交通事故で逮捕されるケースとは?基準・逮捕後の流れ・対処法を解説
交通事故を起こした後、逮捕されるのかと不安になる人は少なくありません。軽い接触でも心配になりますし、重大な人身事故であればなおさらです。
結論からいえば、人身事故では逮捕される可能性がありますが、物損事故では身元が明確であれば基本的には逮捕されません。
本記事では逮捕の基準、現行犯と後日逮捕の違い、逮捕後の手続きの流れを具体的に解説 します。
物損事故と人身事故の扱いの違いや、在宅事件として進むケースについても解説しているので交通事故の逮捕について不安がある方は参考にしてください。
交通事故で逮捕される基準とは?
交通事故における逮捕の基準は、被害者の死傷の有無と加害者の悪質性にあります。刑事訴訟法上、逮捕には「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」と「逃亡・証拠隠滅のおそれ」が必要です。
交通事故は大きく2種類に分かれており、逮捕の可能性はその区別によって異なります。
| 種別 | 内容 | 逮捕の可能性 |
|---|---|---|
| 物損事故 | 死傷者のない交通事故 | 原則なし(当て逃げ・飲酒運転などの悪質な事例を除く) |
| 人身事故 | 死傷者が生じた交通事故 | あり |
交通事故で逮捕されるのは、基本的に人身事故にあたる場合です。被害が大きいほど逮捕要件が認められやすく、歩行者をはねて、けがをさせた場合は現行犯逮捕の可能性が格段に高まります。
人身事故は逮捕の可能性があるが、物損事故は原則逮捕されない
人身事故は刑事罰の対象となるため逮捕のリスクがありますが、物損事故は行政処分と民事責任の範囲にとどまるのが一般的です。
物損事故は人を傷つけていないため、過失傷害罪などの刑事罰の構成要件を満たしません。
逮捕は刑事事件が前提となるため、物損事故では逮捕要件そのものが成立しないのが原則です。
たとえばガードレールへの自損事故では、警察を呼んで身分証を提示し、実況見分に協力すれば、そのまま帰宅できます。
当て逃げ・建造物損壊などの物損事故でも犯罪が成立するケース
物損事故でも、法律上の義務違反や特定の損壊行為があれば、犯罪として逮捕される可能性があります。
該当するのは以下のようなケースです。
- 道路交通法上の報告義務違反
- 器物損壊罪に該当する場合
- 建造物損壊罪に該当する場合
- 飲酒運転
- 無免許運転
たとえば、他人の家の塀を壊してそのまま逃走した場合は、道路交通法上の報告義務違反に加え、器物損壊罪や建造物損壊罪が成立する可能性があります。
また、飲酒・無免許運転中の事故であれば、道路交通法違反の罪も加わり、複数の刑事責任を問われます。
物損であっても後日逮捕の対象となり得るため、事故直後の対応には注意してください。
交通事故で逮捕・処罰され得る法律の一例
交通事故は民事上の損害賠償だけでなく、刑事罰の対象です。具体的には、以下の罪名に問われる可能性があります。
| 罪名 | 刑罰 |
|---|---|
| 過失運転致死傷罪 | 7年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金 |
| 危険運転致死傷罪 | 負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上20年以下の拘禁刑 |
| 救護義務違反 危険防止措置義務違反 |
10年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金 |
| 報告義務違反 | 3ヵ月以下の拘禁刑、または5万円以下の罰金 |
不注意による事故であっても、被害者のけがの程度や事故後の対応次第では、警察に身柄を拘束され、裁判を受けることになります。日本では複数の法律が交通事故の処罰を定めており、知らなかったでは済まされません。
過失運転致死傷罪
| 罪名 | 過失運転致死傷罪 |
|---|---|
| 刑罰 | 7年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金 |
運転中に必要な注意を怠り、人を死傷させた場合に一般的に適用される罪です。自動車運転死傷処罰法第5条に規定されており、7年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金が科せられます。
軽微な傷害でも条文上は適用され得ますが、傷害が軽い場合は情状により刑が免除される規定もあります。過失運転致死傷罪が適用される可能性があるのは以下のようなケースです。
- 前方確認を怠り、横断歩道の歩行者をはねてしまった
- ブレーキ操作が遅れて追突し、相手にむちうちのけがを負わせた
- 一時停止を無視して交差点に進入し、衝突事故で相手に骨折を負わせた
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
危険運転致死傷罪
| 罪名 | 危険運転致死傷罪 |
|---|---|
| 刑罰 | 負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上20年以下の拘禁刑 |
飲酒運転や大幅な速度超過など、悪質で危険な運転で人を死傷させた場合に適用される非常に重い罪です。負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上20年以下の拘禁刑と、殺人罪に近い水準の罰則です。
以下のような行為が危険運転致死傷罪に該当します。
- アルコールで正常な運転ができない状態での走行
- 時速100kmを超えるような暴走行為
- 故意に進路を塞ぐあおり運転による衝突事故
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期拘禁刑に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は十五年以下の拘禁刑に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
