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【被害者向け】盗撮事件の示談金相場と交渉の流れ|犯罪被害の相談窓口4選も!

原綜合法律事務所
原 隆(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
監修記事
【被害者向け】盗撮事件の示談金相場と交渉の流れ|犯罪被害の相談窓口4選も!

「盗撮の加害者から示談の申し入れがあったが、応じるべきか悩んでいる」

「提示された示談金が適切な額なのかどうかわからない」

盗撮事件の被害者となった場合、加害者側から示談を求められるケースがあります。

しかし、示談を受け入れるメリットや示談金の相場を知っていなければ、受け入れてよいのかどうか判断に迷ってしまうこともあるでしょう。

そこで本記事では、盗撮事件の示談金相場や示談に応じる被害者側のメリットなどを解説します。

示談交渉の流れについても解説するので、盗撮被害に遭い、今後の動向に不安を感じている方は参考にしてみてください。

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目次

盗撮事件の示談金(慰謝料)相場はいくら?示談金が変動する要因と実例

そもそも示談金とは、示談を成立させるために加害者が被害者に支払う金銭全体のことを指します。

具体的には、精神的な苦痛に対する慰謝料や治療費、破損した物品の賠償金などが含まれますが、盗撮事件における示談金は慰謝料のみで構成されるケースが一般的です。

そして、盗撮事件の示談金相場は、30万円前後がひとつの目安とされています。

ただし、示談金はいくつかの要因によって変動するので、実例とあわせて詳しく見ていきましょう。

示談金が変動する要因

示談金の額は、法律で一律に決められているわけではありません。

当事者間の合意によって決まるため、それぞれの事案に合わせた適切な金額を設定する必要があります。

たとえば、以下のようなケースでは示談金の増額交渉の材料となる可能性が高いといえるでしょう。

  • 盗撮行為が悪質だった場合
  • 被害者が未成年だった場合
  • 加害者の社会的地位が高い場合

被害状況によっては、10万円程度に収まることもあれば、100万円を超えることもあります。

また、加害者の資力が十分でない場合には、支払える金額にも限界があることも無視できません。

結局、示談金の算定にあたってはさまざまな事情を勘案しなければならないため、無料相談などを利用して弁護士に相談してみることも一つの方法です。

盗撮事件の示談の実例

実際に示談金が支払われた盗撮事件には、以下のようなものがあります。

事件の内容 示談金
ホテルで派遣型マッサージ店の女性が盗撮されたケース 10万円
エスカレーターでスカートの中を盗撮されたケース 30万円
職場の更衣室で盗撮され、休業を余儀なくされたケース 50万円
未成年が駅でスカートの中を盗撮され、追いかけようとしたところ転倒してけがを負い、バッグを破損させたケース 60万円
ベランダに設置された小型カメラで、隣人から自分自身や下着を盗撮され、転居を余儀なくされたケース 120万円

盗撮による被害が精神的な苦痛にとどまる場合には、10万円~30万円程度の慰謝料を支払うことで、示談が成立している事例も多く見られます。

一方、盗撮が原因で傷病を負ったり、休業や転居を余儀なくされたりした場合には、その分の補填も必要になるため示談金が増額される傾向にあります。

盗撮事件で示談に応じる被害者側の3つのメリット

次に、盗撮事件で示談に応じる被害者側の3つのメリットを紹介します。

示談に応じることが必ずしも正しいわけではありませんが、実際に多くの盗撮事件が示談によって解決されているので、選択肢のひとつに入れておくとよいでしょう。

1.弁護士費用を負担せずに精神的苦痛に応じた賠償金を受けられる

盗撮事件で示談に応じるメリットのひとつは、精神的苦痛に応じた賠償金を受けられる点です。

示談は金銭の支払いによって成立するケースが多く、精神的苦痛の程度によっては、ある程度まとまった金額を獲得できることもあります。

通常、交渉は加害者側が費用を負担して依頼した弁護士が間に入っておこなわれるため、被害者が弁護士に依頼して費用を負担する必要がありません。

金銭的な補償を求めるのであれば、示談ではなく民事訴訟を提起し、損害賠償請求するのもひとつの方法ですが、裁判を起こすとなると時間や手間がかかるほか、確実に勝訴できるとも限りません。

そもそも、被害者が自力で訴訟を提起することは簡単ではなく、弁護士に費用を支払って依頼する必要が生じますので、実際に得られる金額が減るのはもちろんですが、場合によっては費用倒れとなる可能性もあります。

また、刑事事件として加害者に処罰が下されたとしても、被害者側に金銭的なメリットはありません。

一方、示談が成立すれば速やかに金銭を受け取れるうえ、民事訴訟で争うより高額になる可能性も十分あります。

そのため、金銭的な補償の観点で考えると、示談を受け入れるメリットは大きいといえるでしょう。

2.示談をするにあたって条件を設けられる

示談では、被害者自身が今後安心して生活するための条件を設けられることも覚えておきましょう。

実際、盗撮事件においては、以下のような条件のもとで示談を受け入れるケースが多く見られます。

  • 今後被害者に近づかない
  • 被害者を見かけたときは速やかにその場を立ち去る
  • 今後、一定期間(「〇年等」)は、〇〇駅は利用しない
  • 条件に違反した場合は被害者に〇円を支払う

