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痴漢で逮捕されたらどうなる?生活への影響・早期釈放のためにすべきこと

痴漢で逮捕されたらどうなる?生活への影響・早期釈放のためにすべきこと

痴漢で逮捕されたら、その後はどうなってしまうのでしょうか。

この記事では、痴漢逮捕後の流れをお伝えした上で、痴漢の罰則や判例、逮捕後にやるべきことなどを解説します。

痴漢冤罪を疑われた場合はどうすればいいの?という方は、『弁護士が解説!痴漢冤罪を回避する対処法と自分の身を守る手段』もあわせてご確認ください。

痴漢したことを職場に知られたくない方へ

痴漢で逮捕されると実名報道されて、職場に知られる可能性があります。

痴漢は性犯罪の1つですから職場はもちろん、社会から向けられるあなたへの視線は厳しいでしょう。ですから実名報道はなんとしても避けるべきですが、それが出来るのは弁護士です。また、弁護士に依頼することであなたは次のメリットを得られます。

  1. 被害者との示談成立の可能性が高まる
  2. 早期の釈放・不起訴を獲得できる可能性がある
  3. 会社に知られても雇用を継続するように交渉できる

社会的地位や信用を損失しないためにも、今すぐ弁護士に相談するべきでしょう。

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目次

 痴漢で逮捕されてしまった後の流れ

痴漢行為で逮捕された場合、身柄を拘束され、「被疑者」として警察および検察の取調べを受けることになります。

 

詳細:刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応

①:逮捕(1日目~2日目)

事実確認等

電車内での痴漢行為の嫌疑をかけられた場合、通常、駅員により駅員室に連れて行かれ、そのまま到着した警察官に連行され、警察署で取調べを受けることになります。

警察官による連行は任意同行として行われる場合が多いものの、同行を拒否すればその場で現行犯逮捕されることになります。

この際、女性の服や体に接触したかどうかを判断する証拠を得るために、両手に粘着性のあるテープのようなものを張られ、手に付着している繊維を採取されることがあります。

警察署での取調べ

警察署では、担当刑事から取調べを受けることになります。

逮捕直後の取調べでは、逮捕に至るまでの状況や身上・経歴などについて話を聞かれることが一般的です。取調べで供述した内容は、これを聴き取った警察官が「供述調書」という書類に記録し、被疑者は内容確認して署名と指印を要求されます。

逮捕・勾留と手続きが進み、その後取調べが進めば、警察から当日の犯行内容・態様についてかなり具体的な話を聞かれることになります。

そのため、被疑事実を自白しているような場合、例えば「性的な欲求を満たすために、自分の前にいた女子高生のお尻のあたりを右手で触りました」というような供述調書が作成されることもあるでしょう。

「供述調書」には、被疑者の供述内容がそのまま記録されます。そのため、被疑者が事実でないことを事実であると供述したり、この点についてあいまいな供述をしたりすると、自身の真意と齟齬のある供述調書となってしまうことも否定できません。

この場合、自身の認識と違う点を訂正せず署名押印してしまうと、後で「あれは無理矢理に書かされたものだ」「訂正してほしい」と言っても、作成された供述調書をなかったことにはできません。

「供述調書」に対する署名・指印はあくまで任意で行うものですので、事実と異なる箇所や自身の認識と違う箇所があれば、当然、署名・押印は拒否できますし、訂正を求めることも自由です。

しかし、一度署名・押印した場合は、これをなかったことにはできませんので、署名・押印するかどうかは慎重な判断が必要です。

参考:「取り調べで作成される供述調書で気をつけるポイントと対処法

家族に連絡がいく

警察に身柄を拘束された時点で、警察から誰か外に連絡を取りたい人がいるかどうか確認されますので、家族と連絡が取りたい旨伝えれば、警察から家族に対して連絡をしてもらえます。

