ひったくりで逮捕されたらなんの罪に問われる?逮捕後の流れも解説
家族がひったくりで逮捕されたと聞き、「どのような罪に問われるのか」「今後どのような手続きが進むのか」と不安を感じている方も多いでしょう。
ひったくりは、一般的に窃盗罪として処罰されます。
しかし、被害者に暴行をくわえると、強盗罪や強盗致死罪のような重い罪に問われる可能性が高いです。
また逮捕後は、刑事訴訟法に則って手続きが進むため、正しい知識を身につけ、速やかに弁護士に相談しなければなりません。
本記事では、ひったくりで問われる可能性がある4つの罪名や、逮捕されたあとの手続きを詳しく解説します。
ひったくりとは被害者の不意をついて荷物を奪い去る行為
ひったくりとは一般的に、バイクや自転車、あるいは徒歩で被害者に近づき、不意をついてバッグや手荷物を奪い去る行為を指します。
典型的な手口は、後方からバイクで近づき、追い抜きざまにハンドバッグを奪うパターンです。
自転車の前カゴの荷物を、信号待ちの隙に持ち去るケースも少なくありません。
ひったくりの多くは窃盗罪として扱われますが、犯行時の状況次第で、より重い罪に切り替わる場合もあります。
わずかな行為の違いが適用される罪名や刑罰を大きくわけるため、どの行為がどの犯罪にあたるのかを正しく把握しておかなければなりません。
ひったくりで逮捕されると成立する犯罪4つ
ひったくりで問われる罪は、ひとつではありません。
奪い方や、被害者がけがをしたかどうかなどによって、成立する犯罪は変わってきます。
本章では、ひったくりで問われる可能性がある4つの罪を解説します。
1.窃盗罪|10年以下の拘禁または50万円以下の罰金
被害者の隙をついて所持品を奪い去った場合に成立するのが窃盗罪です。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています(刑法第235条)。
ひったくりは一瞬の出来事で、被害者が抵抗する間もなく荷物を奪うケースがほとんどです。
暴行や脅迫を伴わないため、強盗罪ではなく窃盗罪として扱われます。
初犯で被害額が大きくなく、早い段階で被害弁償と示談がまとまれば、検察官が起訴を見送る不起訴処分も十分に見込めます。
前科を避けられる可能性は、決して低くありません。
2.暴行罪|2年以下の拘禁・30万円以下の罰金/拘留・科料
ひったくりの過程で被害者の体に手をかければ、被害者がけがをしていなくても暴行罪に問われる可能性があります。
暴行罪の刑罰は、2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です(刑法第208条)。
例えば、バッグをつかんで引っ張ったものの、被害者に抵抗されて奪えず、被害者の腕を振り払って逃げたとします。
荷物を奪えていないため窃盗は未遂ですが、腕を振り払った行為自体が暴行と評価され、暴行罪が成立します。
ひったくりは、未遂に終わっても罪を免れるわけではありません。
奪えたかどうかにかかわらず、暴力をふるえば責任を問われます。
3.強盗罪|5年以上の有期拘禁刑
暴行や脅迫により、被害者の金銭や荷物を奪い取った場合は、強盗罪が成立します。
法定刑は5年以上の有期拘禁刑で、同じひったくりでも、窃盗罪とは比較にならないほど重い犯罪になります(刑法第236条)。
強盗罪における暴行とは、執拗性が高く、被害者の命や身の危険性が高いと判断される程度のものです。
たとえば、抵抗する被害者をバッグもろとも引きずって転倒させたり、電柱に衝突させたりする行為が挙げられます。
以上のような行為は犯行が悪質と判断されやすく、初犯であっても強盗罪として実刑になる可能性は高いといえます。
4.強盗致死傷罪|6年以上の拘禁刑/死刑・無期拘禁刑
強盗時に被害者を負傷させたり、死亡させたりした場合に成立するのが、強盗致死傷罪(強盗致傷罪・強盗致死罪) です。
法定刑は、被害者を負傷させた場合は無期または6年以上の拘禁刑です。
死亡させた場合は、死刑または無期拘禁刑と定められています。
財産を狙った犯罪の中でも、とりわけ刑罰の重い犯罪です。
たとえば、バイクでバッグを奪う際に被害者を引きずり、転倒した相手が頭を強く打って重傷を負ったようなケースが当てはまります。
傷つけるつもりがなかったとしても、結果が重ければ強盗致傷罪は免れません。
