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公開日:2017.12.13  更新日:2021.5.24

脅迫罪とは|成立要件・該当する言葉・刑罰・裁判例を紹介

銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士
監修記事

相手に対し「殺す」「財産をすべて奪ってやる」などと脅し、恐怖を与えると脅迫罪が成立します。

ただし、単に「殺す」と言っても直ちに脅迫罪が成立するわけではありません。

脅迫に聞こえるような脅し文句や言葉であっても、双方の関係性やその他の事情を客観的に見た上で判断されます。

脅迫罪の法定刑は3年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、逮捕された場合はただちに弁護士へ相談し、不起訴を目指すことが重要です。

この記事では、脅迫罪が成立するケースや脅迫罪になる言葉、脅迫罪で逮捕される流れ、もし脅迫罪で逮捕されてしまった場合はその後どうすればいいのかなどを解説していきます。

脅迫罪として警察から連絡がきた方へ

脅迫事件で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。
 

  1. 仕事や学校に影響が出る可能性
  2. 重い罰則が科される可能性
  3. 前科がつく可能性がある

 

逮捕後72時間以内の対応で、今後の生活が大きく変わる恐れがあります。

対応を間違い一生後悔しないためにも、弁護士への相談をご検討ください。

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この記事に記載の情報は2021年05月24日時点のものです

脅迫罪の成立要件とは

脅迫罪とは「他者を脅迫したときに成立する犯罪」です。ただ、言葉は相手の受け取り方次第ですから、脅迫罪が成立するかどうかを判断することは難しいのではないでしょうか。

脅迫罪の成立要件は刑法222条に「本人や親族の生命、身体、自由、名誉または財産への害を与えることを告げて脅迫」と定められています。「脅迫罪の対象者」に「害悪の告知(本人や親族の生命、身体、自由、名誉または財産への害を与えることを告げる行為)をすること」がポイントです。

ここでは、脅迫罪の成立要件や成立する対象者、脅迫罪に該当する可能性がある言葉について説明します。

脅迫罪が成立する対象者

脅迫罪が成立する対象者となるのは、脅迫を受けた本人のほか、親族も含みます。そのため「お前を殺す」「お前の家族(子供・親・祖父母・兄弟姉妹)を殺す」と脅された場合は脅迫罪が成立する可能性が高いでしょう。

他方、親しい人や友人を標的とした脅迫を行われた場合、原則として脅迫罪は成立しません。

そのため「お前の友人Aを殺す」と言われた場合、どれほど親しい友人だったとしても、あなたに対する脅迫罪は成立しないと考えられます。

もし、友人を殺さないことと引き換えに、金銭や財物を要求された場合は、強要罪に該当する可能性が高いでしょう。

恋人に対し脅迫された場合

「お前の恋人を殺す」と言われた場合も、原則として脅迫罪は成立しません。

また、「恋人と別れなければ、恋人を殺す」と恋人を盾に脅迫された場合、「人質による強要行為等の処罰に関する法律」によって処罰を受けます。

罰則は6カ月以上10年以下の懲役刑のみで、未遂でも処罰対象です。

脅迫罪が成立する「害悪の告知」とは

脅迫罪が成立する可能性のある害悪の告知は以下の通りです。

  • 「殺す」などの生命への害悪の告知
  • 「財産を奪う」などの財産への害悪の告知
  • 「公表するぞ」などの名誉への害悪の告知
  • 「子供や家族を誘拐するぞ」などの自由への害悪の告知
  • 「痛い目を見せてやる」「殴ってやる」などの身体への害悪の告知