多くの場合、家族はこの時点で逮捕の事実を知ります。すぐにでも面会して話を聞きたいと思うかもしれませんが、逮捕期間中は、弁護士以外の面会はできません。

そのため、連絡を受けた家族は、すぐにでも被疑者から事情を聞きたいのであれば、弁護士に依頼し、被疑者との接見をしてもらって、間接的に事情を聞く以外に方法はありません。

参考:接見禁止の理由と、接見禁止でも面会をするための方法

②:検察官送致(2日目~3日目)

逮捕されてから48時間以内に、事件書類と被疑者を検察庁に送ることが法律で決められています。このことを「検察官送致(送検)」といいます。

そのため、逮捕された翌日または翌々日には検察庁で検察官と面会することになります。検察官が被疑者から話を聞き、勾留請求をするかしないかをここで判断することになります。

被疑者が痴漢を全面的に認め、身元もはっきりしているような場合には、勾留請求をしないという判断がされることもあります。この場合、被疑者は直ちに釈放され、その日のうちに自宅に戻ることができます。

しかし、被疑者が痴漢行為を冤罪であるとして否定する場合、さらに調べる必要があるとして勾留が請求される場合がほとんどです。

ここがポイント!

勾留の要否を判断する段階で被疑者により弁護人が選任されていれば、被疑者が被疑事実を認めていること、家族などの適格な身元引受人がいること、勤務先や住居が明らかで逃亡する可能性が低いこと、被害者に対して被害弁済を約束することなどを説明し、検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけることも可能です。

被疑者が容疑を否定している場合は難しいですが、事実を認める場合で一刻も早く釈放させたい場合は、逮捕後2日目までに弁護士を選任しておくのが良いでしょう。

③:裁判官の勾留質問(3日目)

勾留請求をされた場合、裁判所に連れて行かれ裁判官と面会することになります。この裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断・決定します。

被疑者に法定の勾留事由(『住居不定』『罪証隠滅のおそれ』『逃亡のおそれ』のいずれか)があると判断されれば、裁判所の決定で勾留という長期間の身体拘束が認められることになります。

勾留が決まった時点で、その日から原則10日間勾留されることになります。つまり、裁判官と会った日を含めて10日間、警察署において身体拘束されることになります。その後、被疑者を釈放するかしないかを判断するのは検察官です。

ここがポイント!

もし10日間も外に出られないとなると、会社との関係で大きな問題が生じてきます。10日もの間無断欠勤をするわけにもいきません。

勾留が決定される前の段階で、弁護士を選任していれば、検察官に対する働きかけと並行して、裁判所に対して勾留をしないよう(勾留請求却下)求めてもらうこともできます。

④:勾留期間中(4日目~11日目)

勾留されている間、被疑者は警察や検察から随時取り調べを受けることとなります。いつ取調べが行われるかは、警察・検察の都合によりますので、被疑者にはわかりません。取調べがない場合は留置施設に拘束され、そこで時間を潰して過ごすことになります。

⑤:勾留延長 (12日目~23日目)

被疑者が痴漢行為について否認を続けており事実関係の解明に時間を要する場合や余罪が多くさらに捜査を進める必要がある場合など、取調べに時間を要すると検察が判断すれば、検察は裁判所に対して更に勾留を延長するよう請求します。

そして、裁判所がこの延長を認めれば、勾留は最大10日間延長されます。実際に否認事件ではほとんどの場合、勾留期間が延長されています。そのため、被疑事実を争って否認を続ける場合は、勾留は延長されるものと考えておいた方がよいでしょう。

⑥:起訴

検察官は、勾留期間の満期の時点で被疑者を刑事裁判にかけて裁くことが可能であり、その必要があると判断した場合、必ず起訴します。

罰金刑のみが予定される略式起訴の場合、被疑者が手続きに同意すればその日にただちに釈放されますが、正式裁判で起訴された場合、身体拘束はそのまま継続します。

ただし、起訴されて被告人という立場になった場合には、保釈という一時的な釈放手続を申請することが可能となります。

保釈により身柄が解放されれば、身体拘束を受けない状態で刑事裁判を受けることが可能ですが、保釈がされなければ身柄を拘束されたまま刑事裁判を受け、判決を待つことになります。

