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微罪処分なら即座に釈放|微罪になる犯罪や判決の基準を解説

須賀翔紀
監修記事
微罪処分なら即座に釈放|微罪になる犯罪や判決の基準を解説

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微罪処分とは、軽い犯罪を起こしてしまい警察から事情を聞かれた場合であっても、警察が微罪と判断するときは、身元確認後に即座に釈放する処分です。

刑事処分は、逮捕されたり、刑事施設に拘束されたり、取調べを受けたりと、少し深刻に考えてしまいますが、犯罪には、罪の重いものから軽いものまであります。比較的軽い犯罪には、この微罪処分が適用されることがあります。

では、微罪処分とはどのような基準で、どうやって決まるのでしょうか。また、微罪処分になった場合、その後、どのようなっていくのでしょうか。今回は、微罪処分について詳しく説明していきます。

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微罪処分とは「警察段階で事件処理を終わらせる手続き」のこと

微罪処分とは、刑事事件の捜査を警察段階で終える手続きのことを指します。

通常、刑事事件は「犯罪発生→逮捕→送致→勾留→起訴→裁判→判決」という流れで進み、犯人を起訴するかどうかの判断は検察が担当します。

しかし、微罪処分にあたる事件の場合は、警察がその事件を終了させて、その後の手続きはおこなわないようにします。

微罪処分の法的根拠

本来、犯人を逮捕した警察官(司法警察員)は、速やかに書類と証拠物と一緒に事件を検察官に送致(送検)しなければなりません。

しかし、「検察官から指定された事件」は例外となっており、一部の事件は「微罪処分」として処理できる決まりとなっています。

警察捜査規範にも「微罪処分の場合の手続き」に関する規定が設けられています。

第二百四十六条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索

(微罪処分ができる場合)

第198条 捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。

(微罪処分の報告)

第199条 前条の規定により送致しない事件については、その処理年月日、被疑者の氏名、年齢、職業及び住居、罪名並びに犯罪事実の要旨を1月ごとに一括して、微罪処分事件報告書(別記様式第19号)により検察官に報告しなければならない。

(微罪処分の際の処置)

第200条 第198条(微罪処分ができる場合)の規定により事件を送致しない場合には、次の各号に掲げる処置をとるものとする。

(1) 被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること。

(2) 親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を徴すること。

(3) 被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと。

引用元:犯罪捜査規範 | e-Gov法令検索

微罪処分の対象となる犯罪の種類

微罪処分の対象となる犯罪は各都道府県で異なりますが、一般的には窃盗罪、暴行罪、傷害罪、占有離脱物横領罪、詐欺罪、賭博罪などが微罪処分の対象となっています。

もっとも、これらの犯罪は微罪処分の対象であるだけで、被害の程度、前科・前歴の有無、示談の有無などにより、適用されるかどうかは変わります。

 

【2021年時点の微罪処分の件数と主な犯罪】

微罪処分となった事件(総数)

49,702

窃盗(万引き)

21,422

窃盗(乗り物盗)

1.551

暴行

11,664

占有離脱物横領

4,221

詐欺

761

微罪処分の対象となる事件の内容

微罪処分の対象になるかどうかは、担当する警察官の裁量によって異なります。そのため、一概にこの事件・程度なら微罪処分になると断言することはできません。

しかし、以下のような条件に当てはまる場合は、微罪処分になる可能性があると考えられます。

ここでは、微罪処分の対象となる事件の内容・条件について確認しましょう。

  • 加害者が初犯である
  • 加害者に監督者がいる
  • 被害や犯情が軽微である
  • 被害弁償や示談が済んでいる
  • 被害者の処罰感情が和らいでいる

加害者が初犯である

微罪処分の対象者は、原則として初犯の場合に限られます。前科や前歴があると、以前の事件から反省していないとみなされて、軽微な犯罪でも罰(ここでの罰は身柄拘束を含む)を与えるべきと考えられるようです。

前回の犯罪が相当前の場合は考慮される可能性もありますが、基本的に前科・前歴がある場合の微罪処分は難しいでしょう。

加害者に監督者がいる

微罪処分になったからといって、自分ひとりで帰れるわけではなく、通常は家族や上司といった身元引受人となる監督者に迎えに来てもらう必要があります。

せっかく微罪処分になっても、身元引受人が誰も現れないと、微罪とならず身柄拘束され続けることもあり得ます。

被害や犯情が軽微である

「微罪」というだけあって、犯罪の被害が少ないことも条件になります。一概にはいえませんが、被害額は金額にして2万円以下、被害者のけがは全治1週間以内が目安になるでしょう。

また、同じ窃盗罪でも万引きや自転車盗は微罪処分になりやすいですが、空き巣や自動車盗などは微罪処分の対象になりにくい傾向があります。

被害弁償や示談が済んでいる

被害者がいる刑事事件の場合は、被害の回復や相手への謝罪がされていることも重要な条件です。万引きであれば商品代金の支払い、暴行・傷害であれば治療費の支払いなどがあります。

なお、被害弁償や示談は重要な条件にはなりますが、これらがおこなわれていない場合でも微罪処分と判断される可能性はあります。

被害者が加害者に対する処罰を望んでいない

被害者がいる刑事事件の場合、被害者の加害者に対する処罰感情も条件となります。仮に、被害者が加害者の「処罰を望んでいる」ようであれば、警察も簡単には微罪処分にしてくれません。

