押し付け痴漢とは?逮捕後されたあとの流れや弁護士に相談・依頼するメリットを解説

押し付け痴漢は、迷惑防止条例違反もしくは不同意わいせつ罪に該当する犯罪です。
そのため、押し付け痴漢が発覚すると、現行犯逮捕や通常逮捕(後日逮捕)のリスクに晒されます。
そして、押し付け痴漢で刑事訴追されると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されるだけではなく、初犯でも有罪になって刑事罰が課されて前科がつきかねません。
本記事では、押し付け痴漢に適用される犯罪類型や法定刑、押し付け痴漢で逮捕されたときの刑事手続の流れ、弁護士に早期相談するメリットなどについてわかりやすく解説します。
押し付け痴漢で逮捕されるおそれがある方は、本記事を参考に今すぐに対策を講じてください。
押し付け痴漢とは被害者に身体の一部を押し付ける犯罪のこと
押し付け痴漢とは、加害者が自らの性的欲求を満たすために自分の下半身や手の甲を被害者の身体に押し付ける行為のことです。
満員電車などの混雑した空間で犯行に及ぶケースが多いです。
被害者の身体を撫でたり揉んだりする典型的な痴漢行為とは異なりますが、行為態様が異なるだけで、押し付け痴漢も痴漢の一類型に含まれます。
押し付け痴漢に該当する行為の具体例は、以下のとおりです。
- 自分の下半身・股間を被害者の臀部や太ももに押し付ける
- 自分の手の甲を被害者の臀部や胸部などに押し付ける
- 被害者に身体を密着させ続ける など
満員電車のような窮屈な空間では、意図せず乗客同士の身体が密着してしまう事態が頻発します。
そのため、「混雑が原因で仕方なく触れてしまっているのか、痴漢をされているのかがわからない」というように、被害者本人も痴漢被害にあっているのかの判断がつかないケースも少なくありません。
押し付け痴漢は、このような状況に乗じて痴漢行為に及ぶ悪質な犯罪です。
しかし、身体を押し付けてしまっている状況が故意によるものか過失によるものかの判断がつきにくいため、車内が混んでいて偶然押し付ける体勢になっただけなのに、押し付け痴漢の冤罪の容疑をかけられる可能性があるという問題点も存在します。
押し付け痴漢によって成立する可能性がある3つの犯罪と法定刑
押し付け痴漢に適用される可能性がある犯罪類型は、以下の3つです。
- 迷惑防止条例違反
- 不同意わいせつ罪
- 公然わいせつ罪
ここからは、それぞれの犯罪類型の概要や法定刑について解説します。
1.迷惑防止条例違反|6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
押し付け痴漢は、各自治体が定めている迷惑防止条例に違反する犯罪です。
迷惑防止条例の規定内容は自治体によって異なります。
ここでは、東京都が定めている迷惑防止条例を見てみましょう。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条第一項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(中略)
(罰則)
第八条第一項 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(中略)
二 第五条第一項又は第二項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)
(中略)
第八項 常習として第一項の違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
これを踏まえると、迷惑防止条例違反の痴漢行為は、以下の要件を満たすときに成立します。
- 正当な理由がない
- 人を著しく羞恥させ、または、人に不安を覚えさせるような行為
- 公共の場所、または、公共の乗りものにおいて
- 衣服そのほかの身に着つけるものの上から、または、直接に人の身体に触れる
- 故意
たとえば、電車やバスなどの公共交通機関で被害者の臀部などに手の甲を押し付けた場合には、迷惑防止条例違反の押し付け痴漢行為に該当すると考えられます。
迷惑防止条例違反の法定刑は、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
また、常習性がある場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金まで法定刑が引き上げられます。
2.不同意わいせつ罪|6ヵ月以上10年以下の懲役刑(拘禁刑)