このような言葉により、被害者を畏怖させたかが重要です。

たとえば、仲の良い友達同士で笑い合いながら話の流れで「痛め目を見せてやる」「絶対殴る」と言った場合、客観的に恐怖を感じるものではないと判断されます。

このように脅迫と思われるような言葉であっても客観的に恐怖を感じない程度のものであれば、害悪の告知とならず脅迫罪は成立しません。

客観的に恐怖を感じるかは、関係性だけではなく体格差なども判断基準のひとつです。

脅迫罪に該当する要件

また、害悪の告知では、告知者(加害者)がその害悪の発生をコントロールできるかもポイントになります。

たとえば、「1年後地震に巻き込まれて死ぬ」といった脅し文句は、一定の恐怖を感じさせるものの地震などの害悪を告知者がコントロールできるものではありません。

そのため、害悪の告知とならず脅迫罪も成立しないと考えられます。ちなみに、害悪は、自分が支配できる領域の事項でなければなりません。たとえば、明日雷が落ちるなどの表現では、害悪の告知になりません。悪影響が生じる事実を現実化できる内容であれば足ります。ちなみに、文言だけではなく、女性が言ったのか男性が言ったかのかなどによっても異なるので、状況を見ることも必要になってきます。

脅迫罪が成立する可能性の高い言葉

脅迫罪になる言葉をもう少し具体的に見てみましょう。以下のような言葉で脅迫罪は成立するのでしょうか。

会社・取引先からの「クビにしてやる」

会社や取引先から「クビにしてやる」と立場を利用した脅迫も、ケースによっては脅迫罪になりえますが、必ず成立するわけではありません。なぜなら身体や命、財産というにはやや弱いからです。

ただし、反省文を強要した場合などは強要罪に該当する可能性があります。状況なども合わせ、ケースバイケースで判断する必要があります。

「覚えておけよ」

前後のやり取りの内容によって成否の判断が分かれます。

友達同士で笑いながら冗談を言い「次に会ったら覚えておけよ」とやり取りした場合などは、脅迫罪は成立しません。しかし会話がこじれ険悪な雰囲気になっているときに「次に会ったら覚えておけよ」と言った場合などは脅迫罪が成立する可能性があります。

「訴えてやる」

脅迫罪になる言葉には適法な権利行使も含まれます。相手の違法性が不確定のまま「訴えてやるからな」と脅迫した場合、状況によっては脅迫罪が成立するでしょう。

ただし、この言葉でどの程度恐怖を感じるかが重要なポイントになりますので、「訴えてやる」と言われや場合、脅迫罪ではなく名誉棄損に問われる可能性があります。

「弁償しないとネットに晒す」や「家に来て謝罪をしろ」など会社に対するクレーム

「ネットに晒す」というクレームは脅迫罪が成立する可能性があります。ネットに晒されることで名誉に傷がついたりプライバシーが侵害されたりするわけですから、害を加える旨の告知に該当するのです。

「家に来て謝罪をしろ」という言葉についても、言い方によっては相手を畏怖させるため脅迫罪の成立する可能性があります。

脅迫罪にならくとも、強要罪や威力業務妨害罪に該当する可能性もあるため注意してください。

脅迫罪が成立する告知の方法

脅迫を告知する方法は、口頭、文面、態度と複数あります。

ですので「◯◯殺す」とメールで送ること(文面)も、職場で部下が仕事で失敗するたびに殴るそぶりをする(態度)ことも、相手を恐怖に陥らせてその自由な意思決定を阻害するに足るものであれば脅迫罪に値します。

SNSや匿名掲示板などネット上の脅迫でも成立する?

SNSや匿名掲示板などネット上の書き込みでも、内容によって脅迫罪が成立する可能性があります。

なお、SNSや匿名掲示板の場合は加害対象が特定されているかどうかによっても異なります。

脅迫罪と強要罪・恐喝罪・のちがい

脅迫罪は生命や財産、身体、自由、名誉への害悪の告知です。強要罪は脅迫や暴行により人に義務のないことを行わせるという点で脅迫罪と異なり、恐喝罪は暴行や脅迫により財物を交付させるという点で違っています。

強要罪とは

強要罪は刑法223条に規定されています。強要罪は「人の身体や生命、財産や名誉、自由などに害を加える旨を告知し義務のないことを行わせる、または権利行使を妨害する」犯罪です。

 

