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無期懲役(むきちょうえき)とは、期限を決めずに懲役刑に処す刑罰の事で、日本では死刑に次いで重い刑罰とされます。よく「無期懲役になると、一生刑務所から出られない」という認識がされますが、そのようなことはありません。
主に殺人罪などの重い犯罪に対しては、無期懲役が法定刑で定められていますが、日本では複数の犯罪を起こした被告人に有期刑を言い渡す場合、全ての犯罪の刑期が加算されるわけではなく、長期が最も長い罪の刑期の1.5倍を上限に刑期が言い渡されるにすぎません。なお、有期刑の刑期の上限は30年となっています。
つまり、海外のように懲役何百年というような判決は日本では受けません。今回は、無期懲役に関するご説明と、無期懲役の実情について解説をしていきます。
よく、無期懲役と終身刑が混同されがちですが、大きく違います。
説明の通り、無期懲役は、「懲役の期間を決めずに刑務所に服役させること」ですが、終身刑は「死ぬまで刑務所から出られない」と断言することです。ただ、「無期懲役刑だから一生刑務所から出られない」という考えには若干の誤りがあり、無期懲役とはいえ刑務所から出てこられる可能性はあります。
しかし、無期懲役で刑務所から出てこられたとしても監視下に置かれ続けます。これは、無期懲役での釈放は、刑期が満了する前に出所する仮釈放となるためです。仮釈放となると保護観察所に月に2回行かなければなりません。
また、長期の旅行や転居にも制限があり、保護観察官からの許可が必要になります。四六時中監視されているということではありませんが、幾分かの制限があります。一方、仮釈放中に万引きや無免許運転などの軽い犯罪をしてしまうと、簡単に刑務所に逆戻りすることになります。
無期懲役でも刑務所から出てこられるとご説明しましたが、実際のところは何年で刑務所から出られるのでしょうか。一説によると、「入所後10年を過ぎると刑務所を出られる」「無期懲役の平均滞在懲役期間は25年だ」とまで言われています。
しかし、上記の内容は風説と言えるでしょう。確かに過去に十数年で仮釈放されたという事例が数件あったことと、1度目の仮釈放審理で仮釈放が認められなかった場合、その後10年経過すると再度仮釈放審理が行われるということが混同されたのではないでしょうか。
また、2005年以前は懲役の最長は20年とされていました。しかし、2005年以降は懲役の併合罪の最長が30年と改定され、結果的に無期懲役の仮釈放審理も「懲役での最大年数を過ぎてからすべき」という理由で、30年経過以降に仮釈放審理が行なわれます。
したがいまして、無期懲役で仮釈放が行なわれるのは、入所から30年経った後からです。更に、仮釈放がされること自体が稀で、2014年時点で1,800名程度いる無期懲役囚に対し、年間で10人に満たっていません。割合にすると、0.3%程度です。
確かに、無期懲役は死ぬまで刑務所に入れられるものではありませんが、刑務所から出られることも稀です。ですので、「無期懲役でも20年程度で出てこられて恐ろしい」と一概に言えない面があります。
例えば25歳で犯罪を起こし、無期懲役判決を受けたのであれば、仮釈放になるのも55歳以降です。映画「ショーシャンクの空に」であったように、長年過ごした刑務所を高齢で出ても、身寄りはおらず、世間が受け入れてくれる可能性は非常に低くなっています。結果的に再犯を起こしてしまうか、自ら命を断ってしまうことがあります。
以前は、無期懲役でも十数年~二十数年で仮釈放され、「更生されていない」ことが原因で再犯を起こすことも多かったのですが、現在は「受け入れられず」再犯を起こすことも多く、無期懲役での仮釈放者を保護する体制を整える問題があるとも言われています。
それでは現在、無期懲役の判決を受けた人物がどのような流れを経て仮釈放になるのでしょうか。法務省のHPを元に簡単にですが解説していきます。
上記の通り、法務省も無期懲役の仮釈放は30年経過してからとの方策をとっています。ここで仮釈放が許されなければ、更に10年後にまた仮釈放審理を受けることになります。仮釈放審理は3回まで行なわれます。
なぜ3回かというと、1回目(30年後)、2回目(40年後)、3回目(50年後)と、仮に25歳から服役していた場合、3回目の審理が終了した時点で75歳と高齢になっており、年齢的にも社会に復帰できる可能性が低いからです。
「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則」の第28条に仮釈放に関して記載があり、それを簡単に説明すると、「服役者本人に、更生の意欲があり、再犯のおそれがなく、保護観察を付け社会に返す事で改善につながり、更に、社会的感情がこの事を許すようであれば」認められる可能性があります。
こちらでは、ここ数年で無期懲役の判決を受けた事件を解説していきます。大きなニュースにもなり、覚えてらっしゃる方も多いでしょう。
