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示談金の相場を犯罪17種類別に解説!金額の決め方と示談交渉ポイント

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
示談金の相場を犯罪17種類別に解説!金額の決め方と示談交渉ポイント

刑事事件では、被害者と示談して解決できるかどうかが非常に重要です。しかし示談金の相場を把握しないまま交渉に臨み、過剰な請求に応じるケースは少なくありません。

交通事故や窃盗、傷害事件など、事件の種類によって示談金の相場は大きく異なります。

また、法律で金額が決まっているものではなく、犯罪の種類・被害の大きさ・被害者の精神的苦痛の度合いなどによっても変わります。

この記事では、17種類の犯罪ごとの相場・金額に影響する要因・示談の流れ・弁護士に依頼する重要性をまとめました。相場を知って適切に交渉を進めましょう。

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目次

示談金の相場とは?

示談金

示談金は、当事者間の話し合いで加害者が被害者に支払う金銭です。治療費や物損などの財産的損害と、精神的苦痛への慰謝料で構成されます。刑事事件の示談では、経済的な損失の補填だけでなく、被害者から許しを得ることも目的のひとつです。

法律で基準が定められているわけではなく、当事者間の交渉で金額が決まるため、相場も一律ではありません。ただし、過去の類似事例を参考にすれば、おおよその目安を把握できます。

示談金の決め方

示談金は、被害者と加害者(または弁護士)の交渉によって決まります。双方が納得した上で合意書に署名・捺印すると、金額が確定します。

単純な計算式では金額を算出できないケースも少なくありません。実際の交渉では、以下のような状況が生じます。

  • 加害者が早期の釈放や不起訴を望み、相場より高い金額を提示する
  • 加害者の誠意が認められ、相場より低い金額で合意に至る
  • 被害者の処罰感情が非常に強く、相場を大きく超える金額が請求される

犯罪の種類別に見る示談金の相場

示談金の相場は、犯罪の種類によって数万円から数千万円以上まで幅広く異なります。

財産的な被害が中心の事件と、身体や精神への被害が伴う事件とでは、算定の基準が根本的に違うからです。被害の性質や重大性を把握した上で、自分のケースがどの類型に近いかを確認してください。

事件の種類 示談金相場
暴行罪 10万円~30万円程度
傷害罪 10万円~100万円程度
窃盗罪 被害額+~20万円程度
詐欺罪 被害額+~20万円程度
横領罪 被害額+~20万円程度
恐喝罪 被害額+~20万円程度
強盗罪 被害額+~50万円程度
不同意性交等罪 100万円~200万円程度
痴漢 30万円~50万円程度
盗撮 10万円~30万円程度
交通事故 数万円~1億円程度
セクハラ 50万円~100万円程度
名誉毀損 10万円~50万円程度
風俗トラブル 10万円~50万円程度
著作権侵害 数十万円~数百万円程度
労災 数十万円~数千万円程度
食中毒 数万円~50万円程度

1. 暴行罪の示談金相場:10万円〜30万円程度

暴行罪の示談金は10万円〜30万円程度が目安です。

暴行罪は相手に暴力を振るったもののけがを負わせていない場合に成立し、身体的被害が軽微なため、慰謝料の水準も抑えられる傾向があります。傷害が生じていない分、傷害罪より低く設定されるケースがほとんどです。

路上での口論の末に相手を突き飛ばした場合や、殴ったがけがを負わせなかった場合などが暴行罪に該当します。

2. 傷害罪の示談金相場:10万円〜100万円程度

傷害罪の示談金は10万円〜100万円程度と幅広く、けがの程度や治療期間によって金額が変動します。治療費・休業損害といった実損害に加え、精神的苦痛に対する慰謝料も上乗せされるため、負傷の重さが相場を左右する大きな要因です。

軽い打撲で通院1週間程度であれば10万円〜30万円ほど、骨折で入院・手術が必要なケースでは100万円前後に達する場合もあります。

3. 窃盗罪の示談金相場:被害額+〜20万円程度

窃盗罪の示談金は、盗んだものの被害額に20万円程度の慰謝料が上乗せされるのが一般的な相場です。

財産犯においては被害額の全額返還が大前提で、被害者が被った精神的苦痛や手間・時間に対する補償として慰謝料が加算されます。被害額が少額であれば示談金も低くなる傾向があり、被害額が大きいケースほど高額です。

