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痴漢の罰金の相場はどれくらい?初犯・再犯での違いや罰金刑の決まり方などを解説

痴漢の罰金の相場はどれくらい?初犯・再犯での違いや罰金刑の決まり方などを解説
  • 「痴漢で捕まったら、どれくらいの罰金を払うことになるの?」
  • 「初犯と再犯で金額は変わるのだろうか…」

このような疑問を抱えて、ネットで情報を探している方も多いのではないでしょうか。

痴漢行為は軽犯罪では済まされず、場合によっては逮捕・起訴され、罰金刑や懲役刑が科されることもあります。

特に「初犯だから大丈夫」と安易に考えていると、思わぬ不利益を受けることもあるため注意が必要です。

本記事では、痴漢で科される罰金の相場や、初犯と再犯での違い、罰金刑が決まるまでの流れなどをわかりやすく解説します。

逮捕後の対応に不安を感じている方や、家族が関与してしまったという方も、ぜひ参考にしてください。

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痴漢によって成立する犯罪とそれぞれの刑事罰(罰金刑)

痴漢で捕まったときに適用される可能性がある罪状は以下の2つです。

  • 迷惑防止条例違反
  • 不同意わいせつ罪

まずは、各犯罪類型の構成要件や法定刑について解説します。

1.迷惑防止条例違反|50万円以下の罰金または6ヵ月以下の拘禁刑

痴漢行為は、各自治体で定められている迷惑防止条例違反に該当する犯罪行為です。

たとえば、東京都の迷惑防止条例では、痴漢行為について以下のような規定を置いています。

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)

第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

(罰則)

第八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

二 第五条第一項又は第二項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

たとえば、満員電車内で女性の太ももや臀部などに服の上から触れる行為、混雑した車内で下半身を押し付ける行為などに及んだ場合、迷惑防止条例違反の容疑で捕まる可能性が高いです。

東京都の迷惑防止条例では痴漢行為の法定刑を6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑と定めていますが、自治体によっては異なる法定刑を定めている場合もあります。

2.不同意わいせつ罪|懲役刑のみで罰金刑の規定はない

痴漢行為に及んだ場合、迷惑防止条例違反ではなく、刑法176条に基づいて不同意わいせつ罪が適用される可能性があります。

(不同意わいせつ)

第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。

二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。

三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。

四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。

五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。

六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。

七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

引用元:刑法|e-Gov法令検索

たとえば、スカートの中や服の隙間から手を滑り込ませて、胸や陰部、臀部などに直接手で触れたような悪質な痴漢行為に対しては、不同意わいせつ罪が適用される可能性が高いです。

不同意わいせつ罪の法定刑は6ヵ月以上10年以下の拘禁刑と定められています。

痴漢で捕まったときに不同意わいせつ罪の容疑をかけられると罰金刑はありません

罰金の場合はいくら?痴漢行為をしたときの実際の量刑相場

ここからは、痴漢で捕まって罰金刑が下されるときの量刑相場について解説します。

初犯の場合|20万円~30万円程度

前科がない人が迷惑防止条例違反の容疑で有罪判決が下された場合、罰金刑相場は20万円〜30万円程度です。

量刑判断の際には、痴漢行為の悪質性だけではなく、前科・前歴の有無、反省の態度の有無、示談交渉の進捗状況、再犯防止環境の整備状況などの事情が総合的に考慮されます。

そのため、前科・前歴のない初犯の状態で痴漢行為に及んで罰金刑が下されるときには、比較的有利な量刑判断を引き出しやすいのが実情です。

再犯の場合|50万円程度

痴漢行為の再犯で迷惑防止条例違反で捕まったときの罰金刑相場は40万円〜50万円です。

痴漢などの性犯罪での前科・前歴がある場合には、罰金刑の量刑判断が厳しくなる可能性が高いのです。

痴漢行為をした場合の罰金刑の決まり方2パターン

痴漢で捕まって罰金刑が決まるケースは以下2パターンに分類されます。

  • 略式裁判
  • 正式裁判

それぞれのパターンについて、詳しく見ていきましょう。

1.略式裁判|書面のみで審理される簡易な裁判手続きのこと

略式裁判とは、100万円以下の罰金または科料に相当する比較的軽微な簡易裁判所管轄事件について、被疑者の同意があるときに限り、検察官の請求により書面審理だけで刑事罰を確定させる手続きのことです。