示談をしないまま加害者に刑事処分が下った場合、事後的な加害者からの報復を心配する被害者の方も多くいます。

示談が成立したあとでも、加害者への恐怖心がぬぐえない方も少なくありません。

このような不安を払しょくするための方法として、示談の条件として加害者の行動に制限をつけておくことで、元の生活を取り戻しやすくなるでしょう

3.法廷で証言するといった負担が少なくなる

法廷で証言するといった負担が少なくなることも、示談を受け入れるメリットのひとつです。

示談を受け入れず、刑事裁判に至った場合は、被害者に法定での証言が求められるケースも十分ありえます。

事件の解決に向けては被害者の証言が重要な役割を果たしますが、加害者を含めた多くの人の前で被害状況を証言しなければならないため、精神的に大きな負担になるでしょう。

一方、示談が成立した場合は加害者が不起訴又は略式起訴となり、正式裁判が開かれない可能性が高くなります。

被害を受けたときの状況や感情を思い出さずに済むことは、被害者にとって大きなメリットになるはずです。

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盗撮事件で示談交渉に応じる際の流れ

ここでは、盗撮事件で示談交渉に応じる際の流れを解説します。

今後やるべきことを把握できていれば不安も軽減できるので、参考にしてみてください。

1.捜査機関から加害者側の弁護士に連絡先を教えてよいか聞かれる

加害者が示談を希望している場合、捜査機関から加害者側の弁護士に連絡先を教えてよいかを聞かれるはずです。

示談に応じるつもりがあれば、連絡先の開示に同意しましょう。

もちろん、捜査機関が弁護士以外に個人情報を開示することはないので安心してください。

2.加害者側の弁護士から被害者に対して示談の申し入れがある

連絡先の開示に同意すると、加害者側の弁護士から示談の申し入れがあります。

被害者が了承しない限り、加害者から直接連絡がくることは基本的にありません。

示談交渉においては、まず加害者からの謝罪文を渡される場合があります。

加害者の謝罪や反省の気持ちも、示談を受け入れるかどうかの判断材料となるのでしっかりと確認しておきましょう。

3.加害者側の弁護士と示談金額や示談条件などの交渉をする

示談の申し入れを受けることになれば、示談金額や示談条件などの交渉が始まります。

まずは、加害者側の弁護士から具体的な提案があるはずです。

その提案内容に納得できない場合には、納得できるまで交渉を重ねることも可能です。

ただ、検察の処分が決まれば、通常は加害者と加害者側の弁護士との契約関係は終了してしまうことも多いので、事実上のタイムリミットがあることも現実です。

示談による解決を希望する場合には、検察の処分が決まるまでには最終的な合意形成を目指しましょう。

4.示談が成立したら示談書を作成する

示談が成立すれば、合意内容をもとに示談書を作成します。

口頭で確認し合うだけでは、認識の違いが生じた場合にトラブルにも発展しかねないため、文書のかたちで合意内容を記録しておくことが大切です。

示談書には当事者双方の署名・押印をおこない、同じものをそれぞれが保有することになります。

もし示談金の未払いがあった場合や示談条件に違反する行為がおこなわれた場合などは、示談書を証拠として裁判で争うことも可能です。

盗撮事件で加害者側からの示談交渉に応じるかどうかの3つのポイント

ここでは、盗撮事件で加害者側からの示談交渉に応じるかどうかの3つのポイントを解説します。

示談交渉を受け入れることが必ずしも正しいとは限らないので、状況に応じた適切な判断を心掛けてください。

1.加害者の謝罪や反省があるか

示談交渉を持ち掛けられたときは、加害者に謝罪や反省の気持ちがあるかどうかもしっかりと確認しましょう。

特に、加害者側の弁護士が、加害者の減刑のためだけでなく、良心をもって被害者側の立場や心情にも配慮してくれているかを見極めることも大切です。

たとえば、加害者の現在の状況や反省などについての説明もなく、いきなり示談書への同意を求められるような場合は、必ずしも無理に受け入れる必要はありません。

場合によっては、経済的なメリットは放棄する覚悟で、加害者にしかるべき処罰が下されるように、裁判が終わるまで示談を受け入れないことも選択肢のひとつです。

2.示談金額に納得できているか

示談金額に納得できていない場合も、必ずしも示談の合意に応じる必要はありません。

示談金額は当事者間の話し合いで自由に設定できるので、自身が到底納得のできない金額で示談を受け入れる必要はありません

ただし、互いの意見が折り合わないと時間だけが過ぎてしまいます。

また、余りにも相場とかけ離れた高額な要求をすると、良識を疑われ、捜査機関がむしろ加害者に同情してしまうような場合も有り得ます。

さらに、示談不成立のままに検察の処分が決まると、加害者とその弁護士の委任関係は終了することも多く、その場合は示談の機会も事実上失われてしまうので、妥協点をもっておくことも大切です。

