触らない痴漢も犯罪?逮捕された場合の流れや適切な対処法を解説
- 「満員電車で、好みの女性に近づいて匂いを嗅ごうとしてしまった」
- 「空いていた電車内で、座っている女性のすぐ隣にわざと座った」
このような行為をしてしまった経験はありませんか。
実は、相手に直接触れることのない痴漢行為、いわゆる「触らない痴漢」でも、相手に不快感や恐怖を与えた場合には、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪に該当する可能性があります。
そのため、もし心当たりがある場合は、どのような行為が法律上問題になるのかを理解したうえで、万が一痴漢を疑われた場合には冷静かつ適切に対応できるようにしておくことが重要です。
本記事では、「触らない痴漢」に該当する具体例や主な刑罰、逮捕後の手続きの流れ、痴漢を疑われた場合の適切な対処法まで詳しく解説します。
状況に応じて適切な行動をとれるようになるためにも、ぜひ参考にしてください。
そもそも触らない痴漢とは?該当する行為の具体例
触らない痴漢とは、その名の通り「実際に相手に触れることはないものの、痴漢として認められる行為」のことを指します。
触らない痴漢の具体例は、以下のとおりです。
- 混んでいないのに不自然に近くに立ったり、隣に座ったりする行為
- 背後や横に立って匂いを嗅ぐ、首筋や耳に息を吹きかける行為
- 相手に聞こえるように卑わいな言葉を繰り返す行為
- 自分の持ち物を相手の身体に押し当てる行為
- 携帯で卑わいな画像や動画をエアドロップで送る行為
上記の行為により、被害者が「いやらしい」「性的に不安だ」と感じれば、各都道府県の迷惑防止条例における「卑わいな言動」や、不同意わいせつ罪における「わいせつな行為」にあたる可能性があります。
一見些細に思える行為であっても、逮捕や有罪判決といった刑事処分を受けるだけでなく、社会的信用を失い職場や家庭に深刻な影響を及ぼすおそれがあるので注意しましょう。
触らない痴漢で問われる可能性がある罪
触らない痴漢で問われる可能性があるのは、以下2つの条例違反・犯罪類型です。
- 迷惑防止条例違反
- 不同意わいせつ罪
どの法律で処罰されるかは痴漢行為の態様や被害状況などによって判断されますが、一般的には、以下の考え方に基づき決定されます。
- 公共の場で卑わいな行為をした → 迷惑防止条例違反
- 被害者の身体に直接触れた → 不同意わいせつ罪
ただし、条文上に明確な線引きはなく、裁判所や検察官が個別の事例ごとに「性的自由に対する侵害の程度」を考慮して判断します。
以下では、「迷惑防止条例違反」と「不同意わいせつ罪」の成立要件や罰則について見ていきましょう。
迷惑防止条例違反|都道府県により刑罰が異なる
公共の場での痴漢行為や迷惑行為を規制するために、各都道府県は独自の迷惑防止条例を制定しています。
たとえば、東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(通称『迷惑防止条例』)」では、公共の場所や公共の乗物で、衣服の上からまたは直接人の身体に触れる行為が禁止されています。
刑罰も都道府県によってさまざまですが、東京都の迷惑防止条例では、「6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」(常習犯の場合は、「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」)です。
不同意わいせつ罪|6ヵ月以上10年以下の拘禁刑
痴漢行為は、刑法第176条に定められた不同意わいせつ罪に該当する可能性もあります。
裁判例によれば、不同意わいせつ罪が禁止する「わいせつな行為」とは「性欲を刺激、興奮または満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」を指します。
そのため、直接身体に触れていなくても、行為や状況によってはわいせつ行為と認められる可能性があるのです。
ただし、不同意わいせつ罪の成立には、以下のような事情も必要です。
- 暴行や脅迫を用いた
- 被害者が拒否や防御をする時間的余裕がない状況を利用した
したがって、触らない痴漢が不同意わいせつ罪に該当するケースは少ないのが実情です。
なお、不同意わいせつ罪の刑罰は「6ヵ月以上10年以下の拘禁刑」です。
触らない痴漢で逮捕されたあとの流れ
触らない痴漢で逮捕されると、以下の流れで手続きが進みます。
- 逮捕・取り調べ
痴漢行為で逮捕されると、まず警察署で取り調べを受け、留置場で身柄を拘束されます。取り調べ期間中は原則として家族との面会はできず、警察の管理下で事件に関する供述を求められます。 - 検察官への送致と勾留判断
逮捕から48時間以内に、事件は検察官に送致されます。さらに24時間以内に、検察官が勾留により被疑者の身柄拘束を継続する必要があるか判断し、必要があれば裁判所に対して勾留を請求します。 - 勾留
勾留請求が認められると、最長20日間の身柄拘束が続きます。家族との面会は可能となりますが、引き続き警察や検察の取り調べに応じる必要があります。 - 起訴・不起訴の判断
勾留期間が終了するまでに、検察官は被疑者を起訴すべきか不起訴にすべきかを判断します。罪に問うべきと判断されれば起訴され、証拠不十分や罪に問うべきではないと判断されれば不起訴となります。 - 裁判と被告人勾留
