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窃盗罪で科される罰金の相場|罰金額を抑える方法と前科のリスク

当社在籍弁護士
監修記事
Settou

窃盗罪は、日常生活にもっとも近い犯罪といえるでしょう。令和元年版の犯罪白書によると、全刑法犯の認知件数81万7,338件のうち、窃盗事件の認知件数は58万2,141件で、全刑法犯の約71%を占めています。

「つい魔が差した」という表現があるように、窃盗はちょっとした気の緩みや自分への甘さ、物欲しさやスリルといった衝動によって、誰もが犯し得る犯罪なのです。

窃盗罪は、懲役刑だけでなく罰金刑も規定されています。では、罰金刑が科せられた場合はどのくらいの金額になるのでしょうか?前科がついてしまうのを避ける方法はあるのでしょうか?

この記事では、窃盗罪の罰金額の相場や窃盗事件を起こしてしまった場合の対処法を解説します。

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刑法第235条|窃盗罪とは

窃盗罪は刑法第235条に規定されています。

【窃盗罪】

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法第235条

他人の財物を窃取、つまり「盗んだ」場合に罪に問われるのが窃盗罪です。どのような状況で何を盗んだのかによって、窃盗罪はさまざまな手口に分類されます。窃盗罪の手口分類は非常に多岐にわたりますが、ここではその一部を挙げてみましょう。

手口の名称

内容

万引き

店舗で陳列している商品を盗む

空き巣

留守宅に侵入して金品を盗む

ひったくり

他人がもっているものをスキを見て強引に盗む

野荒らし

他人が所有する田畑から作物を盗む

自販機ねらい

自動販売機を壊して中身の現金を盗む

自転車盗

駐輪中の自転車を盗む

また、窃盗の機会に相手に暴行をはたらいた場合は強盗罪となり、窃盗罪よりも重い5年以上の有期懲役が科せられます。

盗んだものの価値に関わらず適用され得る

刑法の規定では「財物を窃取」した場合に窃盗罪が成立するとされています。対象となる「財物」については、その価値を問わず、「有体物」であれば「財物」に当たると考えられます。

したがって、現金や貴金属類などのように高価なものでなくても、ゴミ捨て場に置かれているゴミ(空き缶やペットボトルなど)であっても、「財物」にあたるといえるでしょう。

なお、窃盗罪の被害額は「時価」で算出されます。たとえば定価10万円の腕時計が盗まれた場合でも、長く肌身はなさず使い続けていて古くなっている場合では、まったく同じ状態でどのくらいの価格で流通しているのかを参考に判断されます。

略式起訴になる可能性もある

刑事事件では、罪の種類によって裁判が開かれる場所が異なります。窃盗事件のように比較的軽微な犯罪については、管轄の簡易裁判所が第一審の裁判権を持っています。

そして、簡易裁判所の審理対象となる事件では「略式」による手続きがとられることがあります。窃盗罪は、犯罪の事実に争いがなく、被害者に異議がない場合に限って略式起訴という書面審理のみで判決が下されることがあります。

罰金を納めれば刑罰が終了するため非常に簡便な手続きだといえますが、たとえ略式の罰金刑でもれっきとした前科がつくことは肝に銘じておくべきでしょう。

窃盗罪で科される罰金

窃盗事件を起こして有罪・罰金刑の判決を受けた場合、どの程度の罰金額を科されるのでしょうか?

罰金を払っても前科がつくのか

罰金刑が科せられた場合、裁判官が決定した罰金額を納めることで刑罰が終了します。つまりは「お金を支払うことで償いとみなされる」わけですから、刑罰としては軽いものだと感じるでしょう。

たしかに、刑務所に収監されてしまうことに比べると、罰金刑は軽い刑罰です。ただし、罰金刑といえども「前科」がつくことには変わりないので、一定の職業に就けなくなったり、場合によっては解雇の対象となったりするなど、さまざまなデメリットがあります。

前科がついてしまうデメリットについては、別の記事でさらに詳しく解説しています。

【関連記事】前科がつくデメリット8つ|前科を回避するには?