強要罪

脅迫罪

成立要項

脅迫や暴行による強制または権利行使の妨害

害悪の告知

法定刑

2年以下の懲役または30万円以下の罰金

2年以下の懲役、30万円以下の罰金

未遂罪

あり

なし

時効

3年

3年

強要罪と脅迫罪どちらにも該当するケース

脅迫をしただけに留まる場合は脅迫罪ですが、脅迫してさらに何かを行わせた場合や妨害があった場合は強要罪と脅迫罪のどちらにも該当する可能性があります。

強要罪と脅迫罪では脅迫の方がより罪が重く、懲役だけで罰金がないのが特徴です。

なお、強要罪には未遂罪があります。そのため、脅迫しても被害者が応じなかった場合は強要未遂罪が成立する可能性があります。

恐喝罪とは

恐喝罪とは「脅迫や暴行により財産を脅し取り、あるいは財産上の利益を不法に得る犯罪」になります。恐喝罪は刑法249条に定められている犯罪です。

 

恐喝罪

脅迫罪

成立要項

人を恐喝して財産を交付させる

害悪の告知

法定刑

10年以下の懲役

2年以下の懲役、30万円以下の罰金

未遂罪

あり

なし

時効

7年

3年

恐喝罪と脅迫罪どちらにも該当するケース

被害者に害悪の告知をすると脅迫罪ですが、さらに財物の交付や債務の免除などをさせていれば脅迫罪にも該当する可能性があります。

恐喝罪と脅迫罪を比較した場合、脅迫罪では財物の交付などが伴うため、その分だけ法定刑も重くなっているのです。また、脅迫罪に未遂罪はありませんが、恐喝罪には未遂罪も定められています。

脅迫罪による逮捕後の処分

脅迫罪は被害者の告訴がなくても検察官の起訴や警察の捜査ができる非親告罪です。ですから、脅迫を受けた被害者が警察に捜査や起訴を申し出なくても検察官や警察が自動的に動いて逮捕される可能性があります。

ただし、これはあくまでルール上の話です。実際は被害者の被害届の提出などなければ警察も脅迫の事実を知らないわけですから、警察が自主的に捜査して逮捕されるようなことはほぼありません。

仮に被害者が被害届を提出して逮捕されてしまった場合はどうなるかが問題です。初犯の場合や前科前歴がある場合の処分について説明します。

初犯の場合

脅迫罪の初犯は逮捕されても不起訴を獲得できる可能性が高いでしょう。

脅迫罪は言葉の問題なので、会話の場合は立証が難しいという事情があるのです。また、激昂して売り言葉に買い言葉というかたちで脅迫のようなことを言ってしまうケースもありますし、後から被害者に言った言葉を後悔するケースもあります。

言われた側の被害者も「自分も悪かった」と反省するケースや、真摯な謝罪や示談を受けて怒りを納めるケースもあるため、刑事事件として大事になる前に決着することも少なくありません。

仮に起訴されても脅迫罪の初犯は略式裁判になるケースが多くなっています。略式裁判とは一定の条件を満たしたときに行われる簡易的な手続きの裁判です。

略式裁判の条件のひとつは100万円以下の罰金刑のケースになります。裁判所から送付される罰金の納付書に沿って罰金の支払いをすれば刑罰は終わりますが、この場合は脅迫罪による前科がついたことになるため注意が必要です。

前科・前歴があるもしくは常習犯の場合

前科や前歴がある場合や常習犯の場合、悪質な脅迫のケースでは不起訴は難しく、通常の刑事裁判で裁かれる可能性が高くなります。通常の刑事裁判とはドラマなどで見る裁判官や検察官などが登場する法廷での裁判です。

常習的に脅迫を繰り返していたケースや同一人物に悪質な脅迫を何度も行っていたケース、恐喝や強要など似たような犯罪での前科や前歴がある場合などは懲役刑が科される可能性があります。よほど悪質性が高いと判断された場合や前科が多い場合でなければ執行猶予がつくケースがほとんどです。

ただし他の犯罪も同時に成立する場合はこの限りではありません。

脅迫罪で逮捕されてしまった・出頭要請を受けたら弁護士に相談

上記の内容が脅迫罪での逮捕の特徴になります。これらの問題を解消し、少しでも事件解決を迅速に良い方向にしていくことが弁護活動になります。

被害者との示談がもっとも重要

その弁護活動の中でもっとも重要になってくるものが、被害者との示談です。しかし、被害者は一度脅迫を受けた身。加害者本人からの示談に応じてくれる可能性は高くありません。