起訴されると、裁判が終わるまで身柄拘束が続きます。ただし、保釈が認められれば身柄が拘束されていない状態で裁判を受けられます。
触らない痴漢の疑いをかけられた場合の対処法
触らない痴漢であっても逮捕される可能性はゼロではありません。
そのため、疑いをかけられた場合は以下のような対処をすることが大切です。
- 可能であれば被害者との示談を目指す
- 冤罪の場合は一貫して否認する
- 速やかに刑事事件が得意な弁護士に相談する
ここから、それぞれ詳しく解説します。
可能であれば被害者との示談を目指す
痴漢の疑いをかけられた場合も、被害者との示談を成立させておけば、さまざまなメリットを得られます。
主なメリットは、以下のとおりです。
- 早期の身柄釈放が期待できる
- 示談の成立により、被害者が処罰感情が一定程度緩和されていると評価されれば、検察官や裁判所は「身柄を長く拘束しておく必要性が低い」と判断する傾向があります。
その結果、勾留請求が見送られる可能性が高くなり、早期の身柄釈放につながります。
- 不起訴処分の獲得や前科回避につながる
- 示談の成立は、裁判官が起訴・不起訴の判断をする際の判断材料のひとつとなります。
示談が成立していれば、不起訴処分となり前科を回避できる可能性が高まります。
- 刑の軽減や実刑回避が可能になる
- 示談の成立は、裁判官が量刑を考慮する際の情状としても評価されます。
万が一起訴された場合でも、示談が成立していれば罰金刑や執行猶予付き判決を獲得しやすくなります。
- 略式手続きによる早期解決が可能
- 比較的軽微とされる痴漢事件であれば、示談成立によって正式な裁判を経ずに罰金刑で処理される「略式手続き」が選択されやすくなります。
その結果、公開裁判を避けつつ短期間で手続きが完了するため、社会的な影響や精神的な負担を抑えられます。
そのため、痴漢事件で疑いをかけられた場合は、早期に被害者と話し合い、適切な形で示談を目指しましょう。
冤罪の場合は一貫して否認する
痴漢の冤罪を疑われたときは、最初から最後まで一貫して否認する姿勢が不可欠です。
「少し触れたかもしれない」「やったかどうかわからない」といった曖昧な発言は、かえって疑いを強める原因になるので注意しましょう。
また、被害者や駅員、警察官に対して感情的に振る舞えば、発言の信用性を損なうおそれがあります。
冤罪ならできる限り証拠の収集もおこなう
否認を続けるだけでなく、自ら証拠を確保することも重要です。
刑事裁判では、捜査機関が「痴漢をした事実」を立証できなければ有罪にはなりません。
しかし、実際には濡れ衣を着せられるケースもあるため、冤罪を主張する側もできる限りの証拠を押さえておく必要があります。
具体的には、以下のように証拠を集めるとよいでしょう。
- 微物検査やDNA鑑定に積極的に協力する
- 目撃者の氏名や連絡先を控える
- 当時の録音・録画データを保存する
- アリバイを示す証拠を確保する
疑われた直後でしか確保できない証拠もあるので、忘れずに対応してください。
速やかに刑事事件が得意な弁護士に相談する
痴漢の容疑をかけられた場合は、速やかに刑事事件を得意とする弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談することで、以下のようなサポートが受けられます。
- 示談交渉・示談書作成支援
- 前述のとおり、痴漢事件では示談の成立が重要です。
ただし、当事者間だけで示談交渉を進めると、感情的なもつれからトラブルの原因となりやすいです。
弁護士が間に入ることで、被害者と直接接触せずに話し合いを進められるので、トラブル回避につながります。
- 逮捕・勾留の回避や早期釈放の支援
- 痴漢事件では、逃亡や証拠隠滅の可能性を理由に勾留が続くケースがあります。
弁護士は、勤務状況や家庭環境などを資料で示し、捜査機関に対して「身柄拘束の必要がない」と主張できます。
その結果、逮捕を回避できる可能性が高まり、勾留が認められても早期の釈放を実現しやすくなります。
- 不起訴処分の獲得や刑罰減軽の支援
- 検察官は、事件を起訴する際に事件の悪質性や被疑者の反省状況も考慮します。
弁護士は被疑者に有利となる事情を整理し、検察官に効果的に伝えます。
その結果、不起訴処分を獲得できたり、刑罰を軽減したりしやすくなります。
- 冤罪時の対応
- 冤罪の可能性がある場合、弁護士は目撃者の証言や監視カメラ映像の確保、録音データの保全などを迅速におこない、無実を証明するための証拠を的確に収集します。
さいごに|痴漢事件の解決に向けては迅速な対応がなによりも重要
本記事では、触らない痴漢で刑事罰を受ける可能性や、逮捕された場合の流れについて解説しました。
触らない痴漢であっても、被害者に不快感や恐怖を与えた場合には刑事責任が問われる可能性があります。
そのため、痴漢の疑いをかけられたときは、できるだけ早く適切な対応を取ることが大切です。
具体的には、被害者との示談交渉や、冤罪である場合には一貫した否認と証拠の確保などに取り組みましょう。
ただし、これらを個人で対応するのは困難です。
そこで重要となるのが、刑事事件を得意とする弁護士への早めの相談です。
弁護士は、示談交渉の代理、証拠収集の支援、捜査機関への対応などを通して、事件をより良い形で解決へと導く役割を担ってくれます。
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