威力業務妨害罪で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。
- 仕事や学校に影響が出る可能性
- 重い罰則が科される可能性
- 前科がつく可能性がある
逮捕後72時間以内の対応で、今後の生活が大きく変わる恐れもあります。
対応を間違い一生後悔しないためにも、弁護士への相談をご検討ください。
威力業務妨害とは、実力行使によって他人の業務を妨害する犯罪です。
実力行使といっても、暴力的な行動だけではなくインターネット上の書き込みが威力業務妨害となるケースもあります。
アイドルや芸能人などに対する威力業務妨害で逮捕されたケースは、ニュースで耳にしたことがある方もいるかもしれません。
この記事では、どんな行為が威力業務妨害として処罰されるか、逮捕された場合はどうなるかを解説いたします。
威力業務妨害罪で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。
逮捕後72時間以内の対応で、今後の生活が大きく変わる恐れもあります。
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威力業務妨害とはどのような犯罪なのでしょうか?
法的な根拠や成立の要件を解説します。
威力業務妨害罪は、刑法第234条に規定されている犯罪ですが、これを理解するためには同じく第233条もあわせて確認する必要があります。
【刑法第233条 信用毀損および業務妨害】 |
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。 |
【刑法第234条 威力業務妨害】 |
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。 |
刑法第233条・234条は、刑法第35章の「信用および業務に対する罪」に含まれています。
大きくみれば「業務妨害の罪」ですが、行為の違いによって別の条文にわけられているのです。
威力業務妨害は「前条の例」によって刑罰が科されます。
前条とは、第233条の信用毀損罪と偽計業務妨害罪を指していますが、威力業務妨害罪の刑罰はこれらと同じ「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
信用毀損罪については、ほかの記事でも詳しく解説しています。
【関連記事】信用毀損罪をわかりやすく解説|事例(判例)と対処法をチェック
威力業務妨害罪の構成要件をチェックしましょう。
威力とは |
被害者の自由意思を制圧するような行為を指します。 直接的な暴力行為だけでなく「被害者の自由意志を制圧するに足りる勢力」で成立するため、迷惑電話や脅迫的なメール、SNSでの投稿も「威力」にあたり得ます。 |
業務とは |
日常的な「仕事」はもちろんですが、人が社会生活において占める地位に基づき反復・継続しておこなわれる事務などもこれに含まれます。 経済的な性格がない宗教活動やPTA活動、ボランティア活動などもここでいう「業務」にあたり得ます。 |
妨害とは |
業務の執行そのものを妨げることに限らず、広く業務を妨げる一切の行為を指します。 妨害を受けて実際に業務が阻害された事実は問いません。 |
実際にどのような行為に対して威力業務妨害罪が適用されるのか、代表的な事例や判例をみていきましょう。
威力業務妨害罪のもっとも典型的な事例が「迷惑電話」です。
特定の相手に対して執拗に迷惑電話をかける行為は、威力業務妨害罪にあたるおそれがあります。
たとえば、客の立場を利用して店舗に執拗な迷惑電話をかける行為は、店員を長時間にわたって電話対応に縛りつけるという威力を行使したことになります。
迷惑電話といえば、「偽計」業務妨害罪が適用される例もあります。
「隣の家が火事だ」と嘘の通報をしたり、嫌がらせの目的で他人の名前を騙って「寿司10人前」と注文したりといった行為は、偽計業務妨害に問われる可能性があります。
実際の事件では、飲食店に対して3か月にわたり約970回の無言電話をかけた犯人に有罪判決が下された判例があります。
単純に計算しただけでも、1日に約10回の迷惑電話をかけた計算です。
裁判所は「長期間、多数回にわたって昼夜を問わず迷惑電話を受けたことで、被害者はその対応に困惑して心神を疲労してしまい、業務の遂行に支障をきたした」と判断して威力業務妨害罪の成立を認めました。
この判例は、営業時間中・時間外を問わず、執拗な迷惑電話は業務妨害が成立するという典型例だといえるでしょう。
事件番号 昭和48年(う)811 事件名 業務妨害被告事件 年月日 昭和48年8月7日 裁判所 東京高等裁判所 |
客にとっては正当な意見であっても、その主張の方法を誤れば威力業務妨害が成立することがあります。
迷惑電話と同じで、毎日のように店頭に足を運んではクレームをつけ続けて店長や従業員の業務遂行に支障を与えれば、威力業務妨害とみなされる可能性があるでしょう。
また、クレームと同時に生命や身体などに対して危害を加える内容を告げれば脅迫罪に、慰謝料など不当に金銭を要求して支払わせれば恐喝罪にあたる可能性も否定できません。
実際の事例では、クリーニング店に対して仕上がりが悪いとクレームをつけ、弁償費用として100万円を請求した親子が恐喝容疑で逮捕されたケースもあります。
この親子は、弁償を拒否されても「今後の代金を一生タダにしろ」と脅し、3年間・約300回にわたって代金支払いを免れていました。
参考:モンスター・クレーマー、放火や恐喝事件も 流通・サービス業の7割が被害|産経WEST
「威力業務妨害」という犯罪を初めて耳にしたのが、アイドルや芸能人に対する犯行予告のニュースだったという方もいるかもしれません。
アイドルグループの握手会が開催されていた会場で発煙筒を点火してイベントを中止に追い込み、その際に果物ナイフを所持していた事件では、被告人に懲役2年・執行猶予3年の判決が下されました。
発煙筒を点火させるという威力を用いてイベントを中止させたため、威力業務妨害罪に問われましたが、さらに刃体の長さが約12.6cmの果物ナイフを所持していたため、銃砲刀剣類所持等取締法にも問われた事件です。
実際に果物ナイフを使用した危険行為はありませんでしたが、脅迫・傷害などの危険な目的で刃物を所持していたのは明らかでしょう。
銃砲刀剣類所持等取締法では「業務その他正当な理由がない」場合の刃物の所持が禁止されています。
この規定に違反し、刃体の長さが6cmを超える刃物を所持していた場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
事件番号 平成29年(わ)1240号 事件名 威力業務妨害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件 年月日 平成29年10月2日 裁判所 千葉地方裁判所 |
威力業務妨害の罪に問われて弁護士に刑事弁護を依頼した場合、どのような弁護活動が期待できるのでしょうか?
