痴漢(ちかん)とは、相手の意に反して卑わいな言動や行為などの性的嫌がらせをすることです。例えば満員電車などで意図的に異性の身体に性的行為を行ったり、夜道などですれ違いざまに胸や尻を触ったりするなどの行為が典型例です。
痴漢行為は各都道府県の迷惑防止条例に違反するほか、悪質な場合は刑法犯として逮捕・処罰される可能性があります。また、冤罪事件も多く、性別を問わず痴漢に関する知識を蓄えておく必要が高まっています。
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痴漢行為とは? 痴漢に該当する具体的な4つの行動
痴漢行為ですぐに思い浮かぶのは、満員電車におけるわいせつな行為ではないでしょうか。
実は、痴漢行為が処罰されるパターンには2つあり、①刑法犯としての痴漢(強制わいせつ罪)と、②各都道府県の迷惑防止条例違反としての痴漢に分類できます。
詳しい構成要件や両者の線引きについては後ほどご紹介しますが、痴漢に該当する具体的な行為としては主に下記のようなものが挙げられます。
- 衣服や下着に手を入れて身体などを撫で回す行為
- 嫌がる相手の衣服や身体に触れて撫で回す行為
- 背後から密着し、身体や性器等をしつこく押し付ける行為
- 衣服のボタンを外す・下着を脱がせようとする行為
基本的には他人の身体に故意に触れる行為は痴漢行為に該当する可能性があります。
また、手で触れなくとも自分の性器などを他人に押し付ける行為なども痴漢行為にあたります。これらの行為は悪質と判断されると刑法犯としての痴漢に該当する可能性が高くなりますから、軽い気持ちでこういった行為を行うのは絶対にやめましょう。
また、迷惑防止条例違反としての痴漢の場合であっても、各都道府県の条例によって痴漢行為の定義が少しずつ異なりますので、満員電車などで(故意でないにしろ)異性に触れ続けてしまうと、痴漢と疑われる可能性があります。
前項で触れたとおり、痴漢行為は①刑法犯としての痴漢(強制わいせつ罪)と②迷惑防止条例違反としての痴漢のいずれかによって処罰されることになりますが、果たして両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、痴漢に適用される罪状と、刑法犯と迷惑防止条例違反との境目はどういったものなのかをご紹介します。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、各都道府県で制定されている条例で、各自治体で内容や罰則に違いがあるという特徴があります。痴漢犯罪の全体のおよそ6割が迷惑防止条例違反で検挙されており、刑法犯よりもやや量刑が軽いので、基本的にはこちらを適用して逮捕・処罰することが多いようです。
迷惑防止条例は各自治体で内容が異なります。ここでは東京都と大阪府の迷惑防止条例をご紹介しましょう。
東京都|公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(以下略)
(引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
東京都では、迷惑防止条例5条1項を根拠に痴漢の処罰を行います。罰則は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
大阪府|大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(卑わいな行為の禁止)
第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
二 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
三 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
(第2項以下省略)
(引用元:大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
大阪府では、迷惑防止条例6条1項が痴漢行為に関する規定になっており、6条1項2号・3号に違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金、それ以外の規定(6条1項1号・4号)に違反すると6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
基本的には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金というのがスタンダードな罰則ではありますが、大阪府のように悪質な行為にはより重い罰を科すなど自治体によって迷惑防止条例の内容は若干の違いがあります。
強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は刑法176条に定められた刑法犯で、2017年の改正によって非親告罪になりました。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(引用元:刑法176条)
強制わいせつ罪は男女の性的自由を保護法益とするため、男女いずれの立場であっても被害者になり得ます。
なお、従来の判例は、強制わいせつ罪は、犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに犯罪が行われることが必要であり、単に報復や侮辱・虐待といった目的でわいせつ行為を行った場合には成立しないと判断していましたが、この判例は近年変更されました。
したがって、現時点では、たとえわいせつな目的がなくとも強制わいせつ罪が成立する可能性があります。非親告罪になったということは、被害者が告訴しなくても検察官が公訴提起できるようになったということを意味します。
起訴され有罪判決を受けてしまうと、6ヶ月以上10年以下の懲役刑という重い処罰が待っています。
迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪の判断の境目は?
