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威力業務妨害罪とは|クレームで営業妨害すると逮捕や刑罰を受ける?

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
威力業務妨害罪とは|クレームで営業妨害すると逮捕や刑罰を受ける?

「企業や店舗へのちょっとした迷惑行為が本当に犯罪になるのか」「どこから威力業務妨害罪に問われるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。

実際には、クレームや迷惑電話、インターネット上の書き込みなどさまざまな行為が威力業務妨害罪に問われる可能性があります。

本記事では、威力業務妨害罪の定義・構成要件・罰則を解説。逮捕後の流れ、加害者・被害者それぞれの対処法まで解説するので、参考にしてください。

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目次

威力業務妨害罪とは?

威力業務妨害罪とは、威力を用いて他人の正常な業務活動を妨害する犯罪。いわゆる「営業妨害」と呼ばれる行為の多くが威力業務妨害に該当します。

(威力業務妨害)

第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

引用元:刑法第二百三十四条

たとえばインターネット上に爆破予告を書き込んだ場合、実際に爆発が起きなくても店舗の休業や警察の出動を余儀なくされた時点で成立します。業務妨害の結果ではなく、妨害される危険が生じれば、威力業務妨害罪が成立するには充分です。

「威力」という手段を用いる点が威力業務妨害罪の特徴。後述する偽計業務妨害罪や公務執行妨害罪との違いを理解するうえでも重要なポイントになります。

偽計業務妨害罪との違い

偽計業務妨害罪は刑法第二百三十三条に定められた犯罪です。威力業務妨害が「威力」を用いて相手の意思を力で制圧するのに対し、偽計業務妨害は「偽計(人を欺く行為)」を用いて判断を誤らせます。

(信用毀損及び業務妨害)

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法 第二百三十三条

「偽計」の具体例は、なりすましによる大量注文、虚偽の情報を流布して客を騙す行為などです。

項目 威力業務妨害 偽計業務妨害
手段 暴力・脅迫など力による制圧 嘘・なりすましなど欺く行為
具体例 大声で怒鳴る、執拗にクレーム電話をかける 虚偽の予約をする、SNSでデマを拡散する
刑罰 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

どちらの罪が適用されるかは、具体的な行為の態様によって判断されます。

公務執行妨害罪との違い

威力業務妨害罪と公務執行妨害罪との違いは、妨害の対象と手段です。公務執行妨害は対象が「公務員による公務」に限定され、手段も「暴行または脅迫」に限られます。

項目 威力業務妨害 公務執行妨害
対象 民間・公的機関を問わず広く業務全般(ただし警察などの強制力を行使する公務を除く) 公務員による公務に限定
手段 威力(暴行・脅迫より広い概念) 暴行または脅迫に限定
具体例 大声で騒ぎ続けて窓口業務を麻痺させる 職員に暴力を振るう、警察官を突き飛ばす
刑罰 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

たとえば市役所の窓口で職員を殴った場合は公務執行妨害罪、大声で騒ぎ続けて窓口業務を麻痺させた場合は威力業務妨害罪となる可能性があります。

威力業務妨害罪の構成要件は3つ

威力業務妨害罪の構成要件

威力業務妨害罪が成立するためには、3つの構成要件を全て満たす必要があります。どれかひとつでも欠ければ、威力業務妨害罪には問われません。

自分の行為が該当するかどうか不安な場合は、弁護士への相談が確実です。

①威力を用いる

構成要件の「威力」とは、人の自由な意思を制圧するほどの圧力。直接的な暴力だけでなく、人の心を畏怖させるような間接的な行為も含まれます。

具体的には、以下のような行為です。

  • 殴る・蹴るなどの暴行
  • 「殺すぞ」などの脅迫
  • 集団で店舗を取り囲む
  • 大音量の音楽を流し続ける
  • 机を激しく叩く

社会的な地位や権力を背景に相手を威圧する言動も威力にあたる場合があります。重要なのは、客観的に見て人の意思を制圧するほどかどうかという点です。現実に相手が恐怖を感じたかどうかは問われません。