相場は10万円〜30万円

窃盗罪の罰金刑は50万円以下と規定されています。ただし、実際には上限となる50万円の罰金が科せられるケースはまれです。

そもそも窃盗罪には罰金刑が規定されていませんでした。「金銭に困っているからこそ窃盗を犯すのだから、罰金も支払えないだろう」という理屈で、懲役刑のみが規定されていましたが、平成18年の刑法改正によって罰金刑が加えられたという経緯があります。

実際に窃盗事件で罰金刑が下されたケースをみると、罰金額の相場は10~30万円程度と思われます。

内容によって高額になり得る

罰金刑に落ち着いたとしても、犯行が悪質であれば罰金額が高額になることもあります。

再犯であった場合

以前にも窃盗事件を起こしたことがあり、刑罰を受けた経歴があれば「再犯」として扱われます。再犯であれば、以前の事件を反省していないと評価され、罰金額が高額になるおそれがあります。

盗んだものが高価だった場合

窃盗の罪の重さは、盗んだものの価値によって大きく左右されます。盗んだものが高価であればそれだけ罪が重くなり、罰金額も高くなるでしょう。

被害が賠償できなかった場合

判決が下されるまでの間に被害を賠償できなかった場合、罰金額が高額になるおそれがあります。弁償できないほど高額なものを盗んだ、弁償できる程度のものなのに故意に弁償しなかった場合は、量刑判断において不利な状況になるでしょう。

証拠が明らかなのに否認した場合

防犯ビデオに犯行が記録されている、鑑識によって科学的に事件が証明されているなど、明らかな証拠がある状況なのに否認していると「反省していない」と評価されて罰金額が高くなることがあります。

懲役刑、場合によっては実刑になる可能性もある

犯行を繰り返している、被害額が高額など、様々な事情から事件が悪質と判断されれば、罰金刑では済まされず懲役刑が科せられ、場合によっては執行猶予がつくこともなく実刑判決が下される可能性もあります。

罰金額を抑える・避けるためには

窃盗事件を起こしてしまい、罰金の金額をできるだけ低額に抑える、または罰金刑を避けるためには、どのような対策が有効なのでしょうか?

反省して自首する

窃盗を犯した事実が被害者や捜査機関に発覚していない段階であれば「自首」も有効な手段です。有効な自首として扱われた場合、減刑される可能性があります。軽微な事件であれば罰金額が下がるだけでなく、検察官が起訴を見送る可能性があるので、有利な状況が期待できるでしょう。

ただし、すでに捜査機関が被疑者を特定して捜査していれば自首は成立しないので、弁護士に相談してアドバイスを受けるべきでしょう。

被害者と示談する

罰金額を抑える、または回避する方法としてもっとも有効かつ現実的な方法は「被害者との示談」です。被害者に対して謝罪の意を伝え、被害額に相当する金額や精神的な苦痛に対する慰謝料を含めた示談金を支払って許しを得ることで、被害届や告訴の取り下げを請います。

罰金そのものを避けられる可能性もある

被害者との示談が成立すれば「被害者は加害者に対する処罰を望んでいない」と判断される可能性があるため、検察官が不起訴処分の判断を下す可能性が高まります。

不起訴処分になれば、当然ですが刑事裁判が開かれず、罰金刑が科せられることもありません。

検察官が起訴を決断するよりも前に示談成立を目指すのがベストといえるでしょう。

示談には弁護士への相談が必要

示談は、加害者と被害者の間で交わされるものですが、成立のためにはいくつかのハードルがあります。まず、加害者が被害者の住所や連絡先などの情報を得るのは難しく、示談をもちかけようにも連絡さえできないケースは少なくありません。

また、犯罪の被害者は加害者に対して恐れや嫌悪感を抱いていることが多く、示談をもちかけても拒まれてしまうおそれがあります。

法律問題を取り扱う弁護士が介在することで、被害者との示談交渉がスムーズになるでしょう。

また、適正な相場内の示談金で決着できるというメリットもあるので、示談交渉を進めるには弁護士のサポートが不可欠です。

窃盗罪になるかもしれない6つの例

窃盗罪は、あなたの身近なところでも十分に起こり得る犯罪です。

他人の傘を無断で借りる

不意に雨が降り始めたので、店舗や施設の傘立てにあった誰かの傘を無断で使った、という経験はありませんか?「一時的に借りる」という行為は、使用窃盗といって刑法の窃盗罪では処断されません。

ただし、勝手に他人の傘を使っているその場で問い質された場合は「借りただけで返すつもりだった」という説明では納得してもらえず、窃盗罪を疑われる状況になるでしょう。

使用窃盗と窃盗の境界は非常に難しい問題ですが、その傘を使って雨をしのいで移動していれば窃盗罪に問われるおそれは十分にある、と考えるべきです。

レジでお釣りを多くもらってしまった

コンビニで買い物をして、店員のミスでお釣りを多く渡されてしまった経験がある方も少なくないでしょう。このケースでは、お金を「窃取」したわけではないので、窃盗罪は成立しません。

しかし、お釣りを手渡された時点で「多い」と気づいたのにわざと指摘しなかった場合は詐欺罪に、あとで気づいても申告しなかった場合は占有離脱物横領罪に問われるおそれがあります。