⑦:裁判

痴漢事件であれば、起訴されてから約1ヶ月後に最初の裁判が開かれます。被疑者が罪を認めている場合には最初の一回で審理は終結し、次回判決となります。

家族が裁判の場で情状証人として証言をすることもあります。この場合は家庭の状況や今後のご家族の監督などについて証言することが通常でしょう。


もしも身近な方が痴漢で逮捕されてしまったら、いち早く弁護士に相談することをおすすめします。相談料無料の事務所も多いので以下のリンクから弁護士を探して相談してみましょう。
 

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痴漢で逮捕された場合に問われる刑事罰

痴漢で逮捕されると、以下のいずれかの罪に該当する可能性があります。

迷惑防止条例違反|6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

例えば、女性の下半身を少し触ったなどの軽度の痴漢行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反の容疑がかけられます。行為の規定や罰則内容は各都道府県で若干違いますが、東京都の場合6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

大半の痴漢行為は迷惑防止条例違反で逮捕されますが、罰金刑も設けられているため、被疑者が痴漢行為の事実を真摯に認めており、被害者と示談の話を進めているような場合には、早期釈放も望めます。

強制わいせつ罪|6ヶ月以上10年以下の懲役

被害者の下着の中にまで手を入れたり、下半身を長時間触り続けたりするなど、痴漢行為が悪質な場合、強制わいせつ罪に問われる可能性があります。強制わいせつ罪の法定刑は6ヶ月以上10年以下の懲役と、非常に重い罰則になります。

そのため、強制わいせつ罪で起訴された場合、たとえ初犯であっても実刑判決を受けてしまう可能性はゼロではありません。

法定刑に懲役刑しかない為、強制わいせつ罪の容疑がかけられてしまったのであれば、たとえ被疑者が罪を認めていたとしても、それだけで早期釈放を望むことは難しいでしょう。

ただ、被害者との間で示談が成立し、処罰感情が乏しいということになれば、強制わいせつ罪で逮捕されたとしても、早期釈放は望めるかもしれません。
 
【関連記事】
強制わいせつ罪で逮捕された後の流れと早期解決の為の対処法

痴漢の逮捕事例と裁判例

痴漢で逮捕される場合、どのような経緯で逮捕されるのでしょうか?

痴漢で裁判になった場合、どのような判決が下されるのでしょうか?

痴漢の逮捕事例と裁判例をそれぞれ見ていきましょう。

痴漢の逮捕事例

痴漢で現行犯逮捕された事例

横須賀市職員が、女子高生の下半身に触れた疑いで現行犯逮捕されました(迷惑防止条例違反)。この例では、社内で被疑者の身柄が取り押さえられ、その後警察署員に引き渡されたようです。痴漢の場合はこの事例のように、現行犯で逮捕されることがよくあります。

参考:横須賀市職員が痴漢疑いで逮捕 「触れただけ」と容疑否認

痴漢で後日逮捕された事例

次に、後日逮捕された事例です。井の頭線の電車内にて、大学生が女子大生の下半身を触り、停車後路線に降りて逃走。威力業務妨害と迷惑防止条例違反の疑いで身柄を拘束されました。

この事件の場合は、防犯カメラの映像などから、被疑者の特定に至ったようです。

痴漢の裁判例

懲役2年6ヶ月・執行猶予5年が言い渡された事例

判例の概要

事件名

強制わいせつ被告事件

判決

懲役2年6ヶ月・執行猶予5年

電車内で女子中学生に対して痴漢をした事例です。

次のような理由から、懲役2年6ヶ月・執行猶予5年の判決が言い渡されました。​

  • 被害者が抵抗できないのをいいことに、執拗にわいせつ行為を繰り返した
  • 関係証拠から、犯行の事実が認められる
  • 被告人は犯行を否定しており、反省の色が見られない
  • 被告人は禁錮刑以上の前科、裁判を受けたことがない

