微罪処分とは?6つの要件と手続きの流れ・注意点を徹底解説
万引きや自転車を盗むといった、ふとした出来心で警察に捕まってしまった場合、前科がつくのかや会社・家族にバレるのか不安を抱えている方も多いです。
結論から言うと、要件を満たし微罪処分となった場合には、前科はつきません。
会社や学校への連絡も、原則として警察から行くことはありません。
ただし、微罪処分は自動的に認められるものではなく、担当警察官の裁量や被害者の処罰感情など、複数の要件をクリアする必要があります。
この記事では、微罪処分の要件・流れ・対象となる犯罪から、獲得するために今すぐできる行動まで解説します。
微罪処分とは警察段階で事件処理を終わらせる手続

微罪処分とは、警察が捜査した事件を検察官に送致せず、警察の段階で手続きを終了させる制度のことです。
通常、警察は捜査した事件を全て検察官に送らなければなりません(全件送致主義)。
しかし、微罪処分は全件送致主義に対する例外的な措置といえます。
具体的には、数百円のおにぎりを万引きして被害品の返還も済んでいる場合、警察官から厳重注意を受けてそのまま帰宅を許されるケースが典型例です。
微罪処分では前科もつかず、その日のうちに日常生活に戻れます。
1.微罪処分は担当警察官の裁量で決定する
微罪処分になるかどうかは、捜査を担当する警察官の判断によって決まります。
全国的にほぼ共通する基準があり、主な要件は次のとおりです。
- 被害額がわずかで手口が悪質でない
- 被害回復がおこなわれている
- 被害者が処罰を希望していない
- 被疑者の素行が不良でない
- 偶発的な犯行で再犯のおそれがない
ただし、基準を満たしているかどうかの最終判断は警察官に委ねられています。
同じ少額の万引き事件でも、被疑者の反省の態度や被害者の処罰感情によって結果が変わります。
被害者との示談が成立しているかどうかも、判断に大きく影響するポイントです。
2.微罪処分となれば呼び出しは原則なくなる
微罪処分が決定して釈放された後は、その事件について警察や検察から呼び出されることは原則ありません。
微罪処分が下された時点で刑事事件の処理は全て終結し、検察官に事件が届かないため起訴もされません。
事件当日に警察署で調書を作成して帰宅を許された場合、後日「追加の事情聴取をしたい」などの連絡も原則ありません。
3.微罪処分と不起訴処分との違い
微罪処分と不起訴処分は、どちらも前科がつかない点では共通しています。
ただし、手続きが終わるタイミングが異なります。
| 項目 | 微罪処分 | 不起訴処分 |
|---|---|---|
| 判断者 | 警察官 | 検察官 |
| 送検の有無 | なし | あり |
| 前科 | つかない | つかない |
| 前歴 | 残る | 残る |
微罪処分は逮捕当日に警察から釈放されて終わります。
不起訴処分は、送検された後に被害者との示談成立などを受けて検察官が裁判にかけないと判断した場合に下されます。
不起訴処分も前科がつかない点では同じですが、手続きが一段階多い分、解決までに時間がかかります。
微罪処分になるための要件6つ
微罪処分として扱われるためには、複数の要件を満たす必要があります。
微罪処分はあくまで例外的な措置です。
被害の程度や本人の状況など、検察官(各地検の検事正)があらかじめ指定した基準 を総合的にクリアした事件にのみ適用されます。
ひとつでも要件を満たさない場合は、たとえ被害額が少額でも検察へ送致される可能性があります。
加害者が初犯である
過去に犯罪歴がなく初犯であることは、微罪処分が認められるための重要な要件です。
前科や前歴がある場合、再犯の可能性が高いとみなされ、微罪処分の対象外となる可能性が高いです。
同種の犯罪履歴がある場合は特に厳しく判断されます。
初めての万引きであれば微罪処分になる可能性がありますが、過去に何度も万引きで検挙されている場合は、被害額が数百円でも検察へ送致される可能性が高くなります。
加害者に監督者がいる
釈放後に被疑者の生活を指導し、再犯を防止するための監督者がいることも、微罪処分の要件として求められます。
釈放後に本人が再び罪を犯すのを防ぐため、警察は監督できる環境が整っているかどうかを確認します。
身元引受人が誰もいない状況では、微罪処分と認められることは非常に困難です。
具体的には、同居している親や配偶者、あるいは雇い主などが警察署に駆けつけ、身元引受書にサインをして今後の監督を誓約します。
被害や犯情が軽微である
被害額が非常に小さく、手口も悪質でないなど、事件そのものが軽微であることが不可欠です。
重大な被害が生じた事件や計画的な犯罪を警察の判断だけで終わらせることは、被害者感情の観点からも認められません。
被害額が数百円程度の万引きや、けがのない軽い口論程度の暴行などは軽微と判断されやすいです。
逆に、数万円以上の窃盗や凶器を使った事件は対象外となります。
被害弁償や示談が済んでいる
被害者への弁償や示談がすでに成立していることも、微罪処分の判断に大きく影響します。
被害が回復されていると、事件の重大性が低下したとみなされ、微罪処分が認められやすくなるためです。
