事情聴取で気を付けること11選!受け答えの基本から理解すべき権利まで
警察から事情聴取の連絡を受けると、多くの人が「なぜ自分が?」と不安や動揺を感じるものです。
とくに、被疑者として呼び出された場合は、どのように対応すべきかわからず、焦ってしまうこともあるでしょう。
事情聴取は「犯罪の事実を明らかにするための手続き」であり、対応を誤ると不利な供述をしてしまうおそれもあります。
不用意な発言や誤解を招く受け答えによって、思わぬトラブルに発展するケースも少なくありません。
この記事では、被疑者として事情聴取を受ける際に気を付けるべきポイントを、法律上の根拠や弁護士の見解をもとに整理して解説します。
「どこまで話してよいのか」「拒否してもいいのか」といった疑問を解消し、落ち着いて適切に対応できるよう理解を深めていきましょう。
警察の事情聴取を受ける際に気を付ける4つの基本ポイント
警察の事情聴取では、話した内容がその後の捜査や処分に影響する可能性があります。
焦って不用意に発言すると、不利な供述として扱われるおそれがあるため、次の4点を意識して対応することが大切です。
- 警察に対して嘘をつかない
- 自分から余計なことを話さない
- 間違った内容については認めない
- 記憶にない場合は「覚えていない」と伝える
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.警察に対して嘘をつかない
自分が関係者ではないと思っていても、警察に対して事実と異なることを話すのは避けるべきです。
虚偽の供述をしたり、曖昧な記憶や推測で話してしまうと、後に供述内容の矛盾を指摘され、かえって疑いを深める結果になってしまいます。
嘘をつかないことはもちろん、覚えていないことも無理に思い出そうとせず、「覚えていない」と率直に伝える姿勢が大切です。
警察に誤解を与えないよう、確実にわかっている事実だけを整理して答えるよう心がけましょう。
2.自分から余計なことを話さない
事情聴取では、質問された内容の範囲内で簡潔に答えることが基本です。
雑談のような会話の流れで気を許し、必要のない情報まで話してしまうことがありますが、それが不利な供述につながることがあります。
警察官が軽い話題を交えながら反応をうかがうこともあるため、必要以上に話さず、聞かれたことだけに答える姿勢を保つことが大切です。
3.間違った内容については認めない
事情聴取を担当する警察官は、事実と異なる内容を質問することで反応を見る場合もあります。
たとえ強い口調で迫られても、違う内容であれば明確に否定する姿勢を貫くことが大切です。
長時間の聴取で疲れていると、早く終わらせたい気持ちから曖昧に肯定してしまうことがありますが、その一言が自白として扱われることもあります。
取り調べ最後に読み上げられる供述調書の内容に誤りがあれば、訂正を求めるか署名を拒否する判断も大切です。
4.記憶にない場合は「覚えていない」と伝える
事情聴取で聞かれたことを無理に思い出そうとしたり、曖昧な記憶で答えたりすると、あとから矛盾を指摘されて不利になるおそれがあります。
記憶がはっきりしない場合は、覚えていないと明言するのが適切です。
取り調べで思い出すよう促されても、供述の内容は本人の自由であり、思い出せないことを無理に話す必要はありません。
覚えている部分と覚えていない部分をはっきり区別して、伝えるようにしましょう。
事実と異なる供述を避けるためにも、曖昧な点ははっきりと否定し、確実に覚えている範囲だけを説明する姿勢が大切です。
警察の事情聴取を受ける前に知っておくべき4つの被疑者の権利
警察の事情聴取を受ける際は、被疑者に認められた権利を知っておくことも大切です。
これらの権利を正しく理解しておくことで、不当な取り調べから自分を守ることができます。
ここでは、特に重要な権利として、以下4つを解説します。
- 答えたくない場合には黙秘ができる
- 供述調書に納得できない場合は署名を拒否できる
- 万が一逮捕されたら当番弁護士を呼べる
- 事情聴取が長引く場合には適宜休憩などを申し入れられる
それぞれの権利について、詳しく見ていきましょう。
1.答えたくない場合には黙秘ができる
被疑者には、自己に不利益な供述を強制されない権利があります。
これは憲法第38条で定められており、黙秘権と呼ばれています。
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
引用元:憲法第38条
身に覚えのない容疑で事情聴取を受けた場合や、答えることで誤解を招くおそれがある場合には、黙秘する判断も有効です。
黙っていること自体が罪に問われることはなく、それによって不利に扱われることもないというのが法律上の大原則ですので、無理に話そうとせず、発言内容に迷いがあるときは黙秘することを選ぶのも一つの方法です。
2.供述調書に納得できない場合は署名を拒否できる
取り調べの際に作成される供述調書は、裁判で重要な証拠として扱われる可能性があります。
しかし、内容が事実と異なる場合には、署名や押印を拒否することが可能です(刑事訴訟法第198条第5項)。