②他人の業務である

構成要件の「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき継続しておこなう活動全般を指します。職業や仕事に限りません。

営利目的の営業活動はもちろん、宗教活動、政治活動、ボランティア活動、サークル活動なども含まれます。適法性も問わないため、違法な屋台の営業なども保護の対象となりえます。

一方で、個人的な趣味や一回限りの行為、家庭生活上の行為などは業務にあたりません。

③業務を妨害する

構成要件の「妨害する」とは、業務の円滑な遂行を困難にさせる行為を指します。実際に業務が停止しなくても、妨害される危険が生じただけで成立します。

威力業務妨害罪は危険犯と呼ばれる犯罪類型です。結果が実際に発生しなくても、その危険性があれば処罰の対象となります。

たとえば爆破予告によって警察が出動し、施設が営業を一時中断するケースが典型例です。従業員に本来不要な対応を強いたり、業務の進行を一時的にでも滞らせたりすれば、妨害とみなされる可能性があります。

威力業務妨害罪が適用され得るケース例3つ

威力業務妨害罪は暴力や脅迫で業務を妨害する行為だけではありません。執拗なクレームや迷惑電話、インターネット上の犯行予告などさまざまな行為に適用されます。

代表的なケースを3つ紹介します。

執拗なクレームや迷惑電話

店舗や企業に対して執拗なクレームを繰り返したり、大声で怒鳴り続けたりする行為は、威力業務妨害罪に該当する可能性があります。正当な苦情であっても、社会通念上許容される範囲を超えれば犯罪です。

また長時間の居座りや従業員への土下座強要、何百回もの迷惑電話といった行為も、業務を停滞させる「威力」と判断されます。

飲食店での迷惑動画撮影・投稿

飲食店内で食材や備品を使った迷惑行為を撮影し、SNSに投稿する行為も威力業務妨害罪が適用される可能性があります。従業員が不衛生な行為を撮影・投稿する、いわゆるバイトテロも同様です。

動画の拡散によって店舗の営業継続が困難になったり、閉店・廃業に追い込まれたりするケースもあり、被害は深刻です。投稿した本人だけでなく、拡散に加担した者も罪に問われる可能性があります。

インターネット上の殺害・爆破予告

SNSや掲示板に特定の店舗や施設への爆破予告・殺害予告を書き込む行為は、威力業務妨害罪の典型的なケースです。

実際に爆発が起きなくても、店舗の休業や警察の出動を余儀なくされた時点で成立します。業務妨害の結果ではなく、妨害される危険が生じれば足りるためです。匿名での書き込みであっても、捜査によって特定・逮捕されるケースは少なくありません。

威力業務妨害罪の罰則

威力業務妨害罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です(刑法234条)。行為の悪質性や被害の程度を考慮したうえで、具体的な刑罰が決まります。

初犯であれば罰金刑や執行猶予付き判決となることが多いものの、悪質なケースでは実刑判決もありえます。

被害者との示談が成立しているかどうかは、刑の重さを決めるうえで非常に重要な要素です。示談交渉を有利に進めるためにも、早めに弁護士に相談しましょう。

威力業務妨害罪と同時に適用される可能性のある罪名

威力業務妨害行為は、同時にほかの犯罪を成立させるケースが少なくありません。

たとえば、店舗に怒鳴り込んで従業員を突き飛ばした場合は暴行罪、「訴えるぞ」「ただでは済まさない」などと脅しながら金銭を要求した場合は脅迫罪や恐喝罪が同時に成立します。

状況 適用される罪名
暴行を伴う場合 暴行罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは拘留もしくは科料)
脅迫を伴う場合 脅迫罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)
金銭などを要求した場合 恐喝罪(10年以下の拘禁刑)
無理やり従わせた場合 強要罪(3年以下の拘禁刑)
ものを壊した場合 器物損壊罪(3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料)