店舗での万引きや、他人の自転車を無断で持ち去った場合などが窃盗罪に該当します。

4. 詐欺罪の示談金相場:被害額+〜20万円程度

詐欺罪の示談金は被害額の全額返還に加えて20万円程度が相場ですが、被害額が高額になるほど交渉は難航しやすい傾向があります。

詐欺は計画性・悪質性が高いとみなされることが多く、被害者の処罰感情も強くなりがちです。被害弁償に加えて誠意を示す上乗せ金が、示談成立の条件となるケースも少なくありません。

虚偽の投資話で金銭を騙し取った場合や、架空の商品を販売して代金を受け取った場合などが詐欺罪に該当します。

5. 横領罪の示談金相場:被害額+〜20万円程度

横領罪の示談金も、被害額全額の返還が前提です。上乗せ慰謝料は20万円程度が目安となります。

横領は被害者から委託された財物を流用する行為であり、信頼関係を裏切った点が重く評価されます。被害弁償と謝罪の誠意を金額で示すことが、示談成立の条件となりやすいです。

会社の経費を私的に流用した業務上横領や、預かった金銭を返還せずに使い込んだ場合などが横領罪に該当します。

6. 恐喝罪の示談金相場:被害額+〜20万円程度

恐喝罪の示談金は被害額の返還に加えて20万円程度が相場ですが、脅迫の態様が悪質であるほど慰謝料が増額されやすいです。

恐喝は財産的被害に加えて被害者に強い恐怖感・精神的ダメージを与えるため、精神的苦痛への慰謝料の比重がほかの財産犯より高くなる場合があります。

「従わなければ秘密をばらす」などと脅して金銭を要求した場合や、暴力をちらつかせて金品を奪った場合などが恐喝罪に該当します。

 7. 強盗罪の示談金相場:被害額+〜50万円程度

強盗罪の示談金は被害額に加えて50万円程度が相場であり、暴力を伴う分だけ慰謝料が高額になります。

強盗は暴行・脅迫を手段とする重大犯罪であり、被害者の身体的・精神的ダメージが大きく、法定刑も重いです。示談の難易度そのものが高く、被害者の要求額も相応に高くなる傾向があります。

刃物を突きつけて金品を奪った場合や、暴力を行使して相手を制圧した上で財物を奪った場合などが強盗罪に該当します。

8. 不同意性交等罪(旧強姦罪)の示談金相場:100万円〜200万円程度

不同意性交等罪の示談金相場は100万円〜200万円程度と、刑事事件の中でも最高水準です。性犯罪は被害者のPTSDや日常生活への長期的影響が大きく、法律上も重大犯罪として位置付けられています。慰謝料の算定基準がほかの犯罪と比べて格段に高くなります。

相手の意思に反して性的行為を強要した場合や、抵抗できない状況を利用して性交に及んだ場合などが不同意性交等罪に該当します。

9. 痴漢の示談金相場:30万円〜50万円程度

痴漢の示談金相場は30万円〜50万円程度が目安であり、行為の悪質性や継続性によって上下します。

痴漢は被害者の性的自由・尊厳を侵害する行為であり、精神的苦痛が大きいのが特徴です。被害者が通勤困難になるなど二次被害が生じるケースも多く、慰謝料水準は比較的高めに設定されます。

電車内で他の乗客の身体を同意なく触った場合や、混雑した場所を利用して性的な接触をおこなった場合などが痴漢行為に該当します。

10. 盗撮の示談金相場:10万円〜30万円程度

盗撮の示談金相場は10万円〜30万円程度ですが、画像・動画が拡散していた場合はさらに高額になるケースがあります。

盗撮はプライバシー・性的尊厳の侵害であり、被害者が受ける精神的苦痛は軽視できません。ただし直接的な身体接触がない分、痴漢より低い水準で推移するケースが多いです。

駅や商業施設でスカート内をカメラで撮影した場合や、トイレや更衣室に無断でカメラを設置した場合などが盗撮行為に該当します。

11. 交通事故の示談金相場:数万円〜1億円程度

交通事故の示談金は数万円から1億円超まで極めて幅広く、負傷(むちうちなど)の有無・後遺障害の等級・過失割合が金額を左右する大きな要因です。示談金は以下の費目で構成されており、重篤な後遺障害や死亡事故では逸失利益だけで数千万円に達する場合もあります。

