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痴漢で逮捕されたらどうなる?その後の流れや不起訴を得るための対応を解説

笠井 勝紀
監修記事
痴漢で逮捕されたらどうなる?その後の流れや不起訴を得るための対応を解説

出来心でつい痴漢をしてしまったり、家族が痴漢で逮捕されたりしたら、「このあとどうなるのだろう」と不安ですよね。

痴漢での逮捕は、社会的信用にも深刻な影響を及ぼしかねないため、初動対応がとても重要です。

当記事では、痴漢で逮捕される流れや、逮捕後にとるべき対応について解説

痴漢で問われる罪名や刑罰、不起訴や処分軽減を目指すためにできることについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

痴漢したことを職場に知られたくない方へ

痴漢で逮捕されると実名報道されて、職場に知られる可能性があります。

痴漢は性犯罪の1つですから職場はもちろん、社会から向けられるあなたへの視線は厳しいでしょう。ですから実名報道はなんとしても避けるべきですが、それが出来るのは弁護士です。また、弁護士に依頼することであなたは次のメリットを得られます。

  1. 被害者との示談成立の可能性が高まる
  2. 早期の釈放・不起訴を獲得できる可能性がある
  3. 会社に知られても雇用を継続するように交渉できる

社会的地位や信用を損失しないためにも、今すぐ弁護士に相談するべきでしょう。

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痴漢の逮捕は「現行犯」か「後日逮捕」

痴漢で逮捕される場合、その場で身柄を確保される「現行犯逮捕」がほとんどですが、「後日逮捕」の可能性も充分あります

現行犯逮捕は、痴漢行為の最中もしくは直後に被害者や駅員に取り押さえられ、通報で駆け付けた警察官に引き渡されて逮捕されるケース。

一方、後日逮捕(通常逮捕)は、被害者が警察に被害届を提出して捜査が開始されるケースです。

目撃者の証言、駅や車内の防犯カメラ映像、ICカードの乗降履歴などから被疑者が特定されて逮捕に至ります

痴漢で逮捕されない場合とは?

痴漢の疑いをかけられたとしても、必ず逮捕されるわけではありません

特に「後日逮捕」の場合、逮捕の必要性や相当性が認められないと見送られることがあります。

具体的には、以下のようなケースです。

  • 被害届が提出されていない
  • 証拠や目撃証言が乏しく、被疑者の特定ができない
  • 痴漢行為が非常に軽微で、かつ本人が深く反省し自首した
  • 誤認逮捕のおそれがある

ただし、逮捕されなかったとしても、「在宅事件」として捜査が進められることがあります。

在宅事件とは、身体拘束(逮捕・勾留)されずに捜査が進む事件のこと。

痴漢では、初犯で深く反省しており、行為の態様が比較的軽微な場合に適用されやすい傾向にあります

痴漢で逮捕されたその後の流れ

痴漢で逮捕されたその後の流れ

痴漢で逮捕された場合、警察署での取調べから始まり、検察庁への送致、勾留、そして起訴か不起訴かの処分決定という流れを辿ります

もし起訴されれば、刑事裁判へと進みます。

1.逮捕~警察での取調べ(最大48時間)

逮捕されると、まず警察署で取調べを受けます。

警察は、検察官に送致する(引き継ぐ)か、釈放するかを48時間以内に決定しなければなりません

弁護士による接見は、逮捕当日から可能。

できる限り早く弁護士を呼び、取調べにどう対応すべきか(正直に話すのか、黙秘権を行使するのかなど)アドバイスを受けるのが極めて重要です。

2.検察庁への送致・検察官の取調べ(最大24時間)

送致後は検察官が改めて取調べをおこない、勾留請求するか、釈放かを決定します(24時間以内)。

この段階で弁護士がついていれば、勾留の必要性がないことを訴え、早期釈放を求めることが可能

具体的には、逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、被害者の方との示談交渉が進んでいることなどを伝えます。

3.勾留(最大20日間)

検察官が勾留請求して裁判官が認めた場合、原則10日間、延長を含めると最大20日間身柄が拘束されます

否認している場合や共犯者がいる場合は、証拠収集や供述調整のために勾留が延長されやすいでしょう。

また、弁護士以外との面会も制限されることがあります。

4.起訴・不起訴の決定

検察官は、最大20日間の勾留期間が満了するまでに、起訴か不起訴かを決定します。

収集された全ての証拠や、被害者の方との示談が成立しているかなどの情状を総合的に考慮して決まります。

不起訴になれば事件は終了です。

5.刑事裁判・判決

起訴されると約1ヵ月から2ヵ月後に第一回の刑事裁判が開かれ、最終的に有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰を科すのかが判決で言い渡されます。