万引きした商品をその場で買い取った場合や、自転車を盗んだ場合であればすぐに返還して謝罪を受け入れてもらった場合、微罪処分の可能性が高まります。
逆に、被害が回復されていない段階では、微罪処分は認められません。
被害者が処罰を望んでいない
被害者が処罰を望んでいないことも、微罪処分が認められるために必要です。
被害者が厳罰を求めている事件を警察が独断で終わらせられず、送検して検察官や裁判所の判断を仰ぐ必要があります。
加害者が誠実に謝罪し、被害者が処罰は求めないと警察官に直接伝えた場合、微罪処分になりやすくなります。
被害者の処罰感情を和らげるには、早期の謝罪や示談交渉が有効です。
社会的影響・再犯のおそれが低い
事件が社会に与える影響が小さく、再び罪を犯す可能性が低いと判断されることも必要です。
社会的に大きな影響を与えるような事件や、再犯リスクが高い人物を微罪処分にすることは、社会の秩序維持に反します。
特殊詐欺や窃盗グループへの関与などの組織的な犯罪ではなく、個人の突発的な万引きや軽微な暴行事件などが典型例です。
反省文の提出や警察官への誠実な態度が、担当警察官の判断にプラスに働くことがあります。
微罪処分の対象となる犯罪・ならない犯罪の具体例
微罪処分の対象になる犯罪とならない犯罪は、明確にわかれます。
罪の重さや被害の程度によって適用の可否が決まるため、事件が微罪処分に該当するかどうかを確認しておきましょう。
微罪処分になる犯罪
微罪処分になりやすい代表的な犯罪は、次の3種類です。
- 被害が少額な窃盗罪(万引き・自転車盗など)
- 横領罪(遺失物等横領罪など)
- 軽微な暴行罪
日常的に発生しやすく、被害が回復されれば悪質性が低いと判断される犯罪が中心です。
道端で拾った財布の現金を数百円だけ使ってしまった場合や、酔って口論になり相手の胸を一度軽く突いた程度の暴行事件などが該当します。
いずれも被害が軽微で、本人が深く反省しているかどうかが判断のポイントになります。
微罪処分にならない犯罪
微罪処分の対象外となる犯罪は数多くあります。
代表的なものとして、次のような犯罪が挙げられます。
- 殺人・強盗・不同意性交などの凶悪犯罪
- 詐欺罪・恐喝罪
- 悪質な交通犯罪
- 大麻・覚醒剤などの薬物犯罪
刑罰が重く、社会への影響や被害者の苦痛が大きい犯罪は、必ず検察官へ送致されます。
被害額が少なくても、罪の種類そのものが対象外であれば微罪処分にはなりません。
たとえば、被害額がわずか1万円であってもオレオレ詐欺の受け子をした場合、微罪処分になる可能性は極めて低いです。
また、大麻・覚醒剤などの薬物犯罪も同様で、初犯・少量であっても微罪処分が認められるケースはほとんどありません。
微罪処分の流れ3STEP
微罪処分となる場合、警察署に連れて行かれたその日のうちに手続きが完結するのが一般的です。
逮捕から釈放まで、大きく3つのステップで進みます。
警察署での取り調べ
まず警察官から、事件の経緯や動機、反省の意思などについて取り調べを受けます。
警察官は事件の全容を把握しながら、初犯かどうか・被害が軽微かどうかといった微罪処分の要件を満たしているかを見極めます。
万引き事件であれば「なぜ盗んだのか」「ほかに余罪はないか」といった質問を受けます。
供述の内容は供述調書という書類にまとめられ、署名・押印を求められます。
身元引受人を呼ぶ
取り調べが終わると、警察官から家族などに連絡が入り、警察署に来るよう求められます。
釈放後に本人を監督してくれる人がいるかどうかを、警察が確認するためです。
身元引受人に法律上の資格要件はありませんが、「実際に本人を監督できる資質があるか」を警察が判断します。
同居の家族や職場の上司など、日常的に本人と関わりのある人物が認められやすいです。
来署した身元引受人は、今後の監督を誓約する身元引受書にサインをします。
釈放される
書類の手続きと警察官からの厳重注意が終われば、その場で釈放となります。
微罪処分が決定した時点で刑事手続は全て終了です。
それ以上、警察署に引き留める理由がなくなるため、速やかに解放されます。
身元引受人とともに警察署を出た後は、翌日から通常通り学校や職場に戻れます。
微罪処分になった場合のメリット3つ
微罪処分になると、通常の刑事手続と比べて大きく3つのメリットがあります。
逮捕されても、微罪処分であれば日常生活への影響を大幅に抑えられます。
早い段階で身柄が解放される
逮捕されても微罪処分になれば、多くの場合は逮捕当日中に身柄が解放されます。
微罪処分は検察官へ事件を送致しない手続きのため、送致後に発生する長期間の身柄拘束が起きません。
朝方の喧嘩で逮捕された場合でも、被害者と和解して微罪処分が決定すれば、その日のうちに帰宅できます。
仕事や家族への影響を最小限に留められます。
拘禁刑や罰金などの刑罰を受けずに済む
微罪処分で終われば裁判にかけられることがないため、拘禁刑や罰金を受ける心配はありません。
刑罰を科せるのは裁判所だけなので、微罪処分になれば起訴も裁判も避けられます。
