反則金たったの9000円…無事故なら高速道路逆走の罪は軽いという意識は危険

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公開日:2018.7.10  更新日:2024.7.29
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反則金たったの9000円…無事故なら高速道路逆走の罪は軽いという意識は危険

交通の流れに沿って普通に運転をしていれば、逆走なんて通常ありえません。しかし、国土交通省が公表するデータによると、毎年200件以上も逆走が検挙されています…。

 

【参考】逆走事案のデータ分析-国土交通省

 

最近ではニュースでも、高速道路での逆走が報じられます。運転者じゃなくてもわかる、非常に危険な行為ですが、一体どのような罰則が設けられているのでしょうか。

 

この記事では、高速道路で逆走をした運転者には、どのような罰則が科されるのかご紹介します。

 

 

高速道路逆走の罰則は9,000円の反則金と…

高速道路での逆走は『通行区分違反』という違反に該当して、9,000円の反則金』と『違反点数2点』もしくは『3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金』の罰則が科されます。この罰則は高速道路だけでなく、一般道路の逆走も同様です。

 

「なぜこんなに罪が軽いの?」と不思議に思いますよね。それは通行区分違反が高速道路の逆走だけを取り締まるものではないからです。通行区分違反は、歩道横断時の一時停止違反や通行禁止場所への侵入など、色々な状況で適用されています。

 

高速道路の逆走は相当な危険行為ですが、それ自体を罰する法律がありません。そのため、行為と反して罰則は非常に軽くなっているのが現状です…。

 

もっとも、反則金9,000円程度だからリスクが低い、やっても大した罪ではないからよいということでは決してありません。

 

 

逆走中に事故を起こすと罰則はさらに重くなる

逆走で事故を起こすと『通行区分違反』ではなく『自動車運転過失致死罪』に該当し、場合によってはさらに重い『危険運転致死罪』に該当する可能性があります。

 

前者が成立する場合は7年以下の懲役または100万円以下の罰金』の罰則が適用され、後者が成立する場合は1年以上(20年以下)の有期懲役』被害者が負傷した場合には『15年以下の懲役』と非常に重い罰則が科されます。

 

また、『危険運転致死罪』の場合、上記の罰則だけでなく極めて高い違反点数が加算されるので免許取消は避けられません。

 

なお、事故の過失割合も逆走車が全責任を負う『10:0』になるのが通常です(※逆走車を早期発見できたにもかかわらず回避措置を取らなかった場合は、被害者側にも少なからず過失が問われるケースもある)。

 

 

逆走が過失なら事故の罰則は軽いという認識は危険

高齢社会のなか、認知症を患っていた運転手が逆走する場合も考えられます。これも仕方がないと片付けることはできません。例えば、運転者の認知症が重度で責任能力がないと判断される場合には、運転者の家族(監督者)が責任を問われる可能性もあります。

 

逆走は事故発生率が高い非常に危険な運転です。絶対に引き起こすことがないよう、高速道路では特に細心の注意を払って運転をしましょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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