ひとつの行為が複数の罪に触れる場合、最も重い刑で処断されるのが原則です。行為がひとつでも、複数の罪に問われるリスクがある点を理解しておきましょう。

威力業務妨害で実際に逮捕された事件の裁判例

過去の裁判例を知ることは、どのような行為が威力業務妨害罪と判断されるかを具体的に理解する上で役立ちます。以下に紹介する事例を通じて、犯罪の成否を分けるポイントを確認してください。

なお、個別の事案によって判断は異なります。あくまで参考例として捉えたうえで、自身のケースについては弁護士に相談することをおすすめします。

970回も無言電話をかけて有罪になった事例

飲食店に対して3ヵ月にわたり約970回の無言電話をかけた犯人に有罪判決が下された判例です。単純に計算しただけでも、1日に約10回の迷惑電話をかけたことになります。

裁判所は「長期間、多数回にわたって昼夜を問わず迷惑電話を受け、被害者は対応に困惑して心神を疲労して業務の遂行に支障をきたした」と判断して威力業務妨害罪の成立を認めました。

当判例は、営業時間中・時間外を問わず、執拗な迷惑電話は業務妨害が成立するという典型例だといえるでしょう。

事件番号 昭和48年(う)811 事件名  業務妨害被告事件 年月日  昭和48年8月7日 裁判所  東京高等裁判所

ナイフ所持によるイベント中止で業務妨害と銃砲刀剣類所持等取締法違反に問われた事例

アイドルグループの握手会会場で発煙筒を点火してイベントを中止に追い込んだ事件では、被告人に懲役2年・執行猶予3年の判決が下されました。

発煙筒を点火させるという威力を用いてイベントを中止させた行為が威力業務妨害罪に問われただけでなく、果物ナイフを所持していたため銃砲刀剣類所持等取締法にも問われています。

実際に果物ナイフを使用した危険行為はありませんでしたが、脅迫・傷害などの危険な目的で刃物を所持していたのは明らかでしょう。

銃砲刀剣類所持等取締法では「業務その他正当な理由がない」場合の刃物の所持が禁止されています。

事件番号 平成29年(わ)1240号 事件名  威力業務妨害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件 年月日  平成29年10月2日 裁判所  千葉地方裁判所

威力業務妨害で逮捕された後の流れ

威力業務妨害で逮捕された場合、の犯罪と同様に刑事手続が進められていきます。主な流れは以下のとおりです。

逮捕された後の流れ

1.警察・検察で取調べをうける(勾留)

逮捕されると、警察署の留置施設で身柄を拘束され、警察官や検察官による取り調べを受けます。

身体拘束の期間は、逮捕から送検まで最大72時間、その後、勾留が決定されると原則10日(延長でさらに10日間)、合わせて最長で23日間です。

取り調べで作成される供述調書は、後の裁判で重要な証拠となります。内容をよく確認せずに署名・押印すると、不利な証拠を自ら作ることになりかねません。弁護士の助言を受けてから対応することが重要です。

なお、勾留中は原則として家族は面会できず、弁護士だけが自由に接見できます。

2.起訴・不起訴が判断される

勾留期間が終わるまでに、事件を裁判にかける「起訴」か、裁判にかけずに終了させる「不起訴」かを検察官が判断します。

不起訴処分となった場合、前科は付かず、そのまま釈放されます。刑事裁判に進まないため、日常生活への影響を比較的抑えられる点が大きな特徴です。

検察官は証拠や行為の悪質性、被害の程度、本人の反省などを総合的に考慮して判断します。被害者との示談が成立しているかも重要な判断ポイントとなるため、弁護士を通じて示談交渉を進めましょう。