威力業務妨害事件では「業務を妨害された」という被害者が存在します。
被害者との示談が成立すれば、被害届や告訴の取り下げによって不起訴処分や刑の減軽が期待できるでしょう。
被害者との示談交渉には、いくつかのハードルがあります。
まず、加害者自身が逮捕されていれば、その後の勾留を含め最長23日にわたる身柄拘束を受けてしまうので、本人は自由な行動ができません。
示談交渉をしようにも、自分ではまったく動けないという物理的な問題があります。
また、加害者の家族が示談交渉を進めようにも、被害者に関する住所や連絡先の入手も困難です。
警察や検察庁は被害者の情報をもっていますが、被害者の同意がなければ教えてもらうことはできません。捜査機関から被害者に対してはたらきかけてもらう必要があります。
さらに、示談交渉をするには示談金も必要になります。
被害者が「実損分を補填してくれればそれでいい」と提案してくれることもあるかもしれませんが、高額の慰謝料を請求される場合もあり、示談成立のハードルを高めてしまいます。
弁護士に一任すれば、加害者本人や家族の代理人として示談交渉に臨んでくれるうえに、捜査機関へのはたらきかけによって被害者の情報の入手が期待できます。
数多くの事件を解決してきた実績のある弁護士なら、同じようなケースの示談金の相場も把握しているので、示談金額も適切な範囲内に落ち着かせることができるでしょう。
「業務妨害はしていない」と事実を否認する場合には、その主張が認められるような証拠を集める必要があります。
どのような物的証拠や状況証拠が有効なのかは、一個人では判断が難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、ポイントを押さえた効果的な証拠収集が期待できます。
また、まったくいわれのない疑いをかけられた場合や、不当な逮捕・勾留を受けた場合は、捜査機関への抗議や勾留に対する準抗告などの方法で対抗が可能です。
威力業務妨害の疑いをかけられてしまったら、ただちに弁護士への相談を検討するべきです。
弁護士への相談が早ければ早いほど、身柄措置や刑事処分が軽くなり社会生活への影響が最小限に抑えられます。
警察に逮捕されて検察官が起訴するまでのタイムリミットは最長で23日です。
この「23日」は最長の場合で、事件が単純であれば勾留期間が短くなることもあります。
検察官が起訴すると、刑事裁判手続に移行します。
有罪判決を受けてしまうと刑罰を受けるだけでなく、前科がついて社会生活に悪影響を及ぼすでしょう。
苦しい事態を回避するためには、検察官に起訴を断念させて不起訴処分を下してもらうのが最善策です。
できるだけ早い段階で弁護士に依頼することで、不起訴処分が獲得できる可能性が高まります。
わが国の司法制度では、検察官に起訴されてしまうと99%以上の割合で有罪判決が下されます。
これは、起訴までの間に警察・検察庁で証拠が固められており、有罪が期待できる事件に限定して起訴されているからです。
令和元年版の犯罪白書によると、被疑事件のうち、検察庁が起訴、つまり公判請求をおこなった割合は全体の8.4%、書面だけで有罪が確定する略式命令の割合は22.6%でした。
一方、起訴猶予を含め、検察官が起訴を見送った不起訴処分の割合は63.5%です。
つまり、事件を起こしてしまっても起訴されない人の割合のほうが圧倒的に多いので「逮捕されたので有罪になってしまう」と悲観することはありません。
【参考】検察庁終局処理人員総数の処理区分別成比・公判請求人員等の推移
ちょっとした嫌がらせのつもりや、自分では正当なクレームをいっているだけと思っていても、法律に照らせば威力業務妨害の罪に問われてしまうことがあります。
逮捕されて有罪判決が下されれば、身柄拘束をうけて解雇や退学といった不利益を受けてしまうだけでなく、前科がついてしまうことで社会復帰も難しくなるでしょう。
威力業務妨害の容疑がかけられてしまった場合は、ただちに弁護士に依頼して対策を講じるのがベストです。
早急に刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士を探して相談しましょう。
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