2007年、加害者である市橋容疑者が、美容整形をして逃走した事で認知度の高い、リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件。2011年、殺人罪・強姦致死罪・死体遺棄罪で無期懲役の判決を受けました。
無期懲役とされた理由は、被害者が1名だけ、犯罪に計画性がなく更生の可能性がないとはいえない、といったことがあります。
2016年8月、山梨県甲州市で会社役員の男性が自宅を襲われて殺害された事件と、その3ヶ月後に甲州市の会社員男性が長野県南牧村の畑で遺体となって発見された事件(山梨県甲州市の男性強盗殺人事件)。
強盗殺人や強盗致死の罪で5人が逮捕され、主犯格の男には無期懲役、その他4人には懲役20年から無期懲役の判決が言い渡されています。
2014年、柏市の路上で発生した通り魔事件です。被害は、死者1名、軽傷者1名と財布と逃走用の車が盗まれています。特に印象として残った点は、強盗致死罪として逮捕された容疑者が全く反省しておらず、報道陣に対し中指を立てたり、無期懲役の判決が出た際に「またこれで殺人ができる」と挑発的な態度を取ったことです。
2018年6月、東海道新幹線「のぞみ265号」車内で神奈川県を走行中に発生した殺人事件(東海道新幹線車内殺傷事件)。犯人は凶器で1人を殺害し、2人に重傷を負わせました。
2019年12月、無期懲役が言い渡され、被告側は控訴せず2020年1月に刑が確定しました。
この事件を経て、新幹線を運営する各社は安全対策を強化することになります。
上記のように、無期懲役の判決を受けるには「人を殺害している」「単なる殺人だけではなく、強盗・わいせつ目的の犯行が多い」と考えられます。中には「死刑が妥当ではないか?」と思うような事件もあります。
法律上明確な基準こそないものの、過去の判例から死刑と無期懲役を分ける基準には、以下の様なものが考えられます。
死刑は言わずともしれた、加害者の命を奪う極刑で、判決には非常に慎重になります。上記のように、無期懲役でも社会に復帰する可能性は含んでいます。更生の可能性もなく、万が一社会に復帰した際に、再び事件を起こしてしまうような、更生の可能性がない人物は死刑判決を受ける可能性が出てきます。
明確な基準こそはないものの、1人の殺害だと死刑の可能性は低いと考えられます。おおよそ、2人以上から死刑の可能性が高まります。4人以上殺害した事件では、ほとんどが死刑になります。
被告人の境遇、犯罪の動機、事件の経緯(強盗・わいせつなど)・残虐性・犯罪歴・遺族の被害者感情などを複数の観点から死刑か無期懲役かが判断されます。
例えば上記で説明した、秋田県児童連続殺害事件は、児童が2人殺害されています。しかし、加害者が力関係で弱い女性であるという事も考えられての無期懲役でしょう。
一方、柏市連続通り魔事件では、被告人が全く反省していません。しかし、人的被害が、死者1名・軽傷者1名と少なかったため、死刑にまではならなかったということが考えられます。
それでは最後に、無期懲役が法定刑として定められている罪を解説していきます。
ご存知の通り、人を殺害した際の罪ですが、「殺すつもりがあった」かどうかが殺人罪の論点になります。例えば、突き飛ばした結果、頭を強く打ち死亡させてしまったのであれば、傷害致死罪(3年以上の有期懲役)になる可能性が高く、無期懲役にはなりません。
拐取とは、誘拐や略取(連れ去り)のことで、身代金目的・要求をした場合は、無期懲役になる可能性があります。
強制わいせつ(6ヶ月以上10年以下の有期懲役)、強姦(3年以上の有期懲役)の結果、被害者を死傷させた場合は、無期懲役の可能性が出てきます。
強盗(5年以上の有期懲役)の結果、被害者を死傷させた場合は、無期懲役の可能性が出てきます。
現住建造物とは、人が住居としている建物のことです。人が住んでいる建物に放火した際は、人が死傷しなくても無期懲役の可能性があります。
浸害とは、簡単に言うと水攻めのことです。人が住居とする場所を故意に浸害させると、無期懲役の可能性が出てきます。
そうそうあるものではありませんが、汽車・電車・艦船を転覆させた場合は、汽車転覆等の罪で無期懲役の可能性が出てきます。
水道で公共の飲料用の浄水・水源に健康を害する物を混入し、結果的に人を死亡させた場合は、無期懲役の可能性があります。
偽札などの通貨偽造は、国家の信用を揺るがせる危険性もあるため、非常に重い罪となっています。上記の罪は、人の生命を脅かすものしかありませんでしたが、通貨偽造の罪は、個人の法益とは関係ない罪で無期懲役が設けられています。
家族が上記のような事件を起こしてしまった場合、できるだけ早く弁護士に相談することで、減刑や仮釈放を望める可能性があります。
家族が無期懲役になってしまうかもしれないと不安な方は、刑事事件の解決が得意な弁護士へ無料相談しましょう。
無期懲役は主に、人の生命を脅かすほどの危険な犯罪に設けられた、長期間に渡る刑罰です。
無期懲役に関して、様々な風説が流れていますが、現状としては今回解説したような内容になっています。
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