  • 治療費
  • 入通院慰謝料
  • 休業損害
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益

脇見運転による過失割合10対0の追突事故や、信号無視による出会い頭の衝突など、過失によって他者に損害を与えた場合が交通事故の示談対象に該当します。

12. セクハラの示談金相場:50万円〜100万円程度

セクハラの示談金相場は50万円〜100万円程度が目安であり、行為の継続期間や職場での立場の差が金額に影響します。

セクハラは単発の行為だけでなく、継続的な言動による精神的被害が問題となるケースが多いのが特徴。被害者が退職や休職を余儀なくされた場合には逸失利益相当の賠償も加算されます。

上司が部下に対して性的な発言を繰り返した場合や、職場での立場を利用して身体的な接触を強要した場合などが一般的なセクハラの例です。

13. 名誉毀損の示談金相場:10万円〜50万円程度

名誉毀損の示談金相場は10万円〜50万円程度ですが、SNSでの拡散規模や社会的地位への影響度によって大きく変動します。虚偽情報の流布による信用・評判の毀損が損害の中心であり、拡散範囲が広いほど原状回復が困難になるため、慰謝料が増額される傾向です。

SNSに他人の虚偽情報を投稿して不特定多数に拡散した場合や、根拠のない悪評を繰り返し発信して相手の社会的評価を下げた場合などが名誉毀損に該当します。

14. 風俗トラブルの示談金相場:10万円〜50万円程度

風俗トラブルの示談金相場は10万円〜50万円程度であり、トラブルの内容(暴力・盗撮・無断撮影など)によって金額が変わります。

風俗店内でのトラブルは違法行為の内容が多様。単純な料金トラブルから性的暴力まで幅広く、示談金の水準もケースごとに大きく異なります。

風俗店内で無断撮影をおこなった場合や、サービス中に暴力を振るった場合などが風俗トラブルにおける主なトラブル例です。

15. 著作権侵害の示談金相場:数十万円〜数百万円程度

著作権侵害の示談金は数十万円〜数百万円程度が相場であり、侵害の規模・期間・商業的利用の有無が金額を大きく左右します。著作権者が本来得られたはずのライセンス料や利益相当額が損害の基準となるため、無断使用の規模が大きいほど請求額も高額です。

他者の写真や文章をWebサイトに無断掲載した場合や、著作権者の許可なく商業目的でイラストや音楽を使用した場合などが著作権侵害に該当します。

16. 労災の示談金相場:数十万円〜数千万円程度

労災の示談金相場は数十万円〜数千万円程度と非常に幅広く、障害の残存度や被災者の年収・年齢が賠償額に大きく影響します。

労災示談は労災保険給付では補填されない慰謝料・逸失利益・休業損害の差額部分を会社側に請求するものです。後遺障害が残ったり死亡事故に発展したりすると、賠償額が数千万円規模になるケースも少なくありません。

工場での機械操作中にけがを負った場合や、安全管理が不十分な環境での作業中に事故が発生した場合などが労災示談の対象に該当します。

17. 食中毒の示談金相場:数万円〜50万円程度

食中毒の示談金相場は数万円〜50万円程度が目安であり、症状の重さや入院の有無が金額の基準です。治療費・入通院慰謝料・休業損害が損害の中心ですが、死亡や重篤な後遺症が生じた場合は大幅に増額される可能性があります。

飲食店での食事後に食中毒症状が発生した場合や、食品の管理不備によって複数の人が健康被害を受けた場合などが食中毒示談の対象です。

示談金の金額に影響する5つの要因

示談金の金額に影響する5つの要因

示談金の相場は犯罪の種類だけでなく、個別の事情によって大きく変動します。金額に影響する要因は主に5つあり、それぞれの把握が提示額の妥当性を判断する上で重要です。

1. 被害の大きさ

被害の大きさは示談金を決める基本的な要因であり、治療費・財産的損害など実損害の金額が示談金の下限になります。示談金は損害を補填するという性質を持つため、生じた損害額を下回る金額は被害者にとって受け入れがたいものです。