なお、刑事事件の示談交渉は、基本的には弁護士に委ねることになります。脅迫罪は実際の被害が出ていませんので、示談金は恐怖心を与えてしまったことに対する慰謝料です。

そのため、明確な金額を設定することも難しいものですが、弁護士ならば法的観点から適切な示談での処置が期待できます。

示談金の相場

脅迫罪で警察に逮捕された場合、被害者と示談すると、刑事処分の上で一定の考慮をしてもらえます。

起訴前であれば示談成立を事情として考慮してもらえるため、不起訴処分になる可能性があります。被害者から「加害者を許します」という意味の宥恕(ゆうじょ)について書いてもらうことで、刑事罰が軽くなる可能性もあります。

ただ、問題になるのが示談金の額です。脅迫罪の被害者と示談するときはどのくらいの示談金を払うべきなのでしょうか。

脅迫罪のときの示談金の相場は一般的に100万円以内です。脅迫をメールや電話、口頭などで1回行ったくらいなら20~30万円くらいが相場になります。

ただし、悪質な脅迫や付きまといを伴う脅迫や他の犯罪も成立するようなケースでは、相場より高額の示談金になる可能性もあります。ケースによって示談金の目安がかなり違いますので、弁護士に相談して示談金額を決めるといいでしょう。

身近な人による情状証人も重要

情状証人とは、「加害者が再犯を起こさないように私が加害者を監視します」という証言をしてもらうことです。

主に、家族が証人になりますが、一部、会社の上司や社長などを証人にすることもあります。

例えば、ネット上に脅迫内容を書き込んだような場合、証人の方に「インターネットの使用状況を監視します」といった証言をしてもらいます。

事件の内容によって適切な情状証人の方法もありますので、この場合も一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

証言は正確に

脅迫罪は具体的な証拠が出てきづらい場合も多く、言った言わないの水掛け論になる可能性もあります。そのため、加害者、被害者両人の供述一つ一つが重要な証拠になってきます。

中には誘導尋問に近い取り調べをされることもあります。捜査段階で、供述が二転三転していると信用性に疑いが生じます。加害者の供述が二転三転している場合は、反省していないとして量刑上も重く考慮される可能性もあります。

取り調べを受ける前に弁護人にアドバイスを受け、適切に供述をすることで最善の方向へ持っていくことができます。

逮捕後すぐに無料でアドバイスをしてくれる当番弁護士という制度がありますので「当番弁護士とは?呼び方や費用など、制度の概要をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。

また、示談から事件解決までをサポートしてもらいたいとお考えであれば「刑事事件の私選弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法」を参考に弁護士費用を検討の上、本格的に弁護士に依頼してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

脅迫罪とは被害者に害悪の告知をする犯罪です。ただし脅迫罪になる言葉を伝えたとしても、客観的に判断されるため、個人では成立の有無を判断することは難しいと言えます。

脅迫罪が成立し被害者に被害届を出されそうな場合は早めに示談を成立させることが重要です。刑事事件の実務経験豊富な弁護士に相談し、早い段階での穏便な解決を目指すようにしてください。

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
性犯罪・薬物・詐欺・暴行・窃盗など、あらゆる刑事事件分野に注力。解決実績は約2万件と多数。

脅迫罪で逮捕されてしまった場合は弁護士への相談をおすすめします


罪自体はそこまで重くない脅迫罪ですが、その分、脅迫をした本人に罪の意識がないまま逮捕されてしまうこともあります。

罪の意識が薄かったからと言って、適切な対応(取り調べなど)を行わないと、勾留期間が長引いたり、場合によっては懲役刑もあり得るでしょう。

また、脅迫罪は被害者との示談交渉が有効ですが、脅迫を受けた被害者からしてみれば、加害者との示談は拒絶されてしまう可能性も高いでしょう。

そこで、弁護士が代理人として示談交渉を行います。

「脅迫罪で逮捕された」「家族が逮捕された」と、お困りの方は、一度刑事事件を得意とする弁護士からご相談されて下さい。

編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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