痴漢冤罪は、まったく身に覚えがなくても突然巻き込まれる可能性のあるトラブル。
一度疑われて逮捕されると無実を証明するのが極めて難しいうえ、現場での軽率な言動が致命的な誤解や逮捕につながることも少なくありません。
当記事では、痴漢冤罪に巻き込まれた際に絶対に避けるべき「NG行動」5つを解説。
正しい対処法や予防策もくわしく解説するので、ぜひ参考にしてください。
痴漢冤罪を疑われたら弁護士に電話しましょう。
もしもそのまま駅員室に行ってしまった場合、そのまま現行犯逮捕になる可能性があります。逮捕されてしまうと、次のようなデメリットが生じるでしょう。
- 実名報道される可能性
- 性犯罪者として前科がつく可能性
- 職場の解雇や家族、友人との関係が悪化する可能性
一方で、その場で弁護士を呼ぶと、次のメリットが得られます。
- 逮捕されない可能性がある
- 冤罪であることを主張してくれる
- 痴漢冤罪を職場や家族に知らずに済む
駅員室に連れていかれても、警察が来てからでも弁護士を呼べば、無実のあなたが逮捕される状況を回避できるかもしれません。
あなたの人生を守るためにも、今すぐ弁護士に電話してください。
痴漢冤罪で絶対にやってはいけないNG行動5選

痴漢冤罪を疑われた際に取ってしまいがちな行動の中には、状況をさらに悪化させる絶対NGな行動があります。
犯行を認めたと誤解されたり、証拠隠滅や逃亡の意思があると判断されたりするリスクを高めるため絶対に避けましょう。
その場から逃げる
痴漢を疑われても、その場から逃げてはいけません。
逃走は、あなたが犯人であるという強い印象を周囲や警察に与え、「罪を認めた」「逃亡の恐れあり」と現行犯逮捕や緊急逮捕に踏み切られやすくなります。
さらに、逮捕後に勾留されたり刑が重くなったりする可能性も高まるでしょう。
また、ホームから線路に飛び降りてけがをしたり、線路に逃げて電車を止めて威力業務妨害罪などに問われる可能性も出てきます。
名刺を渡して立ち去る
痴漢の疑いをかけられた際に「面倒なことに巻き込まれた」「いま急いでいるのに…」との思いから、名刺を渡してその場を立ち去ろうとする人がいますが、それはNG行動です。
被害を訴える女性は勇気を振り絞って「痴漢です!」と声を上げています。
身元を明らかにされたからと言って、すんなり納得して解放してくれるわけではないでしょう。
むしろ「逃げようとしている」と感じ、引き留められたり騒ぎが大きくなる可能性が高く、最終的には逃走という形になってしまう危険性があります。
また名刺を渡して身元を明らかにしたとしても、逮捕されないわけではありません。
警察や裁判においては、「その場から去った=やましいことがあった」という印象を与え、不利な立場に追い込まれることが多いといえます。
痴漢していないのに相手に謝罪する
痴漢をしていないのなら、相手に謝罪してはいけません。
「事を荒立てたくない」という思いからの安易な謝罪は、痴漢行為を認めたと解釈され、捜査や裁判で極めて不利な証拠となります。
なかには「ごめんなさい、誤解です」と言ったつもりが、「ごめんなさい」の部分だけが切り取られ、罪を認めたとされてしまうケースもあるため注意が必要です。
無実である以上、謝罪は絶対に避け、冷静に「私はやっていません」と主張し続けてください。
内容をよく確認せずに供述調書に署名・捺印する
警察官や検察官が作成した供述調書に、内容を十分に理解・確認せずに署名・捺印してはいけません。
供述調書は、後の捜査や裁判において非常に重要な証拠。
内容が自分の意図とちがっていても、署名・捺印があれば認めたものとして扱われ、覆すことは困難です。
疲労やプレッシャーの中で、「早く終わらせたい」と誘導されるままに不利な内容の調書にサインしてしまい、後の裁判で苦境に立たされたケースも珍しくありません。
供述調書の内容に納得できない点があれば訂正を求め、決して安易に署名・捺印しないようにしてください。
警察に個人情報を隠す
警察から個人情報を求められた際に、嘘をついたり黙秘したりしてはいけません。