たとえば暴行による骨折で治療費が20万円かかった場合、示談金の最低ラインは20万円となり、治療費に慰謝料が上乗せされる形で最終的な金額が決まります。

2. 加害者に対する被害者の処罰感情

被害者の処罰感情が強いほど示談金は高額になりやすく、逆に被害者が許す意向を示している場合は低い金額での示談成立も見込めます。

示談は双方合意によって成立するため、被害者が厳しい処罰を望んでいる場合、高額な示談金を提示しなければ合意に至らない場合が多いです。

面識のない相手への暴行で処罰感情が強いケースでは、一般的な相場以上の金額を要求されることもあり、弁護士を通じた丁寧な交渉が不可欠です。

3. 被害者の精神的苦痛の度合い

犯罪によって被害者に生じた精神的苦痛が大きいほど、慰謝料が増額されて示談金も高額になりやすい傾向があります。PTSDや睡眠障害などの診断書がある場合は、示談金が大幅に上がるケースも少なくありません。

示談金には財産的損害の補填だけでなく、精神的苦痛に対する慰謝料が含まれています。精神的苦痛の度合いは個人の感情的な部分に左右されるため、被害者とのやり取りを重ねながら妥協点を探します。

4. 加害者の経済状況・社会的立場

加害者の経済力や社会的立場は、示談金の上限に直接影響します。一括払いが難しい場合でも、分割払いの交渉によって示談が成立するケースがあります。

無職や低収入の加害者が傷害事件を起こしたケースでは、相場より低い金額でも一括払いを条件に示談が成立した事例も少なくありません。一方、高収入の加害者に対しては相場の上限を大きく超える金額が要求される場合もあります。

5. 加害者の過去の犯罪歴

前科・前歴がある加害者は悪質性が高いとみなされ、示談金が相場より高くなる傾向があります。示談交渉そのものが難航しやすい点も特徴です。

同種の犯罪を繰り返している場合、初犯と比べて被害者の処罰感情が強くなりやすく、示談の成立自体が難しくなります。示談が成立しなければ不起訴も期待しにくいため、加害者側は高い示談金を提示してでも早期解決を図ろうとするケースが多いです。

刑事事件で示談金を支払う3つの理由

刑事事件で示談金を支払う主な理由は、刑事処分を有利に進めるためです。被害者への誠意と法的メリットが表裏一体になっています。

示談の成否は、その後の処分内容に影響を与える要素の一つです。示談が成立した事案と成立しなかった事案とで、不起訴率や執行猶予率に差が生じる傾向があります。(参照:厚生労働省「医療行為と刑事責任」)。

早期の示談交渉が刑事弁護において重要な課題とされる背景には、こうした処分結果に差があるためです。

1. 不起訴処分の獲得・前科の回避が望めるから

示談が成立すると、検察官が不起訴処分を選択する可能性が高まります。前科がつかずに日常生活に戻れる点が、示談を目指す大きな理由のひとつです。

検察官は起訴・不起訴を判断する際に示談成立を重要な考慮要素とするため、示談書の提出が不起訴処分獲得の有力な材料になります。逮捕後すぐに弁護士が示談交渉を開始し、起訴される前に不起訴処分が決定するケースもあります。

2. 告訴を取り下げてもらえる可能性が高まるから

示談が成立し被害者が告訴を取り下げると、親告罪については刑事訴追そのものを防げます。

名誉毀損罪や侮辱罪など親告罪に分類される犯罪は、被害者の告訴がなければ起訴できません。示談交渉で告訴取り下げに合意してもらうことが、刑事責任を回避するための確実な手段です。