参考

裁判年月日 平成14年10月31日 裁判所名 神戸地裁 裁判区分 判決

事件番号 平14(わ)619号

事件名 強制わいせつ被告事件

裁判結果 有罪 文献番号 2002WLJPCA10319012

30万円の罰金刑が言い渡された事例

判例の概要

事件名

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件

判決

30万円の罰金

福岡市のスーパーにて、すれ違いざまに衣服の上から痴漢をしたとされる事例です。

被害者の証言は信用しにくく、犯罪の証明がないとして、1度は無罪が言い渡されました。

しかし、第1審での被告人の供述に信憑性がなかったとして、上告後30万円の罰金が言い渡されています。

参考

裁判年月日 平成23年 5月25日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決

事件番号 平22(う)264号

事件名 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件

裁判結果 破棄自判 上訴等 上告(後上告棄却) 文献番号 2011WLJPCA05257001

無罪判決が言い渡された事例

判例の概要

事件名

埼玉県迷惑行為防止条例違反被告事件

判決

無罪

電車内にて、左隣に座っていた女性に痴漢をした旨で公訴された事例。しかし、被告人は一貫して事実を否定していたようです。

次のような理由から、最終的に無罪が言い渡されました。

  • DNA型鑑定の結果、被告人のDNAが女性の衣服から検出されなかった
  • 被害者の供述以外に痴漢を裏付ける証拠がない

参考

裁判年月日 平成30年 6月20日 裁判所名 さいたま地裁 裁判区分 判決

事件番号 平29(わ)1300号

事件名 埼玉県迷惑行為防止条例違反被告事件

文献番号 2018WLJPCA06206004

痴漢で逮捕されたことで想定される社会的影響5つ

痴漢は刑事事件になりますので、刑罰を受けることに加え、社会的影響も無視できません。こちらでは、痴漢で逮捕されたことによる社会的影響について解説していきます。

逮捕されたことで会社を解雇される可能性

逮捕されたことが警察から会社に通知されることは、被疑者がこれを求めたような場合でないかぎり、ありません。しかし、逮捕事実を知った家族に確認がされるなどして会社に逮捕の事実が知られてしまう可能性は大いにあります。

この場合、会社としては、適切な就労が期待できないとして被疑者を解雇したり、被疑者に退職を求めるということは十分にあり得ます。就業規則の規定および犯罪行為の態様によっては、会社の名誉を著しく汚したことなどを理由として懲戒解雇されてしまうということもあるかもしれません。
 
【関連記事】
懲戒解雇になり得る7つのケースと懲戒解雇された時の対処法

痴漢をしたら必ず「クビ」になるのか?

痴漢の容疑で逮捕されてしまった場合でも、早い段階で釈放してもらえれば、会社には痴漢の事実が伝わらないこともあります。また、仮に会社に痴漢事件のことが伝わった場合でも、不起訴のまま釈放されれば、会社の解雇理由には当たらないこともあるでしょう。

ただし、不起訴となれば必ず解雇されないというわけではありませんし、痴漢行為で逮捕されたという事実そのものが会社との関係を悪化させる可能性もありますので、注意してください。

解決が早ければ早いほど、職場に連絡がいくおそれは減り、雇用を維持できる可能性は高まります。

例えば、逮捕直後から弁護人に依頼し、被害者との示談交渉に動いてもらって早期に示談を成立させ、これを基に早期釈放をされたような場合は、会社に逮捕事実を一切知られることなく、無事に職場復帰できる可能性は極めて高いと言えるでしょう。