もし犯行を否認している場合、無罪判決を目指して争うことになりますが、一度起訴されると無罪判決を得ることは極めて困難

前科を避けたい場合は、「不起訴処分を得ること」が重要です。

痴漢で逮捕されたら問われる罪は何?刑罰の重さと種類

痴漢行為で逮捕された場合、各都道府県が定める「迷惑防止条例違反」か、より重い刑法上の「不同意わいせつ罪」や「不同意性交等罪」に問われます。

どの罪名に問われるかは、行為の悪質性によって異なると考えてください

罪名

該当する行為例

刑罰

迷惑防止条例違反

・衣服や下着の上から相手のお尻を触る

・卑猥な言葉をかける

都道府県によって異なる

※東京都の場合は6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金

不同意わいせつ罪

・相手に抱きついたり

・服の中に手を入れて胸や陰部などを直接触ったりする

6ヵ月以上10年以下の拘禁刑

不同意性交等罪

・性交に及ぶ

5年以上の懲役刑

迷惑防止条例違反

痴漢行為の多くは、各都道府県が定める「迷惑防止条例違反」の対象

具体的には、「衣服や下着の上から相手のお尻を触る」や「相手の太ももに直接触れる」行為や、卑猥な言葉をかける行為などが該当します。

迷惑防止条例の詳細は自治体によって若干異なるものの、基本的な内容は類似しています。

たとえば、東京都は以下のように定められており、刑罰は「6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)です。