正式な刑事裁判手続きが省略される分、反論の機会を失うものの、早期に罰金刑を確定させて、社会復帰を目指すタイミングを前倒しできるメリットがあります。

2.正式裁判|公開の法廷でおこなわれる通常の裁判手続きのこと

正式裁判とは、公開の刑事裁判で刑事責任の審理をおこなう刑事手続きのことです。

一般的に、公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審し、公訴事実を争う場合には複数回の公判期日が開廷されて判決が言い渡されます。

裁判では、過去の犯歴、反省の態度、痴漢の行為態様の悪質性、再犯可能性などを総合的に考慮した結果、裁判官が罰金刑、執行猶予付き判決、実刑判決のいずれかを選択します。

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痴漢で罰金になって納得してはいけない理由

罰金刑は「実刑判決を回避できる」という意味でメリットがある有罪判決です。

しかし、痴漢で捕まった場合には、罰金刑の獲得を防御目標に掲げるべきではありません。

ここでは、痴漢で捕まったときに罰金刑が下されるデメリットについて解説します。

罰金刑はあくまでも有罪判決の一種で前科になる

罰金刑が確定すると刑務所に収監されることはありません。

しかし、罰金刑はあくまでも拘禁刑などと同じ有罪判決です。

そのため、罰金刑が確定すると、前科持ちとして今後の人生を歩んでいかなければならなくなります。

前科がつくと、今後の社会生活を送るうえで、以下のデメリットが生じます。

  • 履歴書の賞罰欄への記載義務、採用面接で質問されたときの回答義務が生じるので、就職活動・転職活動が難しくなる
  • 前科を隠して内定を獲得したとしても、就職後に罰金刑での前科がある事実が発覚すると、経歴詐称を理由に懲戒解雇される
  • 前科を理由に就業が制限される職業や取得などが禁止される資格がある
  • 配偶者から離婚を求められると拒否できない可能性が高い、不利な離婚条件を呑まざるを得ない
  • 前科を理由にビザ・パスポートの発給制限を受けると、海外旅行や海外出張に支障が生じる
  • 再犯時に刑事処分が重くなる可能性が高い

罰金刑によってこれらの負担を強いられることを考えると、痴漢で捕まったときには、速やかに示談交渉などの防御活動に着手をして、不起訴処分獲得を目指すべきでしょう。

罰金を納付できないとさまざまなペナルティを科される

罰金刑は、判決が確定してから30日以内に現金一括で納付しなければいけません。

指定された期日までに納付できないと検察庁から督促がおこなわれ、強制執行が実施されます。

そして、強制執行で差し押さえるべき財産がなく、罰金を回収できないときには、労役場留置の処分が下されます。

労役場留置の処分が下されると、刑務所において原則として1日5,000円換算で強制労働をさせられます。

たとえば、20万円の罰金刑が確定して労役場留置の処分が下されると、40日間は刑務所に収容されてしまうのです。

なお、労役場留置の処分が下されている間は刑務所に収容されて社会生活からは完全に隔離された状態が発生するため、罰金刑を獲得した意味が失われます。

そのため、経済的余力のない状態で痴漢行為に及んでしまったときには、罰金刑を獲得する実益は乏しいといえるのです。

痴漢をした場合は罰金とは別に「示談金」も必要になる

痴漢に及んで刑事訴追された場合には、刑事責任として罰金刑が科されるだけではなく、示談金という形で被害者に対して賠償責任を負う可能性があります。

ここでは、痴漢行為に対する賠償責任の考え方について、詳しく見ていきましょう。

痴漢被害者に対する民事の賠償責任とは

痴漢は迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪に該当する犯罪であると同時に、民法に規定されている不法行為でもあります。

そして、不法行為に及んだ加害者は、被害者に対して不法行為責任を負わなければいけません

不法行為責任が発生する場合には、被害者に生じた損害について、金銭での賠償責任を果たす必要があります。

たとえば、痴漢行為によって被害者が精神的損害を負ったのなら慰謝料を、痴漢行為の際に被害者の着衣などを汚損したときには修理代・買い替え費用などの賠償項目について損害賠償金を支払わなければいけません。

痴漢被害者に対して賠償金を支払う方法とは

痴漢の被害者に対して賠償金を支払う方法は、以下の2パターンです。

  • 痴漢の被害者から民事訴訟を提起されて、確定判決の内容どおりの賠償金を支払う
  • 痴漢の被害者との間で示談交渉をおこない、示談契約の内容にしたがって示談金を支払う

