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刑事事件コラム
2016.7.4

殺人罪とは

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殺人罪とは、故意に人の生命を侵害する犯罪です。
 

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。


人の生命は究極の法益であり、すべての中で最も重要なものと位置づけられています。 よって、刑法においても、人の命を侵害しようとする行為に対しては、厳しく罰せられます。
 

 

殺人罪の構成要件

殺人罪において、「人」を「殺す」ことが構成要件となります。 そんなもの当たり前のことでは? と思うでしょうが、「人」とはどこからどこまでが人か?(例えば、死体やお腹の中にいる胎児などは人に認定されるか?)、更に、「殺す」とはといったように刑法上では、行為自体を論理的に突き詰めていく必要があります。
 

1-1 人の定義

人の始期

私たちが日常的に認識している「人」とはどの段階から人と呼ぶことができるのでしょうか? 「人」と認定される時期は次の四つの説があります。
 
1. 独立生存可能性説
体外において独立して生きていける可能性があると判断されたとき
 
2.全部露出説
胎児の体が母体から全て出た段階
 
3.一部露出説
胎児の体が母体の外から見えた段階
 
4.独立呼吸説
へその緒が切られた後、胎児が胎盤呼吸から肺呼吸へ移行した段階
 
日本の刑法上では、3. の一部露出説(胎児が母体から一部露出した状態)から「人」とみなされ、胎児が母体から一部でも露出すれば、これに対する直接的な侵害は可能であり、既にその時点において人として保護されるべきであると考えられています。
 

人の終期

反対に、どこまでが「人」と認められるのか? これにも、次の4つの説があります。
 
1. 呼吸終止説
自発呼吸が不可逆的(完全)に停止した時に死亡とする説
 
2. 脈拍終止説
心臓の拍動が不可逆的(完全)に停止した時に死亡とする説
 
3. 総合判断説(三徴候説)
【自発呼吸が不可逆的(完全)に停止】【心臓が不可逆的(完全)に停止】【瞳孔反射の消滅】の3つをもとに死亡と認定する説
 
4. 脳死説
脳機能が不可逆的(完全)に停止して元に戻らない状態を死亡とする説

日本の刑法上では、3. の総合判断説が主に採用されています。 しかし、近年では、人の死を脳の機能の不可逆的(完全)な停止であるとする4. の脳死説も有力となっています。
 
なぜ、ここまで「人」をここまで定義しなければいけないかというと、殺人罪の客体が「自分」や「法人」を含めない自己以外の自然人である「人」だからです。 なので、「人」とはどこからどこまでが人と認められるか?というものをしっかりと定義しておかなければ、ケースによっては混乱が起こってしまうので、「人」というものをしっかりと定義しておく必要があります。

 

1-2 人を殺すとは

殺人の方法

殺人罪において、殺人とは、「殺意をもって、自然の始期に先立って、他人の生命を断絶すること」ことです。 殺意をもってということが殺人罪における重要な構成要件であり、殺意が無く、人を殺してしまった場合は、「過失致死罪」(第210 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。)になります。 殺害の方法には、撲殺、刺殺、絞殺などの有形的(物理的)方法のほか精神的な傷害を与えて死亡させるなどの(心理的)方法によるものまで、多岐にわたって認められ、これらも、殺意の有無を見分ける重要な手掛かりとなります。
 

殺人のタイミング

殺人罪において、人が死んでしまったタイミングも非常に重要となってきます。
 
例えば、人を殺そうという殺意を持ち、ピストルを相手に撃ったとします。 しかし、ピストルを撃つタイミングには被害者が死んでしまったとしたらこれは殺人罪には問われず、死体損壊罪(死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。)として一気に罪が軽くなります。
 
このように、殺人罪では、被害者がいつ死亡したか? これらの状況把握も行いながら考察していかなければいけません。
 

特殊な殺人罪

同意殺人罪

第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

嘱託殺人罪

被害者が加害者に殺害を依頼し、加害者が前記依頼に応じて被害者を殺害すること
 

承諾殺人罪

加害者が被害者に殺害を申し出て、加害者が被害者の承諾を得て被害者を殺害すること この2つ罪は、お互いの承諾を得て行っているという点では共通していますが、いずれも、その意味を理解できる理非弁別能力がない(例えば、言葉のわからない赤ちゃんや子供など)とみなされる場合には、この罪は適応されず、通常の殺人罪が適応されます。
 
この2つ罪は、お互いの承諾を得て行っているという点では共通していますが、いずれも、その意味を理解できる理非弁別能力がない(例えば、言葉のわからない赤ちゃんや子供など)とみなされる場合には、この罪は適応されず、通常の殺人罪が適応されます。
 

堕胎罪

第212条
妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、1年以下の懲役に処する


堕胎罪とは人間の胎児を母親の体の中で殺すか流早産させて殺す犯罪のことです。 母親のお腹の中にいる胎児は刑法上では「人」として認められません。 もし、このような状況の胎児を何らかの理由で殺してしまった場合、堕胎罪として処罰されます。
 

中絶は「堕胎罪」か?

日本における中絶数は年間約29万件と言われています。 しかし、中絶をした人が罰せられた人を見たことがないのはなぜでしょう? その答えは、中絶は堕胎罪ではなく、「母体保護法」という国が定めた例外が適応さるからです。
 
母体保護法の第14条で『妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの』に対して指定医は本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができると定められてるため、中絶は母体保護法に則った合法な手段として認められます。
 
しかし、22週以降の中絶は妊娠22週目を超えると胎児の体重が約500gになり、胎児が母体から出ても生きていける可能性があるとみなされ《母体保護法2条2項》に定義されている「胎児が、母体外において、生命を保持することのできない時期」に違反するため、「堕胎罪」が適応される可能性もあります。
 

 

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編集部

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