会社や家族に知られたくない一心でおこなう人がいますが、身元が不確かで逃亡の恐れがあると判断され、逮捕・勾留の可能性が高まります。
「怪しい人物」という印象を与えるだけのため、正直に身元を明かしましょう。
身元が明らかであれば、在宅捜査に切り替わる可能性もあります。
痴漢冤罪に巻き込まれたときにおこなうべき対応

痴漢に間違えられたら、冷静かつ迅速に適切な初期対応をおこなうのが、自身の身を守る上で最も重要です。
あらぬ誤解を解き、逮捕回避や早期解決に繋がる可能性を高めます。
すぐに弁護士に連絡して法的な助言を求める
痴漢冤罪を疑われたら、何よりもまず弁護士に連絡し、法的なサポートを受けることが最優先。
痴漢冤罪に巻き込まれると駅員室への同行を求められたり、所持品の提示を求められたりする場合があります。
落ち着いて弁護士に連絡し、対応を求めましょう。
もし逮捕されてしまっても、弁護士に依頼すれば早期の身柄解放や不起訴処分の獲得に向けて尽力してくれます。
万が一に備えて、あらかじめ痴漢冤罪に強い弁護士を探し、連絡先を登録しておくのがおすすめです。
家族と会社へ連絡する
弁護士の連絡と並行して家族にも連絡し、痴漢冤罪に巻き込まれたことと、現在いる駅を伝えましょう。
もし自分で弁護士を見つけられない場合は、代わりに弁護士を探してもらうよう伝えます。
さらに会社にも「体調不良で休みます」と連絡を入れるのがおすすめです。
逮捕されてしまうと勤務先に電話できなくなり、無断欠勤になってしまいます。
早めの連絡により、職場や家庭での理解を得られる可能性も高くなり、社会復帰への道筋も立てやすくなるでしょう。
無実を主張する
痴漢冤罪を疑われた場合、その場で冷静に「自分はやっていない」と無実をはっきり主張することが非常に重要です。
動揺して何も言えなかったり、あやふやな態度をとったりすると、やましいことがあると判断されかねません。
あくまで落ち着いて、感情的にならずに「触っていません」「誤解です」と明確に否定してください。
その際、「両手でつり革をつかんでいた」「被害女性からは距離が離れていた」と具体的に冤罪であることの説明をできると、証言の信頼性が高まるでしょう。
ただ「やっていない」と言うだけでなく、「○○だから私は痴漢ではない」と明確に理由を言えると、「痴漢は間違いでは?」と空気の流れを変えられます。
証拠確保のために会話を録音する
可能であれば、被害者や駅員、警察官との会話を録音しましょう。
録音は、相手の発言内容やその場の状況を客観的に記録する手段。
後から「言った、言わない」の水掛け論になるのを防いだり、誤った認識に基づく相手の主張を覆す材料になったりします。
録音していることを相手に告げる必要はないため、スマートフォンの録音アプリを起動し、ポケットに入れたまま会話を記録すれば充分でしょう。
ただし、録音に固執するあまり、ほかの重要な対応(弁護士への連絡など)が疎かにならないよう注意が必要です。
そもそも痴漢冤罪とは?
痴漢冤罪とは、実際には痴漢行為をしていないにもかかわらず、痴漢として疑われること。
痴漢だと一度疑われてしまうと無実の証明が困難なケースが多く、逮捕・勾留、失職、家庭崩壊など、人生を根底から揺るがすリスクを伴います。
痴漢冤罪の具体的なケースと原因
痴漢冤罪は、被害者の錯誤や警察のずさんな捜査(被害者の証言のみを鵜呑みにするなど)が原因となり起きやすい事象。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- 電車の揺れで手が偶然触れただけで痴漢とされる
- 満員電車内でかばんが相手の体に押し付けられ、痴漢と誤解される
- 近くにいただけで、本物の痴漢と人違いされる
- 被害者が痴漢をでっちあげる など
悪質なのは、痴漢の事実がまったくないにもかかわらず、被害者とされる側が意図的に痴漢をでっちあげるケースです。
示談金や慰謝料目的で嘘をつくパターンや、痴漢以外の個人的な恨みから報復目的で嘘をつくパターンなどがあります。
逮捕されると無実を証明するのはなぜ難しい?
