「お腹が痛くて…」を理由に男性が女子トイレを使うのは違法!?男女逆の場合は?

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公開日:2018.7.12
ニュース 弁護士監修記事

「お腹が痛くて…」を理由に男性が女子トイレを使うのは違法!?男女逆の場合は?

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突然の腹痛。ようやく見つけたトイレの個室が全部埋まっている…!

 

こんな悲劇的な状況、想像しただけでもふるえてしまいますよね。

 

こんなとき、『お腹が痛くて』といういかにも正当そうな理由で男性が女性用トイレを使うのは、果たして許されるのでしょうか?

 

また、女性が男性用トイレを使う場合でも、同じように扱われるのでしょうか?

 

この記事で解説していきます。

 

問われる可能性のある罪

いくらお腹が痛かったとはいえ、男性が女性用トイレを使うのは、罪に問われる可能性のある行為です。その1つは、『建造物侵入罪』

 

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法130条

 

『お腹が痛かった』という理由はこれが真実であれば正当な理由といえそうです。そのため、このような緊急の場合はこの罪にはあたらない可能性が高いといえます。

 

話はそれますが『迷惑防止条例違反』というものがあります。

 

この条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活 の平穏を保持することを目的とする。

引用元:警視庁

 

迷惑防止条例とは、各地方自治体によって制定されているもので、公衆に著しく迷惑をかける行為のことをいいます。ありがちなのが、盗撮、つきまとい、しつこい連絡などです。

 

群馬県警沼田署は10日、県施設の更衣室に小型カメラを置いて盗撮したとして、県迷惑防止条例違反などの疑いで、県課長補佐、高橋誠一容疑者(60)=同県渋川市半田=を逮捕した。同署によると、容疑を認めている。

引用元:産経ニュース

 

実際にこのような事件も発生しています。

 

女性用トイレを使用するに当たって盗撮行為をしていれば、当然、上記迷惑防止条例違反に該当しますね。この場合、お腹が痛いなどという理由はまったく通用しません。

 

 

さて、建造物侵入の点に話を戻します。結局は、侵入する行為に正当な理由があったかどうかがポイントとなることは上記のとおりです。

 

大学の女子トイレに侵入したとして、兵庫県宝塚市の男性が11月上旬、建造物侵入の疑いで兵庫県警に逮捕された。男性は「女子トイレに入ったのは間違いない」としながらも「お腹が痛かった」「男子トイレが空いていなかった」と供述しているという。

引用元:ORICONニュース

 

このような実例もありました。逮捕された男性は、「お腹が痛かった」と供述しています。本当に腹痛が理由であれば、正当な理由があるとして、逮捕はされないでしょうし、万が一逮捕されても勾留や起訴はされないでしょう。

 

しかし、この事例ではどうやら男性は1時間50分ものあいだトイレにこもっていたようです。そのため、客観的に見て用足し目的とは認め難い状況だったことで逮捕まで至ったのではないかと推察されます。要するに正当な理由は本人が主張するだけではダメで、客観的にこれが認められる必要があるということですね。

 

女性の場合は許されることが多い?

男性が女性用トイレを正当な理由なく使用するのは罪に問われる可能性がありますが、女性が男性用トイレを使用するのはどうなのでしょうか?

 

結論から言えば、たとえ女性であっても、男性用トイレを正当な理由なく使用することは男性と同様に、建造物侵入罪に問われる可能性があります。

 

そして、男性の場合と同様、用足しのためにやむを得ない場合であれば、正当な理由があるとして犯罪は成立しないと考えられます。

 

まとめ

異性のトイレを使用する行為は、犯罪とならない場合も十分にあります。しかし、トラブルのもととなりますので、極力控えるべきですね。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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