被害者が捜査機関に対して被害届・告訴状を出すか出さないかは、微罪処分となるかどうかに大きく影響するでしょう。

微罪処分になった場合の3つのメリット

微罪処分になるメリットには、早い段階で身柄が解放されること、刑事罰を受けずに済むこと、前科が付かないことなどがあります。

ここでは、微罪処分になった場合のメリットについて確認しましょう。

早い段階で身柄が解放される

刑事事件の加害者になった場合、逮捕から起訴・不起訴処分の判断を受けるまで、最長で23日間拘束されることがあります。

事件によっては、身柄拘束を伴わない「在宅事件」もありえますが、その場合でも捜査機関から呼び出しを受けて時間を拘束されることはあるでしょう。

その点、微罪処分になれば1~2日程度の拘束で済むことが多いです。

懲役や罰金などの刑罰を受けずに済む

微罪処分は警察段階で判断される手続きであるため、当然、裁判(略式裁判)を受けることはありません。

被告人に対して懲役や罰金などの刑事罰を言い渡すのは裁判所であるため、検察に起訴されて刑事裁判にかけられなければ刑事罰を受けることはありません。

そのため、微罪処分の場合は確実に刑事罰を避けることができます。ただし、微罪処分と判断されるにあたり、警察から厳重な注意を受けたり、被害回復をするよう促されたりはします。

前科が付かない

刑事裁判を受けて有罪判決が下された場合、犯罪歴である「前科」が付きます。しかし、微罪処分になれば裁判を受けることもなく、有罪判決になることもないため、前科が付くのを避けることができます。

前科がつくと資格取得や就職活動などで不利になる可能性があるため、できる限り前科が付くのは避けるほうが望ましいでしょう。

微罪処分について知っておくべき3つのポイント

微罪処分は、通常の刑事手続きに比べるとメリットが多いといえます。しかし、事件を起こしていることには変わりないため、不利益となる点もいくつかあります。

ここでは、微罪処分について知っておくべきポイントを紹介します。

前科は付かないが前歴は付く

微罪処分になった場合、犯罪歴である「前科」は付きませんが、前歴は付くことになります。

前歴とは有罪にはならなかったものの捜査機関に嫌疑をかけられた事実を指し、捜査機関のデータベース(前歴簿)に登録されています。

前歴が付いてもすぐに不利益を被るわけではありませんが、次回犯罪を起こした場合は不利になる可能性があります。

刑事責任は解消するが民事責任は残る

微罪処分になった場合は、そこで刑事手続きは終了します。しかし、民事上の問題が解決していない場合は、被害者に対して弁償や謝罪といった対応が必要になります。

万引きであれば被害店に商品代金を支払ったり、暴行であれば被害者に対して治療費を支払ったりするなど、必要な対応をおこない民事上の問題を解決しましょう。

身元引受人が必要になる

警察から微罪処分と判断されるためには、加害者を監督できる「身元引受人」が必要になります。

加害者を監督するという役割が求められるため、身元保証人になれるのは、一般的に配偶者や親兄弟などの家族、勤務先の社長や上司などとなります。

身近な人に「犯罪をしたことが知られてしまう」という点はデメリットといえるでしょう。

微罪処分を獲得するためにできること

微罪処分に該当する可能性がある犯罪であっても、微罪処分になるかどうかは警察官の判断次第となっています。

そこで少しでも微罪処分を獲得するために、「何をすればいいのか」について確認しましょう。

反省の姿勢を示す

微罪処分と判断されるためには、加害者本人が十分反省していることが重要になります。そのため、事件を起こしてからすぐに被害者に謝罪したり、警察での取り調べで反省の意を示したりする必要があるでしょう。

もちろん「していないこと」まで認める必要はありませんが、「していること」に関しては十分な反省と謝罪が必要になります。

被害者と示談交渉をおこなう

被害者がいる場合、その被害者と示談を成立させることも重要です。被害者と示談交渉をおこない、示談が成立すれば「刑事処罰を求めない」などの文言が入った示談書を受け取れるでしょう。

そのような文言が入った示談書を捜査機関に提出できれば、「被害者の処罰感情が和らいでいる」と判断されて微罪処分になる可能性が高まります。

弁護士に弁護活動を依頼する

刑事事件の加害者になった場合は、できる限り早い段階で弁護士に弁護活動を依頼するのがおすすめです。

警察の捜査段階で依頼できれば、弁護士から捜査機関に対して微罪処分になるよう働きかけをしてくれたり、被害者との示談交渉を進めてくれたりします。

刑事事件が得意な弁護士は「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」で探すことができます。

最後に|微罪処分を獲得するには弁護士への依頼がおすすめ

微罪処分は、刑事事件の初期段階でおこなわれる手続です。

例外的な手続であり対処はしづらいですが、以下のポイントは今後の刑事手続でも重要になる要素といえます。

  • しっかりと反省をする
  • 家族・知人のサポートが必要になる
  • 困ったら弁護士に相談する

逮捕されてしまったら、これらの基本的なポイントは頭に入れておきましょう。

刑事事件はスピードが命です!!

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この記事の監修者
須賀翔紀 (東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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