押し付け痴漢は、刑法第176条に規定される不同意わいせつ罪に該当する可能性があります。
(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
不同意わいせつ罪の構成要件は、以下のとおりです。
- 刑法第176条第1項各号に掲げる行為または事由そのほかこれらに類する行為または事由によって
- 同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態にさせ、または、その状態にあることに乗じて
- わいせつな行為をする
たとえば、泥酔して終電の座席で眠ってしまっている被害者の横に座って、被害者の太ももに手の甲を当て続ける押し付け痴漢に及んだ場合には、不同意わいせつ罪が成立すると考えられます。
また、被害者が16歳未満の事例では、「わいせつな行為をする」という要件を満たすだけで不同意わいせつ罪が成立します。
不同意わいせつ罪の法定刑は、6ヵ月以上10年以下の拘禁刑です。
迷惑防止条例違反に比べて非常に重い法定刑が定められているので、適切な防御活動を展開しなければ、初犯でも実刑判決がくだされかねません。
3.公然わいせつ罪|6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
電車内などの公共の場所で押し付け痴漢をする際に陰部を露出させた場合には、公然わいせつ罪が成立します。
(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
公然わいせつ罪の法定刑は、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
押し付け痴漢によって逮捕された場合の刑事手続の大まかな流れ
押し付け痴漢の容疑で逮捕されたときの刑事手続の流れは、以下のとおりです。
- 警察による取調べを受ける
- 事件が送致されて検察による取調べを受ける
- 勾留請求がされて留置場で身柄を拘束される
- 検察が起訴するか不起訴にするかを判断する
- 起訴された場合は刑事裁判で争うことになる
それぞれのステップについて、詳しく解説します。
1.警察による取調べを受ける
押し付け痴漢の容疑で逮捕されると、通常は警察署に連行されて、取り調べが実施されます。
逮捕は刑事訴訟法上の強制処分に該当するため、取り調べ事態を拒絶することはできません。
また、取り調べが実施されない間は、警察署の留置場に身柄を押さえられてしまいます。
警察段階での身柄拘束期間は、最長48時間です。
なお、過去に刑事訴追された経歴がなく、また、比較的軽微な犯罪として事前に検察官から指定された事件の容疑をかけられた場合には、警察限りの判断で身柄が釈放される「微罪処分」が下されることがあります。
ただし、押し付け痴漢に適用される犯罪が微罪処分の対象になることはないので、押し付け痴漢の容疑で逮捕された場合には、警察段階で刑事手続が終了することはありません。
2.事件が送致されて検察による取調べを受ける
押し付け痴漢事件について警察段階の取り調べが終了すると、身柄及び証拠が検察官に送致されます。
被疑者の身柄を受け取った検察官は、原則24時間以内に、被疑者に対する取り調べを実施します。
警察段階と同じように、検察段階の取り調べを拒否することはできません。
3.勾留請求がされて留置場で身柄を拘束される
検察段階の取り調べには、24時間以内の時間制限が設けられています。
ただし、事件が複雑な場合や、関係者の数が多くて参考人聴取に時間を要する場合、警察段階の48時間以内と検察段階の24時間以内の取り調べだけでは十分な捜査活動が展開できない可能性があります。
そこで、刑事訴訟法第206条では、やむを得ない事情によって捜査機関が逮捕段階の制限時間を遵守できない場合には、検察官による勾留請求が認められています。
検察官による勾留請求が認められて裁判所から勾留状が発付されると、原則10日以内(事案の状況次第では20日間以内)の期間、被疑者の身柄拘束期間を延長することが可能です。
逮捕段階と同じように、勾留段階も強制的に身柄が拘束される状態になるので、取り調べを拒絶することはできません。
また、取り調べ以外の時間帯は留置場に身柄が拘束されるので、外出も許可されませんし、外部と連絡をとることも不可能です。
4.検察が起訴するか不起訴にするかを判断する
逮捕状もしくは勾留状の期限が到来するまでに、検察官が押し付け痴漢事件を公訴提起するかどうかを判断します。
公訴提起とは、刑事事件を刑事裁判にかけることです。