SNSでの名誉毀損のように、誠意ある謝罪と示談金の支払いによって告訴が取り下げられ、不起訴につながるケースもあります。

3. 刑が軽くなる可能性があるから

起訴されたあとでも示談の成立は量刑判断において有利な事情となり、実刑を回避して執行猶予付き判決を得られる可能性が高まります。

裁判官は量刑を決める際に、被害者への賠償・謝罪の有無を重要な情状として考慮します。

示談成立・示談書の提出が執行猶予獲得の決め手になるケースも少なくありません。

傷害事件で起訴された後に示談を成立させ、被害者が処罰を望まない意思を示せば、執行猶予付き判決に変わるケースもあります。

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刑事事件の示談の流れ5STEP

刑事事件の示談は、決められた手順を踏んで進める必要があります。順序を誤ると交渉が難航したり、せっかく合意した内容が無効になるリスクもあります。

示談を有利に進めるためにも、各段階で何をすべきかを事前に把握しておく点が大切です。

1. 被害者と連絡を取る

示談交渉の第一歩は被害者との連絡ですが、加害者本人の直接接触は避け、弁護士を通じて連絡しましょう。

逮捕・捜査中に加害者が被害者へ直接連絡を取ると、証拠隠滅や被害者への圧力とみなされ、勾留が長期化するリスクがあります。

弁護士が検察官や捜査機関を通じて被害者の連絡先を取得し、代理人として最初の連絡を取ると、交渉をスムーズに始められます。

2. 示談交渉する

示談交渉では謝罪の意と示談金の金額・条件について話し合いをおこないます。感情的にならない誠実な姿勢が、合意への近道です。

被害者が重視するのは、加害者が本当に反省しているかという点です。金額の多寡だけでなく、謝罪の誠意が伝わるかどうかが示談成立の分岐点になるため、誠意ある対応を心がけましょう。

弁護士が謝罪文を持参して被害者と面談し、示談金を提案したところ、当初より低い金額で合意に至るケースもあります。

3. 示談書を作成する

示談書は口頭での合意を書面化する重要な法的文書です。以下の内容を明記することが不可欠です。

  • 被害者が処罰を望まない旨
  • 示談金の金額
  • 今後一切の請求をおこなわない旨

示談書に加害者を許す旨の条項や、今後一切の民事請求をおこなわないという合意が含まれていると、検察・裁判所への有利な証拠になります。示談金支払い後に追加請求されるリスクも防げます。

必要な条項を入れ忘れたために、示談金支払い後に民事訴訟を起こされる可能性もあるため、弁護士による文書作成を強くおすすめします。

4. 示談金を支払う

示談金は示談書の締結後に速やかに支払うのが原則です。事前に明確にしておく必要があるのは以下の3点です。

  • 支払い方法
  • 支払い時期
  • 分割払いの有無

支払いが遅延したり分割払いが滞ったりすると示談が白紙に戻るリスクがあり、被害者の信頼を失って交渉が一層困難になりかねません。示談書締結後に一括払いができず分割払いを申し出ると、示談が破談になって起訴に至る可能性もあるので注意しましょう。

5. 捜査機関へ報告する

示談成立後は速やかに弁護士を通じて示談書を捜査機関・検察官に提出し、処分の判断材料として提示します。

検察官は起訴・不起訴を判断する際に示談書の内容を参照するため、起訴前のタイミングでの提出が処分を左右する点で重要です。

勾留期限内に示談を成立させて示談書を提出すると、不起訴処分につながるケースもあります。

刑事事件で示談交渉をおこなう際に気を付けるべき5つのポイント

示談交渉は、進め方を誤ると合意が遠のくだけでなく、刑事処分に悪影響を及ぼしかねません。交渉を有利に進めるために押さえておくべきポイントは以下の5つです。

1. しっかりと反省をする

真摯な反省が示談交渉の大前提です。被害者が誠意を感じられないと判断した時点で、交渉は終了します。

被害者が示談に応じる動機は、加害者に本当に反省してほしいという気持ちです。金額よりも謝罪の姿勢が合意を左右するケースも少なくありません。

弁護士が直筆の謝罪文を持参して被害者と面談すると、金額交渉より先に被害者の怒りが和らぎ、交渉がスムーズに進む可能性があります。

2. 相手の言い分を聞く

被害者の言い分を最後まで丁寧に聞く姿勢が、信頼関係の構築につながります。

一方的に示談金を提示すると、お金で解決しようとしていると受け取られ、交渉が硬直化するリスクがあります。

弁護士が被害者と面談する際、まず被害者の体験や感情に耳を傾けた上で示談の話を切り出すと、スムーズに示談が成立する場合も珍しくありません。

3. 戦略を立てる

示談交渉に臨む前に、以下の3点を踏まえた交渉戦略を立てるのが、不当な高額示談を避ける上で不可欠です。

  • 示談金の相場
  • 被害者の状況
  • 自身の経済力

弁護士なしで本人が交渉に臨むと、相場を大幅に超える金額を提示されても適切に判断できず、不利な条件で合意してしまうリスクがあります。事前に弁護士と相場や支払い可能額を整理した上で交渉に臨むことが、戦略を立てる上での基本的な進め方です。

4. 弁護士を付ける

示談交渉は弁護士への依頼が最も確実な選択肢です。弁護士に依頼すると以下の内容を対応してもらえます。

  • 被害者への接触
  • 示談交渉
  • 示談書の作成
  • 検察への提出

法律知識と交渉経験の両面で、本人対応とは結果に大きな差が出ることも少なくありません。弁護士なしで交渉した場合と弁護士が交渉した場合とでは、同種の事件でも示談金の金額に大きな開きが生じるケースがあります。