第5条

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

不同意わいせつ罪

痴漢行為が悪質と判断される場合には、「不同意わいせつ罪」(2023年7月以前は強制わいせつ罪)に問われます。

不同意わいせつ罪は、相手の同意がないにも関わらずわいせつな行為をすると成立するもの

たとえば、相手に抱きついたり、服の中に手を入れて胸や陰部などを直接触ったりする行為が該当します。

第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

引用元:第176条

法定刑は6ヵ月以上10年以下の懲役刑で、罰金刑は定められていません。

有罪となれば、執行猶予が付かない実刑判決となる可能性も十分にあるでしょう

不同意性交等罪

痴漢行為がさらにエスカレートし、性交などの行為に及んだ場合には、強姦を処罰する「不同意性交等罪」が適用されます。

相手が同意していない状態での性的な行為を広く処罰の対象としており、膣に陰茎を挿入するだけでなく、口腔・肛門への性的行為なども対象です。

第百七十七条

前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

引用元:177条

法定刑は「5年以上の懲役刑」と非常に重く、原則として執行猶予は付きません

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痴漢で逮捕されることのリスク

痴漢での逮捕は、単に刑事罰を受ける可能性があるというだけでなく、その後の人生に多大な影響を及ぼすさまざまなリスクを伴います

しかも、本人だけでなく家族にも大きな影響が出ることを覚悟しておきましょう。

社会的なリスク

痴漢で逮捕されると、法的な処罰以上に「社会的制裁」が重くのしかかります。

たとえば会社員であれば、逮捕や起訴が判明した時点で懲戒解雇になるかもしれません。

仮に不起訴や無罪になっても、「痴漢で逮捕された」という事実だけで、職場復帰は困難となることが多いです。

また、前科がつけば公務員・教員・保育士・医療職などの資格職に就けなくなる可能性があります。

家族や知人関係へのリスク

痴漢で逮捕されると、家族や友人との信頼関係も大きく損なわれます

とくに既婚者であれば、配偶者から離婚を突きつけられたり、子どもとの面会制限を受けるケースもあります。

また、近隣や友人間で噂が広まり、人間関係が断絶されることもあるでしょう。

冤罪であっても「疑われた」という事実だけで、信頼が一瞬で崩壊するのが現実です。

痴漢で逮捕されたときにすべき3つのこと

痴漢で逮捕されたときにすべき3つのこと

痴漢で逮捕された場合、初動対応が今後の人生を大きく左右します。

不起訴処分やできるだけ軽い処分を得るために、逮捕後できるだけ早く実行することが重要です。

出来るだけ早く弁護士に相談・依頼する

逮捕直後に最優先でおこなうべきなのは、刑事事件に強い弁護士への相談・依頼です。

逮捕直後の対応は、その後の手続きの流れや最終的な処分に極めて大きな影響を与えます。

弁護士がいれば、勾留阻止・不利な供述調書の回避・示談交渉など、被疑者の立場を守る対応が可能。

突然逮捕され精神的に不安定な状況であっても、弁護士は法律の専門家として冷静かつ的確な法的助言をおこない、力強くサポートしてくれます

冤罪でなければ否認せずに認める

もし、痴漢行為が事実であれば、早い段階で認めるのが得策

明白な証拠があるにも関わらず無理に否認を続けると、「反省していない」と判断され、勾留期間が延長されたり、起訴される可能性が高まったりします。

早期に罪を認めて真摯に反省の態度を示すことが、結果的に処分を軽くすることにつながるでしょう。

ただし、本当に痴漢していないのであれば、安易に「やった」と言ってはいけません。

一度認めてしまうと、あとから覆すのは極めて困難です。

痴漢冤罪に巻き込まれたときのNG行動や正しい対応は以下の記事で詳しく解説しています。

示談交渉をして不起訴処分を目指す

痴漢事件において、不起訴処分を獲得するために最も重要なのが、被害者との示談交渉。

示談が成立し、被害者が「加害者の処罰を望まない」という意思を示した場合、検察官はその事実を非常に重視します

特に迷惑防止条例違反に該当するような比較的軽微な痴漢事件では、「起訴猶予」として不起訴処分になる可能性が非常に高まります。

不同意わいせつ罪のような重い罪名であっても、示談の成立は量刑を判断する上で有利な事情として考慮されるため、迅速かつ適切に示談交渉を進めるべきでしょう

痴漢で逮捕されたらすぐに弁護士に依頼するメリット3つ

痴漢で逮捕されたらすぐに弁護士に依頼するメリット3つ

もし痴漢の容疑で逮捕された場合、可能な限り早く弁護士に相談し、依頼することが重要

弁護士は、事件の早期かつ有利な解決、そして人生への影響を最小限に抑えるために全力でサポートしてくれる存在です。

即日接見で不安解消と的確なアドバイスを得られる

弁護士は、逮捕の当日からでも本人と面会(接見)することが可能。

逮捕されて不安な気持ちでいるなか、味方となる専門家とすぐに話ができるのは大きなメリットといえます。

弁護士からは、今後の刑事手続の流れをわかりやすく説明し、黙秘権や署名押印拒否権といった被疑者にとって重要な権利、そして取調べにどう対応すべきかなど具体的なアドバイスを受けられます。

さらに、家族への伝言を頼んだり、必要なものを差し入れてもらうことも可能です。

逮捕前から依頼を受けていれば、逮捕直後でも接見へ向かうことができます!

勾留阻止・早期釈放の可能性が格段に高まる

弁護士に依頼すると、逮捕後の勾留阻止や早期の身柄釈放の可能性が高まるため、日常生活に早く戻りやすくなります

弁護士は、検察官や裁判官に対して、勾留請求をせずに釈放するよう働きかけます。

具体的には、家族からの身元引受書や本人の反省文、職場の上司の嘆願書などを収集・作成し、検察官や裁判官に提出するのです。

また、勾留決定前に検察官や裁判官と面談し、勾留せずに在宅捜査とすべき理由を直接訴えることも可能。

勾留されてしまった場合でも、準抗告という不服申立て手続を迅速におこなうなど、早く日常生活へ戻れるよう、何度でも力を尽くします

被害者との示談交渉を円滑に進めて不起訴へ導いてくれる

弁護士は適切な謝罪の方法や示談金の相場などを熟知しており、円滑な示談成立に向けて交渉を代行します。

痴漢のような性犯罪では、被害者が加害者との直接の接触を強く拒絶するのが一般的

無理に接触しようとすると、かえって被害感情を悪化させ、示談交渉が難航する恐れもあります。

しかし弁護士が第三者として間に入ることで、被害者の感情に最大限配慮しつつ、冷静かつ建設的な話し合いを進めることが可能です。

示談が成立し、被害届が取り下げられたり、加害者の処罰を望まない意思を示した示談書が提出されたりすれば、不起訴処分になる可能性が大幅に高まります。

痴漢で逮捕されたら刑事事件に強い弁護士を探そう

もし痴漢の容疑で逮捕されてしまったら、実績と経験を積んだ「刑事事件に強い弁護士」にできるだけ早く相談することが重要。

身柄の早期解放や不起訴処分といった良い結果を目指すための最初の一歩です。

「ベンナビ刑事事件」のようなポータルサイトを利用すれば、住んでいる地域で痴漢事件をはじめとする刑事事件の解決実績が豊富な弁護士を効率よく探せます。

まずは無料相談などを活用し、信頼できる弁護士を見つけることから始めてください

さいごに

痴漢の逮捕には「現行犯」と「後日逮捕」の2つ。

痴漢で問われる罪は、軽微なものであれば「迷惑防止条例違反」ですが、行為が悪質になると「不同意わいせつ罪」や「不同意性交等罪」に問われるでしょう。

逮捕後には、取り調べ後に送致、勾留を経て起訴か不起訴かの処分が決定します。

早期釈放や勾留阻止の可能性を高めたり不起訴処分を得たりするには、早い段階で弁護士へ依頼することが重要です。

「痴漢をしてしまった」「夫が痴漢で逮捕された」という場合には、いますぐベンナビ刑事事件で痴漢事件に強い弁護士を探してみてください。

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この記事の監修者
笠井 勝紀 (愛知県弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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