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過失致死(かしつちし)とは、殺害の意思がない状態(過失)で相手を死亡させてしまうことを言います。本当に一切の故意がなくても、「人を死亡させた」という結果が生じている以上、逮捕されて刑事処分が下されるおそれがあります。
思わぬ形で刑事事件の加害者になってしまった方の中には、目の前が真っ暗になって絶望している方もいるでしょう。しかし、減刑獲得に向けて的確に動くことができれば、刑罰も前科もなく日常生活に復帰できる可能性もありますので、頭を切り替えることが大切です。
また、過失致死に似たものとして「重過失致死傷罪」や「業務上過失致死傷罪」などもあります。過失致死罪とどのような点が違うのか、あわせて押さえておきましょう。
この記事では、過失致死の定義や罰則、過失致死罪に関連する犯罪や減刑獲得に向けた対応などを解説します。
ご家族や自身が過失致死罪に問われている方へ
過失致死罪には罰金刑しかなく、殺人罪ほど刑罰は重くないものの、有罪判決が下されれば前科が残ることになります。
ただ状況や経緯、行為次第では、重過失致死傷罪や業務上過失致死傷罪といった罪に問われる可能性もあります。
ご家族や自身が逮捕されてしまった方は、ただちに弁護士に依頼をしましょう。
逮捕後23日以内には検察が起訴・不起訴の判断を下します。
不起訴になった場合、懲役や罰金などを科されることもなく、前科もつきません。
過失とはいえ相手を死亡させてしまったとしても、速やかに弁護活動を受ければ不起訴処分を獲得できる可能性があります。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはご相談ください。
※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条
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この記事に記載の情報は2023年12月08日時点のものです
過失致死とは過失により相手を死なせること
過失致死は、刑法第28章「過失傷害の罪」に規定されている犯罪のひとつであり、不注意などの故意がない状態で他人を死亡させてしまう犯罪のことを指します。
また、過失致死に似た用語として「過失傷害」というものもあり、過失傷害とは不注意などの故意がない状態で他人に怪我をさせてしまう犯罪のことを指します。
ここでは、過失致死の定義や罰則などについて解説します。
過失とは不注意や過ちのことを指す
過失致死という言葉について、「過失」と「致死」にそれぞれ分解して考えてみましょう。
まず過失について、一般的には「不注意によって生じてしまった過ち」という意味がありますが、法律的には「一般的な注意・義務に単純に違反したもの」ということを意味します。
ここでの「一般的な注意・義務」とは、人の生命や身体の安全に配慮しなければならないという法的義務のことです。この義務には、「結果を予見するもの」と「結果を回避するもの」という2つの義務があります。
次に、致死については、文字通り「死亡すること」ということを意味します。
つまり、過失致死とは「死に至るかもしれないという認識・予見があり、その結果を回避する義務があったにもかかわらず、その注意・義務を怠ったために相手を死亡させた」と解釈できます。
刑法第210条|過失致死罪
過失致死については、刑法第210条にて以下のような罰則が規定されています。
(過失致死)
第二百十条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
引用:刑法第210条
過失致死罪の量刑に懲役刑はなく罰金のみ
過失致死罪の法定刑は、50万円以下の罰金のみです(刑法第210条)。
他の犯罪では、「◯年以下の懲役または◯万円以下の罰金」のように、懲役あるいは罰金が刑罰として規定されているものが多数ですが、過失致死罪には懲役刑がありません。
つまり、たとえ有罪判決が下されたとしても、刑務所に収監されることはないのです。検察庁にて直接罰金を納めるか、検察庁から送られてくる納付書をもって、金融機関に罰金を納めることになります。
なお、もし罰金を支払わない場合には、自分が持っている財産に対して強制執行がなされます。それでも罰金を完納できないと、労役場留置となります。
労役場留置となった場合、刑事施設内の労役場に留置されて作業を強いられます。基本的には、1日につき罰金5,000円相当という換算になっています。
過失致死罪が適用された判例
過失致死罪が適用された判例としては、1956年に発生した「彌彦神社事件」があります。この事件は、大晦日から元日へと移り変わった直後の神社で発生した群集事故です。
2年参りのために多数の参拝客が押し寄せるなかで餅まきがおこなわれ、高い石段の中央部分で参拝客が滞留してしまい、前後から押しやられた参拝客が次々と石段から転落しました。
死者124名・重軽傷者77名という大事故に発展し、神社側の刑事責任が追及されることになり、結果的には過失致死罪での有罪判決が下されました。
神社側が参拝客の安全確保に配慮しないまま餅まきを実施し、雑踏整理や参拝者の誘導などの措置を怠ったことについて、裁判官が「神社側に過失がある」という判断を下した事例です。
【参考】
