マイナスドライバーを車に積むとまさかの逮捕!?車に積んではいけないアイテム

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公開日:2018.7.18
道交法違反 弁護士監修記事

マイナスドライバーを車に積むとまさかの逮捕!?車に積んではいけないアイテム

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運転者の中には、「いざというときのために、マイナスドライバーやドリルなどの工具を車に積んでいる」という方もいるでしょう。

 

しかし、正当な理由なく車に工具を積んでいた場合、逮捕されることがあるということをご存知ですか?

 

「ナイフやカッターならともかく、マイナスドライバーを積んでいるだけで逮捕されるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実際に、マイナスドライバーを積んでいて逮捕されたケースもあります。

 

この記事では、車に積むと逮捕される可能性のあるアイテムについて解説します。

 

マイナスドライバー・バール・ドリルは『指定侵入工具』になる可能性

マイナスドライバーのような工具は、ピッキングや車上荒らしなど、本来の用途とは違う目的で使われることもあります。そのため、正当な理由なく携帯していた場合、『犯罪に使うために持っているのではないか』と、疑われる可能性もゼロではありません。

 

法律上は、マイナスドライバーやバール、ドリルなどは指定侵入工具に該当し、正当な理由なく携帯することは禁止されています。

 

指定侵入工具は、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行令で細かく定義されており、マイナスドライバーについては、以下のように定められています。

 

  • 先端が平面で、全幅が0.5cm以上
  • 全長(柄の長さ含む)が15cm以上

参考元:特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行令第2条

 

ほかにも、ハサミ懐中電灯ニッパーホイールレンチなども取り締まり対象となる可能性があります。また、車内にマイナスドライバーを積んでいたことで、実際に逮捕された事件の判例もあります。

 

<判例>

2004年に東京都にて、被告人が指定侵入工具にあたるマイナスドライバーとカッターナイフを、正当な理由なく車内に隠して携帯したとして、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反および銃砲刀剣類所持等取締法違反などの容疑で逮捕された事件。裁判所は「正当な理由なく携帯していたことは明らか」として、被告人に対し、懲役10ヶ月および執行猶予3年との判決を下しました。

参考元:2004年東京地裁の判決|文献番号2004WLJPCA05250003

 

罰せられる可能性のある法律

指定侵入工具を車に積んでいた場合、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律や、軽犯罪法などで罰せられる可能性があります。

 

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律では、『業務など正当な理由なく、指定侵入工具を隠して携帯してはならない』と定めており、法定刑は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金です(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第4条、16条)。

 

軽犯罪法では『正当な理由なく、ガラス切りやのみなど、建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯してはならない』と定めており、法定刑は1日以上30日未満の拘留または1,000円以上1万円未満の科料です(軽犯罪法第1条)。

 

まとめ

マイナスドライバーなどの工具の携帯については、『どのような目的で携帯しているのか』、『所持者は現在どのような状況にあるのか』など、さまざまな要素から違法性の有無が総合的に判断されます。しかし、どこまでが『所持するだけの正当な理由』と判断されるのか、線引きは難しいところです。

 

今回ご紹介したものに限らず、車に工具を積む際は注意し、不用意な積載は避けた方がよいでしょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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