弁護士なしでの示談は危険|5つのリスクと弁護士に依頼するべき理由
- 刑事事件を起こしてしまい、被害者側から「示談で解決を図ろう」と当事者間での解決を提案されているが、本当にこのまま示談していいんだろうか
- すでに個人間で示談を行ったものの、被害者側とトラブルが発生していてどう対処すればよいかわからない
- 告訴や被害届を提出しないように示談をしたいけど、弁護士費用が払えそうにない。弁護士なしで示談できないだろうか
この記事をお読みの方は、上記のような悩みを抱えているのではないでしょうか。
示談とは、「民事における紛争を当事者同士の話し合いによって解決する手続き」を指します。刑事事件においての示談は、加害者側が慰謝料や治療費、迷惑料、解決金などの名目で金銭を支払う代わりに、告訴や被害届を取り下げてもらう、刑事処分をもとめない旨の書面を作成する、減刑を求める嘆願書に署名捺印してもらうといったものがあります。
示談が成立したとしても、民事上の紛争を解決しただけですので、刑事事件も解決したということにはなりません。もっとも、示談の事実が考慮され、逮捕や勾留されないこともありますし、不起訴処分や執行猶予判決を獲得できるなど、加害者に有利な刑事処分が下されることはあります。そのため、被害者と示談しておくことは刑事事件の手続においても非常に重要です。
示談を依頼するには弁護士に依頼することが通常ですが、弁護士を介さず、あなた自身で示談を締結すること自体は可能です。しかし、弁護士なしでの示談は加害者側が不利になることも多く、まったくおすすめできません。
この記事では、弁護士に依頼しないで示談しないときのリスクや弁護士に依頼するのがおすすめの理由、弁護士に依頼した場合の費用などを紹介します。加えて、すでに示談をして被害者とトラブルになっている場合の対処法も紹介しています。
この記事で弁護士なしでの示談のリスクや弁護士に依頼するメリットを理解し、納得したうえで弁護士に示談交渉を依頼するようにしてください。
弁護士なしでの示談は危険!当事者だけで解決する4つのリスク
冒頭でもお伝えした通り、弁護士に依頼せずに示談交渉をすることはおすすめできません。当事者間だけで解決を図った場合には、次のようなリスクがあるからです。
- 被害者本人から面談を拒否され示談できない可能性がある
- 支払えないほど高額・早すぎる支払い期日で示談金を請求される可能性がある
- 示談後に告訴状や被害届が出される可能性がある
- 適切な示談書を作成できず紛争の蒸し返しになる可能性がある
ここでは、それぞれのリスクがどういった内容かについて見てみましょう。
被害者本人から面談を拒否され示談できない可能性がある
加害者本人が示談交渉を行いたいと思っても、被害者やその家族は、加害者に対し怒りや恐怖などの感情を抱いていることが多く、会うこと自体を拒絶され示談交渉できない可能性があります。
本人から謝罪の意や示談金を提示したとしても素直に受け取ってもらえるケースはあまり多くないでしょう。
加えて、そもそも被害者の連絡先が分からないといったケースもあります。
加害者が示談をしたいと思っても、警察が被害者の連絡先を教えてくれないことは少なくありません。
また、示談は民事上のトラブルを解決する手段であり、警察が民事に介入することはありません。警察が間に入り、示談を斡旋してくれるということはありません。
当事者同士で解決したいと思っても、そもそも交渉をスタートできないケースも多々あるのです。
支払えないほど高額・早すぎる支払い期日で示談金を請求される可能性がある
あなた自身で示談をしようとした場合、被害者から適正な示談金から離れた金銭や、早すぎる支払い期日を提示される可能性があることもリスクの1つです。
加害者は立場上被害者に対して強く交渉できず、示談交渉では被害者の意向が強く反映され、著しく被害者に有利な示談となってしまう可能性は否定できません。
そもそも、示談金の金額は事件の様態や被害の程度によって異なり、一定の相場のようなものはありません。被害の大きさや被害者の処罰感情、加害者の経済状況・社会的立場などの個別事情を総合的に考慮しなければならないのです。法律実務に詳しくない当事者同士では適切な示談金を算出するのは困難なケースがほとんどでしょう。
示談後に告訴状や被害届が出される可能性がある