ひったくりで逮捕される2つのパターン
ひったくりで逮捕されるパターンは、犯行の場で取り押さえられる現行犯逮捕と、逃げ切ったあとに捜査で特定される後日逮捕の2つにわかれます。
1.犯行直後に現行犯逮捕されるケース
犯行の最中や直後に、被害者の叫びを聞いた通行人や、巡回中の警察官にその場で取り押さえられるのが現行犯逮捕です。
警察官に限らず、一般の人が犯人を取り押さえる私人逮捕も認められています。
逮捕されると、すぐに警察署へ連行され、取り調べが始まります。
逮捕後72時間は弁護士以外の外部との連絡ができず、家族との面会もできません。
2.目撃情報から後日逮捕されるケース
後日逮捕とは、犯行現場から逃げ切ったものの、捜査の進展で犯人と特定され、逮捕状を持った警察官が自宅などに来て逮捕されるケースです。
警察は、下記のような手がかりから犯人を追います。
- 現場周辺の防犯カメラ
- ドライブレコーダーの映像
- 目撃者の証言
- 逃走に使われたバイクや自転車の行方 など
近年は都市部を中心に防犯カメラが広く設置されているため、逃走経路や服装の特徴などから犯人を特定できるケースは少なくありません。
ひったくりは、一度は逃れても安心できるものではなく、犯行から数日〜数週間後に後日逮捕される可能性も十分にあります。
ひったくりで逮捕されたあとの流れと期間

本章では、ひったくりで逮捕されてからの手続きの流れについて解説します。
1.警察の捜査|48時間
ひったくりで逮捕されると、まず警察署の留置場に身柄を置かれ、事件について最長48時間の取り調べを受けます。
逮捕後の48時間は、弁護士以外の者は、たとえ家族であっても被疑者(加害者)と面会できません。
警察官は、限られた時間の中で被疑者から話を聞き、事件を検察官へ引き継ぐための供述調書を作成します。
供述調書は、のちの裁判で重要な証拠として扱われます。
不用意な発言を残さないためにも、一刻も早く弁護士から法的な助言を受けなければなりません。
なお、警察の捜査の段階で、一度だけ無料で弁護士の接見(面会・相談)を受けられる、当番弁護士制度を活用できます。
引き続きその弁護士に被害者との示談交渉や裁判での弁護などを依頼したい場合は、別途有料契約をする必要があります。
2.検察の捜査|24時間
警察の捜査が終わると、次は検察へと身柄を移される、送致(送検)がおこなわれます。
警察から事件の送致を受けると、今度は検察官が24時間以内に被疑者を取り調べます。
警察の捜査結果と検察の取り調べを踏まえて、引き続き身柄を拘束して捜査する必要があるかどうかを見極めるのが検察官の役割です。
検察官が、逃亡や証拠隠滅の恐れがあり、引き続き身柄を拘束して捜査する必要があると判断した場合は、次に解説する勾留請求をおこないます。
3.勾留|原則10日最大20日
検察官が、逃亡や証拠隠滅の恐れがあり、引き続き身柄を拘束して捜査する必要があると判断した 場合は、検察は裁判所に勾留請求をおこないます。
裁判官が検察官の請求を認めると、被疑者は原則10日間、引き続き警察署の留置場で身柄を拘束されます。
捜査が複雑で、勾留期間が10日では足りないと検察官が判断した場合、さらに最大10日延長されるケースも珍しくありません。
逮捕後の48時間と合わせると、起訴か不起訴かが決まるまでの拘束は、最大23日間という長さです。
早期に弁護士に依頼していれば、勾留の決定に不服を申し立てる準抗告などを通じて、一日でも早い身柄の解放を目指してくれます。
4.起訴・不起訴処分|逮捕後23日以内
検察官は、勾留期間が終わるまでに、被疑者を刑事裁判にかける起訴をするか、かけずに終える不起訴にするかを決めます。
不起訴になれば身柄は解放され、前科もつきません。
一方で起訴されると、ほぼ有罪となるため何らかの前科がつく結果は避けられないでしょう。
検察官が起訴か不起訴かを決めるうえで重要なのは、被害者への謝罪と賠償が尽くされ、示談が成立しているかどうかです。
ひったくりで逮捕されたら、被害者への対応を迅速にしてもらうためにも、弁護士へ速やかに依頼しなければなりません。
5.刑事裁判|起訴から1ヵ月~2ヵ月後(裁判員裁判の場合は長期化)
起訴されると、刑事裁判が開かれます。
最初の公判期日は、多くの場合、起訴からおよそ1ヵ月〜2ヵ月後です。
