示談交渉の無料相談は弁護士がおすすめ|弁護士の探し方やメリットも解説
示談交渉といえば交通事故をイメージしがちですが、親族や夫婦間のトラブル、労働問題や刑事事件でも示談交渉が必要になる場面があります。
示談は当事者同士の合意によって成立するため、相手と和解できる可能性も十分ありますが、以下のような不安や疑問もあるでしょう。
- 弁護士に無料相談できる窓口はある?
- 相手が示談に応じてくれないかもしれない
- 示談交渉では何を話し合うの?
- 示談金はいくらになる?
- 弁護士に示談交渉を依頼するといくら費用がかかる?
示談交渉が必要になるケースでは、すでに相手と対立関係になっているため、自分で対応すると失敗する可能性が高くなります。
示談交渉には専門知識や交渉力も必要になるので、弁護士への相談・依頼が最善策になるでしょう。
ここでは、弁護士に無料相談できる窓口や、示談交渉を依頼するメリットをわかりやすく解説しています。
示談交渉の無料相談先は弁護士がおすすめ
示談交渉には専門知識や経験値、交渉力が必要になるため、第三者に依頼するときは弁護士をおすすめします。
司法書士や行政書士も法律の専門家ですが、司法書士が関与できる紛争解決は限定されており、行政書士の場合は刑事・民事ともに紛争解決にタッチできません。
弁護士の法律相談料は初回分が無料になるケースが多いので、トラブル解決に悩んでいる方はまず相談だけでもしてみましょう。
示談交渉の無料相談ができる弁護士の探し方
弁護士に示談交渉の無料相談をしたいときは、以下の相談窓口を利用してください。
それぞれ特徴があるので、自分に合った窓口をみつけておきましょう。
市区町村の法律相談
各市区町村では定期的に無料相談を実施しており、弁護士や司法書士が法律相談に乗ってくれます。
相談日や時間帯、予約の有無は市区町村ごとにまちまちなので、自治体ホームページや定期刊行物で確認してみましょう。
相談場所は役場の庁舎内または役場近くの公共施設などが多く、電車やバスでアクセスしやすいので、車を運転しない方でも気軽に利用できます。
ただし、相談しか受け付けていないためその場で示談交渉の依頼はできません。
また、市区町村の法律相談は民事のみに限定されており、刑事事件の相談はできないので注意しましょう。
法テラス
法テラスの法律相談を利用すると弁護士を紹介してもらえるので、示談交渉の依頼も可能です。
経済的に余裕がない方は民事法律扶助制度を利用できるので、収入や資産要件を満たすと30分程度の法律相談が3回まで無料となり、弁護士費用の立替払いにも応じてもらえます。
ただし、「○○に詳しい弁護士を紹介してください」といったリクエストには応じてもらえず、民事しか扱っていないので刑事事件の相談はできません。
弁護士を選びたい方や刑事事件の示談交渉を依頼したい方は、法律事務所を探して直接連絡したほうがよいでしょう。
【参考】法テラス
日弁連の法律相談センター
日本弁護士連合会では各都道府県に法律相談センターを設置しており、示談交渉を依頼できる弁護士を紹介してくれます。
相談料は基本的に有料ですが、地域によっては商業施設やオフィスビル内に無料相談窓口が設置されているので、仕事の休憩時間や買い物ついでの法律相談もできるでしょう。
また、都道府県ごとの弁護士会によって特色が異なっており、借金問題や交通事故問題など、特定の分野に限り相談料が無料になっているケースもあります。
相談者側から弁護士の指定はできませんが、刑事・民事どちらの相談もできるので、知り合いの弁護士がいない方や、近くに法律事務所がない方は利用してみましょう。
なお、交通事故については日弁連交通事故相談センターが専門的な相談窓口になり、30分の無料相談に5回まで応じてもらえます。
【参考】全国の弁護士会の法律相談センター(日本弁護士連合会)
弁護士のポータルサイト
示談交渉が得意な弁護士に直接相談したい方は、弁護士のポータルサイトを活用してみましょう。
弁護士のポータルサイトはいくつかありますが、専門性の高い弁護士や身近な弁護士を探したいときは「ベンナビ」がおすすめです。
ベンナビには以下のように専門分野別の弁護士が登録されており、相談案件に応じた弁護士をみつけやすくなっています。
各弁護士ナビシリーズには直接面談や電話などの相談方法、弁護士費用、事件やトラブルの解決実績などが掲載されているので、弁護士選びに必要な情報がほとんどわかります。
ベンナビを活用すると、自宅に近い弁護士や女性弁護士、経歴の長い弁護士など、自分の希望に沿った弁護士がきっと見つかるでしょう。
弁護士に示談交渉を依頼するメリット
弁護士に示談交渉を依頼すると、刑事告訴や民事裁判を起こされる前に相手と和解できる可能性があります。
ほかにも以下のようなメリットがあるので、円満にトラブルを解決したい方や、逮捕・起訴を回避したい方は参考にしてください。
自分で交渉するストレスがない
弁護士は依頼者の代理人になってくれるので、自分で示談交渉するストレスがありません。
示談交渉が必要になるシーンはかなりの確率で相手と対立関係になっているため、何から話を切り出してよいかわからなくなるでしょう。
また、刑事事件の加害者から示談交渉を持ちかける場合、被害者に拒否されてしまうケースもあります。
