万引きは窃盗罪に該当します。処分をできるだけ軽くするためには、弁護士に依頼し早期の対応が必要です。
弁護士に依頼すると次のようなメリットがあります。
- 逮捕直後から接見がおこなえて、取り調べのアドバイスをもらえる
- 示談交渉・損害賠償がおこなえる
- 家族のサポート体制などを整えて再発防止策を検察官に説明できる
相談しなかったことで一生後悔しないためにも、お近くの窃盗事件が得意な弁護士にご相談ください。
ベンナビ刑事事件では、無料相談・土日祝日・夜間相談可能な事務所を多数掲載しています。
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万引きは軽微な犯罪と思われがちですが、「10年以下の懲役、または50万円以下の罰金」が科されることもある犯罪行為です。
特に、余罪や前科がある場合は起訴される可能性が高いため、逮捕後はできる限り早く弁護士に相談することが重要になります。
本記事では、万引きに関する基礎知識、逮捕されることで生じるリスク、逮捕されるケース、逮捕後の大まかな流れなどを解説します。
万引きとは窃盗罪の一種であり、他人の財物を盗み取る犯罪行為です。
一般的には、買い物客を装い営業中のスーパーやコンビニなどの店舗に入り込み、レジなどで商品の代金を支払わずに盗み取る行為を指します。
窃盗罪の罰則は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっていますが、万引きの常習性が認められる場合は「常習累犯窃盗の罪」に該当し、3年以上の有期懲役が科される可能性があります。
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
警視庁が公表している「令和3年の刑法犯に関する統計資料」の8ページ目を参考にすると、近年の万引きの検挙率は70%前後となっています。
2021年の犯罪行為全体の検挙率が46.6%であることを踏まえると、万引きで検挙される可能性は高いといえるでしょう。
年次 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 (検挙件数÷認知件数) |
---|---|---|---|
2017年(平成29年) | 108,009件 | 75,257件 | 69.7% |
2018年(平成30年) | 99,692件 | 71,330件 | 71.6% |
2019年(令和元年) | 93,812件 | 65,814件 | 70.2% |
2020年(令和2年) | 87,280件 | 62,609件 | 71.7% |
2021年(令和3年) | 86,237件 | 63,493件 | 73.6% |
2020年2月2~6日にかけて、54歳の男性が書店で単行本など6冊(計26,620円)を万引きしたという事件がありました。
検察側は懲役2年を求刑しましたが、徳島地裁は男性に対して窃盗罪で懲役1年6か月の判決を言い渡しました。
このように、万引きであっても執行猶予がつかずに実刑判決となってしまうケースもあります。
【参考記事】判決ダイジェスト
万引きに限らず、刑事事件の被疑者として逮捕された場合のリスクには以下のようなものがあります。
捜査機関に逮捕された場合、取り調べ後にすぐに釈放されるケースもありますが、捜査機関に身柄を拘束されるケースもあります。
警察に身柄を拘束されると48時間以内に検察に送致され、検察はその24時間以内に勾留請求するかどうかを判断します。
裁判所が勾留請求を認めた場合は、さらに10日間(最長20日間)身柄を拘束されます。
就業規則の懲戒事由に「私生活上の非違行為によって会社の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼす行為をしたとき」などと書かれている場合、万引きの逮捕をきっかけに懲戒解雇などの処分がくだされる可能性があります。
また、捜査機関に拘束されて長期間の無断欠勤をしてしまうと、普通解雇の要件に当てはまります。
被疑者が学生だった場合は、退学処分をくだされる可能性もあるでしょう。
万引きで逮捕された場合、新聞やテレビ、ネットメディアなどで報道される可能性があります。
特に被疑者の社会的地位が高かったり、事件が悪質だったりする場合は、メディアに「事件の重大性・公共性が高い」と判断されて実名報道になることもあります。
実名報道されると社会的な信用を失ったり、再就職で不利になったりするでしょう。
逮捕には「現行犯逮捕、後日逮捕、緊急逮捕」といった種類があり、万引きの場合はその場で店員や警備員などに取り押さえられる「現行犯逮捕」が多いといいます。
また、被害者に被害届を提出されることで、捜査機関によって「後日逮捕」される可能性もあります。
ここでは万引きで逮捕されるケースについて確認しましょう。
現行犯逮捕とは、今まさに犯罪をしている人や犯罪を終えたばかりの人を、裁判所の逮捕状なしに逮捕する行為を指します。
刑事訴訟法第213条によって「何人でも、逮捕状なくして現行犯人を逮捕できる」と規定されており、万引きでは店員・警備員・万引きGメン(私服保安警備員)といった一般人による私人逮捕が多くなっています。
このように私人逮捕された場合は、刑事訴訟法第214条の規定により直ちに捜査機関に引き渡しがおこなわれます。
後日逮捕とは、犯罪行為を終えたあとの犯人を、裁判所の発布した逮捕状を持った捜査機関が逮捕する行為を指します。
万引きの場合は、被害者が警察に通報したり被害届を出したりすることで捜査が開始され、防犯カメラの映像や目撃証言などから犯人が特定されて逮捕に至るというケースが一般的です。
後日逮捕のタイミングは決まっていませんが、万引きの時効は7年であるため、時効が成立するまでは捜査機関に逮捕される可能性があります。
