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保護観察処分は大人にも適用される!対象者や遵守事項を解説

藤垣 圭介
監修記事
保護観察処分は大人にも適用される!対象者や遵守事項を解説

保護観察とは、犯罪者や非行少年が施設に収容されることなく、社会生活を送りながら更生を目指すための処分です。

保護観察処分は少年だけではなく、大人に対しても適用される場合があります。

しかし、大人が保護観察処分を受けるケースや保護観察中の制限について、具体的にイメージできる人は少ないのではないでしょうか。

そこで、本記事では、大人に対して保護観察処分が下される具体例や保護観察期間中に守らなければいけないことなどをわかりやすく解説します。

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大人も保護観察処分を受けることがある!対象となる人

更生保護法第48条では、保護観察対象者として以下4類型を定めています。

  • 1号観察:保護観察処分少年
  • 2号観察:少年院仮退院者
  • 3号観察:仮釈放者
  • 4号観察:保護観察付執行猶予者

1号観察は、少年審判で保護観察処分を下された非行少年を対象とするものです。

2号観察は、少年審判で少年院送致処分を下された非行少年が仮退院をするときに適用されるものを指します。

つまり、1号観察及び2号観察はいずれも少年に対して下される保護観察処分です。

以上を踏まえると、大人が対象者になる保護観察処分は、仮釈放者に対する3号観察と保護観察付執行猶予者に対する4号観察の2種類ということになります。

ここでは、大人が対象になる2種類の保護観察処分について解説します。

仮釈放者|刑務所収容後に仮釈放された者

刑務所収容後に仮釈放された者は、保護観察に付されます。

仮釈放処分によって刑務所から出所できるとはいっても、判決で確定した刑期を満了していない以上、本当の意味で刑事責任を全うした状態とはいえません。

そのため、仮釈放者が社会生活を問題なく営むことができるかどうかをチェックするために、保護観察が付されるわけです。

なお、仮釈放中にさらに犯罪行為に及んで刑罰を受けた場合や遵守するべき事項に違反した場合などは、仮釈放処分が取り消されて再び刑務所に収監されます。

保護観察付き執行猶予者|保護観察付きの執行猶予判決を受けた者

刑事裁判で執行猶予付き判決が下されるケースでは、裁判所の判断で保護観察処分が付されることがあります。

そもそも執行猶予自体が社会内での更生を図る処遇ですが、特に生活を注視しておく必要があると判断された場合には、保護観察処分が付されることもあるのです。

なお、再度の執行猶予の場合や薬物使用などで刑の一部執行猶予になっている場合は、保護観察が付されます。

保護観察付執行猶予期間中に遵守すべき事項に違反するなどした場合には、執行猶予自体が取り消されて服役をしなければならない可能性があります。

大人に対して保護観察をおこなうのは誰?

大人に対して保護観察をおこなうのは、保護観察官と保護司です。

それぞれが異なる役割があるので、詳しくみていきましょう。

保護観察官|保護観察所に所属する国家公務員

保護観察官は、犯罪をした大人や非行少年が円滑な社会復帰を実現するために指導・監督をおこなう社会内処遇の専門家です。

医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知識に基づいて、更生保護や犯罪の予防に関する事務に従事します。

例えば、対象者と面談を実施したり、更生に向けたカリキュラムを作成したりするのも保護観察官の役目です。

全国の保護観察所に配置された保護観察官の総数は、約1,000名程度です。

保護司と連携しながら対象者の社会内更生をサポートします。

保護司|民間ボランティア

保護司とは、保護観察官と連携をとりつつ対象者の立ち直りを支える民間ボランティアのことです。

以下全ての要件を満たす人物のうち、保護司選考会の意見を聴取したうえで保護観察所長が推薦した者から、法務大臣の委嘱を受けた者が就任すると定められています。

  • 人格及び行動について、社会的信望を有すること
  • 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること
  • 生活が安定していること
  • 健康で活動力を有すること