まず、痴漢の被害者が民事訴訟の提起を選択した場合には、裁判所の審理を経て下された判決内容にしたがって賠償金を支払う必要があります。

指定された期日までに確定判決で指定された賠償額を任意で支払わなければ、強制執行によって預貯金・不動産・給与などが差し押さえられて、賠償金が強制的に回収されかねません。

次に、痴漢被害者と加害者との間で直接話し合いをおこない、和解契約締結を目指すのも選択肢のひとつです。

賠償金の金額、支払い期限、支払い方法などについて当事者間で合意形成に至ることができれば、債務の履行という形で示談金を支払うことになります。

痴漢被害者に対して賠償金を支払うなら早期に示談交渉を開始しよう

痴漢被害者に対する民事の賠償責任からは逃れることができません。

被害者に対する賠償責任を果たす以上は、民事訴訟よりも示談交渉を選択するのがおすすめです。

というのも、示談交渉を成功させることで以下のメリットを得られるからです。

  • 民事裁判は判決が確定するまでに相当な手続き負担・時間を強いられるが、示談交渉ならスピーディーに賠償責任を確定できる
  • 真摯な姿勢で示談交渉をおこなうことで、判決で想定される賠償額よりも割引された示談金条件で合意形成に至ることができる
  • 被害者が警察に通報する前に示談成立に成功すれば、刑事事件化を回避できる
  • 警察に通報されたとしても、早期の示談成立によって不起訴処分を獲得し、有罪・前科を回避しやすくなる
  • 起訴されたとしても、判決までに示談が成立すれば、実刑判決を回避して罰金刑や執行猶予付き判決の判断を引き出しやすくなる

示談によるこれらの恩恵を得るには、痴漢をした加害者本人が示談交渉をおこなうのではなく、弁護士に示談交渉を代理してもらうのがおすすめです。

弁護士が代理人として被害者対応をおこなうことによって、冷静に話し合いが進み、早期の示談成立の可能性が高まるでしょう。

また、弁護士が示談交渉を担当すれば、痴漢被害者側から不当な示談条件を突きつけられたとしても、示談ノウハウを駆使することによって、示談相場どおりの示談条件での合意を引き出しやすくなるはずです。

痴漢の示談金相場

痴漢の示談金相場は以下のとおりです。

  • 迷惑防止条例違反に該当する痴漢行為の場合:30万円〜50万円
  • 不同意わいせつ罪に該当する痴漢行為の場合:50万円〜150万円

※ただし、実際の示談金は個別の事案によって上下するため、必ずしもこの金額内になるわけではありません

痴漢被害者との間で示談交渉をおこなうときには、示談金条件が相場の範囲内におさまるように話し合いを進めましょう。

ただし、どのような示談金条件で合意を成立させるかについて法的な規制は存在しません

たとえば、被害者が怒りや不安を強く感じており示談金の引き下げ交渉に一切応じてくれないときには粘り強く交渉を継続する必要がありますし、場合によっては、示談相場よりも高額な示談条件を受け入れざるを得ないリスクも避けられないのが実情です。

したがって、示談相場の範囲内での合意形成を目指すなら、性犯罪弁護や示談交渉の経験豊富な弁護士の力を借りることを強くおすすめします。

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さいごに|痴漢で有罪の場合は20万円~30万円程度の罰金刑が多い

痴漢で捕まって罰金刑が下される場合、20万円〜30万円の量刑判断になることが多いです。

ただし、罰金刑も有罪判決であることに変わりはありません

実刑判決を回避できるという意味では有利な判決とも捉えることができますが、前科によるデメリットが生じる点に注意が必要です。

そのため、痴漢で捕まったときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件を得意とする弁護士に相談・依頼をして、起訴猶予処分獲得を目指した防御活動に着手してもらうようにしましょう。

なお、ベンナビ刑事事件では、痴漢事件などの性犯罪弁護の経験豊富な専門家を多数紹介中です。

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この記事の監修者
加藤 孔明 (兵庫県弁護士会)
刑事事件と交通事故は累計200件以上の解決実績あり。冤罪事件や否認事件の弁護経験も豊富。交通事故示談金2,400万円に増額した事例、示談金が5倍以上に増額した事例など多数。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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