もしも逮捕された方が就業していれば、勤務先から何かしらの処分や信頼関係を失うなどの影響が出てくると考えられます。
なお、ひったくりの際に被害者にケガをさせ、「強盗致傷罪」などで起訴された場合は、一般市民が参加する「裁判員裁判」の対象となります。
裁判員裁判では事前の準備(公判前整理手続)が必要なため、裁判が始まるまでに半年〜1年以上かかるケースも多く、身柄拘束が長期化しやすくなります。
強盗致傷罪の法定刑は「最低でも6年の拘禁刑」と非常に重く、実刑となれば長期間にわたり社会復帰ができません。(※示談成立などにより刑が減軽され、3年の執行猶予判決となる例外的なケースもあります)
ひったくりで逮捕されたら弁護士に依頼するメリット5つ
ひったくりで逮捕されたとき、結果を大きく左右するのが弁護士の存在です。
早く動くほど、不起訴や身柄の早期解放の可能性が広がります。
本章では、ひったくりで逮捕された際に弁護士に依頼するメリットを、5つ解説します。
1.逮捕直後に接見できる
弁護士は、家族でさえ会えない逮捕直後でも、本人と接見可能です。
そのため、黙秘権をはじめとする被疑者の権利を守り、追い詰められて不利な供述調書に署名する事態を防げます。
事件の状況に応じて何度も接見し、取り調べの進み具合を確認しながら、次にとるべき対応を本人と一緒に考えてくれます。
また家族からの言葉を届けてもくれるため、たった一人で捜査機関と向き合う本人の孤独を和らげ、精神的な支えになってくれるでしょう。
2.被害者との示談交渉をおこなえる
不起訴や刑の軽減を目指すうえで重要なのが、被害者との示談です。
弁護士に依頼すれば、代理人として被害者との示談交渉を進めてもらえます。
示談交渉は、弁護士を介してでなければ進められません。
理由は、警察や検察は加害者本人や家族に、被害者の連絡先を教えないためです。
また、加害者や家族が直接被害者に接触すると、被害者の感情を害したりトラブルが深刻化したりするリスクもあります。
しかし弁護士が間に入れば、被害者の心情に配慮した冷静なやり取りができるため、示談が成立する可能性も高まります。
3.早期の身柄解放を目指せる
弁護士は、加害者の身柄の早期解放を目指して、勾留請求を避けるよう検察官に働きかけたり、勾留の決定に不服申立てをしたりしてくれます。
身柄を長く拘束されると、学校では長期の欠席が続き、進級や卒業に響くおそれがあります。
職場でも、無断欠勤が重なれば、退職や解雇に追い込まれかねません。
しかし弁護士に依頼すれば、一日でも早い解放を目指して動いてくれるため、学業や仕事などを守りやすくなります。
ひったくりで逮捕されたが、失いたくないものが多い、という方は、迅速に弁護士へ依頼しましょう。
4.ひったくりによる不利益を最小限にしてくれる
弁護士の弁護活動が目指すのは、不起訴の獲得や執行猶予つき判決です。
前科によって将来起こりうる不利益を、できる限り小さく抑えていきます。
不起訴になれば前科はつかず、資格制限なども受けずに、従来どおりの社会生活に戻れるのが大きな利点です。
起訴された場合でも、示談の成立や本人の深い反省を裁判で主張し、実刑を避けて執行猶予つき判決を得られるよう力を尽くします。
望む結果を得るためには、弁護士への依頼は不可欠です。
5.被疑者の根本的問題へのケアをしてくれる
弁護士の役割は、刑事手続への対応だけではありません。
本人がなぜひったくりに手を染めたのかという背景にある問題にも向き合い、再犯防止を支えます。
経済的な困窮・交友関係・依存症など、犯行の動機を本人と深く話し合い、更生をうながしてくれるでしょう。
医療機関や支援団体とも連携してくれるため、社会復帰後に同じ過ちを繰り返さない環境づくりを手伝ってくれます。
ひったくりで逮捕されたら「ベンナビ刑事事件」を活用しよう
ひったくりで逮捕されたら、刑事事件に強い弁護士を効率よく探せるポータルサイト「ベンナビ刑事事件」を活用してください。
「ベンナビ刑事事件」では、ひったくりを含む窃盗や強盗の弁護経験が豊富な全国の法律事務所を、数多く掲載しています。
土日祝対応、夜間相談可といった条件で絞り込めるため、逮捕直後の限られた時間でも、すぐ相談できる弁護士に出会えます。
初回相談無料の法律事務所も多いので、費用面が心配な方も、まずは相談してみてください。
ひったくりの解決にかかる弁護士費用相場|60万円〜100万円