示談交渉が難航すると次回の話し合いがストレスになり、徐々に諦めムードになる例も少なくないので、弁護士が代理交渉してくれるメリットは大きいでしょう。
相手と和解できる可能性が高い
弁護士に示談交渉を依頼すると成功率が高く、相手と和解できる可能性があります。
事件やトラブル発生直後は被害者も感情的になりがちですが、弁護士が介入すると冷静な話し合いになりやすく、現実的な着地点に誘導してくれます。
弁護士は被害者心理も考慮してくれるので、訴訟してまで争う必要があるか、加害者が逮捕されると自分に何のメリットがあるかなど、論理的に交渉を進めてくれるでしょう。
「示談はしたいが加害者と会うのはNG」という被害者であれば、弁護士の介入ですぐに示談がまとまるケースもあります。また、不利益を水際で防げた事例は本当に多くあります。
有利な条件で示談をまとめてくれる
弁護士に示談交渉を依頼すると、有利な条件で示談をまとめてくれます。
示談交渉は損害賠償などの話し合いになるため、基本的には被害者の主張を優先しなければなりません。
ただし、弁護士が交渉すると被害者に譲歩してもらえる可能性が高く、示談成立のハードルが低くなることもあります。
たとえば離婚問題に弁護士が関与すると、慰謝料は70%しか支払えないが財産分与の条件はすべて承諾するなど、相手が納得できる形で示談をまとめてくれるでしょう。
このようなケースは「条件Aを譲歩すると条件Bが自分の主張どおりになる」という交渉ですから、相手の理解を得やすく、加害者側の金銭負担も軽くなる可能性があります。
逮捕や起訴を回避できる可能性がある
示談交渉に成功すると、被害者は「刑事罰までは必要ない」と考えてくれる可能性が高いので、警察への通報や被害届の提出を回避できるでしょう。
すでに逮捕されている場合でも、示談が成立すると検察官も以下のように評価してくれます。
- 被害者に処罰感情がないこと
- 被疑者を釈放しても証拠隠滅や逃亡の恐れがないこと
- 再犯の可能性が極めて低いこと
- 一般社会で更生できるため起訴する必要がないこと
逮捕・勾留中は身柄を拘束されるので、弁護士と面談して示談交渉を依頼しておきましょう。
不起訴処分になるとすぐに釈放されるので、前科なしで社会復帰できます。
弁護士に示談交渉を依頼するケース
以下のような状況では示談交渉が必要になるケースが多いので、交渉が苦手な方は弁護士に依頼してみましょう。
交通事故
交通事故の被害者になった場合、加害者側の保険会社と示談交渉して慰謝料を請求します。
保険会社は被害者の無知につけ込むケースが多いので、不利な過失割合や慰謝料を提示されたときは弁護士に示談交渉を依頼しましょう。
弁護士は裁判所と同じ基準で慰謝料を算定してくれるため、自賠責や任意保険基準の2~3倍になる可能性があります。
借金問題
借金問題は法的措置で解決する場合もありますが、回収・返済の条件について示談交渉するケースも少なくありません。
貸したお金を回収する場合、法的措置の前に返済方法など話し合い、合意書を作成することで裁判に備えるケースがあります。
また、借金を返済できないときは返済期間の見直し、または利息分の減額などを債権者と交渉する場合もあるでしょう。
いずれも難易度が高く債権回収には時効もあるため、弁護士への依頼をおすすめします。
離婚問題
離婚原因が相手の浮気や不倫、暴力などの場合は慰謝料請求の示談交渉が必要です。
当事者同士の話し合いは感情的になりやすく、慰謝料をいくらに設定すればよいかわからないケースも多いので、交渉がまとまらないときは弁護士に相談してください。
遺産相続
遺産相続では財産の取り分をめぐる争い、または遺留分の侵害があったときに示談交渉するケースがあります。
相続財産は公平に分割できるケースが少ないため、相続人が複数いる場合はトラブルに発展する可能性が高いでしょう。
また、遺留分を侵害する遺言書が作成されていた場合、多くもらい過ぎている相手に対して返還請求の交渉が必要になります。
遺産相続は当事者だけで交渉しても解決しないことが多いので、争いになったときは弁護士に介入してもらうことをおすすめします。
労働問題
労働問題では賃金や残業代の不払い、不当解雇やパワハラなどをめぐって会社側と示談交渉する場合があります。
労働基準監督署に相談してもすぐに動いてくれるとは限らず、立ち入り調査によって営業が停止すると、結果的に労働者の不利益になることがあるので注意が必要です。
ほかにもセクハラや労働災害などの問題もありますが、会社と示談交渉するときは明確な根拠と証拠を提示しなければなりません。
労働問題は労働者の生活に直結するので、弁護士に交渉を依頼して早期解決を目指しましょう。
刑事事件
窃盗罪や傷害罪、性犯罪などの刑事事件を起こした場合、民事の損害賠償責任も発生するので被害者側と示談交渉が必要です。
被害・損害については原則的にすべて弁償することになりますが、慰謝料は被害者が受けた精神的苦痛に影響されるため、専門知識がなければ適正額を算出できません。
刑事事件の示談は逮捕後の扱いに関わってくるので、警察に通報される可能性が高いときは、弁護士に加害者弁護や示談交渉を依頼してください。
示談交渉はどんな弁護士に依頼するべき?