3.刑事裁判をうける

検察官に起訴されると、刑事裁判が開かれます。裁判では、検察官が有罪を立証し、被告人側は無罪や刑の減軽を主張します。

日本の刑事裁判の有罪率は99%以上と言われており、無罪を勝ち取るのは極めて困難です。事実を争うのか、罪を認めて情状酌量を求めるのかは、弁護士と慎重に方針を決める必要があります。

威力業務妨害で逮捕された場合にすべきこと

威力業務妨害の容疑で逮捕された場合は、動揺せず、直ちに弁護士に相談することが最も重要です。初動の速さがその後の結果を大きく左右します。

被疑者には黙秘権や弁護人選任権など、法律上保障された権利があります。これらを正しく行使することが、不利な状況を回避するために不可欠です。

すぐに弁護士に相談する

逮捕されたら、ためらわずに弁護士を呼んでください。弁護士は以下のような役割を担います。

  • 取り調べへの対応策のアドバイス
  • 不当な捜査への抗議
  • 家族との連絡の橋渡し
  • 勾留決定に対する不服申立て(準抗告)

特に逮捕後72時間は、その後の流れを決める重要な期間です。この段階での対応が、勾留されるかどうか、起訴されるかどうかに直結します。

弁護士に心当たりがない場合には、当番弁護士制度を利用しましょう。当番弁護士とは、逮捕・勾留された人のもとに弁護士が派遣され、初回に限り無料で接見や相談ができる制度です。原則として1回に限られますが、早い段階で専門家の助言を得られます。

そのうえで、刑事事件の経験が豊富な弁護士(私選弁護人)に正式に依頼すれば、より継続的かつ手厚いサポートを受けられるでしょう。

被害者との示談交渉を進める

弁護士に依頼したら、示談交渉を進めてもらいましょう。被害者への謝罪と賠償をおこない示談を成立させることは、不起訴処分や刑の減軽を得るうえで極めて重要です。

示談が成立すると、当事者間で問題が解決していると検察官や裁判官に示せ、有利な情状として考慮されます。結果的に、起訴猶予による不起訴となる可能性が高まります。

なお、示談交渉は必ず弁護士を通じておこなってください。加害者本人が直接連絡を取ると、被害者の感情を害し、かえって交渉が難航・決裂するおそれがあります。弁護士が第三者として間に入れば、被害者の心情に配慮しながら冷静に交渉を進めることが可能です。

示談金の金額は事案によって異なりますが、一般的には被害額の実費に加え、迷惑料としての慰謝料が含まれます。

威力業務妨害を受けたときの対応2つ

威力業務妨害の被害に遭った場合は、加害者の刑事責任と民事責任を追及することが可能です。証拠を冷静に集め、専門家に相談しましょう。身に危険を感じるような悪質なケースでは、ためらわず警察に通報することを第一に考えてください。

なお、刑事手続(処罰を求める)と民事手続(賠償を求める)は別個の手続きです。どちらか一方だけを選ぶことも両方を同時に進めることもできます。

被害届または告訴状を提出する

警察に犯罪事実を申告し、捜査を開始してもらうために、被害届や告訴状を提出します。犯人の処罰を強く望む場合は、告訴状の提出が有効です。

被害届は犯罪事実を申告するものであるのに対し、告訴状は申告に加えて「犯人の処罰を求める」という意思表示を含みます。

警察に相談する際は、いつ・どこで・誰に・何をされたかを記録したメモ、防犯カメラ映像、録音などの証拠を持参すると手続きがスムーズです。警察が受理に消極的な場合もありますが、弁護士に告訴状の作成と提出を依頼すると、捜査開始の可能性が高まります。

損害賠償請求を検討する

威力業務妨害によって生じた損害について、加害者に対して民事上の損害賠償を請求できます。請求できる損害の例は以下のとおりです。

  • 営業を中止したことによる逸失利益
  • 壊された備品の修理費
  • 従業員の対応にかかった人件費
  • 精神的苦痛に対する慰謝料

請求方法は、まず内容証明郵便で請求し、相手が応じなければ民事調停や訴訟という裁判所の手続きを利用します。加害者から刑事事件の示談申し入れがあった場合、賠償金を受け取ることで民事的な損害も同時に解決できることが多いです。

