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公開日:2018.10.19  更新日:2021.6.18

痴漢の初犯は懲役?罰金?逮捕の影響・裁判例などをご紹介

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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痴漢の初犯で逮捕されてしまった場合、本人や家族にはどんなことができるでしょうか。また、どの程度の量刑が科せられるのでしょうか。

初犯といえども、逮捕されてしまった場合は、弁護士を呼ぶのが賢明な選択です。

痴漢行為の内容や供述によっては、適用される罰則が異なり、重い刑事罰を受ける可能性があるからです。

この記事では以下の4点について解説します。

  1. 痴漢の初犯で逮捕されてしまった場合にできること
  2. 痴漢の初犯の罰則と量刑
  3. 痴漢の初犯で逮捕されてしまった後の流れ
  4. 痴漢の裁判例
痴漢の初犯で前科を回避する方法

痴漢は初犯でも実刑が言い渡された事例があります。しかし前科を回避する方法として、被害者側との示談成立を目指すこともできます。

とはいえ示談を成立させるには、以下の手順をクリアするのが必須でしょう。

  1. 被害者の連絡先を入手して示談交渉の許可をもらう
  2. 被害者に寄り添って適切な示談金額を交渉する
  3. 逮捕後は起訴までの残り23日以内に示談を成立させる

ところが加害者は逮捕・拘束されて自由がないので示談交渉を行えません。ですから弁護士に示談交渉を依頼するのが一般的です。

「初犯だから大目に見てもらえる」と判断せず、被害者側と示談成立を目指してください。

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痴漢の初犯で逮捕された場合にできること

ここでは、痴漢の初犯で逮捕された場合に、本人や家族にできることを解説します。

被害者と示談する

可能であれば、被害者と示談することをおすすめします。示談の成立は、当事者間では事件が解決しているものと評価され、その後の刑事処分でも重視されます。

例えば示談が成立したことを考慮して、検察が事件を起訴しない(不起訴処分)と決めることもあります。

この場合、ただちに身柄が解放されますし、有罪判決を受けて前科がつくという事態も回避できます。しかし、示談は通常、弁護人を介して行うことになります。

捜査機関は被害者の許可なく被害者の連絡先を教えてくれることはありませんし、たとえ被害者の連絡先がわかっていても、被疑者関係者との接触を拒否することが多いためです。

弁護士であれば、被害者の気持ちに配慮して交渉してくれます。被害者に謝罪したいと考えているのなら、弁護士を通じて謝罪文を渡してもらうという方法もあります。

【関連記事】
刑事事件加害者の示談|示談をする3つのメリットと注意点
刑事事件の示談を弁護士に依頼するメリット|選び方や費用相場も解説

弁護士を呼ぶことも有効

逮捕されてしまった場合、弁護士を呼ぶことは非常に有益です。

被疑者にとってのメリット

被疑者にとってのメリットは、弁護士に接見(面会)を行ってもらうことで、取調べについての法的助言や、逮捕後の流れを知ることができる点です。

特に、痴漢行為で逮捕された場合、痴漢行為の態様で成立する犯罪が異なることがあります。

一般的な痴漢行為であれば条例違反で処理されるでしょうが、態様が悪質であれば『強制わいせつ罪』が成立することもあります。強制わいせつ罪は非常に重い犯罪です。

何ら助言のないまま、捜査機関の誘導に従って供述した結果、条例違反ではなく、強制わいせつ罪で起訴されてしまうということも、まったくないとはいえません

だからこそ、法律のプロである弁護士に適切な助言をしてもらった方がよいのです。

家族にとってのメリット

ご家族にとってのメリットは、逮捕直後に被疑者と接見を行ってもらうことができ、状況の整理をすることができる点です。

逮捕から勾留されるまでは72時間以内と決まってはいますが、この間は弁護士しか接見が許されません。被疑者の様子を知るためにも、弁護士への依頼は重要です。

どんな弁護士を呼べばいい?