5. 示談が難しい場合は別の方法を考える

被害者が示談に応じない場合でも、以下のような代替手段を活用すれば、刑事処分において有利な事情をアピールできます。

  • 供託(賠償金を法務局に預ける手続き)
  • 被害弁償
  • 謝罪文の送付
  • 再犯防止策の提示

示談が成立しなくても、誠意ある対応を証拠として検察・裁判所に示せば、量刑の軽減や執行猶予獲得につながる可能性があります。

示談交渉以外の刑事弁護の方法3つ

刑事弁護において、示談交渉は有力な手段のひとつですが、それだけが弁護活動ではありません。示談以外にも、処分の軽減につながる方法が3つあります。

1.反省文の作成サポート

弁護士のサポートのもとで作成した反省文は、加害者の真摯な謝意を裁判官・検察官に伝える有力な書証となり、量刑に好影響を与える可能性があります。

反省文は単なる謝罪の言葉ではなく、以下の内容を盛り込むと、誠意がより伝わる内容になります。

  • 犯行の動機と原因分析
  • 被害者への共感と反省
  • 再発防止の意志

何をどのように書けば伝わるか、弁護士にアドバイスをもらいながら作成しましょう。

2.再犯防止策のアドバイス

再犯防止のための具体的な取り組みを実行・証明することが、裁判官に再犯リスクの低さを示す有効な手段です。カウンセリング受講や自助グループへの参加などが代表的な例として挙げられます。

釈放後に再犯する可能性があるかは、執行猶予を付けるかどうかの重要な判断基準となります。専門クリニックへの通院治療を開始し、医師の診断書と治療計画書を提出すると、執行猶予付き判決につながるケースもあります。

3.取り調べでの受け答えのアドバイス

取り調べでの不適切な発言が後の裁判で不利な証拠となるリスクがあるため、弁護士から事前に受け答えの指導を受けることが大切です。

捜査機関の取り調べでは自白を引き出すための心理的プレッシャーがかかる場合があります。事前に弁護士の指導を受けずに臨んだ結果、誘導に応じて虚偽の内容を認めてしまい、裁判で覆せずに有罪判決に至るケースもあります。

示談交渉の相談はベンナビ刑事事件で探そう

刑事事件の示談交渉を弁護士に依頼するなら、刑事事件を得意とする弁護士をすばやく探せるベンナビ刑事事件の利用がおすすめです。

24時間365日受付の事務所が多く、夜間・土日の逮捕でもすぐに連絡できます。痴漢・窃盗・暴行など事件内容ごとに専門の弁護士を絞り込んで探せるため、示談交渉の経験豊富な弁護士を見つけやすいのが特徴です。

また初回相談無料の事務所も多く、費用面の不安がある方も相談しやすいです。

示談交渉は逮捕・勾留中という限られた時間の中で進める必要があります。刑事事件に精通した弁護士に早期にアクセスできるかどうかが、示談を成立させる上で重要です。

ベンナビなら迅速に最適な弁護士を探せるため、ぜひ活用してみてください。

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弁護士の示談交渉で解決できた事例

弁護士が示談交渉に介入すると、当初は難航していた交渉が解決に至るケースは少なくありません。以下では、実際の解決事例を3つ紹介します。

解決事例1:示談成立により前科回避を実現した事例

罪名 暴行罪
解決結果 示談成立・被害届取下げ
示談金 30万円

交際相手への暴行で逮捕・釈放された20代男性のケースです。成人直後という事情から、前科への不安が強く、早期解決を強く望んでいました。

依頼を受けた翌日から弁護活動を開始し、被害者側弁護士との交渉、謝罪文の提出、誠意ある示談書を提示。示談金30万円で合意が成立し、被害届の取り下げと処罰を求めない意思が示談書に明記されました。

弁護士への依頼により、前科なしで社会復帰を果たした事例です。

解決事例2:10万円の費用で示談・不起訴を勝ち取ったケース

罪名 盗撮
解決結果 示談成立・不起訴処分
示談金 10万円

盗撮で逮捕・釈放された30代の会社員が、検察による最終処分が決まる前に弁護士へ依頼したケースです。会社員としての身分があったことから勾留には至らず、在宅のまま捜査が進んでいました。