被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
引用元:刑事訴訟法第198条第5項
納得できない内容で署名をしてしまうと、あとから訂正するのは非常に困難です。
少しでも違和感がある場合は、訂正を求めるか署名を拒む姿勢を取りましょう。
3.万が一逮捕されたら当番弁護士を呼べる
万が一逮捕された場合は、弁護士に無料で1回相談できる「当番弁護士制度」を利用できます。
これは、年齢を問わず本人または家族が依頼できる制度です。
逮捕された本人が警察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えるか、家族が逮捕された地域の弁護士会に電話をすることで、弁護士が警察署に派遣されます。
弁護士は、今後の手続きの流れや取り調べでの対応方法などを説明し、不安を軽減するサポートをおこないます。
4.事情聴取が長引く場合には適宜休憩などを申し入れられる
前提として、長時間にわたる取り調べや、休憩を取らせないような対応による自白は、証拠として認められないと刑事訴訟法第319条で明記されています。
第三百十九条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
引用元:刑事訴訟法第319条
また、暴行や脅迫、または心身に過度な負担を与えるような取り調べは、違法な捜査にあたります。
事情聴取が何時間も続き、体調が悪くなったり集中力が低下したりした場合には、遠慮せずに休憩を求めることが大切です。
無理をして対応すると、思わぬ発言をしてしまい、自分に不利な内容が記録されるおそれがあります。
また、警察官から暴言や威圧的な態度を受けたときは、弁護士に報告するようにしてください。
体調や精神面の限界を軽視せず、正当な権利として休憩や対応の改善を求める姿勢が、自分を守るために重要です。
そのほか警察の事情聴取を受ける際に気を付けるべき3つの注意点
事情聴取では、受け答え以外の面にも注意すべきポイントがあります。
出頭の姿勢や服装など、見落とされがちな部分にも気を配ることで、余計な誤解を防ぎ、落ち着いた対応ができるでしょう。
ここでは、特に重要な3つの注意点を紹介します。
1.事情聴取を拒否し続けないようにする
警察の呼び出しに正当な理由もなく応じない状態が続くと、逮捕や勾留につながるおそれがあります。
事情聴取の出頭要請は任意ですが、被疑者として繰り返し拒否をすると、「逃亡や証拠隠滅の可能性がある」と判断されかねません。
捜査に協力する意思を示すことで、「この被疑者は逮捕する必要がない」との判断につながりやすくなります。
事情聴取を受ける前に不安がある場合は、出頭前に弁護士へ相談するのも有効です。
2.当日は余裕のあるスケジュールにしておく
事情聴取の当日は、時間に余裕を持ったスケジュールで臨むことが大切です。
事情聴取は短ければ30分程度で終わる場合もありますが、事件内容によっては半日以上かかることもあります。
予定を詰め込みすぎると、焦りや疲労から集中力が落ち、言葉の選び方を誤ったり、誤解を招く発言をしてしまったりする可能性があります。
余裕を持って臨むことで、冷静に判断しながら受け答えできるようになります。
当日はスケジュールを空けておき、体調や食事の準備も整えてから出頭しましょう。
万が一、聴取が長引いても落ち着いて対応できるよう、時間的にも精神的にも余裕を持つことが重要です。
3.派手な格好やだらしない服装などは避ける
事情聴取では、清潔感のある服装で誠実な印象を与えることが望ましいでしょう。
服装に明確な規定はありませんが、第一印象は警察官の態度や対応に影響を与える場合があります。
たとえば、露出の多い服やキャラクター柄の服、スウェット姿などは、だらしない印象を与えがちです。
逆に、落ち着いた色合いの服や整った髪型は、誠実さや協力的な態度を示す助けになります。
服装は自分の印象を左右する重要な要素です。
きちんとした身だしなみで臨むことで、落ち着いて話を進めやすくなり、信頼関係の構築にもつながります。
さいごに|時間に余裕があるなら事前に弁護士に相談するほうがおすすめ!
警察の事情聴取は、たとえ任意であっても精神的な負担が大きく、思わぬ発言が不利な証拠として扱われるおそれがあります。
事前に弁護士へ相談しておくことで、自分の立場を正しく理解し、取るべき対応を明確にすることが可能です。
弁護士は、事情聴取での受け答えの仕方や黙秘権の使い方、供述調書への対応方法などを具体的に助言してくれます。
また、もし取り調べが長時間に及んだり、威圧的な態度を受けたりした場合にも、どのように対応すべきかをサポートしてくれます。
不安を抱えたまま一人で臨むよりも、専門家の意見を聞いておくことで冷静に判断しやすくなるでしょう。
少しでも不安があるときは、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
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