刑事事件を担当する弁護士は以下の3種類です。

当番弁護士

逮捕から起訴されるまでの間に1度だけ無料で呼べて相談できる弁護士

私選弁護人

費用の負担はあるものの、ご自身で選任可能。刑事事件に精通している弁護士を選べる

国選弁護人

国が費用を負担してくれる弁護士。選ぶことはできず、どんな弁護士が来るかはわからない・選任されるタイミングが遅いなどのデメリットもある

私選弁護人はこんな人におすすめ

事件を早く解決したい 被害者と示談をしてほしい 不起訴にしてほしい

上記のように、明確な目的がある方は私選弁護人がおすすめです。

私選弁護人は、ご自身で『刑事事件に注力している弁護士』を選ぶことができるので、安心して任せることができます

私選弁護人は、誰でも依頼できますが、被疑者に弁護士の知り合いがいない限りは、ご家族がインターネットの検索などで探すことになるでしょう。

『刑事事件弁護士ナビ』なら、数ある弁護士の中から、刑事事件を扱った実績のある弁護士を掲載しているので、すぐに見つけることができます。

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当番弁護士はこんな人におすすめ

とりあえず状況を整理したい どんな弁護士を選べばいいかまだわからない…

という方におすすめしたのが、当番弁護士です。当番弁護士は、1度だけ無料で呼べて相談ができます。そのため、まずは相談してから今後の方針を決めてもよいでしょう。

当番弁護士はご家族でも、被疑者でも呼ぶことができます。詳しくは関連記事をご覧ください。

【関連記事】
無料で簡単に呼べる当番弁護士は逮捕で困った被疑者の味方
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国選弁護人はこんな人におすすめ

国が費用を負担してくれる国選弁護人は、弁護士費用がどうしても負担できないという人におすすめです。

ただし、国が選任するために、どんな弁護士が派遣されるかはわかりません。

また、選任されるタイミングが遅い(勾留された後)というデメリットもありますのでご注意ください。

弁護士費用を抑える方法もありますので、関連記事を参考にしてみてください。

【関連記事】弁護士費用を無駄なく簡単に抑える6つのコツ

また、当サイトでも無料相談を受けつけている弁護士事務所を掲載しています。

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反省し、再犯を防ぐ方法を考える

本人がすべきことは反省です。反省が直接減刑につながるわけではありませんが、取調べで反省がみられないとされれば、その分取調べも厳しく、長期化する可能性があります。

また、反省と同時になぜしてしまったのか、どう防止していくかもしっかり考えましょう。

痴漢の罰則と初犯の場合

ここでは、痴漢の罰則と初犯のケースを解説します。

痴漢の罰則

痴漢の罰則はこちらです。

迷惑防止条例違反

6ヶ月以下の懲役/50万円以下の罰金

強制わいせつ罪

6ヶ月以上10年以下の懲役

どちらの罰則が適用されるのかは、痴漢行為の態様によります。

一般的には衣類の上から身体に触れた場合は迷惑防止条例違反、下着に手を入れた場合は強制わいせつ罪といわれていますが、絶対ではありません。

迷惑防止条例違反は、各自治体によって定められている罰則が異なりますが、おおよそ6ヶ月以下の懲役、または、50万円以下の罰金です。

一方、強制わいせつ罪は、懲役刑しか定められていない重い罪となります。

初犯はどのくらいの量刑になるのか

前科がなく、痴漢行為が悪質でない場合、事実を認めて反省していれば迷惑防止条例違反で罰金刑となるケースがほとんどです。

もし被害者と示談が成立していれば不起訴処分ということも十分あり得ます。

量刑が決められる基準は、次のようなあらゆることを考慮して判断されます。

  • 痴漢行為の内容
  • 被害者の処罰感情や年齢
  • 加害者の環境や年齢
  • 常習性
  • 痴漢行為が初犯なのか
  • 以前も同種の犯罪をしたことがあるのか
  • 前科前歴はあるか
  • 執行猶予中かなど

同種の犯罪で再犯したような場合、罰則が重くなることが考えられます。ただし、初犯だからといって軽くなると考えるのは危険です。

初犯であっても、車両移動した同一の被害者を執拗に付け狙い、長時間痴漢行為に及び、悪質だとされ、強制わいせつ罪で実刑判決が下された事例もあります。

罰金刑の場合

罰金刑の場合、略式起訴される可能性があります。略式起訴とは、簡略化された刑事裁判のことです。100万円以下の罰金刑に適用されます。

略式起訴は、書面審査であり即日判決が下されます。そのため、略式手続で処理された場合、勾留満期に身柄が解放されますので、被疑者にとっては負担が少ないメリットがあります。

ただし、起訴されて有罪判決を受けたことと同じ扱いとなりますので、前科がつくことになります

略式手続によるかどうかは被疑者の同意が必要ですので、拒否して正式裁判を求めることも可能です。

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略式起訴とは|概要と手続きの流れ・メリットなどを徹底解説

執行猶予はつくのか

起訴されて、言い渡される量刑が3年以下の懲役もしくは禁錮などで、前科がない場合は、執行猶予がつくケースもあります。

執行猶予がつけば、執行猶予期間中に再犯行為に及ばなければ刑罰は失効し、刑務所に収監されるということがなくなります。

【こちらの記事も読まれています】
執行猶予の仕組みを分かりやすく解説|執行猶予獲得する方法

痴漢の初犯で逮捕された場合の流れ

逮捕された場合の流れはこちらです。

詳しい内容に関しては、「刑事事件の流れ|事件発生から判決確定までの流れを徹底解説」をご覧ください。ここでは簡単にご説明します。

逮捕後の流れ

逮捕後の身柄拘束の期間はこちらです。

  • 逮捕後、警察署で取調べ|48時間以内
  • その後検察に送致(送検)、勾留の要否が判断される|24時間以内
  • 勾留|原則10日間
  • 勾留延長|さらに10日間