- 最高裁 昭和42年5月25日判決(Westlaw Japan 文献番号 1967WLJPCA05250010)
行為により過失致死の罪は細分化され量刑も変わる
ニュースでは、過失致死事件について「業務上」や「自動車運転」などのフレーズとともに報じられることもあります。
実際のところ、刑法第210条の過失致死罪が適用される事件はさほど多くなく、行為によって細分化された別の犯罪が適用されることの方が多数です。
ここでは、過失致死に関連する別の犯罪について確認しましょう。
重過失致死傷罪
過失致死のなかでも「重大な過失」がある場合は、刑法第211条の後段に規定されている重過失致死傷罪に問われます。
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
引用:刑法第211条
重大な過失とは、人が死傷する結果が簡単に予見できるのにこれをしなかった場合あるいは予見できている場合、簡単に回避できたはずなのにこれをしなかった場合のことを指します。
一例としては、「泥酔者を着衣のまま水風呂にいれる」「闘犬を放し飼いにする」「スマホを操作しながら車を運転する」などのケースが該当します。
重過失致死傷罪の法定刑は、5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です(刑法第211条)。過失致死罪と比較すると、懲役や禁錮などが設けられているうえ、罰金も2倍の金額となっています。
業務上過失致死傷罪
重過失致死傷罪のほかには、業務上過失致死傷罪というものもあります。
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
引用:刑法第211条
ここでいう「業務上」とは、必ずしも仕事・職業といった考え方に限られるわけではありません。業務上過失致死傷罪における「業務」について、過去の裁判では社会生活上の地位に基づき反復継続しておこなう行為であって、生命や身体に危険を生じうるものと定義しています。
【参考】
- 最高裁第二小法廷 昭和33年4月18日判決(Westlaw Japan 文献番号 1958WLJPCA04180004)
一般的に「業務」としてわかりやすい事例としては、次のような事件が挙げられます。
- ダイヤ改正の影響で電車を最高速度で運行しなければならない状態になったにもかかわらず、鉄道会社が事故防止措置をとらなかった結果、脱線事故が起きて多数の乗客が死傷した
- 自社が製造するバスやトラックなどに重大な欠陥があることを知りながら、リコール等の改善措置を講じなかった結果、走行中の脱輪事故によって通行人らが死傷した
- スキューバダイビングの講習において、誘導がなければ溺死の恐れがある受講生がいたにもかかわらず、後方確認をせずに前進した結果、受講生が溺死した
また、「趣味の狩猟を終えて散弾銃の片付けをしていた最中、誤って発砲して狩猟仲間を死亡させた」というような、仕事以外の場面でも適用されることがあります。
過失運転致死傷罪(旧:自動車運転過失致死傷罪)
自動車の運転によって人を死亡させた場合、2007年以前は業務上過失致死傷罪に問われていました。
しかし、悲惨な交通死亡事故に対する厳罰化の声が高まったことなどもあり、2007年には業務上過失致死傷罪から独立して自動車運転過失致死傷罪が新設されました。
さらに、2014年には新法「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)」の施行にともない、現在では過失運転致死傷罪へと変更されています。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
引用:自動車運転処罰法第5条
過失運転致死傷罪の場合、法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金と定められています。
2019年には、全国で3,215名が交通事故によって尊い命を落としています(令和2年における交通事故の発生状況等について|警察庁交通局)。自動車の運転自体が「相当な注意を要する危険な行為」であると考えるべきでしょう。
過失致死と殺人罪の違いは故意の有無
「人を死亡させる」という結果だけをみれば、過失致死罪も殺人罪も大きな違いはないでしょう。
しかし、過失致死罪の法定刑が50万円以下の罰金のみであるのに対して、刑法第199条の殺人罪は死刑または無期、もしくは5年以上の懲役刑となっており、刑罰の重さには大きな差があります。
過失致死罪と殺人罪を区別するのは「故意」の有無です。故意とは「わざと」という意味ですが、法律的な考え方では「罪を犯す意思があること」を指します。
まったく同じ結果が発生していても、不注意によって死亡させた場合には過失致死罪、殺意をもって死亡させた場合には殺人罪に問われます。
殺人事件に関するニュースで、「容疑者は殺意を否認しています」などと報じられることもありますが、刑罰にこれだけの差があることを考えれば当然でしょう。
執行猶予や無罪になる可能性はあるのか
本当に故意によって生じたことであっても、「人が死亡した」という重い結果が生じている以上、場合によっては厳しい処分が下されるおそれもあります。
ここでは、執行猶予や無罪判決などを獲得できる可能性について解説します。
不起訴獲得のためには弁護士に依頼するのがベター