ひったくり事件を弁護士に依頼した場合の費用は、総額でおおむね60万円〜100万円が目安です(窃盗罪などの場合)。
弁護士費用は主に、依頼時に払う着手金と、解決の成果に応じて払う成功報酬の2つがあります。
どちらの相場も30万円から50万円ほどかかるとみてよいでしょう。
被害者にケガをさせて「強盗致傷罪」となり、一般市民が参加する裁判員裁判に発展した場合は、公判前整理手続や連日の審理など弁護活動が長期・複雑化します。
そのため、弁護士費用も150万円〜300万円以上と高額になるのが一般的です。
費用体系は法律事務所ごとに異なります。
正式に依頼する前に、総額と内訳の説明をきちんと受け、明確な見積書を出してもらいましょう。
なお、弁護士費用の支払いが難しい場合は、国選弁護人制度を利用できます。
自分で弁護士を選べず、依頼は勾留決定後でなければできませんが、弁護士費用を国が負担してくれます。
ひったくりや逮捕に関するよくある質問
最後に、ひったくりや逮捕に関するよくある質問をまとめました。
捕まる確率や時効、強盗罪との関係など、気になるものがあれば参考にしてください。
Q1.ひったくりで捕まる確率はどのくらいですか?
ひったくりに限った公的な逮捕の確率を示す統計はありませんが、ひったくりや万引き、空き巣などの窃盗全体の検挙率は公表されています。
法務省の版犯罪白書によると、令和6年に認知された窃盗事件の総数が50万1,507件に対し、検挙された窃盗事件の総数は16万6,049件でした。
このデータを基に計算すると、窃盗事件全体の検挙率は約33.11%、つまり3人に1人が警察から捜査されています。
ひったくりは街頭で目撃されやすく、犯行に使ったバイクや自転車、服装などから足がつきやすい犯罪です。
誰にも見られていない、顔は隠していたと思っても、捜査により逮捕される可能性は、十分に高いといえます。
Q2.ひったくりに時効はありますか?
ひったくりには、刑事上の公訴時効と、民事上の消滅時効の2つがあります。
公訴時効とは、検察官が被疑者を起訴できる期限のことで、時効までの期限は犯罪行為を終えた時点から7年間です。
消滅時効は、被害者が損害賠償を請求できる期限を指し、損害と加害者を知ったときから3年、または犯行のときから20年と定められています。
ただし、ひったくりの際に被害者がケガをした場合などは、身体に対する損害となるため、時効は5年になります。
Q3.ひったくりで強盗罪になった事件はありますか?
ひったくりで強盗罪になる事件はあります。
最近の事件で例を挙げると、2026年6月に帰宅途中の女性の顔面にスプレーを噴射し、ひったくりをした犯人が、強盗致傷容疑で逮捕されました。
ひったくりの際に被害者が抵抗し、抵抗を抑え込もうと暴力的な行為に出れば、強盗罪や強盗致傷罪に切り替わりかねません。
本人に脅しや暴行をくわえるつもりがなくても、客観的に見て被害者の反抗を抑え込む行為があれば、強盗と評価される危険があります。
Q4.ひったくりとスリの違いはなんですか?
どちらも他人の財物を盗む窃盗罪にあたりますが、手口が異なります。
ひったくりが被害者の目の前で半ば公然と奪うのに対し、スリは気づかれないようにこっそり抜き取る行為です。
ひったくりは被害者と正面から向き合う形になるため、とっさのはずみで暴行に発展し、より重い強盗罪へ進む危険がスリより高いといえます。
まとめ|ひったくりで逮捕されたら速やかに弁護士に相談しよう
ひったくりは、一般的には窃盗罪になりますが、犯行の態様や被害者の状況によっては強盗罪や強盗致傷罪などの重い罪に問われる可能性があります。
また、逮捕されると最大23日間も身柄を拘束され、起訴によって前科が付く可能性も少なくありません。
早期の身柄解放や不起訴処分の獲得を目指すなら、逮捕後ただちに弁護士へ依頼する必要があります。
弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉や捜査機関への対応など、状況に応じた適切なサポートを受けられます。
どの弁護士に頼むか迷ったら、刑事事件に強い弁護士を探せる「ベンナビ刑事事件」を活用してください。
早めに相談へ動くことで、本人やその家族の負担を軽減できます。
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