3.示談金の支払い方法が妥当か

示談交渉を持ち掛けられたときは、示談金の支払い方法が妥当かどうかも確認しておきましょう。

示談金は加害者の依頼した弁護士から、被害者の口座に一括で振り込まれるケースが一般的ですが、被害者の経済状況によっては分割払いを求められるかもしれません。

分割払いになると、不払いが生じたときに被害者本人が直接加害者本人に請求する必要が生じますし、被害者の通帳には長期に渡って加害者の名前が振込人として印字されることとなるなど、加害者と長期的な関わりをもつことになるので、了承するかどうかは慎重な判断が必要です。

盗撮被害の恐怖や不安からできるだけ早く解放されるためにも、特殊な事情がない限り、原則的には一括払いでの支払いを示談金の金額よりも優先して求めるようにしましょう。

盗撮事件の犯罪被害者が利用できる相談窓口2選

次に、盗撮事件の犯罪被害者が利用できる相談窓口を紹介します。

盗撮被害に遭ったときはひとりで抱え込まず、公的な相談窓口を積極的に利用してみてください。

1.法律相談センター

盗撮の被害を受けたときは、各弁護士会が運営する法律相談センターに相談してみましょう。

捜査や示談、裁判手続などについて、法的なアドバイスを受けることができます。

また、問題解決に向けて引き続き弁護士のサポートが必要になったときには、スムーズに契約を結べる点もメリットいえるでしょう。

初回の相談は無料で対応してもらえるケースもあるので、まずは最寄りの法律相談センターに問い合わせてみてください。

2.法テラスの犯罪被害者支援ダイヤル(0120-079714)

盗撮事件の犯罪被害者が利用できる相談窓口にひとつに、法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルも挙げられます。

  • 犯罪被害者支援ダイヤル:0120-079714(平日9時00分~21時00分、土曜日9時00分~17時00分)

法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルに電話をかけると、法テラスの職員が情報提供や相談窓口の案内をおこなってくれます。

場合によっては、専門機関や犯罪被害者支援の経験が豊富な弁護士を紹介してもらえることもあるでしょう。

また、法テラスでは一定の資産要件を満たしている方を対象に、無料で弁護士に相談できる機会を提供しています。

弁護士に依頼する場合には、弁護士費用を立て替えてもらうこともできるので、経済的に余裕のない方はぜひ一度問い合わせてみてください。

盗撮の示談でよくある3つの質問

最後に、盗撮の示談でよくある質問を紹介します。

盗撮被害に遭い、同様の疑問や不安を抱えている方は参考にしてみてください。

Q1.被害者側から示談を拒否するにはどうしたらよいか?

示談を拒否したい場合は、示談の意思がないことを相手の弁護士に伝えてみましょう。

示談の望みがないとわかれば、相手の弁護士も無理に追求してくることはないはずです。

ただし、ここまで述べてきたように、示談は被害者にとっても多くのメリットがありますので、一旦は相手の弁護士に自身の心情を率直に話してみることをおすすめします。

Q2.加害者に支払い能力がない場合はどうなるのか?

加害者に支払い能力がない場合には、減額に応じずに、分割払いを認めることも選択肢としてあり得ます。

確かに、加害者に経済的に余裕がなく、一括払いは難しい場合でも、ある程度期間を設けた分割払いであれば示談金がある程度高額でも履行できる可能性があります。

ただし、分割払いにすると途中で支払いが途絶えるリスクを抱えてしまうほか、加害者との関係性も継続する点には十分注意が必要です。

特別な事情がない限りは、示談金の増額よりも、一括払いを優先して要望することをおすすめします。

Q3.加害者と直接示談をしてもよいのか?

基本的に、盗撮事件の示談交渉は、加害者側の弁護士と被害者本人の間でおこなわれるのが一般的です。

盗撮事件で得られる示談金の金額には限界があるため、被害者側が弁護士に依頼すると費用倒れとなってしまう可能性があるからです。

そのため、加害者側の弁護士が良識をわきまえている場合、被害者がそのまま加害者側の弁護士と交渉をすることも十分なメリットがあります。

さいごに|盗撮事件の示談に応じるかどうかは被害者の自由!示談に応じる場合は慎重に

盗撮事件の加害者から示談の申し入れがあった場合、応じるかどうかは被害者の自由です。

示談は当事者間の合意によって成立するものなので、無理に応じる必要はありません。

しかし、示談が成立すれば示談金を受け取れたり、事件がスムーズに解決したりといったメリットがあるのも事実なので、交渉に応じることも選択肢のひとつに入れておくようにしましょう。

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この記事の監修者
原綜合法律事務所
原 隆(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修) (福岡県弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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