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当て逃げの罰則・加算点数|事故が発覚する理由とその後の対処法

齋藤健博 弁護士
監修記事
当て逃げの罰則・加算点数|事故が発覚する理由とその後の対処法

当て逃げをすると、以下の3種類の責任を問われる可能性があります。

  • 刑事責任:懲役や罰金などの刑事罰
  • 行政責任:違反点数の加算および免許停止
  • 民事責任:物損事故での弁償

物損事故自体は刑事責任や行政責任を問われることはありませんので、ぶつかってもその場で対応すれば、民事責任の弁償だけで済みます。

しかし、物損事故を起こしたのに現場から逃げる当て逃げになると、逃走行為について刑事責任・行政責任を問われ、以下の罰則を受ける可能性が出てきます。

刑事責任 1年以下の懲役または10万円以下の罰金
行政責任 危険防止等措置義務違反:5点
安全運転義務違反:2点
免許停止:合計6点以上

本記事では、当て逃げの罰則と加算点数や逮捕される可能性、当て逃げを起こした際にやるべきことについて解説します。

当て逃げを起こしてしまった方へ

当て逃げ行為には、刑事罰があります。

従って、いきなり自宅に警察が来て逮捕されることもあり得るのです。

当て逃げを起こし不安に駆られている方は、弁護士への相談・依頼がおすすめです。

弁護士に相談・依頼すると下記のようなメリットがあります。

  • 今後の対応のアドバイスをもらえる
  • 被害者との示談交渉を任せることができる
  • 自首のときに同行してもらえる など

逮捕前から弁護士に依頼することで、逮捕後の弁護活動にスムーズになります。

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当て逃げで問われる責任|罰則や加算される点数

当て逃げをすることで以下の3つの責任が問われることとなります。

  • 刑事責任:懲役や罰金などの刑事罰
  • 行政責任:違反点数の加算および免許停止
  • 民事責任:物損事故での弁償

具体的には、以下の罰則を受ける可能性が出てきます。

  1. 1年以下の懲役または10万円以下の罰金
  2. 危険防止等措置義務違反:5点
  3. 安全運転義務違反:2点
  4. 物損の弁償

なお、現場から逃走しないただの物損事故の場合、1と2の罰則は受けることがなくなりますので、もし事故を起こした直後にこちらをご覧の場合には、警察に報告して迅速な対応をするようにしてください。

当て逃げの刑事責任による罰則(懲役などの刑事罰)

ドライバーは交通事故を起こした場合、適切な措置を講じて警察に報告しなければならない義務があります。

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

引用元:道路交通法72条

ただの物損事故ではなく、現場から逃走する当て逃げという行為は、必然的に違反することとなります。

これにより、結果的に以下の罰則を受ける可能性があります。

報告義務違反|3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

上記の報告義務を違反した場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処される恐れがあります。

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
(中略)
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者

引用元:道路交通法119条第1項10号

報告とは警察への通報です。

事故を起こしたのであれば、被害の大小関わらず必ず警察に通報してください。

当て逃げは、当然警察への通報もしないということになりますから、まずは報告義務違反での罰則を受ける可能性が出てきます。

危険防止等措置義務違反|1年以下の懲役または10万円以下の罰金

また、事故を起こした運転手は、ただちに運転を停止し、負傷者の救護と道路における危険を防止する措置を講じる必要があります。

負傷者のいない当て逃げも例外ではありません。

事故によって道路上に危険が生じた場合、運転手はそれを防止する措置を講じなければなりません。

この措置を講じなかった場合1年以下の懲役または10万円以下の罰金、に処せられます。

第百十七条の五 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者(第百十七条の規定に該当する者を除く。)

引用元:道路交通法117条の5

当て逃げ行為は、こちらの危険防止等措置もおこなっていないわけですから、責任を問われる可能性は十分にあります。

救護義務違反(ひき逃げの場合)|5年以下の懲役または50万円以下の罰金

死傷者が出た事故の場合、事故を起こした運転手に救護義務が生じることになります。

人が乗っている車などにぶつける事故を起こして現場から逃走してしまえば、怪我や死亡の有無を把握することはできません。

当て逃げと思って逃走したとしても、死傷者が出ている人身事故だった場合、ひき逃げとなり、より厳しい罰則を受ける可能性が出てきます。

第百十七条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:道路交通法117条

器物損壊罪には該当しない

事故によって人の物を壊したとして、器物損壊罪(3年以下の懲役または30万円以下の罰金)での逮捕を心配している人もいるでしょう。

先にお伝えすると、基本的に当て逃げ(物損事故)で器物損壊罪に問われることはありません

器物損壊罪は、故意に物を壊した時に適用される罪です。

物損事故の多くは過失によるものでしょうから、器物損壊罪の適用外です。

もし、わざとぶつけて逃走するような行為があったのであれば、器物損壊の罪も問われる可能性があります。

当て逃げによる行政責任での罰則(加算される点数)