ご家族が接見可能となるのは勾留決定後、逮捕から最大72時間後です。勾留はいずれも検察が裁判所の許可を得て行います。

逮捕、勾留、勾留延長となった場合、逮捕から最長で23日間身柄を拘束される可能性があります。この勾留満期までに、検察は起訴・不起訴を判断します。

もし被害者と示談を考えているのであれば、この起訴されるまでの間に交渉した方がよいでしょう。略式起訴ならば、勾留満期に略式裁判が行われて身柄が解放されます。

正式裁判で起訴された場合、起訴後も勾留が続きますので判決が言い渡されるまで身体拘束が続きます。ただし、この場合保釈の手続を申請することが可能です。

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勾留とは|勾留される要件と早期に身柄を釈放してもらうための対処法

在宅事件の場合

逮捕には逮捕要件があり、痴漢行為をしても逮捕されないケースもあります。被疑者が身柄拘束を受けずに日常生活を送りながら刑事手続きが進行する事件を、在宅事件といいます。

在宅事件は起訴されるまでの期間に特に決まりはありません。そのため、手続きが終了するまで長くなることもあります。

また、在宅事件だから重い処分が下されない、というわけではありません。

したがって、事件を忘れてしまいがちな在宅事件こそ、被害者と早期に示談交渉をした方がよいでしょう

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家にいながら起訴される在宅起訴と状況による事件の解決方法

痴漢の初犯で逮捕された場合に考えられる影響

痴漢の初犯で逮捕された場合に考えられる影響はこちらです。

  • 長期の勾留による解雇・退学
  • 実名報道される・インターネット上に実名が残る
  • 逮捕されれば前歴が、有罪判決を受ければ前科がつく
  • 家族も嫌がらせを受ける・家庭が崩壊する可能性がある

1度の痴漢行為でも、これだけの不利益が生じる可能性があります

仮に刑事罰を受けて償ったとしても、報道で多くの人に知れ渡り再就職できないなど、その後の人生にも影響が生じることも考えられます。

このことで、大切な家族を失うこともあり得るのです

【関連記事】痴漢で逮捕されたら|罰則・罰金の処罰と不起訴を得る方法

痴漢の初犯の裁判事例

ここでは痴漢の初犯の裁判事例をご紹介します。

強制わいせつ未遂事件

満員電車で、未成年者に対し痴漢行為をした男性に、懲役1年、執行猶予3年の判決が下されました。

男性は満員電車で、未成年者の臀部を触り、下着に手を入れようとした段階で被害者に止められ、強制わいせつの未遂で起訴されました。

量刑の理由は、犯行内容は悪質で被害者の受けた苦痛や処罰感情も大きく、軽視できないとしながらも、犯行は未遂に終わり、前科前歴もないこと、妻子がいることなどを考慮されたということです。

裁判年月日 平成14年 7月24日 裁判所名 名古屋高裁 

事件番号 平13(う)443号

事件名 強制わいせつ未遂被告控訴事件

裁判結果 破棄自判 文献番号 2002WLJPCA07249001

前科前歴のない公務員に実刑

被害者に執拗につきまとい、数ヶ月にわたり計20回以上の痴漢行為をした強制わいせつ事件では、被告人に懲役1年6ヶ月の実刑判決が下されました。

量刑の理由は、常習性が顕著であり、被害者は過呼吸やパニック障害の症状を生じるなどの被害があり、前科前歴はないものの、悪質と判断され上記の判決が下されたということです。

裁判年月日 平成18年 9月14日 裁判所名 札幌高裁 事件番号 平18(う)74号

事件名 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、強制わいせつ被告事件

裁判結果 破棄自判 上訴等 上告 文献番号 2006WLJPCA09146002

まとめ

初犯で逮捕されたとしても、逮捕事実や余罪の有無について厳しい取調べを受ける可能性もあります。

もし逮捕されてしまったのであれば、ご家族や生活を失う前に具体的な再犯防止方法をしっかりと考え、実践する必要があります。

痴漢は常習性も指摘されており、依存症の一種ともいわれています。

ご本人だけでやめるのが難しいのであれば、家族の監督、専門のクリニックを受診する、電車に乗らない、自助グループに参加するなどして、やめる方法を考えましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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