もちろん逮捕後の数日間は出勤できないことになりますが、この場合は家族から「体調不良で欠勤する」旨連絡を入れてもらうなどの対応も考えられます。

前科・前歴がつく

逮捕された時点で、前歴(過去に警察のやっかいになったことがあるという記録)がつきます。また、起訴され有罪となることにより前科がついてしまいます。前科・前歴は、ただちに周囲に知られるものではないため、これがあるからすぐに社会的影響を受けるということはありません。

しかし万が一、前科・前歴がある状態で、次に何かしらの犯罪を起こしてしまうと、罪として立件されやすかったり、不起訴となることが難しかったり、有罪の場合の刑罰が重くなったりと、さまざまな不利益を受ける可能性があります。
 
【関連記事】
前科・前歴の違い|知っておきたいその後の生活の影響度

家族との関係が悪化するおそれ

痴漢などの性犯罪は、その事実があったということだけで、家族からの不信を買ってしまい、最悪の場合家庭が崩壊してしまう可能性もあります。このようなリスクを踏まえて最初から犯罪行為をしないことが最善であることは間違いありません。

万が一痴漢行為で逮捕された場合、それが事実であるならば、しっかりと家族と向き合って関係を修復するべきですし、冤罪であるならばその旨を家族に明確に伝えて、家族の理解と支援を得る必要があります。

なお、痴漢行為が事実であるのに家族との関係悪化をおそれて事実でないと言い張ることは、必ずしも得策ではありません。この場合、被疑者自身は家族に嘘をついている罪悪感で苦しみ続けることになりますし、家族も騙された結果重い負担を課せられることになります。

そして、万が一、嘘が発覚した場合には、家族との関係が修復不可能となる可能性は低くないでしょう。

実名報道される可能性

痴漢行為で逮捕された場合、被疑者の立場や犯行態様によってはマスコミによって実名報道されてしまうおそれもあります。例えば、社会的地位が高い職業に就いていたり、著名であったりする場合は、報道される可能性は高くなります。

そうなった場合、家族だけでなく仕事先を含めた周囲の人間に「痴漢で逮捕された」という事実が知れ渡り、自身の仕事や私生活に与える影響は甚大と言えます。

また、インターネットが普及した現代社会では、そのような報道内容がネット上で半永久的に残ることになります。こうなった場合、今後の人生そのものに深刻な不利益がおよぶ可能性があります。

TVで実名報道された場合ネットに名前は残る?

痴漢トラブルは注目度の高いニュースのため、マスコミにより広く報道され、場合によってはインターネット上に名前が掲載されてしまう可能性も0ではありません。

一度インターネット上に広がった名前を削除することは困難です。マスコミが逮捕事実を察知するかどうか、察知した場合に報道するかどうかは、被疑者側では全くコントロールできません。

痴漢行為で逮捕されると、このようなリスクを伴うということは、よくよく留意しておくべきでしょう。

【関連記事】

実名報道とは|匿名報道との判断基準とプライバシー侵害等の問題点

痴漢逮捕の事実が徐々に知られていく

拘束期間が長引き会社や学校などに数週間出られなくなってしまうと、「どうしたんだ?」と、周りの人たちから心配されるようになります。

通常、この段階で、会社や学校から家族などに連絡があり、状況を聞かれることになります。

この時に、体調不良などでうまくごまかせるのであればそれでも良いですが、あまりに欠勤や欠席が長期となると、診断書の提出を求められるなどして、ごまかしきれなくなることもあります。

このような場合、なし崩し的に逮捕事実が会社や学校などに知られてしまうことも十分あり得ます。このように、身柄拘束期間が長くなればなるほど、逮捕事実が周囲に知られるリスクは高まっていくことは、留意しておくべきでしょう。

解決が長引けば社会復帰は難しくなってくる

痴漢行為で逮捕、勾留、起訴、有罪となれば、最低でも2~3ヶ月は刑事手続に服することになりますし、保釈されなければその間身柄を拘束され続けることになります。

このような場合、会社に事実を秘匿し続けることは困難であり、会社からこれを理由に懲戒解雇されてしまう可能性もゼロではありません。

万が一そのような事態に陥った場合、逮捕事実が報道されていなくても、再就職が困難となる可能性があります。就職活動で逮捕事実や懲戒解雇の事実を積極的に開示する必要はありません。