コンビニやスーパーのレジ付近には防犯カメラが設置されていることが多く、とくにコンビニではレジの直上から撮影して手元がはっきりと記録されているケースも多数です。

単なる道徳心だけではなく、お釣りが多いと気づいたときには正直に申告しなければなりません。

他人の自転車を無断で借りる

駅の駐輪場でカギがかかっていないからといって勝手に乗り回していると、窃盗罪に問われるおそれがあります。「借りたつもりだ」と言い訳をしても、本人の承諾がない場合は罪に問われるでしょう。

自転車の盗難トラブルで非常に多いのが、誰かが盗んで放置された自転車を乗り回していたケースです。このようなケースでは、すでに持ち主の占有を離れた状態になるので、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪に問わる可能性が高いでしょう。

いずれにしても刑罰に問われるため、他人の自転車を乗り回す行為は絶対に避けましょう。

無料配布の物を規定以上に持ち帰る

無料で配布しているものでも「お一人さま◯個まで」といった規定を無視して過度に持ち去るケースは窃盗罪にあたるおそれがあります。店舗が用意しているサービスの範囲を超えてしまえば「窃取した」と判断され、窃盗罪が成立する可能性があります。

スーパーの製氷機から大量に氷を持ち帰る、無料のビニール袋をロールごと持ち帰るといった行為は窃盗にあたるおそれがありますが、いきなり現行犯逮捕されるケースはまれです。

注意を受けたのにやめなかったり、バレていないと思って何度も繰り返したりしていると、厳しい対処を受けることになるでしょう。

無断でコンセントを利用して充電する

カフェやファミレスなどでは、利用客が自由に使えるようにコンセントを用意していることがあります。スマートフォンなどの充電にはとても便利なサービスですが、無料で使用してもいいとされているコンセントではないところにプラグを差し込んで充電していると窃盗罪に問われるおそれがあります。

電気は「有体物」ではないので窃盗罪にあたるといわれても実感がわかない方も多いと思いますが、かつて電気は管理可能であるため財物として保護されるという判例がありました。この判例を受けて、刑法では電気は財物とみなすという規定が設けられています。

(電気)

第二百四十五条 この章の罪については、電気は、財物とみなす。

引用元:刑法第245条

無断で店舗などのコンセントを利用するのではなく、どうしても必要であれば店舗側の許可を得るようにしましょう。

他人の携帯電話を操作して番号を入手する

誰かの連絡先を知りたくて、他人の携帯電話を操作し電話帳データを盗み見るという行為も、ある意味では窃盗罪にあたる気がする、という人もいるかもしれません。もっとも、電話番号などの情報は、どんなに価値のある情報であっても「財物」ではないので窃盗罪は成立しません。

ただし、他人の携帯電話を操作するためにその場から持ち去った場合は、たとえ番号を入手したあとでもとに戻す意思があったとしても「携帯電話を盗んだ」とみなされて窃盗罪に問われるおそれがあります。

また、他人の携帯電話で勝手にメールやLINEにアクセスしてダウンロードするなどの行為をすると不正アクセス禁止法違反にもなり得るでしょう。

連絡先などをしりたい場合は、知っている人の許可を得て教えてもらうなどの方法で情報を入手するほうが賢明です。

まとめ

窃盗罪は罰金刑も規定されているため、被害の程度が軽微であったり、初犯で被害者への弁償が済んでいる場合であったりすれば、懲役刑ではなく罰金刑で済まされる可能性があるでしょう。

ただし、たとえ刑罰としては軽くても、罰金刑を受ければ前科がついてしまいます。前科がつく事態を回避したければ、罰金額を抑えるのではなく、検察官から不起訴処分を獲得することを目指しましょう。

不起訴処分の獲得には、被害者との示談や自首といった方法が有効です。まずは弁護士に相談して、ご自身の状況を正しく整理し、サポートを受けるのがベストでしょう。

この記事の監修者を見るChevron circle down ffd739
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この記事の監修者
当社在籍弁護士
弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

窃盗罪で逮捕された方は、弁護士への依頼で早期解決が見込めます


最も身近な犯罪でもある窃盗罪。

確かに初犯で被害額も少なければ事態が大きくなることも少ないでしょう。

しかし、再犯であったり、被害額が大きい、反省していない、などの状況になると、重い刑罰が科せられることもあります。

窃盗罪で逮捕され、早期解決を望んでいる方は、弁護士への依頼をおすすめします。

逮捕後の被疑者の対応や刑事弁護を行ない、依頼者の望む結果へと近づけます。

家族や知人が窃盗罪で逮捕されてしまった場合は、弁護士への依頼をおすすめします。

編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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