被害届や告訴状などを出す前に示談が成立した場合でも、被害者がその後に被害届・告訴状を提出する可能性もあります。
これは、示談交渉段階で被害者との間で十分な交渉ができておらず、示談書にも「宥恕条項」等を盛り込めていないことが原因であることが多いです。
宥恕条項とは、被害者が加害者を「許す」ことを言い、この記載に加えて刑事事件化する前であれば被害届や告訴状を提出しないことなどを記載しておくことも重要です。
被害者の被害の程度や処罰感情の大きさ等によっては、示談交渉はできても示談書に宥恕条項まで盛り込むことは難しい場合もあります。弁護士であれば、そのような場合であっても粘り強く交渉してくれるでしょう。
中途半端な内容で示談してしまうと、根本的な解決に至らないリスクがあります。
適切な示談書を作成できず紛争の蒸し返しになる可能性がある
上記と重なるところはありますが、適切な示談書を作成できていないと、紛争が蒸し返しになる可能性があります。
示談書には、通常、次のような事項を盛り込みます。
- 謝罪する旨
- 示談金の金額と支払い方法・支払い期日
- 清算条項(示談書以外に債権債務がないこと)
- 接触禁止条項
- 宥恕条項(刑事処分を望まないこと)
- 守秘義務条項 など
事件の内容によっては、これ以外にも加えるべき条項はあるでしょう。
示談交渉の段階で、これらの内容については加害者・被害者双方で認識の相違がないように、しっかりと意思疎通を行っておかなければなりません。
そして、取り決めた内容については、解釈に疑義が生じないように示談書に落とし込まなければなりません。
意思疎通が不十分で、不適当な内容の示談書で示談交渉を終わらせてしまえば、後に予期せぬトラブルが生じる可能性があります。
加害者が示談する際に弁護士へ依頼がおすすめの理由
刑事事件の示談では弁護士に依頼することをおすすめします。当事者間での示談は上記のようなリスクがあるほか、弁護士に依頼することで次のようなメリットがあるからです。
- 早期に示談が成立すれば事件化の回避ができる
- 被害者と面会できる可能性があがる
- 円滑な示談交渉が期待できる
- 適切な内容での示談が期待できる
- 示談成立の事実を主張し早期釈放・不起訴が期待できる
なお、刑事事件で示談する場合には、刑事事件に注力している弁護士に依頼するようにしてください。弁護士が交渉することで、丁寧かつ早期の示談交渉が実現するでしょう。適切な示談が期待でき、事件の早期解決に繋がります。
早期に示談が成立すれば事件化の回避ができる
早期に示談が成立すれば、事件化を回避できる可能性があります。
弁護士に依頼すると、事件化する前であれば、示談の中に被害届や告訴状を提出しないといった条項を盛り込んでおくことが多いです。
もっとも、事件化されたあとの示談に意味がないといったことはありません。事件化した後に示談をした場合には、その事実が考慮され、逮捕や勾留、起訴を回避できたり、執行猶予を得られたりするなど加害者に有利に手続きが進む可能性があるのです。
被害者と面会できる可能性があがる
加害者からの示談交渉には応じてもらえなかったケースでも、弁護士という第三者が代理人となることで、被害者が交渉に応じてくれるということも少なくありません。加えて、弁護士であれば、被害者が捜査機関を介して連絡先を教えてくれるといったこともあります。
被害者としては、加害者本人と直接話をする必要がないのであれば、恐怖や怒りといった感情も抑えられ、安心して示談交渉に応じてくれる可能性が上がるでしょう。弁護士が間にはいることで、被害者としても冷静に対処できるようになるのです。
円滑な示談交渉が期待できる
仮に当事者同士で示談交渉ができた場合であっても、被害者側も加害者側も適切な示談内容が分からず、示談交渉が難航することが予想されます。
被害者としては、加害者に対し、被害感情の大きさから過度な要求をしてしまうこともあるかもしれません。
一方、弁護士が介入し、十分な説明を行うことで、被害者が示談内容に納得しやすくなり、早期の示談実現が目指せます。被害者としても、加害者との直接の交渉よりは感情を抑えることができ、納得して示談に応じやすくなるでしょう。
適切な内容での示談が期待できる
弁護士は、示談によって民事および刑事のリスクを低減できるよう、適切な内容の示談書を作成します。