しかし、これを秘匿して就職し、就職後に発覚した場合は再び解雇されてしまう可能性がありますし、秘匿しようとしても退職理由について十分な説明ができずに不信を買い、再就職そのものができないという可能性があるのです。

このように、痴漢行為で長期間の刑事手続に服することで、それ自体その後の人生に悪影響をもたらす可能性があることは、十分に留意しておくべきでしょう。


逮捕されたことにより、こうしたさまざまな影響が出てくると考えられます。もしも身近な方が痴漢で逮捕されてしまったら、いち早く弁護士に相談することをおすすめします。相談料無料の事務所も多いので以下のリンクから弁護士を探して相談してみましょう。
 

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痴漢で逮捕された家族を一刻も早く釈放させるには

一刻も早くご家族を釈放してもらいたいと思うのであれば、逮捕されたことを知ったその日のうちに『弁護士』に依頼することが重要です。「①:逮捕(1日目)」の段階で弁護士を選任していれば、接見を弁護士に依頼することができ、本人と今後の方針などを相談することができます。

3日以内に釈放させたい場合

勾留が始まる前に弁護士に依頼をしておけば、弁護士を通して検察官に必要な働きかけを行い、勾留を請求しないよう求めることが期待できます。また、検察官から勾留請求を受けた裁判所に勾留を却下するよう求めることも期待できます。

逮捕された場合、「待っていればいずれ釈放されるだろう」という考え方は危険です。

刑事手続は被疑者側で何もしなければ、そのまま身柄を拘束されてしまう可能性が高いです。 早めに弁護士に依頼し、必要な弁護活動を行うことで、早期釈放の可能性を高めることができるかもしれません。

勾留が始まってしまった場合

この時、弁護士を選任していた場合にできることが2つあります。

被害者と示談をする

もし本当に痴漢をしていた場合、検察官から被害者の連絡先を入手し、被害者と直接示談協議を行うことが最善です。ただ、被害者側に示談の意思がない場合は、検察官から被害者の電話番号を教えてもらえませんので、示談を進めることはできません。

他方、被害者と早期に連絡が取れて、スムーズに示談が成立すれば、検察官が示談成立を踏まえて釈放の処理を行うことが期待できます。 

重要弁護士に示談交渉を依頼するメリットとは?

不服申立を行う

もう一つは、勾留に対して準抗告という不服申立を行う方法です。これは、勾留が不当なものだとして裁判所に対して申し立てる手続きで、認められればご家族は釈放されることになります。

起訴後の場合

勾留期間満了前までに、検察官が被疑者について刑事裁判で裁く必要があると判断した場合には、起訴という手続きが行われます。起訴後の『被疑者』は『被告人』となります。被告人という立場になれば、保釈という身柄解放の手続きを申請することができます。

補足|釈放と保釈の違い

『釈放』は、身体を拘束されている方の拘束を解く行為を意味する単なる言葉です。

これに対し『保釈』は、裁判所に保証金を積んで一時的な身柄の解放を求める刑事手続です。

両者の違いは、前者が用語であるのに対し、後者は手続であるという点です。そのため、「保釈手続を行ったことで釈放された」という使い方が正しいでしょう。

なお、釈放は保釈だけでなく、検察官が釈放指揮を取った場合や、刑事裁判で無罪となった場合、刑事裁判で有罪となったが執行猶予がついた場合な、さまざまな場面が想定されます。


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痴漢で逮捕された後すぐに弁護士を呼ぶメリット

痴漢での逮捕は、冤罪も多くその対処法がさまざまに言われていますが、ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)では、まずは弁護士を呼ぶことをおすすめしています。