万引きで逮捕されたあとは、以下のような流れで刑事手続きが進められます。
警察は被疑者を逮捕すると、48時間以内に検察に送致するかどうかの判断をします。
一般的に軽微・初犯の万引きであれば、写真撮影や指紋採取などの手続きを終えて、微罪処分で釈放されることが多いようです。
しかし、被害額が大きい、前科・前歴がある、悪質性が高いなどの場合は、そのまま警察署で身柄を拘束される可能性があります。
送致を受けた検察官は、24時間以内に裁判所へ勾留請求するかどうかの判断をします。
被害額が少ない、前科・前歴がない、被疑者が十分反省しているなどの場合は、釈放される可能性もあります。
この場合は、その後は在宅事件として扱われます。
しかし、居住地がない、逃亡や証拠隠滅の疑いがある場合は勾留請求がおこなわれるでしょう。
第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
裁判所が勾留請求を認めると、原則として10日間、最長で20日間にわたり身柄を拘束されます。
身柄を拘束されている間は留置場や拘置所で過ごすことになり、被疑者は適宜、捜査官による取り調べを受けることになります。
勾留されたあとは、接見禁止処分が出されない限りは家族や知人らと接見(面会)することが可能です。
捜査機関による捜査が終了すると、検察は起訴するかどうかの判断をします。
不起訴になればすぐに身柄が解放されます。
一方、起訴された場合は、略式裁判か、正式裁判かでその後の流れが変わります。
略式裁判の場合は、裁判をせずに即日罰金刑が言い渡されて釈放されますが、正式裁判の場合は、法廷で刑事裁判を受けることになるでしょう。
自分や家族が万引きで逮捕されてしまったら、できる限り早く弁護士に相談・依頼することが重要です。
弁護士に相談・依頼することで、今後の流れや取り調べの注意点などを聞けたり、被害者との示談交渉などを依頼できたりします。
ここでは、自分が逮捕された場合と家族が逮捕された場合に分けて、弁護士に相談するポイントを解説します。
自分が万引きをして逮捕された場合は、当番弁護士制度を利用することをおすすめします。
当番弁護士制度とは、捜査機関に逮捕された人が無料で1回だけ弁護士と相談できる制度のことです。
警察官、検察官、裁判官などに「当番弁護士を呼んでください」と伝えれば、被疑者が留置・勾留されている場所に弁護士が駆けつけてくれます。
当番弁護士にその後の弁護活動を依頼できる場合もあるため、受任してもらえるかどうかを確認するとよいでしょう。
家族が万引きで逮捕された場合は、当番弁護士制度を利用することもできますが、刑事事件を得意としている弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
刑事事件が得意な弁護士は、早期釈放に向けて捜査機関などに働きかけをしてくれたり、被害者と面会して被疑者の謝罪を伝え、示談交渉を進めてくれたりします。
示談が成立すれば「被害者の被害回復がなされ、処罰感情が和らいでいる」と判断されて、不起訴処分を獲得できる可能性が高まるでしょう。
刑事事件を得意としている弁護士を探すなら「ベンナビ刑事事件」の利用をおすすめします。
ベンナビ刑事事件では「窃盗罪・万引き」といった相談したい内容から弁護士事務所を絞り込むことが可能です。
なかには「19時以降の相談可能」「休日の相談可能」などのように、夜間帯や休日にも迅速に動いてくれる弁護士事務所もあります。
条件に合う近くの弁護士事務所を探して相談・依頼するとよいでしょう。
最後に、万引きの逮捕に関するよくある質問や疑問に回答します。
万引き事件で問題になっているものが「クレプトマニア(窃盗癖)」です。
クレプトマニアとは、商品を購入するお金を持っていても盗む行為自体に快感を覚えてしまい、犯罪行為に手を出してしまう衝動制御障害の一種とされています。
拒食症や過食症などと合併することもあり、過度のストレスからクレプトマニアになってしまうケースもあります。
以下の内容に心当たりがある場合は、クレプトマニア・窃盗症専門の医療機関への受診をおすすめします。
【参考文献】
DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引
未成年者は年齢によって処分が異なり、14歳以上の未成年者が万引きをした場合は逮捕される可能性があります。
少年事件では「全件送致主義」が採用されているため、嫌疑がある場合は全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
その後、家庭裁判所にて審判が開かれ、保護観察、少年院送致、不処分・審判不開始などの決定が告知されるというのが大まかな流れです。
刑法上は、犯人を現行犯逮捕した場合は速やかに捜査機関に身柄を引き渡す必要があります。
しかし、実際には店舗の事務所などで事情聴取や身体検査などがおこなわれて、「警察に身柄を引き渡すのか」「そのまま帰すのか」は店舗側が判断することが多いです。
ただし、近年は「万引きを発見したら必ず警察を呼ぶ」という店舗も増えています。
万引きしたら警察に引き渡されるものと理解し、絶対に安易な考えで万引きをしないようにしてください。
万引きの検挙率は70%前後となっており、ほかの犯罪行為の検挙率に比べて高い確率となっています。
逮捕されると、長期間にわたって身柄を拘束されたり、私生活にも大きな影響が生じたりするかもしれません。
「万引きをしない」というのは当然ですが、もし自分や家族が万引きをして逮捕されたら、できる限り早く弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談・依頼することで、早期釈放のための活動や示談に向けたサポートなどを受けられるでしょう。
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