公訴提起する判断は起訴処分、公訴提起せずに検察官の判断で刑事手続を終了させることは不起訴処分と呼ばれます。
押し付け痴漢の容疑で逮捕されただけの事案なら公訴提起判断まで72時間、勾留された場合には公訴提起判断まで最長23日間の猶予が与えられるので、被疑者としては、この期間内に最大限の防御活動を展開する必要があるでしょう。
5.起訴された場合は刑事裁判で争うことになる
検察官が押し付け痴漢事件について起訴処分を下した場合には、公開の刑事裁判が開かれます。
起訴事実に争いがなければ第1回の公判期日で結審に至るのが通例です。
しかし、公訴事実に争いがある場合には複数回の公判期日内で証拠調べ手続きや弁論手続がおこなわれます。
そして、刑事裁判に提出された証拠や供述内容などを総合的に考慮して、裁判官が判決を下します。
懲役刑などの拘禁刑が確定すると、そのまま刑務所に収監されて刑期を満了するまで社会生活に戻ることはできません。
一方、執行猶予付き判決や罰金刑が確定すれば、すぐに実生活に復帰することができます。
社会復帰の難易度を総合的に考慮すると、起訴処分が下された場合には、実刑判決回避を目指した防御活動が不可欠になるといえるでしょう。
押し付け痴漢で逮捕されたときのデメリット
ここからは、押し付け痴漢の容疑で逮捕されたときに生じる可能性があるデメリットについて解説します。
一定期間身柄拘束される
押し付け痴漢の容疑で逮捕されると、逮捕段階だけで72時間以内、勾留請求が認められた場合には逮捕段階と合わせて最長23日間、留置場で身柄を拘束されます。
逮捕・勾留期間中は、連日厳しい取り調べが実施されるため、精神的・肉体的に相当つらい状況に追い込まれることになるでしょう。
また、留置場では複数名が同室に収容され、トイレも簡単な仕切りがあるだけなので、過大なストレスを強いられるはずです。
スマートフォンなどの所持品は全て取り上げられるため、家族や会社、知人などに連絡することもできません。
さらに、保釈請求が認められずに起訴後勾留の判断が下されると、刑事裁判が終了するまでの数ヵ月間、留置場での生活が続きます。
最終的に不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できたとしても、一定期間社会生活から断絶されるだけで、会社生活や学校生活には多大な悪影響が出るため、社会復帰も難しくなるでしょう。
実名報道される危険性がある
押し付け痴漢の容疑で逮捕されると、テレビや新聞、ネットニュースなどで実名報道されるリスクに晒されます。
実名報道されると、起こした刑事事件の内容と氏名・顔写真が公開されるので、家族や親族、知人、会社の人などに、押し付け痴漢行為に及んだことがバレる可能性が高いです。
また、一度でも実名報道されてしまうと、インターネット上やSNSにその情報が残り続けるので、今後の就職活動や転職活動、結婚などにも悪影響が出かねません。
どの刑事事件をどのタイミングで実名報道するかは報道機関の判断次第ですが、性犯罪厳罰化の傾向が強い現在の世情に鑑みると、押し付け痴漢のような性犯罪に及ぶと実名報道されても文句は言えないでしょう。
会社や学校から何かしらの処分を下される
押し付け痴漢の容疑で刑事訴追されたことが会社や学校にバレると、何かしらの処分を下される可能性があります。
たとえば、押し付け痴漢で有罪になって刑罰が確定した結果、就業規則の懲戒規程への違反が認められると、懲戒解雇処分が下されます。
また、実際に有罪にならなかったとしても、押し付け痴漢事件を起こしたことで実名報道されて会社の信用が毀損されると、懲戒解雇処分を含めて何かしらの懲戒処分の対象になる可能性が高いです。
また、学生が押し付け痴漢事件を起こして学校にそれが発覚すると、学則・校則違反を理由に処分が下されかねません。
処分の内容は各学校の判断次第ですが、出席停止、停学、退学などの処分が想定されます。
起訴されて有罪になると前科がつく
押し付け痴漢で逮捕されたあと、起訴されて有罪になると、前科がつきます。
前科者になると、今後の社会生活に以下のようなデメリットが生じ続けます。
- 履歴書の賞罰欄には前科の有無を記載しなければいけないため、就職活動や転職活動の成功率が低くなる
- 資格制限や就業制限の対象になり得る、前科者に厳しい業界には参入できない
- ビザやパスポートの発給制限の対象になると、海外旅行・海外出張に支障が出る
- 再犯時の刑事処分が重くなる可能性が高い
- 結婚しにくくなったり離婚されたりする可能性が高まる
- 子どもや家族の生活にも悪影響が生じかねない など