参考:「弁護士が解説!痴漢冤罪を回避する全手順

痴漢で逮捕された後に弁護士を呼ぶメリットは以下のようなものがあります。

被害者との示談交渉が可能

被害者のいる痴漢事件では、被疑事実を認める場合は、被害者との示談交渉を進めることが最善です。しかし、痴漢を受けた被害者は加害者からの直接交渉など受けたくないでしょうし、そもそも警察・検察が加害者やその家族に被害者情報を教えることはありません。

弁護人であれば、警察・検察から被害者の情報を開示してもらい、示談交渉進めることは比較的容易です。なお、痴漢事件で起こり得る「痴漢冤罪詐欺」に対処することもできるでしょう。

被害者と示談するメリット

示談が成立した場合、当事者間でのトラブルは解決したことになります。そのため、痴漢を理由に慰謝料を要求されることもありませんし、被害届や告訴も取り下げられます。前科前歴がない場合、検察も示談成立の事実を重く見て起訴しないという判断を取ることが多いです。

また、示談が成立すれば、やはりこれを重視した検察が釈放指揮を取り、身柄を早々に解放することも多いと言えます。

痴漢の示談金相場は?

示談金は、『当事者がトラブルを解決するための金銭』であり、決められた額はありません。痴漢事件の場合、事案の悪質性に応じて、5〜50万円の幅で決まることが通常であり、多くの事案では10~30万円の間で示談となるケースが多いようです。

【関連記事】

【刑事事件】事件別の示談金相場一覧と示談交渉のポイント

勾留請求に対する意見書の提出ができる

検察官が勾留請求をする際に、検察官に対して勾留を請求しないように求めることができ、検察官が勾留請求をした後でも、裁判官に対して勾留請求を却下するように働きかけることができます。

参考:「勾留の要件と流れ|勾留を防ぎ早く身柄を解放させる方法

準抗告もできる

勾留に対して『準抗告』という不服申立ができます。検察が被疑者を勾留するには要件がありますが、これに対し「勾留の要件がない」「勾留の必要性がない」などの理由を主張し、勾留を取り消すよう求めるのが準抗告です。認められれば被疑者の勾留は取り消され、即時釈放されます。

ただし、検察側で身柄拘束が絶対に必要と考える場合、準抗告の決定に対して特別抗告がされる可能性があります。

参考:「勾留の要件と流れ|勾留を防ぎ早く身柄を解放させる方法

接見交通ができる

弁護人であれば、時間制限なく被疑者と面会することができます。その際に、被疑者に被疑者ノートを差し入れて、取り調べの状況を記録させることで、自白の強要やその他不当な取り調べを受けた記録を残すよう、指示することもできます。

このような記録は、痴漢行為を裁判で争う場合の有用な証拠として用いることができます。

参考:「接見禁止の理由と、接見禁止でも面会をするための方法

公判での弁護活動ができる

法廷でご家族を弁護できるのは弁護人だけです。もし冤罪事件であれば被告人の無実を適格な証拠を持って主張する必要があります。

また、仮に起訴事実を認める場合でも、被告人の反省、更生の可能性、再犯の回避について必要な証拠を提出し、刑罰を軽くするよう主張をしてくれます。

参考:「刑事裁判の全て|知っておくべき基礎知識

弁護士に依頼するデメリットは費用のみ

デメリットとして考えられるのは、弁護士にかかる費用です。弁護士に依頼すると、それなりの費用がかかってしまいます。

  • 接見費用:1〜3万円/回
  • 着手金:30万円〜
  • 成功報酬:30万円〜

上記のような費用が発生してくることが考えられます。もし費用面での負担が大きいとお考えの場合は、弁護士に相談して、『刑事被疑者弁護援助制度』の利用を相談してみてもよいでしょう。

なお、法改正により、2018年6月からは勾留状が発せられているすべての事件で、国選弁護人が選任されることになっています。どうしても費用が負担できない場合は、国選弁護人の選任を待ちましょう。

【関連記事】刑事事件の弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法
 


【ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)】では、刑事事件が得意な弁護士を掲載しています。弁護士に依頼することで刑事事件を素早く解決に導いてくれるでしょう。相談料無料の事務所も多いので、以下のリンクから弁護士を探して相談してみましょう。
 

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痴漢逮捕でよくある疑問

最後に、痴漢事件でよくある疑問とその答えをお伝えします。

駅員室に連れて行かれたらそのまま現行犯逮捕されるの?

