前科一犯とは?就職や生活への影響・消すことができるのか解説
前科一犯とは、過去に犯罪を起こし、前科が1回付いた人のことを指します。“一犯”とは、前科になった回数の事で、2回、3回と増えていけば、二犯、三犯とその数字も増えていきます。
犯罪を数回繰り返し、前科がいくつも付くような人はそこまでいないため、前科一犯という言葉をよく耳にするようになりました。勘違いされやすいのですが、上記でお伝えしたように“一犯”は、回数のことで、決して前科や犯罪の種類のことではありません。
今回は、「前科一犯になってしまうとどうなるのか?」「どこから前科一犯になってしまうのか?」などの前科一犯の疑問などを解説していきます。
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前科がついてしまうと将来的に不利になる可能性があります
【前科がつくデメリット】
- 一定期間、就けない職業がある
- 一定期間、資格に制限がかかる
- 親族(6親等まで)の就職に悪い影響を与える可能性がある
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前科一犯になるとどうなるのか?
身内やご自身が前科一犯となっていたら、特に気になる内容でしょう。「前科一犯になったら、私生活に影響が出てしまうのか?」という悩みです。結論から言うと、前科一犯ということで、そこまで私生活に大きな影響はありません。ただ、以下のような影響が考えられます。
また、「前科一犯だとこうなる」と断言できないこともご了承下さい。理由は、前科の有無よりも、過去に起こした犯罪の大きさ、受けた刑罰の重さの影響が強いからです。
再就職に影響することもある
前科一犯ということで、再就職に影響する可能性もあるということです。曖昧な回答で申し訳ないのですが、こちらは、前科の有無よりも刑罰の重さが大きく影響してきます。
前科一犯であることを就職活動で自発的に伝える義務はない
基本的に前科の有無を一般の人が知る術はありません。更に、就職活動時の面接で自ら前科の有無を伝える義務はありませんし、履歴書も「賞罰」の記入欄が無い履歴書がほとんどですよね。
つまり、聞かれてもいないのに自ら「前科があります」などと報告する必要はありません。下記で説明する、国家資格を要する職業、金融、警備員などの特に信用問題に関わるような職業でも無い限り前科の有無を聞かれるようなことも無いでしょう。
実刑判決で刑務所にいる期間が長ければ不利に
ただ、1つ懸念点もあります。実刑判決を受けてしまい、刑務所にいる期間が長くなってしまうと、その分働いていない空白の期間が出来てしまうのです。あまりにも空白期間が長いと、もちろん企業も疑問を抱くでしょう。
とは言え、嘘を書いてしまうと、社会保険などの関係で嘘がバレてしまう恐れがあります。そうなると、企業によって懲戒解雇の対象にもなり得ます。刑務所の収容で空白期間が長い方は、まずハローワークに出向き、刑事施設出所者の支援を行っている企業から探して下さい。
受けた刑罰によっては就けない職業がある
更に、信用問題に関わる職業は求職者の調査もしっかり行われ、前科があると断られる可能性もあります。ここで言う調査とは、前科の有無をデータベース等で調べることではなく(国家試験は除きます)、求職者本人に、前科の有無を質問したりすることがほとんどです。
禁固刑以上の刑罰は国家資格を必要とする職業に厳しい
国の信用問題に関わる国家資格は、前科者に対して厳重に扱います。特に弁護士・弁理士・教員は厳しく、禁固刑以上の刑を受けた場合、資格を剥奪され、再度受ける権利を失います。
警備員
取引先との関係で信頼が重要な警備員も前科に関して厳しく、禁固刑以上の場合、刑の終了(出所)から5年以上経過しないと、警備員の仕事に就くことが出来ません。
金融
同じく、信用が重要になる金融業界も法律では決められてこそはいないものの、求職者の前科の有無にはシビアになります。
前科がバレて離婚の理由になることもある
就職の次に前科の有無で影響してくることが、婚姻関係でしょう。結婚後に犯罪を起こしてしまい、離婚になるか否かは相手の出方次第な部分もあります。(犯罪を理由に離婚問題に発展してしまえば、犯罪の内容によりますが負けてしまう可能性があるでしょう)
問題は、現在は問題なく生活を送りながら、昔の犯罪の前科を隠し、後で発覚してしまった時です。婚約時に相手の前科の有無が分かることはありません。考えられるのは、「インターネットで旦那の名前を検索したら事件のニュースを見つけた」「相手の古い友人からポロッと昔の事を聞いた」といった事態です。
重罪の前科があると離婚の理由に当たる
この場合、「今は問題なく生活を送っている」という意見と、「前科者との夫婦関係は考えられない」といった意見の衝突が起きることが考えられ、民事問題にも発展していくかもしれません。そうなれば、重罪(法定刑が懲役刑しかないような殺人・強盗など)にあたるような前科がある場合には、明確な離婚の理由として考えられます。
海外に行く時に手続きが必要になる場合がある