通常であれば罰金が科される可能性がある窃盗事件であっても、微罪処分になれば警察官からの厳重注意だけで終わります。
罰金を支払う必要はありません。
前科が付かない
微罪処分は有罪判決ではないため、前科がつくことはありません。
前科とは刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことです。
裁判にすらならない微罪処分では、前科が発生しません。
将来の就職活動で履歴書の賞罰欄に「なし」と記入でき、公務員や医師・保育士といった国家資格が必要な職種への就業制限も受けません。
微罪処分について知っておくべき注意点3つ
微罪処分はメリットが大きい手続きである一方、注意すべき点が3つあります。
軽微な事件であっても必ず適用されるとは限らず、また微罪処分になった後も問題が完全に消えるわけではありません。
軽微な事件でも必ず微罪処分となるわけではない
たとえ被害が少なく初犯であっても、警察の判断によっては微罪処分にならず検察へ送致される可能性があります。
被疑者の態度や被害者の処罰感情など、複数の要素を警察官が総合的に判断するためです。
被疑者の態度が悪かったり、被害者が強く処罰を求めたりした場合、要件を満たさないと判断されることがあります。
被害額100円の万引きでも、取り調べで反抗的な態度をとったり事実を否定したりすれば、送検されるかもしれません。
前科は付かないが前歴は付く
微罪処分では前科はつきませんが、警察の捜査対象になった記録である前歴は警察のデータベースに残ります。
将来の捜査や防犯活動のために保管されるもので、本人が確認したり消したりすることは原則できません。
数年後に別の事件を起こした場合、警察は前歴を照会して過去に微罪処分を受けた事実を確認します。
次回は初犯扱いされず、送検される可能性が高くなる点は忘れないでください。
刑事責任は解消するが民事責任は残る
微罪処分によって刑罰(刑事責任)は免除されますが、被害者に対する損害賠償義務(民事責任)はそのまま残ります。
刑事手続と民事手続は別の制度です。
警察が刑事事件を終わらせても、被害者が持つ損害賠償請求権は消滅しません。
たとえば、自転車を盗んで微罪処分で釈放されたあとでも、被害者から修理代の支払いを民事訴訟で請求された場合、応じる法的義務があります。
示談交渉の段階で被害の弁償まで済ませておくと、後のトラブルを防げます。
微罪処分を獲得するためにできること3つ
微罪処分は自動的に認められるものではなく、獲得するために今すぐ動けることがあります。
警察が判断を下すまでの時間は限られており、早く行動するほど微罪処分が認められる可能性が高まります。
反省の姿勢を示す
取調べで嘘をつかず事実を認め、反省している態度を警察官にしっかり見せることが大切です。
反省しているかどうかは、再犯の可能性を判断する材料になります。
素直に謝罪する姿勢が警察官の心証に影響するため、言い訳や責任転嫁は避けましょう。
可能であれば自筆の反省文を提出することも、プラスに働くことがあります。
被害者と示談交渉をおこなう
被害者がいる事件の場合、早急に謝罪と被害弁償を行い、示談を成立させることが微罪処分の強力な後押しになります。
示談の成立は被害が回復したことの客観的な証明になります。
示談書に処罰を求めない旨の文言が含まれていれば、警察も微罪処分の判断を下しやすいです。
暴行事件で相手にけががない場合でも、慰謝料を支払って示談書を作成し警察官に提出しましょう。
当事者間で解決済みとして扱ってもらえる可能性が高まります。
弁護士に弁護活動を依頼する
微罪処分を目指すなら、できるだけ早い段階で刑事事件に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
逮捕から微罪処分が決定するまでの時間は最長48時間です。
身柄を拘束された本人やその家族だけで示談交渉を進めることは、現実的に難しいです。
弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉から警察への働きかけまで、全て任せられます。
初動が早いほど選択肢が広がり、微罪処分が認められる可能性も高くなります。
微罪処分を獲得するならベンナビ刑事事件で相談
微罪処分をスピーディーに獲得したい場合は、刑事事件に注力している弁護士をすぐに探せるベンナビ刑事事件の活用をおすすめします。
地域や犯罪の種類を絞って検索でき、休日・夜間でも即日対応してくれる事務所を見つけやすいのが特徴です。
初回無料相談に対応している事務所も多数掲載されており、費用を気にせず複数の弁護士を比較できます。
家族が万引きで捕まったと連絡を受けた直後でも、スマートフォンからすぐに近くの弁護士を探せます。
まずはベンナビ刑事事件で、対応可能な弁護士を探してみてください。
微罪処分に関するよくある質問
微罪処分について、よく寄せられる疑問をまとめました。
前歴や周囲への影響など、釈放後の生活に関する不安を抱えている方はぜひ参考にしてください。
前歴が残ることによって何か影響はありますか?
