被害者なのに罰金!?交通事故が発生したらどんなに急いでいても警察への報告は必須

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公開日:2018.7.12
道交法違反 弁護士監修記事

被害者なのに罰金!?交通事故が発生したらどんなに急いでいても警察への報告は必須

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どうしても遅れられない用事ってありますよね。「事故っても絶対に行く…!」と固い決意のもと車で出かけたら、本当に事故に巻き込まれ、被害者になってしまったら…?

 

少しこすった、へこんだ程度であれば、「後で請求するから今は行かせてほしい」と思ってしまうかもしれません。

 

しかし、交通事故が起こった場合、警察への報告が義務づけられており、違反すると被害者でも刑事罰の対象になってしまいます

 

この記事では、事故が起こったにもかかわらず警察に報告せず去ってしまった場合の罰則や、罰則以外で考えられるデメリットについて弁護士に聞いてみました。

 

事故発生時は警察へ!警察への報告義務とは

交通事故が発生した場合、被害の程度に関係なく、ただちに車両を停止して警察に報告する義務があります。また、当事者は警察が到着するまで現場を離れることはできません

 

これらは、道路交通法第72条によって定められています。大したことないと思っても事故は事故。警察を待たずに先を急いではいけないのです。

 

 

道路交通法第72条を違反した場合の罰則

先ほど紹介した、道交法72条には以下のような罰則が設けられています。

 

道路交通法第72条を違反した場合の罰則

違反内容

罰則

交通事故が発生したのに、これを報告しなかった

3ヶ月以下の懲役刑または5万円以下の罰金刑

交通事故を報告したが、警察から待機命を無視して無断で立ち去った

5万円以下の罰金

交通事故発生後に負傷した被害者の救護等の措置を講じなかった

  • 加害者:10年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑
  • 加害者以外:1年以下の懲役または10万円以下の罰金刑

 

守らなかった場合に罰則以外で考えられるデメリット

警察に報告しなかったり、警察の到着を待たずに行ってしまったりした場合、罰則以外にもデメリットはありますか?

プラム綜合法律事務所 梅澤先生

当てられた側(軽微な物損事故を想定しています)が警察に報告しないことによるリスクとしては、事故証明書が発行されないことです

 

これにより事故の事実を証明できず、加害者保険会社や契約保険会社の保険適用を受けられないことが考えられます。

 

また、後日、加害者側から「事故のことなど知らない」とシラを切られた際に、事故証明書がないことで事故の事実を証明できず、加害者本人にも補償を求めることができないということも考えられます。

 

 

まとめ

名刺交換だけでその場を済ませ、警察を呼ばないと保険が適用されない上に、加害者に修理費を請求しても、支払ってもらえない可能性があるようです。加害者が支払いを拒否しているにもかかわらず、請求してしまうと恐喝罪などに該当してしまう可能性があります。

 

被害者のはずなのに、いつの間にか加害者に…。なんてことも絶対にないとはいえません。後々のトラブルを回避するためにも、必ず警察に通報し、急いでいてもその場で待機するようにしましょう。

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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