例えば、示談書にしっかりと宥恕条項や清算条項を盛り込んでおくことで、示談後に被害届や告訴状を提出されたり、新たに訴訟を起こされるリスクを防いだりします。
個人間で示談を行った場合、条項に漏れがあり示談後に再度事件を蒸し返されてしまうという可能性も否定できません。弁護士に依頼することで、必要な条項の記載漏れを防ぎ、刑事訴訟・民事訴訟に発展するリスクを回避できるのです。
示談成立の事実を主張し早期釈放・不起訴が期待できる
すでに刑事事件化されており逮捕・勾留されているようなケースでは、示談が成立した後、弁護士はその成果を捜査機関や裁判所に伝えます。これにより、早期釈放や不起訴、起訴された場合でも執行猶予等が期待できます。
すでにお伝えしたとおり、被害者と示談している事実は、刑事事件手続の中でも考慮されます。弁護士に示談交渉を依頼すると、示談書作成だけでなく、示談書を証拠として刑事事件手続の中で提出してもらうことまで一任することが可能です。
弁護士に示談交渉した場合の費用
弁護士に示談交渉をした場合には、当然費用が発生します。弁護士の費用はおおよそ次のような内訳があります。
相談料 |
事件の相談をした際にかかる費用 |
着手金 |
結果に関係なく、着手段階で支払う費用 |
報酬金 |
成果に対して支払う報酬金 |
接見費用 |
逮捕・勾留されている加害者と面会する費用 |
交通費などの実費 |
交通費などの費用 |
日当 |
訴訟など事務所以外で仕事をした場合に支払う費用 |
弁護士に依頼したいけれど、費用面が気になるという人も少なくないでしょう。
ここでは、逮捕されていない場合、すでに逮捕された場合、弁護士なしで示談後にトラブルが発生した場合の3つのケースに分けて、費用相場を確認してみましょう。
まだ逮捕されていない場合の弁護士費用
まだ逮捕されておらず、示談交渉のみで事件を解決したいという場合の費用相場は、おおよそ着手金・報酬金のみで20万円~40万円程度であることが一般的です。当然、これに加えて別途示談金が必要になります。
示談によって刑事事件化を防ぐことができれば、逮捕されることはありませんし、逮捕後の弁護活動費用も発生することはありません。示談をすると思い立ったら、事件を解決するためにも費用を抑えるためにも、早期に弁護士に依頼することが重要です。
すでに逮捕されてしまっている場合の弁護士費用
すでに逮捕されてしまった場合には、被害者との示談交渉に加えて、刑事事件の弁護活動も一任することが通常です。弁護士費用は着手金・報酬金のみで60万円~程度が一般的でしょう。当然、刑事事件が進み、起訴後の訴訟対応が必要となれば、その費用はさらに増えてしまうでしょう。
すでに逮捕されてしまっても、逮捕・勾留段階で弁護士に依頼することで不起訴を目指せます。逮捕後であっても、早期の相談が重要であることに変わりはありません。
弁護士なしで示談後にトラブルが発生してしまった場合の費用
すでに弁護士なしで示談をしたものの、適切な内容での示談ができなかったために紛争が蒸し返され、被害者から新たに金銭を要求されているなど、示談後にトラブルが発生してしまうケースもあるかもしれません。
そういった場合にも、弁護士に依頼し紛争を解決してもらうのは有効な手段です。トラブルの内容により費用は異なりますので一概には言えませんが、民事上のトラブルのみであれば着手金・報酬金のみで20万円~というのが一般的だと思われます。
個人間で紛争を解決しようとしても、事態をさらに複雑化してしまうことも考えられます。示談後にトラブルが発生した場合にも早期に弁護士に依頼するべきです。
まとめ
弁護士なしでの示談はおすすめできません。示談自体に応じてもらえないケースもありますし、示談後にトラブルになってしまう可能性もあるからです。
弁護士に示談を依頼することで、早期に問題が解決することを期待できます。事件化する前であれば逮捕される可能性を低減することができますし、逮捕後であっても、早期釈放や不起訴を目指せます。
示談交渉の着手は、早ければ早いに越したことはありません。
事件を起こしてしまい被害者との示談を検討されている場合は、速やかに弁護士にご相談されることをおすすめします。
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