発生する可能性は低い犯罪といえるかもしれません。しかし、刑法できちんと規定されており、特に外患誘致罪については死刑のみと、非常に重い罰則が設けられています。
この記事が、刑法に関する知識を深めるきっかけとなれば幸いです。
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