練習中の格闘技の事故は違法じゃない!違法の可能性がある練習内容とは

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公開日:2018.7.30  更新日:2021.4.27
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練習中の格闘技の事故は違法じゃない!違法の可能性がある練習内容とは

格闘技はケガのリスクが高いスポーツです。そのため死亡事故につながるケースも少なからずありますが、練習中の死亡事故は法律で罰せられないのでしょうか?

スポーツで傷害を負わせても原則、犯罪ではない

まず、刑法では、正当な業務による行為(正当行為)は罰しないと規定しています。

 

(正当行為)

第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

引用:刑法35条

 

格闘技などのスポーツ中の行為も、正当行為に含まれるため、ルールを守って行われている以上、相手にケガを負わせても暴行罪や傷害罪は適用されません。

 

練習方法や内容によっては正当行為とは認められない

しかし、格闘技は上下関係の厳しい世界です。先輩から不要に厳しい練習を強いられたために、死亡してしまうという痛ましい事故もあります。死亡事故が発生した場合、正当行為かどうかは、練習の内容が、そのスポーツの練習としてふさわしいものだったかどうかで判断するようです。

 

有罪が認められたケース①

過去の裁判では、日本拳法の部活動の部員が、練習中に退部を申し出た部員を死亡させたために、有罪判決を受けた事例があります。この裁判では、

 

  • 被害者は退部を申し出ていた←練習をする意思がなかった
  • 被害者が入部間もない初心者なのに、加害者が日本拳法の有段者であり、双方に能力差があった←練習内容が不適切であった
  • 防具や面など初心者向けのモノが使用されていなかった←練習内容が不適切であった

 

などの理由から、裁判所は正当行為が認められないと判断しました。

引用元

  • 裁判年月日:平成 4年 7月20日
  • 裁判所名:大阪地裁
  • 裁判区分:判決
  • 事件番号:平3(わ)2575号
  • 事件名:傷害致死被告事件
  • 裁判結果:有罪
  • 文献番号:1992WLJPCA07200008

 

有罪が認められたケース②

また上記の判例以外にも、公園でボクシングの練習をしていたところ、練習相手を死なせてしまったため、大阪市の男性が逮捕された事件があります。亡くなった方は加害者の友人でしたが、格闘技の初心者でダイエットのために加害者の練習に参加したそうです。

 

相手が格闘技の初心者であったことを踏まえ、練習で行われた打撃の内容は不適切であったと判断され傷害致死罪として立件されたようです。

 

参考:「顔面に左ストレート「私のパンチで致命傷、間違いない」 公園でスパーリング、男性死亡 大阪|産経west」

 

まとめ

格闘技の練習中・試合中の事故は、ルールを守った上で発生したものであれば、罰せられることはほとんどありません。しかし、ルールを逸脱した場合には犯罪となるケースもあるようです。格闘技はケガが伴うスポーツですが、最悪のケースを防ぐためにも、安全への配慮を十分してほしいものです。

 

特に、ベテラン選手が初心者を相手にするときなどは、細心の注意を払うべきでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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