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公開日:2018.2.26  更新日:2020.9.10

親族相盗例とは|兄弟や配偶者でも適用される罪とその適用範囲

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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親族相盗例(しんぞくそうとうれい)とは、親の財布からお金を無断で持ち出したり、一緒に住む兄弟から借りたCDを勝手に売ってしまったりした場合でも、親族間で起こったことなら窃盗罪や横領罪では処罰しないというものです。

刑法では親族間における一部の犯罪を罰しない特例があるため、不処罰となることがあるのです。

その特例を親族相盗例といい、「法は家庭に入らず」という考え方からきています。では、親族相盗例はどのような場合に適用され、罰則が免除されうるのかご説明したいと思います。

親族だから犯罪にはしたくないけどやっぱり許せないと言う方へ

犯罪的な行為をしたからといっても、家族間でのことなので罪には問えない、問いたくないという場合も多いと思いますが、勝手に持って行かれた財産が高額な場合、気持ちの整理がつかない方もいるでしょう。

 

そんな場合は、まず刑事事件が得意な弁護士に相談して、どういった対処法を取ればことを荒立てずに、穏便に解決できるのかのアドバイスをもらいましょう。

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親族相盗例とは親族間の犯罪の特例

親族相盗例とは、親族間の犯罪の特例のことをいい、刑法で定められています。

どのような特例かというと、被害者と加害者の間に親と子、兄弟姉妹といったある一定の親族関係があった場合、刑罰を免除するという特例です。

例えば刑法244条には以下のような定めがあります。

 

配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3 前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

引用元:刑法244条

すべての犯罪に認められているわけでなく、後述する窃盗罪や詐欺罪など、決められた犯罪に適用されます。

親族相盗例で刑が免除される犯罪

刑法244条では、刑法235条と235条の2で定められた行為が親族間であった場合、刑が免除されます。刑が免除されるのは以下の罪とその未遂罪です。

なお、盗品等に関する罪には独自の親族相盗例規定が存在しています(257条)。

親族相盗例における親族の範囲

親族相盗例で刑が免除されるには、被害者と加害者の関係が一定の範囲の親族でなくてはならないとされており、その判断は民法の規定(725条など)に従います。

第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。

一 六親等内の血族

二 配偶者

三 三親等内の姻族

引用元:民法725条

刑を免除される親族

刑の免除をされる親族は以下の表にある配偶者・直系血族・同居の親族です。

配偶者

婚姻関係にある相手方。内縁関係は含まない。

直系血族

祖父母-父母-子-孫といった縦の関係の血族をいう。養子のような法定血族も含む。

兄弟や従妹といった血族は含まない。

同居の親族

一晩寝泊まりしたなど、一時的な宿泊は含まない。

直系血族を除く6親等内の血族および3親等内の姻族が該当する。

 

配偶者・直系血族・同居の親族以外の親族は被害者の告訴が必要(親告罪)

上記の条件を満たさない親族に対しては、刑の免除はされずに、被害者が告訴した場合のみ処罰対象となります。いわゆる“親告罪”です。

【関連記事】親告罪の仕組みと該当の罪一覧|親告罪では示談が有効

兄弟姉妹間の問題では刑の免除はされる場合とされない場合がある

兄弟姉妹間で親族相盗例に該当する行為があった場合には、同居しているかが問題になります。

兄弟姉妹が同居している場合には、刑は免除され、同居していない場合には、被害者側が告訴すると罪に問われる可能性があるでしょう。

共犯者が親族ではない場合は刑の免除なし

例えば、息子が親に対して詐欺行為を行ったときに、友人が共犯であった場合、息子は罪に問われないが、友人は詐欺罪に問われることになります。

親族相盗例の適用が争われた事例

この項目では実際に親族相盗例の適用が争われた事例をご紹介します。

内縁の配偶者は親族相盗例が適用される対象か争われた事例

最高裁判決まで争われた事例で、弁護側は刑法244条1項が内縁の配偶者に適用または類推適用され、刑は免除されると訴えた。

裁判所は刑法244条1項が適用される範囲は法律で明確に定められている必要があり、内縁の配偶者については法律で適用範囲に含まれていないため、刑の免除はされないとし、上告は棄却された。