被害者が死亡してしまった場合、逮捕されて厳しい刑罰が下されることに強い不安を感じる方は多いでしょう。
「罪を犯せば刑罰が科せられる」というのは当然に感じるかもしれませんが、実際のところ、事件を起こしたからといって必ずしも刑罰を科されるわけではありません。
2019年版の犯罪白書によると、2018年の全事件における処理の割合は次のような結果になっています。
起訴
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公判請求
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8.4%
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略式命令請求
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22.6%
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不起訴
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起訴猶予
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57.1%
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その他
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6.4%
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家庭裁判所送致
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5.5%
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起訴とは「事件の被疑者を刑事裁判にかけること」で、不起訴とは「裁判をおこなわずに事件終了にすること」です。不起訴処分となった場合、懲役や罰金などが科されることはなく、前科もつきません。
上記の表によると、起訴が31%であるのに対して不起訴は63.5%となっており、6割以上の事件は裁判もおこなわれずに終了しているということがわかります。
起訴・不起訴を判断するのは捜査機関である検察官がおこない、犯行態様や被害の大きさなどをもとに判断されます。
例えば、被害者遺族に反省の意思を示して「厳しい処分は望まない」などの言葉をもらえれば、不起訴処分を獲得できる可能性があります。ただし、加害者に対する怒りが大きい場合などは、連絡を取ることすらできない恐れがあります。
弁護士であれば、依頼者の代理人として交渉対応を進めてくれます。相手が直接やり取りしたがらない場合でも、弁護士が相手であれば応じてくれることもあるでしょう。
起訴された場合も執行猶予を目指せる
重過失致死傷罪・業務上過失致死罪・自動車運転過失致死罪などに問われた場合には、懲役刑が科せられるおそれがあります。
たとえ起訴は回避できない状況でも、「ある程度の注意を払っていた」「危険は回避できなかった」などの証拠を示すことができれば、事情が考慮されて執行猶予がつく可能性があります。
ただし、状況によって何を集めればよいかは異なり、法律知識などのない素人では証拠を集めきれず、実刑判決が下されることもあります。
弁護士であれば、法的視点から証拠になり得るものを判断してくれて、依頼者の代わりに集めてくれます。自力で対応するよりも執行猶予がつく可能性は高まります。
まとめ
たとえ不注意が原因で起きたことでも、相手が死亡してしまうと過失致死として罪に問われてしまいます。過失致死罪には罰金刑しかなく、殺人罪ほど刑罰は重くないものの、有罪判決が下されれば前科が残ることになります。
不起訴処分を獲得できれば、罰金を科されることもなく前科もつかずに済みますが、法律知識などのない素人では的確に対応できないこともあるでしょう。
弁護士であれば、刑事手続きの流れや今後の対応などをアドバイスしてくれるほか、依頼者の代理人として交渉対応や証拠収集などを依頼することも可能です。初回相談無料の事務所も多くありますので、まずは相談してみましょう。
ご家族や自身が過失致死罪に問われている方へ
過失致死罪には罰金刑しかなく、殺人罪ほど刑罰は重くないものの、有罪判決が下されれば前科が残ることになります。
ただ状況や経緯、行為次第では、重過失致死傷罪や業務上過失致死傷罪といった罪に問われる可能性もあります。
ご家族や自身が逮捕されてしまった方は、ただちに弁護士に依頼をしましょう。
逮捕後23日以内には検察が起訴・不起訴の判断を下します。
不起訴になった場合、懲役や罰金などを科されることもなく、前科もつきません。
過失とはいえ相手を死亡させてしまったとしても、速やかに弁護活動を受ければ不起訴処分を獲得できる可能性があります。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはご相談ください。
※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条
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