痴漢事件では被害者の供述が重視される傾向が強く客観的な証拠が少ないため、一度逮捕されてしまうと無実の証明が非常に困難です。
たとえば、密室性の高い電車内では目撃者がいなかったり、いても協力的でなかったりします。
また、防犯カメラの映像だけでは痴漢行為の有無を断定できない場合も多く、微物検査でも決定的な証拠とならないことがあります。
「疑われたら負け」という現実を理解し、予防策を講じることが何より重要です。
痴漢冤罪で失うものと社会的影響
痴漢冤罪を疑われると、仕事、家族、社会的信用、経済的安定など、人生で築き上げてきた多くのものを失うリスクがあります。
痴漢で逮捕された事実が報道されたことにより、本来無実なのに懲戒処分を受けたり、自主退職に追い込まれたりするケースも少なくありません。
さらに、本人だけでなく家族も精神的・経済的に大きな負担を強いられることが予想されます。
中には冤罪であることを信じてもらえず、離婚に至るケースもあるのです。
たとえ最終的に無罪を勝ち取ったとしても、一度失ってしまった信用や時間は、完全には取り戻せないことが多いでしょう。
痴漢冤罪の解決は弁護士依頼が最善策である4つの理由

痴漢冤罪の疑いを晴らし、社会生活への影響を最小限に抑えるためには、早期の弁護士依頼が最善かつ最も効果的。
弁護士は法律の専門家として、有利な証拠の収集や交渉、精神的なサポートまで幅広く対応できます。
逮捕回避に動いてくれる
痴漢冤罪に巻き込まれたとき、すぐに弁護士に連絡して駆けつけてもらえれば、現行犯逮捕を回避できる可能性があります。
痴漢冤罪でもっとも重要なことは、逮捕を回避すること。
一度逮捕されてしまうと、そのまま身柄を拘束され、無実を証明するのが困難になります。
弁護士から微物検査の依頼などをおこない、実際に繊維などが発見できなければ現行犯逮捕を回避できる可能性が高いです。
さらに弁護士が現場に到着することで、警察や駅員に対して法的な観点から適切な対応を求めることができ、感情的になりがちな状況を冷静に収束させる効果も期待できます。
取り調べへの適切な対応方法を熟知している
弁護士は、警察や検察による取り調べにおいて、不利にならないような対応をアドバイスできます。
具体的には、「警察官からこのような質問をされたら、こう答えるべき」「この内容の書類にはサインしてはいけない」といったことです。
被疑者には、言いたくないことは言わなくてもよい「黙秘権」や、供述調書への署名・押印を拒否する権利があります。
しかし、多くの方はこれらの権利を十分に理解していなかったり、精神的なプレッシャーの中で冷静な判断ができなかったりするでしょう。
また警察の取り調べは、時に威圧的であったり、巧みな誘導尋問がおこなわれたりすることがあります。
弁護士は、そのような状況下で、依頼者の正当な権利を守るために尽力します。
無実を証明するための証拠収集を代行してくれる
弁護士は、無実を証明するために必要となるさまざまな証拠収集活動を、専門的な知識と経験に基づいて代行してくれます。
たとえば、防犯カメラの映像を分析したり、目撃者を探し出して証言を求めたりします。
また、事件発生時刻の電車の混雑状況や乗車していた車両の位置などを客観的に示す資料を収集することも重要です。
個人では限界がある証拠収集も、弁護士であれば「弁護士会照会」といった法的な手段を駆使し、より広範囲かつ効果的におこなうことが可能。
さらに、収集した証拠を法的に有効な形で捜査機関や裁判所に提出するノウハウも持っています。
被害者との示談交渉を有利に進められる可能性が高い
たとえ無実を主張していても、早期解決のために示談が有効な場合があり、弁護士はその交渉を冷静かつ法的に有利に進めることができます。
当事者同士では感情的になりがちな示談交渉も、弁護士が間に入ることで冷静な話し合いが可能です。
また、不当に高額な示談金を要求されるリスクを回避し、適切な内容での解決を目指せます。
弁護士が被害者側と粘り強く交渉した結果、相手の誤解が解けて告訴取り下げにつながった事例もあります。相手側とのやり取りは弁護士にお任せください!