強制わいせつ罪の罰則は、迷惑防止条例違反と比べて相当重く、有罪判決になってしまった場合は刑務所送りになってしまう可能性もあります。
両者のいずれが適用されるかは事例によって異なりますが、大まかな目安としては『衣服(下着)の中まで手を入れたかどうか』によって判断されていくと考えられています。
つまり、衣服の上から身体を触ったら迷惑防止条例違反、下着の中まで手を入れて身体を触ったら強制わいせつ罪が成立するといわれています。
ただし、衣服の上からであっても長時間触り続けたり、下着をずらしたり脱がせたりするといった行為を行った場合には、わいせつ行為があったものとして強制わいせつ罪が成立する可能性は十分あり、判断の境目が明確とはいえません。
痴漢事件の特徴は主に次の2つです。
- 満員電車など人の多い場所での発生率が高いこと
- 冤罪の場合もあること
やはり満員電車などでの発生率が高い
痴漢事件としてニュースになりやすいのは、満員電車での痴漢行為。迷惑防止条例違反は約7割が電車内・駅構内で発生しているので、やはり発生率が高いといえます。
集団痴漢事件が話題になったように、不特定多数の人が乗り込む満員電車では、被害者を物色しやすく、加害者も人ごみに紛れて逃げやすいといった要因から、痴漢事件が発生しやすくなっています。
各鉄道会社で車内に防犯カメラを設置するなどの対策が講じられていますが、被害者側としても触られていることが故意なのか偶然なのかが判断しにくいため、被害者が声を上げることは難しいという現状があります。
冤罪の場合もある
痴漢事件の最も大きな特徴は冤罪の場合もあることです。 痴漢犯罪に対する罪が厳罰化されたのと同時に、痴漢冤罪事件も多発しました。 痴漢事件は以下のような点から、冤罪が生じやすいと考えられています。
- 満員電車などたくさんの人がいる中での犯行であることが多く、犯人の特定が困難
- 目撃証人がいないことが多い
- 証拠は被害者の女性の供述のみというケースが多い
冤罪事件の場合、被害者側が加害相手を勘違いしているケースのほか、被害者側が悪意を持って痴漢をでっちあげるケースもあるといわれています。冤罪事件に巻き込まれた場合は速やかに弁護士に相談ることが大切です。
痴漢に遭ってしまった・巻き込まれてしまった場合の対処法
さて、以上が痴漢行為の内容や罰則ですが、最後に実際に痴漢事件に遭遇してしまった場合にどういった行動をとるべきなのかをご紹介したいと思います。
加害者の場合|もし痴漢してしまうとどうなるか
痴漢で逮捕されると、取調べや勾留のため最大23日間の身体拘束がなされる可能性があります。また、起訴され、有罪判決を受ければ前科がつくことに。
一時の気の迷いなどで痴漢行為に及んでしまった場合、被害者との間で示談が成立することで不起訴となる場合もあります。特に初犯の場合は、示談が成立している場合には、不起訴となる可能性は相当程度あります。
したがって、痴漢行為が事実であれば、素直に罪を認めて被害者との示談に前向きになることが肝要です。
【重要】弁護士に示談交渉を依頼するメリットとは?
当番弁護士への相談がおすすめ
もし、痴漢で逮捕されてしまい、どうすればよいかわからないという場合は、速やかに当番弁護士制度を利用しましょう。また、自由に外部と連絡が取れるうちならばすぐに現場へ駆け付けてくれる弁護士を探してみましょう。
痴漢事件では示談が有効と言われていますが、加害者が直接被害者と示談しようとすると、相手の感情を逆なでしたり、嫌がられたりする可能性もありますので、弁護士を介して交渉を行うことが成功のカギになります。
被害者の場合|痴漢被害に遭ったらどうするか
痴漢被害に遭った場合、まずは周囲の人に助けを求め、可能であれば証人を確保した上で犯人を取り押さえることが大切です。というのも、もしも勘違いで違う人を犯人呼ばわりしてしまうと、冤罪の加害者になりかねないからです。
特に女性の場合は、痴漢被害は恐怖であり、助けを求めたり声を上げたりするといったことへのハードルが非常に高いものです。しかし、冤罪事件も多発している現状では、冷静さを失わずに対処した方が被害者側のリスクも減ります。
被害届の提出
防犯カメラが設置されている車両や場所であれば、被害届を出すことによって犯人を後日逮捕できる可能性も高くなりますので、痴漢被害に遭ったら泣き寝入りせず、冷静な対処を心がけましょう。
また、被害届を出すかどうかの判断についても、刑事事件に詳しい弁護士にまず相談してみることが大切で、被害届が有効な事案なのか・犯人が分かっている場合に示談するかなど、あなたに合った対処法を模索してくれるはずです。
被害届は告訴状と異なり再提出ができないわけではありませんが、同一事案で一度被害届を取り下げて再度被害届を受理してもらうのは難しいとされていますので、まずは無料相談などを活用し、弁護士の意見を聞いてから行動することをおすすめします。
痴漢冤罪に巻き込まれたらどうするか
先ほども触れたとおり、痴漢事件には冤罪に巻き込まれるリスクもあります。しかし、痴漢行為をやっていないことの証明は極めて難しいものです。
したがって、身に覚えのない痴漢の疑いをかけられてしまったら、速やかに弁護士へ連絡することが大切です。
もしも逮捕されてしまったらすぐに当番弁護士制度を利用し、まだ取調べ段階で携帯電話などが使用できる場合には『刑事事件の経験豊富な弁護士事務所』や『その時点ですぐに対応できる最寄りの弁護士事務所』へ電話することが重要です。
弁護士がつくことで、警察の不当な取調べ(痴漢事件の犯人として厳しい扱いを受けること)を回避できます。レアケースでしょうが、仮に被害女性が悪意を持って冤罪をでっち上げていることを立証できるような場合には相応の処罰を望むことも可能です。
もちろん、衣服などの繊維片を採取してもらうなどの対処法も大切ですが、明らかに冤罪なのに犯人のような扱いを受けることは屈辱的でつらいものですから、一刻も早くあなたの味方を増やすことが何よりも重要です。
まとめ
当サイトでは、刑事事件に詳しい弁護士を多数掲載しております。刑事事件では被害者・加害者いずれの立場であっても、解決のためにスピードが重要になってくる場面が多く出てきます。
特に痴漢事件の場合は証人や証拠の確保が重要になるので、速やかに弁護士に相談し、早めに手を打っていくことをおすすめします。