ちょっと借りただけでも窃盗罪?使用窃盗と窃盗罪の境界線とは

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公開日:2018.7.13  更新日:2021.4.27
その他 弁護士監修記事

ちょっと借りただけでも窃盗罪?使用窃盗と窃盗罪の境界線とは

返すことを前提に、他人の物を無許可でちょっと借りたことはありませんか。したことがなくても、『ちょっとかして!』と相手の許可なしに、物を借りる映画やアニメのシーンを見たことがあるかと思います。

他人が所持する物を、無断で自分の支配下に移す行為は『窃盗』です。しかし、他人の所持する物品を『ちょっと借りた』という場合、窃盗罪は成立するのでしょうか。

この記事では、勝手に自分の物を使用された場合、相手を罪に問えるのかなどを弁護士に聞いてみました。

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『ちょっと借りる』行為は窃盗罪にはならない?

結論からいうと、他人の所持する物を一時使用の目的で持ち去った場合、窃盗罪は成立しない可能性があります

 

例えば、暗い部屋に入るために、他人の机の上にあった懐中電灯を一時的に拝借し、使用後すぐにこれを返却した場合、窃盗罪にはならない可能性が高いといえます。

 

これは、窃盗罪の成立要件として、加害者に不法領得の意思、すなわち『他人の所有を排除して、物の効用を得ようとする意思』が必要だからです。

 

上記のような例では、物の効用を得ようとする意思はあるのですが、権利者を害することのない使用といえるでしょう。そのため、『他人の所有を排除する意思』がないと評価される可能性が高くなります

 

また、このような行為は『使用窃盗』と呼ばれ、罪に問われません。

 

『使用窃盗』と『窃盗罪』の境界線とは?

こちらが「ちょっと借りただけ、返すつもりだった!」と主張しても窃盗罪になることもありますよね。『使用窃盗』と『窃盗罪』の境界線はどこにありますか?

プラム綜合法律事務所

『使用窃盗』と『窃盗罪』の境界線は、不法領得の意思(他人の所有を排除して、物の効用を得ようとする意思)が認められるかどうかです。

不法領得の意思は、

 

  1. 排除意思
  2. 利用処分意思

 

の双方がそろって初めて認められます。

①は他人の所有を排除して所有者として振る舞う意思

②は目的物の経済的効用を得ようとする意思を意味します。

 

「ちょっと借りただけ」というような一時使用目的の場合は、①の意思の有無が問題となります。

 

①の意思は、簡単に言えば、所有者でなければできないような振る舞いをしている場合に認定されやすくなります。

先ほどの懐中電灯の例で言えば、

 

  • 懐中電灯を改造して使用
  • 懐中電灯を1週間以上使い続けた
  • 懐中電灯の使い方が荒っぽく壊してしまった

 

このようなことがあれば、該当し得ると考えます。使用の態様や期間などから、所有者として振る舞う意思が客観的に認定されるのであれば、たとえ主観的には『借りただけ』という認識でも、①の意思が認定されて窃盗罪が成立することになります。

 

なお、使用窃盗はいかなる場合でも不可罰(罪に問われない)です

 

まとめ

『ちょっと借りただけ』で窃盗罪に問われないためにも、他人の物はできるだけ大切に使用し、使用後はすぐに返却とお礼を欠かさないようにしましょう。

また、使用中に他人のものを壊してしまった場合、『器物損壊罪』に該当するかもしれません。相手からの信頼関係も壊れる可能性が高いので注意しましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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