平成18年8月30日 最高裁判所第二小法廷 平成18(あ)334

未成年後見人であり未成年被後見人の叔母である被告人が業務上横領罪に問われた事例

最高裁まで争われた事例で、弁護側は被告人が未成年被後見人の叔母であるのだから、刑法244条で業務上横領罪の刑は免除されると訴えた。

裁判所は、被告人には成年被後見人の財産を誠実に管理する義務があるので、被告人の業務上横領罪の刑は刑法244条で免除されないとし、上告を棄却した。

平成20年 2月18日 最高裁第一小法廷 平19(あ)1230号 

文献番号 2008WLJPCA02189002

親族相盗例に該当しているかわからないが告訴したい場合

親族相盗例は親子・夫婦間では同居の有無は関係なく刑の免除がされてしまいます。

しかし、兄弟姉妹間では同居をしていない場合は、告訴すれば罰則を受けさせることができるかもしれません。

まずは、弁護士・警察に相談しましょう

親族であっても許せないことは許せません。

親族相盗例があるからあきらめるしかないと思うかもしれませんが、法律は解釈の仕方であったり、1つの行為が2つの罪に該当していたりすることがあります。

場合によっては、告訴できる可能性もあるかもしれません。告訴するには告訴状を作る必要があるため、警察や弁護士に相談してみることをおすすめします。

【関連記事】刑事告訴とは|刑事告訴された後の流れと状況ごとの対処法

民事訴訟での損害賠償請求または不当利得返還請求が認められる可能性もあります

親族相盗例は刑事事件でしか適用されないため、民事訴訟を起こすことは可能であり、損害賠償や返還請求ができる可能性があります。弁護士に相談してみましょう。

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兄弟姉妹や従兄弟・従姉妹に窃盗など親族相盗例が準用される罪で告訴された場合

もし、兄弟姉妹や従兄弟・従姉妹などに窃盗で訴えられた場合にはどうすればよいでしょうか。まずは、弁護士に相談するなどの対策を取りましょう。

親告罪は告訴が取り下げられれば、逮捕・起訴されない

親族相盗例として扱われる行為で告訴された場合は、警察による捜査が始まります。捜査の結果、逮捕の必要があると判断されれば、逮捕もありえるでしょう。

親告罪の場合には、被害者の告訴が取り下げられると、それ以降は警察・検察による捜査はされなくなります。起訴前までは告訴の取り下げがいつでも可能なので、まずは、告訴を取り下げてもらえるよう動きましょう。

告訴取り下げには弁護士による被害者との示談が有効

告訴の取り下げには示談が有効です。被害者とのあいだで示談が成立すれば、告訴を取り下げてもらえることが多いようです

ですが、自分自身で示談をまとめることは難しく、告訴に踏み切った被害者からしたら、今更示談なんて都合がよいと思われる可能性もあります。

第三者である弁護士に任せることで示談がまとめやすくなるでしょう。

【関連記事】【刑事事件加害者の示談】示談の3つのメリットと注意点

逮捕から起訴までの流れはほかの刑事事件と同様

刑事事件で逮捕されてから起訴されるまでは上の図のような流れで進んでいき、逮捕から起訴まで最長で23日間勾留されることになります。

起訴されてから第1審までは1ヶ月くらいかかるので、長いと逮捕から2ヶ月も身柄を拘束されてしまうかもしれません。。

起訴された場合は99.9%有罪となるといわれており、いかに不起訴処分を得るかが重要です。不起訴処分を得たい、早期に釈放されたいとお思いの方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

【関連記事】

逮捕に関する全て|逮捕の種類と逮捕後の流れと問題点

刑事事件を得意とする弁護士の選び方と良い弁護士の特徴

まとめ

「法は家庭に入らず」という考え方から、刑法は親族相盗例という特例を設けています。親族間の問題はできれば、親族間で解決してほしいということです。

ですが、いくら親族といえども何でも許されるわけではありません。場合によっては、刑事罰に問われることもありえます。

そうした事態を避けるに越したことはないですが、もし親族間の問題でお悩みでしたら、一度弁護士に相談してみることおすすめします。

また、親族内で解決したいにしても、肝心の本人が逃亡してしまい、行方が分からない場合には、探偵に依頼して捜索してもらうのもおすすめです。

【関連リンク:人探しの窓口|人探しをしたい方のための総合ポータルサイト

出典元

刑法

裁判所判例

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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