なお、実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決が罰金刑が確定した場合にも、前科として扱われます。
刑事実務では無罪判決を獲得するのは相当難しいので、前科によるデメリットを避けたいなら、不起訴処分獲得を防御目標にするべきだと考えられます。
押し付け痴漢で逮捕された場合に弁護士に相談・依頼するメリット
押し付け痴漢で逮捕されたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼するべきです。
ここでは、性犯罪弁護や刑事事件を得意とする弁護士の力を借りるメリットについて解説します。
1.取り調べに関するアドバイスが受けられる
刑事実務に詳しい弁護士に依頼すれば、警察や検察で実施される取り調べに関するアドバイスを期待できます。
取り調べ対応について弁護士がもたらしてくれるメリットは、以下のとおりです。
- 事件発生時の状況及び捜査活動の進捗状況を踏まえて、供述方針・供述内容・供述姿勢を決定してくれる
- 供述調書にサインするときの注意点を教えてくれる
- 捜査機関による違法な取り調べに対するリスクヘッジ策を講じてくれる
- こまめに接見機会を用意して被疑者とコミュニケーションをとってくれる
捜査機関から厳しい取り調べが実施されている状況で、被疑者にとっての唯一の味方になってくれるのが弁護士です。
取り調べへの対応方法に工夫を凝らすだけで刑事手続を有利に進めやすくなるので、可能であれば、当番弁護士や国選弁護人ではなく、刑事事件の実績豊富な私選弁護人を選任することをおすすめします。
2.被害者への謝罪と示談交渉を任せられる
押し付け痴漢で逮捕されたあと、起訴猶予処分や執行猶予付き判決、罰金刑のような有利な刑事処分・判決を獲得するには、被害者との間で早期に示談交渉を開始して和解契約を締結することが不可欠です。
示談とは、刑事事件の当事者間で直接交渉をおこなって事件の民事的論点の解決策について和解契約(示談契約)を締結することです。
弁護士が示談交渉をおこなうことで、以下のメリットを得られます。
- 弁護士が代理人として就任したほうが、被害者側が連絡先を開示してくれやすくなる
- 押し付け痴漢被害にあって怒りや恐怖心を抱いている被害者が、弁護士が示談交渉の担当になることで安心感を得やすい
- 被害者との間で冷静に示談交渉を進めて、早期の示談成立を実現しやすくなる
- 被害者側からの過大な要求には粛々を対応して、相場どおりの示談金条件などで合意を引き出しやすくなる
- 宥恕条項、清算条項、被害届の取り下げなど、示談書に記載するべき項目を漏れなく盛り込んでくれる
- 示談交渉を弁護士に一任できるので、時間・労力などを大幅に節約できる
3.早期の身柄解放に向けた活動をしてくれる
捜査機関に身柄拘束される期間が長引くほど、被疑者が置かれた状況はどんどん不利になります。
外部と連絡が取れない期間が長期化すれば、家族や会社、学校に逮捕された事実がバレるリスクも高まるでしょう。
また、厳しい留置場生活が続くことで、心身の負担も重くなるはずです。
その点、弁護士は以下のようなポイントを押さえながら、被疑者の早期身柄釈放を目指した防御活動を展開してくれます。
- 捜査機関に協力する姿勢を見せて、逃亡または証拠隠滅のおそれがないことを示し、早期の在宅事件化を目指してくれる
- 早期に被害者との間で示談を成立させて、起訴猶予処分の判断を早期に引き出してくれる
- 勾留取消請求や勾留に対する準抗告などのテクニカルな対応を通じて早期の身柄釈放を目指してくれる
いち早く身柄拘束を解き、社会生活に復帰するためには弁護士への相談・依頼が不可欠といえるでしょう。
4.冤罪の場合には無実の証拠を集めてくれる
押し付け痴漢をしていないのに逮捕されたときには、冤罪であること、無罪・無実であることを主張して、早期に不起訴処分・無罪判決を獲得する必要があります。
しかし、実際に逮捕処分が下されたあとに冤罪を立証するのは簡単ではありません。
その点、弁護士は防犯カメラの映像や目撃者の証言、そのほか被害者の供述の信憑性が低いことを示す証拠などを用意して、被疑者が押し付け痴漢行為に及んでいないことをしっかりと証明してくれます。
押し付け痴漢に関するよくある質問
さいごに、押し付け痴漢についてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
似たような疑問を抱えている方は、ここで解消しておきましょう。
Q.偶然手が当たってしまった場合でも押し付け痴漢になるか?
