自転車で歩道を走るのは違法?法律上の正しいルールとトラブルを回避するための心得

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公開日:2018.7.15  更新日:2022.8.18
道交法違反 弁護士監修記事

自転車で歩道を走るのは違法?法律上の正しいルールとトラブルを回避するための心得

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街を歩いていると、当たり前のように歩道を通行する自転車を見かけることがあります。

しかし、自転車の歩道の通行は道路交通法違反であり、禁止されています。

3ヵ月以下の懲役や5万円以下の罰金を科せられる可能性もある行為です。

自転車は原則的に車道か自転車道を通行しなければなりません。

自転車が歩道を走る行為は大変危険です。

交通ルールを理解しないまま、注意も払わずに走っていると、歩行者との事故を起こしかねません。

歩道で事故を起こせば、通行を禁じられている自転車側に非があるとされるため、罰則に加えて賠償金を請求される可能性もあるでしょう。

もし歩行者に重症を負わせてしまったら「交通ルールを知らなかった」では済まされません。

自転車で歩道を走っていて注意されたら、交通ルールを改めて見直す必要があります。

この記事で、普通自転車の通行に関する正しい交通ルールを理解し、安全に走行するようにしましょう。

自転車は普通自転車とそれ以外に分けられる

自転車は「普通自転車」と「それ以外の自転車」に分けられ、どちらに該当するかによって適用されるルールが異なります。

私たちが一般的に思い浮かべる「自転車」とは、法律的な呼び方をすると「普通自転車」に該当します。

普通自転車の定義については、道路交通法第63条の3の条文中にあるとおり、「車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両をけん引していないもの」をいいます。

この条文中の「内閣府令で定める基準」とは以下のような内容です。

(普通自転車の大きさ等)
第九条の二の二 法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。
 イ 長さ 百九十センチメートル
 ロ 幅 六十センチメートル

二 車体の構造は、次に掲げるものであること。
 イ 四輪以下の自転車であること。
 ロ 側車を付していないこと。
 ハ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。)を備えていないこと。
 ニ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
 ホ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。

引用元:道路交通法施行規則(昭和三十五年総理府令第六十号)|e-Gov 法令検索

つまり、一般的に自転車屋で販売されている、電動アシスト自転車を含めた自転車が「普通自転車」に該当すると解されます。

一方、ハンドルが60cmを超えるマウンテンバイクや、複数のサドルやペダルといった乗車装置が備わり、複数人で前後に並んで乗るタンデム自転車は上記「内閣府令で定める基準」から外れるため、「普通自転車」ではありません。

この記事では、「普通自転車」の交通ルールについて解説していきます。

普通自転車は原則として車道か自転車道を通行しなければならない

普通自転車に乗った人が、歩道を走行するのは道路交通法違反です。

原則として車道か自転車道を通行しなければなりません。

普通自転車の通行については、道路交通法第63条の3で以下のように定められています。

第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。

引用元:道路交通法|e-Gov法令検索

普通自転車が通行すべき道路とルール

普通自転車が通行すべきとされている道路でも、それぞれ原則的に遵守すべきルールがあります。

以下で詳しく解説していきます。

車道の左側

普通自転車が車道を走行する場合は、原則として車道の左側を走行しなければなりません。

右側通行や逆走は禁止

車道の右側を通行したり、車と逆走したりしてはいけません。

車との接触によって怪我をするリスクが高く、非常に危険だからです。

車両通行帯

車両通行帯が設けられている道路では、通行帯に沿って走行しましょう。

車両通行帯とは、「車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分」(道路交通法第2条7)であり、自転車が走行するために区切られたエリアのことです。

安全のためにもエリアを守って走りましょう。

自転車道

自転車道とは「自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分」(道路交通法第2条3の3)であり、緑石線や柵によって車道と区切られたエリアのことをいいます。

普通自転車は、自転車道がある場合には原則として自転車道を通行しなければなりません(道路交通法第63条の3)。

なお、この場合も原則として左側を走らなければなりません。

路側帯

普通自転車は路側帯も通行できます。

路側帯とは、道路の左側に設けられた歩行者用の通行スペースです。

ただし、自転車は歩行者の妨げとならないよう、スピードや走行方法に十分注意する必要があります。

普通自転車が例外的に歩道の通行を認められるケース

前述のとおり、普通自転車は原則として車道か自転車道を走行しなければなりませんが、次に紹介するようなケースでは例外として歩道の通行が認められています。

ただし、以下の点を必ず守りましょう。

  • 歩道の中央から車道よりの部分を走行する
  • 歩行者の通行の妨げとなるときは、一時停止する

これらのルールを遵守しなければ、たとえ歩道の通行が認められるケースであっても、2万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

道路標識等で自転車の通行が認められている場合

「普通自転車通行可」の道路標識があれば、歩道であっても普通自転車が通行できます。確認のうえ、走行するようにしましょう。

自転車の運転者が子どもや高齢者、身体に障害がある場合

13歳未満の児童や幼児、70歳以上の高齢者や身体に障害がある方が普通自転車を運転する場合は、歩道を通行してもかまいません。

しかし、その場合でも歩行者の妨げにならないよう、十分注意して運転する必要があります。

道路状況から歩道の通行がやむを得ないと判断される場合

以下のような道路状況であれば、車道の左側の通行が困難であるため、歩道の通行が認められます。

  • 路上駐車をしている車両が多く、車道の左側を通行できない
  • 車道の左側が道路工事中で通行できない
  • 自動車の交通量が多かったり、車道の幅が狭かったりなど自動車と接触する危険性が高い