物損事故では刑事責任と同様に行政責任も問われることはありませんので、事故を起こしたことで違反点数が加算されることはありません。

しかし、物損事故後に逃走した場合、以下のような違反点数が加算される可能性があります。

  • 危険防止等措置義務違反:5点
  • 安全運転義務違反:2点
  • 救護義務違反(ひき逃げの場合):35点

なお、免許停止になる点数が6点以上(前歴なしの場合)です。

当て逃げをすることによって、一発で免許停止になる可能性も出てきます。

さらに、ひき逃げ(救護義務違反)の場合には一発で免許取消しになり、最低でも3年間は再び免許を取ることができなくなります

当て逃げの民事責任(破損させた物に対する損害賠償責任)

逃走の有無にかかわらず、物損事故を起こして自分に過失がある場合、民事責任として被害分を弁償する損害賠償責任が出てきます。

項目 内容
車の修理費用 傷ついた車体を修理するのに支払った費用
代車費用 車が運転不可能な状態となり代車を呼んだ際に支払った費用
車の評価損 事故により市場価値の減少が認められる場合の減少額
休車損害 営業車(タクシーやバスなど)が破損した場合、事故がなければ受け取れたであろう収入について生じた損害(代車費用とは両立しません)
積荷損 トラックなどに積載していた荷物が破損した場合、破損分の損害(ケースによって請求できる金額の範囲には幅があります)

主に上記の費用を話し合って決めていきますが、現場から逃走していないただの物損事故であれば、こちらの民事責任のみで済ませることができます。

なお、慰謝料請求を心配されている人もいるでしょうが、物損事故では基本的に慰謝料請求まで認められることはありません。

慰謝料とは精神的苦痛に対する損害賠償のことですが、物損事故では上記の実害分の弁償によって精神的苦痛分も含まれていると考えられているからです。

ただし、被害者がよっぽど大切にしていた物が壊れた場合には稀に慰謝料請求が認められる場合があります。

事故で被害者のペットが死亡した場合などは慰謝料請求もあり得るでしょう(法律上、ペットは物として扱われます)。

逃走することで罰則が重くなる

繰り返しますが、現場から逃走する当て逃げになることで、刑事責任と行政責任の余計な罰則を受ける可能性を自ら作ってしまいます

それ以前に、危険防止措置などのきちんとした対応を取らないことで、新たな事故を誘発してしまう原因にもなりますし、被害者が許せないという感情が強くなり、示談交渉等でも揉める要因にもなりますので、逃走しないことが第一です。

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当て逃げが起こる4つの理由

ここでは、当て逃げが起こってしまう理由を解説します。

  1. かすっただけだと気づけない場合もあるから
  2. 気が動転して怖くなってしまうから
  3. 弁償や罰金などが嫌だから
  4. 他の交通違反もおこなっていたから

かすっただけだと気づけない場合もあるから

そもそもぶつかったことに気づけない場合もあります。

特にかすった程度であれば、衝撃や音が小さく、気づかないまま事故現場から立ち去ってしまうことでしょう。

実際に事故が起こった認識がなければ、当て逃げの責任を問われる可能性は低いかもしれません。

しかし、捜査機関は「気がつかなかった」という弁解を容易には信用しませんので、これを信じてもらうのは一苦労かもしれません。

気が動転して怖くなってしまうから

事故は頻繁に起こることではありません。

いけないとわかっていても、怖くなってその場から逃げてしまう人もいることでしょう。

この場合は当て逃げについて、行政責任や刑事責任を逃れることはできません

弁償や罰金などが嫌だから

  • 車の修理代を請求される
  • 罰金を課される
  • 点数が加算される

事故直後にこのようなリスクが頭に浮かび、それを避けるために現場から逃げる人もいます。

この場合も発覚すれば行政責任・刑事責任は不可避でしょう。

他の交通違反もしていたから

飲酒運転や無免許運転など、他の交通違反の自覚がある場合、警察に通報することで違反がバレると怖くなり、現場から逃走してしまうこともあり得るでしょう。

他の交通違反をしている場合、単なる当て逃げよりも厳しい罰則を受ける可能性が出てきます。

違反行為 刑事罰 違反点数
酒酔い運転 5年以下の懲役/100万円以下の罰金 35点
酒気帯び運転 3年以下の懲役/50万円以下の罰金 13~25点
無免許運転 3年以下の懲役/50万円以下の罰 19点
スピード違反 6か月以下の懲役/10万円以下の罰金 1~12点