盗撮などの性犯罪では被害者との直接交渉が難しく、弁護士による介入が不可欠です。依頼を受けた弁護士は即日交渉を開始し、日中は仕事をしている被害者に配慮しながら夜間・週末も活用して話し合いを重ねました。

並行して弁護士の指導のもとで反省文を作成し、被害者に誠意が伝わった結果、示談金10万円で示談が成立。不起訴処分を獲得し、前科なしで社会復帰を果たした事例です。

解決事例3:痴漢事件で示談金15万円を支払って不起訴処分を獲得できたケース

罪名 痴漢
解決結果 示談成立・不起訴処分
示談金 15万円

電車内で眠っていた女性の膝を触り、現行犯逮捕された30代男性のケースです。父親が身柄引受人となり即日釈放されて在宅事件となりましたが、日雇い労働で貯金がほとんどなく、示談金の工面が大きな課題となりました。

弁護士が被害者に事情を説明しながら交渉を重ねた結果、示談金を積み立てるまで待ってもらえることになりました。

毎月法律事務所の口座に積み立てを続け、5か月で15万円を用意した上で示談が成立。書類送検後も担当検察官が処分を待ってくれ、最終的に不起訴処分となりました。

刑事事件の示談金に関するよくある質問

示談金に関して、当事者から寄せられる疑問をまとめました。手続きや金額について不明な点がある場合は、参考にしてください。

示談金はどうやって決めますか?

示談金は法律で決められた固定額ではなく、被害の大きさ・処罰感情・加害者の経済状況などを総合的に考慮した上で、当事者間の交渉によって決まります。

示談は民事上の合意であるため、双方が納得できる金額であることが条件です。同じ暴行罪でも、被害者の処罰感情が強く治療期間が長いケースでは高額になる一方、軽微な行為で被害者が処罰を望まない場合は低い金額で合意できることもあります。

示談金を支払わないとどうなる?

示談金を支払わないと示談が成立せず、起訴・前科のリスクに加えて、民事訴訟で損害賠償を請求される可能性も高まります。

検察官は示談の成否を起訴・不起訴の判断材料とするため、示談が成立しない場合は起訴を選択しやすいです。裁判でも被害者への賠償をしていない点が不利な情状として評価され、刑事・民事の両面で不利な状況に追い込まれます。

示談金が高すぎる場合はどうするべき?

相場を大幅に超える示談金を要求された場合は、すぐに応じるのではなく弁護士に相談して根拠のある反論をおこなうのが適切な対応です。

被害者の要求額が感情的な側面から相場を超えるケースは珍しくありません。弁護士が法的根拠と類似事例の相場を示して交渉することで、現実的な金額への修正が可能となります。

示談に必要な期間は?

示談に必要な期間はケースによって数日から数ヵ月と大きく異なります。逮捕・勾留中の事件では、逮捕から起訴判断までの最長23日間以内に示談を成立させることが不起訴処分獲得の上で重要です。

弁護士への依頼が早いほど交渉に使える時間が長くなります。逮捕翌日に依頼して即日着手した案件では、勾留期間中に示談が成立したケースがある一方、依頼が遅れたために期間内に示談が間に合わず起訴されるケースもあります。

示談金は慰謝料や被害弁償と何が違う?

示談金と慰謝料・被害弁償はよく混同されますが、それぞれ異なる概念です。示談書に明確に区別して記載すると、支払い後の追加請求などのトラブルを防げます。

種類 内容
示談金 慰謝料・被害弁償・解決金を包括した総称
慰謝料 精神的苦痛への補償
被害弁償 財産的損害の原状回復

示談金を支払った後に、被害者から慰謝料・被害弁済を請求されるケースもあるため、今後一切の請求をおこなわない旨を示談書に必ず明記しましょう。

まとめ

示談金の相場は犯罪の種類や被害の程度によって大きく異なり、一律の金額はありません。適正額を判断するには、事件の類型・被害の大きさ・処罰感情など複数の要因を把握した上で交渉に臨む必要があります。

示談の成否は、不起訴処分の獲得や刑の軽減に直結します。交渉を有利に進めるためには、早期に弁護士へ相談することが重要です。逮捕後は時間との戦いになるため、ベンナビ刑事事件で少しでも早く弁護士に相談してください。

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