保護司は、保護観察官よりも身近なところで対象者をサポートする役割を担います。

この意味で、保護観察官の役割は保護観察業務の管理・運営、保護司の役割は保護観察業務の現場実行というようにすみ分けることができます。

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大人が保護観察となった場合の制限

大人が保護観察となった場合は、一般遵守事項と特別遵守事項を守る必要があります。

具体的にどのような制限を受けることになるのか、詳しくみていきましょう。

一般遵守事項|全ての保護観察対象者が守らなくてはならない事項

一般遵守事項とは、全ての保護観察対象者に適用される制限事項です。

具体的には、以下のような事項を守らなければならないとされています。

  • 再犯・非行をしないように健全な生活を送ること
  • 速やかに住居を決めて届け出ること
  • 届け出た住居に居住すること
  • 転居や旅行をおこなう際には保護観察所長の許可を受けること
  • 保護観察官・保護司の指導監督を誠実に受け止めること

少年か大人か、男性か女性か、どのタイプの保護観察対象者かなどにかかわらず、原則として全ての保護観察対象者は一般遵守事項を守らなければいけません。

特別遵守事項|保護観察の対象者ごとに設定される

保護観察では、保護観察対象者の状況を踏まえて、改善更生のために特に必要な事項として特別遵守事項が定められることがあります。

特別遵守事項は、以下に掲げる事項について必要と認められる範囲で具体的に決定されます。

  • 浪費や過度な飲酒などの犯罪・非行に結びつく行動はしないこと
  • 労働や通学など、犯罪・非行のない生活を送るために必要な行動をとること
  • 旅行・離職・身分関係の異動などの重要な生活上・身分上の変化は申告すること
  • 犯罪的傾向を改善するためのプログラムを受けること
  • 特定の施設に一定期間宿泊して指導監督を受けること
  • 地域社会の利益増進につながる社会活動を一定期間おこなうこと
  • 更生保護事業を営む者などによる専門的な援助を受けること

なお、遵守事項を守らなかった場合は、仮釈放や執行猶予が取消される可能性があります。

大人が保護観察となる期間はいつまで?

仮釈放者に対する保護観察処分は仮釈放期間が終了するまで、保護観察付執行猶予者に対する保護観察処分は執行猶予期間が満了するまで継続します。

ただし、仮釈放期間中・執行猶予期間中であったとしても、保護観察処分の必要性がなくなった場合には解除されることがあります。

保護観察中、遵守事項に違反したらどうなる?

保護観察中、保護観察対象者は一般遵守事項・特別遵守事項を遵守しなければいけません。

まず、仮釈放者が遵守事項に違反した場合、仮釈放が取り消されて再び刑務所に収容される可能性があります。

仮釈放期間中の日数は、残りの刑期に算入されません。

次に、保護観察付執行猶予者が遵守事項に違反したときには、執行猶予が取り消される可能性があります。

保護観察所長が検察官に対して執行猶予の取り消しを申し出て、検察官が裁判所に執行猶予の取り消しを請求するという流れです。

執行猶予が取り消されると、保護観察対象者は刑務所に収監されます。

大人の保護観察中の生活についてよくある質問と回答

最後に、大人の保護観察についてよくある質問をQ&A形式で紹介します。

保護観察期間中でも結婚できますか?

保護観察期間中でも結婚できます。

ただし、結婚は生活に大きな変化をもたらす出来事なので、原則として、保護観察官や保護司に報告する必要があります。

また、結婚したからといって保護観察が終わるわけではありません。

保護観察期間中でも旅行はできますか?

保護観察期間中でも、一般の人と同じように旅行することができます。

ただし、一般遵守事項として7日間以上の旅行をするときには事前に保護観察所長の許可が必要です。

人によっては特別遵守事項として、7日未満の旅行であっても申告する義務が課せられていることもあります。

さいごに|保護観察について疑問があるなら弁護士へ

大人であっても、保護観察を付されるケースは存在します。

保護観察中はさまざまな制限がかけられ、違反すると仮釈放や執行猶予が取消される可能性も出てきます。

そのため、保護観察の対象者や周囲で支える人たちは、遵守事項をはじめ保護観察に関する正しい知識を身につけておかなければなりません。

しかし、保護観察制度は理解が難しい部分も多いので、疑問が生じたときには弁護士に相談してみるのがよいでしょう。

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大人の保護観察について弁護士に相談したいときは、ぜひ活用してみてください。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
これまで500件以上の刑事事件に携わり、特に痴漢/盗撮/暴行/傷害に関する事件の解決を得意とする。レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、豊富な経験をもとに即日接見を用いて、早期釈放を目指している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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