当て逃げが見つかってしまう2つの理由|逃げることで逮捕の可能性を高める

当て逃げは見つかる場合と見つからない場合がありますが、見つかるときはどのような原因で見つかるのでしょうか。

  1. 被害者や発見者がナンバーを覚えている可能性があるから
  2. 防犯カメラに車が映っている可能性があるから

また、刑事責任を問われますので、見つかれば逮捕の可能性があります。

さらに、人身事故(ひき逃げ)にまでなれば、さらに高い確率で発覚して検挙されることになるでしょう。

被害者や発見者がナンバーを覚えている可能性があるから

当て逃げの発覚では、目撃者の有無が最も大きな要因です。

ナンバーを覚えられ、警察に通報されれば、捜査をされてじきに特定されるでしょう。

いつ警察がくるのかは、被害届が出された時期や捜査状況などにもよるためケース・バイ・ケースです。

明日かもしれませんし、数か月後かもしれません。

防犯カメラに車が映っている可能性があるから

防犯カメラのデータが証拠として使われる場合があります。

街中には想像以上に防犯カメラがあります。

警察はこれら防犯カメラをくまなく調べますので、そこから犯人にたどり着くことはよくあります。

当て逃げは突然逮捕される可能性がある

当て逃げ行為には刑事罰がある以上、警察から発覚して逮捕される可能性もあると考えておいて良いでしょう。

逮捕は突然おこなわれますので、いきなり自宅に警察が来て逮捕されることもあります。

当て逃げは、すでに逃走している経緯があるため、警察が「逃走するおそれがある」と判断して、逮捕を強行することがあります

事故から数日間特に連絡がなくても、数か月後に脈絡もなく逮捕や任意同行を受けることもあり得ます。

良心の呵責に囚われ続けるくらいなら、早いうちに自首して被害者の方と示談交渉に進んでいった方が、迅速に解決できる可能性が高いです。

当て逃げの時効は刑事事件・民事事件ともに3年

当て逃げの時効は刑事・民事ともに3年となっています。

現場から逃走して、事故の詳細がわからない以上、被害がどれほどなのか?被害届が出されているのか?を把握することができません。

数年もの間、いつ逮捕されるかわからない不安な日々を過ごすくらいなら、弁護士に相談の上、自首することも検討した方が良いでしょう。

刑事事件の時効

まず、刑事事件ですが、人を死亡させておらず、長期5年未満の懲役・禁錮・罰金刑に当たる罪は公訴時効が3年となっています。

滅多にないでしょうが、1~2年経って警察から当て逃げの件で呼び出しを受ける可能性も否めません。

民事事件の時効

民事訴訟での損害賠償請求権の時効は、損害・加害者を知った時から3年となっています。

こちらもしばらく経って被害者や裁判所から連絡がある可能性があります。

人身事故(ひき逃げ)になれば検挙率も上がる

駐車場などで無人の車にぶつける事故ではなく、人が乗った車に対する事故の場合、自分だけで当て逃げかひき逃げかを判断することはできません。

現場にとどまっていないので、被害状況が分からないからです。

自分ではちょっとこすっただけだと思っていても、相手車にはそれなりの衝撃があり、むち打ち等で医師から診断を受けているかもしれません。

被害者が怪我を負った場合には、人身事故となりひき逃げになります。

ひき逃げ事件_発生件数_検挙率の推移

引用元:犯罪白書

ひき逃げになることで、検挙率も60%以上になり、罰則も重くなってきます。

繰り返しますが、逃走した以上、当て逃げかひき逃げかを判断することは困難です。

逃げ続けるということは、このような不安を抱え続けなくてはならないことになります。

当て逃げをしてしまった際の対処法

当て逃げをしてしまった場合、どのような対処法を取れば良いのでしょうか?

自分が何かしらの罰則を受ける不安があるからこそ、こちらの記事をご覧のことでしょうが、不安を解消して早い問題解決をするために、以下の方法を検討してください。

  1. 弁護士に相談する
  2. 警察に連絡して自首を検討する
  3. 被害者と示談をする

弁護士に相談する

当て逃げは、刑事罰や逮捕を受ける可能性があるため、弁護士に相談して今後の対応を直接アドバイスしてもらってください

後述する自主の同行や示談の代理、アドバイスができますので、相談することでやるべきことが明確になってくるでしょう。

ただ、弁護士であっても逮捕されるかどうかを明確に答えることはできません。

当て逃げをした以上、逮捕される可能性は多少なりともありますが、被害者が被害届を出していなければ事件に発展していないこともあります。

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警察に連絡をして自首を検討する

罰則を受けるかもしれないと不安な毎日を過ごすくらいなら、自首して先に問題解決に繋げていった方が良い場合も多いです。

自首が成立することで罰則が軽減されるケースがありますし、逮捕されずに捜査が進められる可能性も高くなります。

被害者と示談交渉をおこなう

警察に被害届が出されていれば、警察に自首・連絡することで被害者の連絡先を知れる場合があります(刑事事件では教えてもらえない可能性もあります)。

示談交渉では、上記でお伝えした民事責任での弁償代相当と示談金を支払い、和解を求めます。

被害者と和解できれば、被害届を取り下げてもらえるかもしれませんし、示談成立したことが評価され、刑事責任での罰則を受けずに済む可能性も高まります。

もし、被害者の連絡先が入手できない場合には、弁護士に代理人になってもらいましょう

警察経由で連絡先を教えてもらえますし、適正な示談金額での交渉をおこなってくれます。

まとめ

当て逃げは、本来負担する必要のない刑事責任や行政責任を負担することで罰則が増えてしまいます。

物損事故は、正しく対応すれば、過大な不利益を被るということはありませんので、まずは逃走せずに適切な対応を取ることが第一です。

もし、すでに当て逃げをしてしまっている場合には、弁護士に相談の上、自首も検討して今後の対応を真摯におこなっていきましょう

あなたの対応次第では、厳しい罰則を免れることができるかもしれません。

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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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