『駅員室について行ったらそのまま逮捕される』という認識を持っている方もいらっしゃるでしょう。痴漢冤罪だった場合は、駅員室についていくのはおすすめできません。駅員の連絡後にやってきた警察により、そのまま現行犯逮捕されるおそれがあるからです。

また、駅員室に拘束されれば目撃者を募れないので、冤罪を晴らす証拠を集めるのが難しくなります。

痴漢冤罪の場合、走って逃げるのは正解なのか?

逃げ切ることができ、後日逮捕されるおそれがないのであれば、選択肢の1つとしてはあるかもしれません。

しかし、線路に逃げ込めば威力業務妨害や往来危険罪、人を跳ね除けて怪我をさせれば暴行罪や傷害罪など、別の罪に問われるおそれもあります。何より自分や第三者を傷つける可能性もあり、危険です。そもそも駅には監視カメラなどがありますので、逃げ切れる可能性は極めて低いです。

したがって、走って逃げられる状況は限定的であり、全く推奨されません。

関連記事:弁護士に聞いてみた|痴漢冤罪に関するネット論争のウソ・ホント

痴漢で後日逮捕される?逮捕までの経緯とは

痴漢で後日逮捕になるケースは多くないものの、まったくないわけではありません。次のような証言・証拠を元に警察が被疑者を特定する場合があります。

目撃者の証言を集める

基本的に、警察の捜査は被害者や目撃者の証言を元に進められるようです。衣服に触れた場合や、被害者の爪の間に皮膚が付着していた場合などは、証拠としてDNAを採取されることがあります。

先にご紹介した裁判例で、被害者の衣服から被告人のDNAが検出されなかったことが無罪を得た理由の1つとなっていることからも、証拠としての重要度が伺えます。

防犯カメラの映像などをヒントにする

防犯カメラの映像も、証拠の1つとなります。先にご紹介した、大学生が後日逮捕された事例では、防犯カメラの映像が証拠となり、被疑者の特定に至りました。

証言や証拠と一致する人物をSuicaの記録から特定する

目撃者の証言や防犯カメラの映像と、Suicaの記録をひもづけ、被疑者を見つけ出す場合もあります。Suicaには、駅に出入りした記録だけではなく、氏名や住所も登録されているため、被疑者の特定に利用されることがあるようです。

未成年が痴漢で逮捕されたらどうなる?

刑事責任能力の有無によって、その後の流れが変わります。

  • 14歳未満:児童相談所の更生手続により処理される
  • 14歳以上:家庭裁判所に送致されて処理される

親との連絡がついた場合は、警察から学校に連絡がいくことはまれです。しかし、『学校・警察連絡制度』が実施されていた場合は、警察から学校に連絡がいくかもしれません。

痴漢初犯の場合の量刑はどうなる?

量刑の重さは犯罪行為の重大性などによって決まるため一概には言えませんが、前科前歴がないことは被疑者に有利な事情として斟酌されます。

詳細記事『痴漢の初犯は懲役?罰金?逮捕の影響・裁判例などをご紹介』では、痴漢初犯の判例などをご紹介しているので、あわせてご確認ください。

まとめ

痴漢で逮捕された場合の釈放までの手順をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

痴漢のトラブルは、その後の人生の転落につながりかねない大きな問題です。もし冤罪であれば、一刻も早く弁護士を選任しましょう。早めに手を打つことが、釈放への近道となるでしょう。

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