前科があると、通常の方法では入国できず、ビザが必要になってくる国があります。「みんなで旅行に行ったのに自分だけ入国出来なかった」というような事態にもなりかねません。特に、国際テロの警戒が強い国が多く、アメリカ・イギリス・オーストラリアなどは注意が必要です。海外に行く際は、各国の入国審査に多少の神経を使うことになります。
前科一犯で再び罪を起こすと刑が重くなる
いかがでしょうか。上記の内容を見てみて、確かに一部の人にとっては、前科があることにより、影響が出てきますが、ほとんどの場合、前科を調べられることも無く、刑罰もそこまで重くない(罰金刑など)ようでしたら、影響は少ないでしょう。
よって、前科一犯であることで最も影響が出てくると考えられることが「再び犯罪を起こしてしまった時」です。前科者の情報は、警察庁・検察庁のデータベースに残りますので、再び犯罪を起こすと必ず分かります。
どれくらい変わるかは一概にいえませんが、前科ありとなしでは、ありの場合の方が、刑罰が重くなることは想像に付くでしょう。
「逮捕=前科が付く」ではない
中には、「逮捕されてしまえば前科がついてしまう」と、勘違いをされている方もいませんか?実際、被疑者の逮捕段階ではまだ、“嫌疑”の段階であって、有罪というわけではありません。
つまりは、有罪判決を受け、刑罰が課せられた時点で前科が付きます。一方、似た言葉で「前歴」といものがあります。これは、刑事事件の流れである、起訴・不起訴の分かれ目で、不起訴になった際の理由が「起訴猶予」だった場合などに付きます。
起訴猶予とは
起訴猶予とは「実際に犯罪を起こしたことには違いないが、罪も軽く反省しているので、今回は有罪にせずに釈放させる」という、検察の判断です。有罪判決こそは受けていないものの、罪は犯しているので、「前歴」という形で残るのです。
前科と前歴の違い
正直なところ、前科と前歴の違いはさほど重要ではなく、それよりも「どのような刑罰を受けたか」「どのくらいの期間、刑事施設に入っていたのか」などが重要になってきます。
更には、前歴になると、犯罪も軽微で拘束期間も短いことが多いため上記のような生活への影響はほとんど薄くなります。重複する部分もありますが、詳しくは「前科と前歴の違い」に詳しく記載しておりますので、気になる方はご覧ください。
国の機関経由で前科一犯が知られることはない
上記で軽く触れていた部分もありますが、一般人が前科者の情報を入手することは不可能で、「データベース」などといった経路から前科一犯の情報が漏れだすようなことはありません。ただし注意すべき点もあります。
前科者の情報は警察庁・検察庁・市区町村が所有
前科者の情報は3箇所の機関で保管されます。警察庁・検察庁は再び事件を起こした際、類似の犯罪が起きた際の参考として、本人が死亡するまで残されます。
一方、市区町村でも「犯罪者名簿」というものがあり、国家資格取得時などに参照されます。犯罪者名簿への記載は、刑の言渡しの効力の消滅と同時に削除されます。これらの内容は、一般人はおろか同じ職員であっても担当の人物しか観覧できないように厳重に保管されています。
悪事千里を走る
確かに、国で保管されている前科者の情報は厳重に保管されており、情報が漏れだすようなことは考えられないでしょう。しかし、「悪事千里を走る」という言葉があります。犯罪を起こした当時、全く人間関係が築けていなかったような人はいないでしょう。
親戚、友人、職場、学校、近所など少なからず、犯罪を起こしたことを知っている人がいるはずです。そのうわさ話がどういう広がり方をしていくかは分かりませんし、防ぐことも難しいでしょう。
インターネットでの検索
また、事件がある程度大きいと、報道機関から実名報道を受けることもあります。そうなると、新聞やインターネット上に半永久的に犯罪を起こした時の状況が載せられてしまいます。
「新しく入る社員のフルネームを検索してみたら事件のニュースが出てきた」というようなことが無いとは考えられません。運営先に依頼することで、多少は軽減させることは出来るかもしれませんが、1度一般に公開された情報を完全に消し去ることは難しいでしょう。
ネット上の前科が分かる記事を消したい
ネット上での触れられたくない情報を露出させないためには、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンを運営する会社に削除依頼を申請することが方法として考えられます。
確実に消し去ることは不可能でしょうが、対処法として検討してみる余地はあります。Googleの依頼ページから試してみても良いでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。前科一犯とは、過去に1度犯罪を起こし、有罪判決を受けた人のことを言います。国で保管されている情報が漏れだすことはありませんが、うわさ話や報道などで、前科の有無が判明することもあります。
とは言え、よほどの重罪でない限り、前科一犯ということで、日常に大きく影響を及ぼすものでもないので、負い目を感じず、これから先、罪を犯さず真っ当に生きていくことに注力しましょう。
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