押し付け痴漢が適用される迷惑防止条例違反、もしくは不同意わいせつ罪はどちらも故意犯です。
過失犯は処罰対象には含まれません。
故意とは、構成要件に該当する事実を認識・認容していることを意味します。
わかりやすく言い換えると、押し付け痴漢をすることを犯人がしっかりと理解しているときに限り、押し付け痴漢として刑事訴追の対象になるということです。
つまり、偶然被害者の臀部などに手が触れてしまったような事例や、通勤ラッシュ中の電車内でやむを得ず相手に体が密着してしまった事例は、過失はあっても故意は認められないので、理屈上は刑事訴追の対象にはなりません。
ただし、実務上、その場で「痴漢をされました」と声をあげられて痴漢被害を訴えられると、「偶然手が当たってしまっただけで、痴漢するつもりはなかった」などの反論が通じにくい点に注意が必要です。
万が一、冤罪であるにもかかわらず押し付け痴漢として検挙されそうなときには、故意はなく偶然手が当たってしまっただけであることを丁寧に主張・立証するために、必ず刑事事件や痴漢冤罪事件を得意とする弁護士に相談・依頼をしてください。
Q.押し付け痴漢を疑われないためには日頃からどうすればよいか?
押し付け痴漢だと疑われると、丁寧な防御活動を尽くさなければ有罪になって前科がつくリスクに晒されます。
また、仮に冤罪であることが最終的に認められたとしても、そこに至るまでは長期間の刑事手続を闘い抜かなければいけません。
これらのデメリットや負担を回避するには、普段から押し付け痴漢を疑われないための工夫が必要です。
押し付け痴漢の容疑をかけられないために日頃から心がけるべきポイントとして、以下のものが挙げられます。
- 電車やバスなどの公共スペースではできるだけ女性に近付かないようにする
- 電車やバスなどの利用を控える
- どうしても電車やバスを利用せざるを得ないなら、混雑する時間帯を避ける
- 押し付け痴漢の容疑をかけられたらその場ですぐに弁護士に連絡する
- 緊急時に連絡できる弁護士・法律事務所の連絡先をメモしておく、弁護士保険に加入しておく
このように、普段から押し付け痴漢と疑われないコツを押さえて生活をし、万が一押し付け痴漢の容疑をかけられたときに迅速に対応できる準備をしておくとよいでしょう。
Q.冤罪なのに押し付け痴漢で現行犯逮捕された場合はどのように対応するべきか?
冤罪であるにもかかわらず、押し付け痴漢の容疑で現行犯逮捕された場合、速やかに適切な策を講じなければ、そのまま警察署に連行されて強制的に取り調べが実施されます。
冤罪である以上、犯行を否認することになると思われますが、この場合には逮捕・勾留によって最長23日間留置場に身柄を押さえられかねません。
仮に不起訴処分獲得に成功したとしても、長期間身柄拘束されることによって実生活にさまざまな悪影響が生じる可能性があります。
また、冤罪である証拠の準備に失敗すると、起訴処分が下されて有罪になり、前科がつくリスクにも晒されるでしょう。
以上を踏まえると、冤罪なのに押し付け痴漢で現行犯逮捕された場合には、将来的に生じるリスクを回避・軽減するために、以下のような対応が不可欠だと考えられます。
- 「痴漢はしていない」と明確に主張する
- 現場の様子・状況を証言してくれる目撃者の連絡先を可能な限り大人数集める
- 駅員や警備員などに身分を明らかにして逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示す
- すぐに弁護士に連絡して具体的な対応策についてアドバイスをもらう
なお、押し付け痴漢をした事実に間違いがない場合、「痴漢はしていない」のような犯行を否認する証言は逆効果です。
なぜなら、被害者や目撃者の供述や防犯カメラ映像などの客観的証拠と反する証言をすると、反省の態度がなく逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断されて、重い刑事処分が下される可能性が高まるからです。
冤罪であるか否かにかかわらず、押し付け痴漢の容疑をかけられたときには、その現場において速やかに刑事事件に強い弁護士に連絡をして、今後の対応方法についてアドバイスをもらうべきでしょう。
さいごに|押し付け痴漢は犯罪!逮捕された場合は早めに弁護士に相談を
本記事では、押し付け痴漢について問われる罪や逮捕されたあとの流れを詳しく解説しました。
押し付け痴漢は、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪に該当する犯罪です。
押し付け痴漢の容疑で刑事訴追されると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されたり、有罪になって前科がついたりして、社会復帰が困難な状況に追い込まれかねません。
そのため、押し付け痴漢の容疑で検挙された場合、冤罪であろうがなかろうが、できるだけ早いタイミングで弁護士の協力を仰ぐべきでしょう。
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