事件やトラブルの相手と和解を目指すときは、以下のような弁護士に示談交渉を依頼してください。
報酬体系が明確な弁護士
示談交渉を依頼するときは、必ず報酬体系が明確な弁護士を選んでください。
弁護士費用は自由設定になっているので決まった相場はありませんが、信頼できる弁護士は料金表などを提示してくれます。
費用を説明してくれない弁護士に依頼すると、支払いトラブルになる可能性が高いので注意しましょう。
対応がスピーディな弁護士
対応がスピーディな弁護士は示談交渉の段取りも早いので、警察への通報や訴訟を起こされる前に事件・トラブルを解決できます。
被害者の住所・氏名や連絡先、被害状況などの情報を積極的に収集する弁護士であれば、安心して示談交渉を任せられるでしょう。
土日や祝日・夜間でも相談できる弁護士
示談交渉は場所や日時を被害者の都合に合わせるケースが多いので、土日や祝日、夜間でも相談できる弁護士を選んでください。
特に刑事事件の場合は一刻を争うため、平日の昼間以外でも相談できる弁護士を探しましょう。
自宅や会社などに近い弁護士
自宅に近い弁護士は休日でも示談交渉を依頼できます。
また、会社に近い弁護士は仕事帰りに法律相談できて、示談交渉を依頼するために休暇を取得する必要がないので、ストレスや生活への影響をを最小限に抑えて示談交渉に臨めるでしょう。
依頼者の意向を尊重してくれる弁護士
示談交渉を依頼するときは、必ず依頼者の意向を尊重してくれる弁護士を選んでください。
勝手に解決方針を決める弁護士の場合、示談交渉が望んでいなかった方向に展開する可能性があり、弁護士との信頼関係も築けません。
ただし、「和解を最優先する」「示談金を減額してほしい」など、自分の希望は明確に伝えておきましょう。
弁護士に示談交渉を依頼したときの費用
弁護士に紛争解決や示談交渉を依頼した場合、以下のような弁護士費用がかかります。
一般的には60~100万円程度の弁護士費用になるケースが多いでしょう。
弁護士費用の内訳 |
一般的な相場 |
法律相談料 |
30分で5,500円、1時間で1万1,000円程度 |
着手金 |
30~50万円程度 |
報酬金 |
30~50万円程度 |
実費 |
事件・トラブルの内容次第 |
日当 |
一般的には1時間あたり1万円程度のタイムチャージ制 |
ほとんどの弁護士は初回のみ無料相談できるので、悩みを抱えている方はまず相談だけでもしてみましょう。
また、示談交渉だけの依頼、かつ1回で示談が成立した場合は20~40万円程度になることもあります。
弁護士に示談交渉の無料相談をするときのポイント
無料相談を活用して弁護士に示談交渉を依頼するときは、以下のポイントを意識しておきましょう。
相談方法を確かめておく
弁護士への相談方法は一般的に直接面談や電話相談ですが、LINEやメール相談、オンライン面談できるかどうか確かめてください。
LINEやメール相談は深夜・早朝でも相談内容を送信できますし、オンライン面談はスマホやタブレットを使えるので、外出先からでも法律相談に乗ってもらえます。
相談・依頼内容を明確にしておく
弁護士に無料相談するときは、相談・依頼内容を明確にしておきましょう。
たとえば傷害事件の被害者と示談交渉する場合、以下のように情報を整理すると弁護士も解決策を提案しやすくなります。
- 事件発生日と場所
- 被害者の人数や被害状況
- 被害者の連絡先
- 自分で示談交渉したかどうか
- 刑事告訴されているかどうか
事件やトラブル解決に必要な情報であれば、メモやノートに書き出して弁護士に渡しておきましょう。
資料を準備しておく
示談交渉では自分の主張を裏付ける証拠が必要になるので、弁護士に提供できる資料も準備してください。
仮に借金の回収で債務者と示談交渉する場合、以下の情報があれば有利に交渉できます。
- 借用書
- 預金通帳の写し
- 督促の記録
書面で借用書を取り交わしていなくても、「お金を貸してほしい」などのLINEやメール、送金した事実がわかる預金通帳があれば、裁判に発展した場合でも有利な展開になります。
まとめ|弁護士に示談交渉を依頼するときは無料相談を活用しよう
示談交渉は有利な条件を引き出す駆け引きの場になるため、専門知識や交渉力において優位に立つ必要があります。
また、一方的な「勝ち」を追求する交渉もあれば、和解を最優先して譲歩するケースもあるので、十分な経験値や判断力も求められるでしょう。
示談が成立すると訴訟の回避や不起訴獲得などを期待できるため、弁護士に示談交渉を依頼するときは無料相談を活用してください。
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