女性から男性への痴漢で罰せられる?罰則の内容と被害への予防策

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公開日:2018.7.11
痴漢 弁護士監修記事

女性から男性への痴漢で罰せられる?罰則の内容と被害への予防策

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男性への痴漢も取り締まられるようになった

過去の迷惑防止条例では、男性に対する痴漢行為は規制対象とされておらず、被害者が女性のケースしか犯罪として立件できなかったようです。

その後、鹿児島県をはじめ各都道府県で両性を等しく保護対象とするよう改正が進められ、現在は、全都道府県で男性・女性双方について痴漢行為は規制対象とされています。

 

女性も刑罰の対象に含まれる!

一般的に痴漢の加害者は男性をイメージすると思いますが、加害者が女性だった場合、刑罰の対象に含まれるのでしょうか?

 

第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

引用:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 - 東京都

 

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

引用:刑法176条

 

痴漢やわいせつ行為を罰する条例や刑法では、加害者は男性と限定していません

そのため女性のセクシャルな行為も罰則の対象に該当します

 

痴漢で科せられる罰則

痴漢は加害者、被害者の性別によらず、罰則が科せられることがわかりました。

痴漢の加害者にはどのような罰則が科されるのでしょうか。痴漢の内容・態様で成立する犯罪は異なりますが、想定される罰則は以下のとおりです。

 

  • 東京都迷惑防止条例:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 刑法176条(強制わいせつ罪):6ヶ月以上10年以上の懲役

 

男性による被害申告のリスク

数は少ないかもしれませんが、男性が女性に痴漢されるケースもあるかもしれません。

女性が男性に痴漢した場合も罰則の対象に含まれます。

 

しかし、女性を痴漢で訴えても、反対に女性から「そんなことやっていません。むしろ痴漢被害者は自分です」と逆に痴漢被害の申告をされてしまう可能性も絶対ないとは言い切れません。

このような場合、警察は当事者双方から話を聴いて慎重に捜査を進めますので、被害者であるはずの男性も、煩雑な取調べに対応する必要があると思われます。

 

もちろんこのようなリスクは被害者が女性の場合もあり得ますが、女性から男性への痴漢行為が多くはないという現状では、事実上のリスクは男性が被害者の場合の方が多いかもしれませんね。

 

まとめ

女性と比べて男性の痴漢被害者は、まだまだ周囲の理解が得づらい傾向にあります。

そのため痴漢に遭う心配がある方は、『防犯ブザーを身につける』『改札口付近の乗車口は避けるようにする』など被害の予防策を実施しましょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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