普通自転車が歩道を通行した場合に科される罰則

普通自転車の歩道の通行は、法律違反です。そのため違反すれば、罰金などの罰則が科せられます。

普通自転車が守るべきルールは多くありますが、ここでは歩道を通行した際の罰則について紹介します。

理由なく歩道を通行すれば罰金が科せられる

例外にあたる理由もないのに普通自転車が歩道を通行すれば、道路交通法第63条の3に違反することとなり、3ヵ月以下の懲役、または5万円以下の罰金を科せられます。

自転車は法律上、原則として車道か自転車道を通行せねばなりません。そのため、歩道を自転車で走っていて捕まったら、罰則が科せられると理解しておきましょう。

歩行者の通行を妨げた場合の罰金や科料

普通自転車が歩道で歩行者の通行を妨げた場合は、道路交通法第63条の4の2項の違反にあたり、2万円以下の罰金や科料を科せられます。

やむを得ない理由で歩道を走行するとしても、歩行者の通行を妨げないように、自転車側が一時停止をしなければなりません。

十分な幅のない歩道で歩行者とすれ違うときや、歩行者が横断するときには、必ず一度止まりましょう。

歩道で普通自転車と歩行者が事故になったら過失割合は自転車が100

歩道で普通自転車と歩行者が事故を起こしてしまったら、ほとんどの場合は自転車側に非があると判断されます。

歩行者に信義則違反がない限り、過失相殺は考えられません。

過去の裁判例においても、ほとんどのケースで歩行者に過失はなく、自転車の過失割合が100と判断されています。

普通自転車の歩道の通行は原則として禁止されているうえ、例外的に歩道の通行が認められる場合でも、極力歩行者に注意を払って徐行運転をしなければならないとみなされるためです。

自転車と歩行者の進行方向が同じであれば、自転車が歩行者に追突したとみなされますし、正面衝突をしたなら、自転車が一時停止の義務に違反したと考えられるでしょう。

立っていた歩行者が急に動いて事故となった場合でも、自転車がよく注意していれば防げた事故であるとされます。

歩道は歩行者のためのものであり、事故を起こせば、自転車が歩行者への注意義務を怠ったと考えられるのです。

自転車が歩道で事故を起こし高額賠償となった事例

普通自転車が歩道で起こした事故によって、歩行者が死亡してしまったり、負傷によって重度の障害が残ったりした場合には、1,000万円以上の高額な賠償金の支払いを求められるケースもあります。

過去に普通自転車が歩道で事故を起こし、高額賠償が認められた判例としては次のようなものがあります。

【平成19年7月 大阪地裁での判例】
夜間に無灯火で歩道を通行した自転車が歩行者と正面衝突し、歩行者を死亡させた。裁判所は遺族に対する3,000万円の賠償金の支払いを認めた。

【平成23年11月 さいたま地裁での判例】
自転車で歩道を通行していた女性が、路地から歩いて出てきた歩行者と衝突し、骨折させた。裁判所は歩行者に対する1,706万円の賠償金の支払いを認めた。

引用元:自転車事故による高額賠償事例

普通自転車が十分な注意を払わずに歩道を走行することが、いかに危険で重大な責任を負う可能性があるかがおわかりいただけるのではないでしょうか。

普通自転車の交通ルールについてよくある質問

他にも普通自転車には守るべき交通ルールが多くあります。

しかし、正しいルールをなかなか知る機会がなく、まだまだ疑問が残るという方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、普通自転車の交通ルールについて、よくある質問とその回答を紹介します。

歩行者がいなければ、自転車で歩道を通行してもいい?

いけません。たとえ歩道に歩行者がいなかったとしても、基本的に車道か自転車道を通行するべきです。

道路標識で指定されていたり、自転車の運転者が児童や幼児、高齢者であったりする場合などは歩道を走ってもかまいませんが、いつ歩行者が来るかわからないのでくれぐれも注意を払いましょう。

軽車両である自転車は、たとえ歩道を通行していても車両用の信号機に従うべき?

歩行者用の信号機に従ってください。

ただし、車道を通行している場合は設置されている信号機によって次のように異なります。

【車道通行中に従うべき信号機】

  • 歩行者自転車専用信号機が設置されている:歩行者自転車専用信号機に従う
  • 歩行者用信号機と車両用信号機が設置されている:車両用信号機に従う

雨の日に傘を差しながら自転車に乗っている人を見かけますが、あれは違反ではないの?

問題ありです。

道路交通法では、車両等の運転者は「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」を守らなければならないとしており(道路交通法第71条6号)、これを受けて各都道府県の公安委員会は自転車の傘さし運連に関する規程を設け、これを禁止しています。

雨の日の傘さし運転は危険ですので控えるようにしてください。

歩行者がいて歩道を走りにくいときは、ベルを鳴らして歩行者によけてもらってもいい?

いけません。

自転車が歩行者に対してベルを鳴らしてよいのは、危険を防止するため、やむをえない場合に限られます。

最後に|トラブルを回避するためにも自転車で歩道を走らないこと

普通自転車は、車道か自転車道を通行するのが原則です。

普通自転車の通行を認める道路標識がある場合や、運転者が子どもや高齢者である場合などの例外もありますが、歩道を走ることは原則的に認められていません。

理由なく自転車で歩道を通行することは危険だからです。

自転車で歩道を走り事故を起こせば、歩行者に重傷を負わせたり、最悪の場合は死に至らせたりする可能性もあります。

やむを得ず、歩道を走る場合でも、歩行者に細心の注意を払って通行すべきです。

自転車に乗る際は、必ず交通ルールを守り、安全に運転するよう心掛けましょう。

この記事の監修者
当社在籍弁護士
弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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