前歴が残っても、就職・海外旅行・結婚などの日常生活において不利な影響が出ることは基本的にありません。
前歴は警察の内部資料として厳重に管理されており、一般の企業や個人が照会することはできません。
履歴書の賞罰欄に記入する必要もなく、面接で前歴を聞かれることも原則ありません。
逮捕された場合でも微罪処分となる可能性はありますか?
逮捕されたあとであっても、条件を満たせば微罪処分として釈放される可能性はあります。
微罪処分の基準は、逮捕されているかどうかではなく、事件が軽微で条件を満たしているかどうかです。
現行犯逮捕されて警察署に連行されたあとでも、家族が迎えに来て被害者への謝罪が済み、警察官が軽微だと判断すれば送検されずに済むことがあります。
まずは早期に弁護士に相談することをおすすめします。
警察がおこなう厳重注意と微罪処分は異なりますか?
厳密には異なるものではなく、厳重注意そのものが微罪処分の手続きの一部です。
微罪処分には、被疑者に対して訓戒・説諭を行うことが定められています。
警察官が作成した調書に署名・押印し、再犯しないよう厳重注意を受けて、身元引受人と一緒に帰宅する。
この一連の流れが、微罪処分という手続きそのものです。
微罪処分とならなかった場合、その後どのようになりますか?
微罪処分にならなかった場合は、事件が検察官に送致され、刑事手続が継続します。
送致された後は検察官が起訴・不起訴を判断し、警察が独自に事件を終結させることはできません。
起訴されれば裁判となり、罰金・拘禁刑等が科される可能性があります。
不起訴となれば前科はつきませんが、送致後は身柄拘束や長期の捜査が続く場合があり、解決までに相当な時間がかかります。
微罪処分となった場合、親や学校、会社に連絡が行くことはありますか?
未成年の場合は親への連絡が必須ですが、成人の場合は会社や学校に警察から直接連絡が行くことは原則ありません。
微罪処分では身元引受人として同居の家族などに連絡が入ります。
会社員が休日に万引きで捕まった場合、配偶者を身元引受人として呼んで釈放されれば、会社の上司に警察から連絡が行くことはありません。
事件が外部に知られることは、本人や家族が口外しない限りないので安心してください。
初犯や2回目の万引きで微罪処分になることはありますか?
初犯であれば微罪処分になる可能性はありますが、2回目の万引きで微罪処分になることは極めて困難です。
微罪処分の条件として前科・前歴がないことが重視されており、2回目は再犯の危険性が高いとみなされて送致の対象になる可能性が高いです。
初めて数百円のお菓子を盗んだ場合は微罪処分で帰されることが多いですが、過去に微罪処分を受けた前歴がある人が同じことをした場合は、ほぼ確実に送致されます。
前回から長期間が経過しているなど特別な事情がない限り、2回目の微罪処分は原則として認められません。
まとめ
微罪処分は、条件を満たせば前科もつかずその日のうちに帰宅できる制度です。
ただし、自動的に認められるものではなく、担当警察官の裁量や被害者の処罰感情など、複数の条件をクリアする必要があります。
反省の態度を示し、早期に示談を成立させることが、微罪処分を獲得するうえで重要です。
逮捕から判断が下されるまでの時間は最長48時間しかなく、対応が遅れるほど送検されるリスクが高まります。
不安を抱えたまま一人で動くより、まずはベンナビ刑事事件で弁護士に相談してみてください。
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