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威力業務妨害は、刑事・民事の両面で専門的な知識が不可欠な問題です。当事者だけで解決しようとせず、弁護士に相談することが賢明です。

弁護士に相談すれば、法的な見通しが立ち、感情的な対立を避けながら最善の解決策を導き出せます。加害者側・被害者側のどちらであっても、早期の相談が有利な結果につながります。

ベンナビ刑事事件では、刑事事件に強い弁護士を地域や相談内容から効率的に探せます。多くの法律事務所が初回無料相談を実施しているため、まずは気軽に問い合わせてみてください。

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威力業務妨害に関するよくある質問

威力業務妨害罪に関して、多くの方が疑問に感じる点をQ&A形式で解説します。

各回答は一般的な情報をもとにしたものです。個別の事情によって結論が異なる場合があるため、具体的な判断については弁護士への相談をおすすめします。

威力業務妨害は親告罪ですか?

威力業務妨害罪は非親告罪です。被害者からの告訴がなくても、警察は捜査を進め、検察官は起訴できます。

親告罪とは、被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪で、名誉毀損罪などがその例です。威力業務妨害罪は該当しないため、第三者による通報や、警察官が現認した場合でも事件化することがあります。

初犯でも逮捕や実刑になりますか?

初犯であっても逮捕される可能性は十分あります。

初犯で示談が成立した場合、不起訴や罰金刑、執行猶予付き判決で済むことが多いのは事実です。しかし行為が悪質で社会的な影響が大きい場合は、実刑判決となる可能性もあります。

たとえば計画的な犯行や、爆破予告で公共交通機関を麻痺させるなど被害が甚大なケースでは、初犯でも厳しい処分が下されるでしょう。「初犯だから大丈夫」と楽観視するのは危険です。

カスタマーハラスメント(カスハラ)も威力業務妨害になりますか?

顧客からの要求であっても、社会通念上許容される範囲を逸脱し、従業員の業務を妨害するレベルに達すれば、威力業務妨害罪が成立します。

カスハラが威力業務妨害にあたる具体例としては、大声で怒鳴り続けてほかの客を帰らせる、長時間居座って業務を停滞させる、土下座を強要するといった行為です。

「客だから何をしてもいい」という考えは通用しません。正当なクレームと犯罪行為には明確な一線があります。近年、企業側もカスハラに厳しく対応する傾向にあり、警察に通報されるケースも増えています。

威力業務妨害に時効はありますか?

威力業務妨害罪の刑事上の時効(公訴時効)は、犯罪行為が終わった時から3年です。期間を過ぎると、起訴して刑事罰を科すことはできなくなります。

時効のカウントは犯行が終わった時点から開始されます。たとえば執拗な迷惑電話であれば、最後の電話が終わった時から3年です。

ただし、これはあくまで刑事上の時効です。被害者が損害賠償を求める民事上の時効は、「被害者が損害および加害者を知った時から3年」または「不法行為の時から20年」です。刑事時効が成立したあとでも、民事上の責任は残る場合があります。

まとめ

威力業務妨害罪はクレームや迷惑電話、インターネット上の行為まで幅広い行為が対象となる犯罪。法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

「威力を用いる」「他人の業務である」「業務を妨害する」という3つの構成要件を全て満たした場合に成立します。

逮捕された場合は、逮捕後72時間が特に重要な局面です。弁護士への早期相談と被害者との示談交渉が、不起訴処分や処分軽減につながります。被害者側の立場であれば、被害届・告訴状の提出と損害賠償請求という二つのルートで対応が可能です。

加害者・被害者のどちらの立場であっても、一人で抱え込まず、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することが、適切な解決への第一歩です。

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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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