痴漢冤罪を晴らすなら「ベンナビ刑事事件」
ベンナビ刑事事件は、刑事事件に強い弁護士を探せるポータルサイトです。
痴漢事件の実績や経験が豊富な弁護士を見つけられます。
弁護士を選ぶ際には、電話相談や土日祝日・夜間の対応状況などをチェックしてください。
痴漢冤罪にいつ巻き込まれるかわからないため、柔軟に対応してくれる弁護士がおすすめです。
また、すぐに現場に駆けつけてもらえるよう、通勤電車の沿線や最寄り駅に事務所をかまえている弁護士がよいでしょう。
緊急時にスムーズに連絡が取れ、迅速な対応が期待できる弁護士を事前に見つけておくことで、万が一の際の不安を軽減できます。
痴漢冤罪を未然に防ぐ具体的な通勤対策と予防法
日常的な行動や意識を少し変えるだけで、痴漢冤罪に巻き込まれるリスクを大幅に減らせます。
予防策を講じて、安心して通勤できる環境を作ることが重要です。
満員電車の乗車位置と手の置き場に細心の注意を払う
満員電車では、女性の近くを避け、ドア付近や連結部など比較的スペースのある場所を選びましょう。
そして最も重要なのは、自身の「手」の置き場所。
無意識のうちに女性の身体に近い場所にあると、痴漢行為を疑われる原因となります。
具体的には、常に両手でつり革を持つ、あるいは片手でつり革、もう片方の手でカバンを持つなど「両手がふさがっている状態」を意識的に作ることが大切です。
新聞や本を胸の高さで広げて読むのも、手がほかのものに不必要に触れる可能性を減らす有効な方法といえます。
混雑する時間帯や車両を避けて通勤する
フレックス(時差出勤)制度を利用したり、各駅停車を選んだりするなど、できる範囲で混雑を避けるのも効果的。
電車内の混雑度が低いほど、他人との不必要な接触が減り、痴漢と誤解される可能性も低くなります。
勤務先の制度を活用したり、少し早めに家を出て空いている時間帯の電車を利用するなど、ライフスタイルを見直すことで大幅にリスクを軽減できるでしょう。
清潔感のある身だしなみを心がける
清潔感のある身だしなみは、周囲に威圧感や不快感を与えにくく、無用なトラブルを避けられる可能性があります。
人は見た目で第一印象を判断する傾向があります。
たとえば、寝癖がついたままの髪、しわくちゃのシャツといった不潔な印象やだらしない雰囲気は、知らず知らずのうちに周囲に威圧感や不快感を与えてしまうものです。
そのような状態が、万が一何か誤解が生じた際に、「いかにもやりそうだ」といったネガティブな先入観を持たれてしまうのは否定できません。
万が一に備えて「痴漢冤罪保険」の加入を検討する
痴漢冤罪に巻き込まれた際の弁護士費用などを補償してくれる「痴漢冤罪保険」という保険もあるようです。
保険への加入は、経済的な不安を軽減する有効な手段です。
痴漢冤罪は刑事事件となるため、弁護費用が高額になる場合があります。
保険に加入していれば、費用を気にせず速やかに弁護士に依頼でき、早期解決の可能性が高まるでしょう。
自動車保険や火災保険の特約として付帯できるものや、単独で加入できる痴漢冤罪保険(弁護士費用保険)などがあるようですので調べて加入を検討するのもよいでしょう。
月額数百円程度の保険料で、万が一の際の弁護士費用を数百万円まで補償してくれるため、コストパフォーマンスは非常に高いといえます。
痴漢冤罪で逆に相手を訴えることはできる?
痴漢冤罪の被害に遭った場合、相手を逆に訴えることは可能です。
ただし、刑事・民事いずれにおいてもハードルは高く、訴えるには慎重な準備と証拠が必要。
完全に無実が証明され、相手の悪意や重大な過失が明らかになった場合でないと、法的責任を問うのは困難といえます。
名誉棄損や虚偽告訴で刑事告訴する場合
痴漢冤罪で逆に相手を訴える場合、警察に被害届を出す方法があります。
具体的には、大衆の面前で痴漢犯人扱いされたとして「名誉毀損罪」を訴えたり、相手が痴漢の事実をでっちあげたとして「虚偽告訴罪」で刑事告訴することが可能です。
ただし、名誉毀損罪や虚偽告訴罪が成立するのは極めて限定的。
たとえば、「最初からあなたを陥れる目的で痴漢と叫んだ」「嘘の証言を執拗に繰り返した」などの事情がなければ、刑事事件として立件される可能性は低いと言わざるを得ません。
民事で損害賠償請求をする場合
不起訴処分になったり無罪判決を勝ち取ったりして冤罪が明らかになった場合、相手に対して民事で損害賠償請求をおこなえます。
具体的には、冤罪によって拘束された期間、社会的信用を失ったこと、仕事や家庭に与えた損害などを理由に、金銭的な賠償を請求できます。
ただし、刑事告訴同様、勝訴するには相応の証拠が必要。
「相手に過失または故意があった」と立証する必要があり、「勘違いだった」「正当な通報だった」と主張されると、賠償が認められない可能性も高いでしょう。
さいごに
痴漢冤罪は、誰にでも起こり得る理不尽なトラブル。
もし巻き込まれても、以下の行動は絶対にしてはいけません。
- その場から逃げる
- 名刺を渡して立ち去る
- 痴漢していないのに相手に謝罪する
- 内容をよく確認せずに供述調書に署名・捺印する
- 警察に個人情報を隠す
現場での対応をひとつ間違えるだけで、無実であるにもかかわらず逮捕や長期勾留といった深刻な事態に発展する可能性があります。
痴漢を疑われたときにはすぐに弁護士に連絡し、法的なアドバイスを求めましょう。
すぐに連絡ができるよう、あらかじめ信頼できる弁護士の連絡先を控えておくことが重要です。
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