【絶対許さん!!】他人が勝手にデータを消去することは違法?

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公開日:2018.7.15
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【絶対許さん!!】他人が勝手にデータを消去することは違法?

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やり込んできたゲームのデータを勝手に消されてしまった…。ゲーム好きの人は、人生で一度くらいは経験したことがあるのではないでしょうか。

 

愛着を持っていたり、長い時間をかけてプレイしたものだったりした場合、故意でなかったとしても、データを消した相手を許せるものではないでしょう。

 

 

よくある行為ではありますが、場合によっては『不正アクセス禁止法』として刑事責任を問われることがあるかもしれません。気になる方はこの記事を参照してみてください。

 

オンラインゲーム上のアカウントにアクセスする行為

不正アクセス禁止法は、2000年に施行された法律で、ネットなどの電気通信にかかわる秩序の維持と、健全な発展を目的としています。

 

この不正アクセス禁止法では、他人のパソコンなど、ネット通信が可能な電子機器への許可なしでのアクセスが禁止されています。また、アクセスするためのIDやパスワードを許可なく取得・保管・入力することも禁止です

 

もし、これらに違反した場合、以下のような罰則が考えられます。

 

不正アクセス禁止法

違法行為

罰則

他人のパソコンやケータイを勝手に操作する

3年以下の懲役または100万円以下の罰金

アクセスするためのIDやパスワードを許可なく取得・保管・入力する

1年以下の懲役または50万円以下の罰金

 

オンラインゲームなどで、プレイにログインIDやログインパスワードが必要となるような場合であれば要注意です。

 

他人が不正にIDやパスを入手してアカウントにアクセスすれば、その後ゲームデータを消去したかどうかにかかわらず不正アクセス禁止法違反で処罰される可能性があります

 

昔ながらのテレビゲーム機や携帯型ゲーム機のデータを消す行為

この前、ずっと進めていたゲームのデータを家族に消されてしまいました!!

オンラインゲームではなく携帯ゲーム機なのですが、ゆるせません!何か罪に問うことはできませんか?

プラム綜合法律事務所

テレビゲームのデータを保護する法令はありませんので、データを消去する行為は何の罪にも問われません

機器ごと破壊された場合は『器物損壊罪』

データを消された人のなかには、機器ごと壊機器を破壊された人もいるのではないでしょうか。この行為は故意に行われたものであれば刑法第261条器物損壊罪に該当します。

 

罰則は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

 

なお、民事的な賠償として金銭を請求する場合、破壊時の時価以上の請求は困難です。また、ゲームデータを金銭換算して損害を上乗せすることも困難と思われます。

 

ゲームに生活のすべてを注いでおり、これまで多額の時間と費用を注いできたのに、データを消去されて復元が不可能となってしまった。その結果、生きる意味を失ったというような極めて極端なケースであれば、ごくごく少額の慰謝料を請求可能な場合もゼロではないと思われます。

 

しかし、このようなケースでも慰謝料が請求できるかは不確実です。したがって、慰謝料の請求はできないものと考えたほうが無難でしょう。

 

まとめ|セーブ前に電源を切られたら対抗できない…

ちなみに、セーブ前に電源を切られ、データを消された人もいるのではないでしょうか。この場合、相手の責任を問うことは、法律上は不可能です。

 

勝手にゲームのデータを消されないためにも、あまり没頭しすぎないことをおすすめします。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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