救護義務違反・危険防止措置義務違反
| 罪名 | 救護義務違反、危険防止措置義務違反 |
|---|---|
| 刑罰 | 10年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金 |
事故を起こした後、負傷者を救助せずに現場を離れるひき逃げ行為は、事故そのものより厳しく罰せられる可能性があります。
道路交通法第72条第1項により、ドライバーには停車して負傷者を救護し、道路上の危険を除去する義務が課されています。違反した場合、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。
以下のような行為が救護義務違反・危険防止措置義務違反に該当します。
- 歩行者をはねた後、怖くなってそのまま現場を離れた
- 事故後に三角表示板を設置せず、後続車が二次追突を起こした
- 負傷者がいるにもかかわらず、救急車を呼ばずに立ち去った
(交通事故の場合の措置)
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。(以下略)
事故後警察への報告義務違反
| 罪名 | 報告義務違反 |
|---|---|
| 刑罰 | 3ヵ月以下の拘禁刑、または5万円以下の罰金 |
どんなに小さな事故であっても、警察への報告は法律で定められた義務です。道路交通法第72条第1項後段により、事故の発生日時や場所を直ちに警察官に報告しなければなりません。
報告を怠ると、3ヵ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金の対象になります。
以下のようなケースも義務違反に該当します。
- 駐車場で他人の車に擦り、傷が小さいと判断して警察を呼ばずに立ち去った
- 当事者同士で示談にすることを合意し、警察に報告しなかった
- 自損事故で他人への被害がないと判断し、そのまま走り去った
ちなみに、当事者間で合意があっても、報告義務は免除されない点は注意が必要です。
(交通事故の場合の措置)
第七十二条 (前略)この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。
交通事故で現行犯逮捕される3つのケース
交通事故を起こしたからといって、必ずその場で逮捕されるわけではありません。逮捕には一定の要件があり、事故の状況や運転者の態度によって判断が異なります。
現行犯逮捕される具体的なケースを3つ紹介します。
1. 被害者が死亡・重傷など身体への重大な被害がある
被害者が死亡または重傷を負う重大事故では、現行犯逮捕される可能性が高くなります。結果が重大なほど加害者が逃亡を図るリスクが高いと判断され、警察は逮捕に踏み切りやすくなるためです。
たとえば横断歩道で歩行中の児童をはねて死亡させた場合、運転者に逃亡の意思がなくても、社会的影響や証拠保全を理由に逮捕されるケースがあります。
2. 飲酒運転・無免許運転・ひき逃げなど悪質性が高い
飲酒運転・無免許運転・ひき逃げによる事故は、ほぼ例外なく現行犯逮捕の対象となります。道路交通法の中でも特に重い違反に分類されており、証拠隠滅のおそれが高いと判断されるためです。
たとえば飲酒状態で人身事故を起こした場合、現場で呼気検査を実施し、基準値を超えていれば警察官がその場で逮捕します。
3. 逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された
事故の規模に関わらず、現場から立ち去ろうとしたり証拠を隠そうとする素振りを見せれば逮捕される可能性があります。逃亡や証拠隠滅のおそれがあると警察が判断した時点で、身柄拘束の理由が成立するからです。
以下のような行為は、逮捕の直接的な理由になります。
- 事故直後にスマートフォンの通話履歴を消去しようとした
- 車載カメラのSDカードを抜き取って捨てようとした
- 目撃者が見ている前で現場から立ち去ろうとした
事故後の行動が逮捕の可否を左右するため、その場での対応には細心の注意を払いましょう。
交通事故で後日逮捕される3つのケース
交通事故当日に逮捕を免れても、後日逮捕される可能性はなくなりません。事故から数日後、数週間後に逮捕状が発付され、自宅に警察が訪れるケースもあります。
1. ひき逃げ・当て逃げをした場合
現場から逃走しても、防犯カメラやドライブレコーダーの解析によって後日特定されるケースがほとんどです。逃走という行為自体が逃亡・証拠隠滅のおそれの根拠となり、逮捕状が発付されやすくなります。
夜間に人をはねてそのまま走り去った場合、近隣の防犯カメラの映像から数日後に車種が特定され、自宅へ警察が訪れることがあります。
2. 事故直後に警察に連絡せず被害者と解散してしまった場合
当事者同士で解決しようと現場を離れると、後に被害者が届け出た際に逃走とみなされ、逮捕される可能性があります。道路交通法第72条の報告義務違反に該当し、被害者の供述によっては加害者が一方的に立ち去ったと判断されるかもしれません。
連絡先を渡して別れた場合でも、被害者が後日警察に被害届を出せば、報告義務違反として捜査が始まる可能性あるので注意が必要です。
3. 嫌疑の相当性と逮捕の必要性が認められた場合
ひき逃げや報告義務違反がなくても、捜査の過程で逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、後日逮捕される可能性があります。以下のような行動をとると、逮捕の必要性が認められやすくなるので気をつけてください。
- 警察からの任意出頭の要請を繰り返し無視した
- 被害者にSNSなどで圧力をかけて口封じをしようとした
- 事件に関係する証拠を意図的に隠滅・廃棄した
逮捕後の処分を少しでも軽くしたい場合は、警察からの連絡には誠実に対応し、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。
交通事故で後日逮捕が実行される際の2つのパターン
逮捕の理由が認められた後、実際に身柄が拘束される流れには2つのパターンがあります。警察からの呼び出しに応じて出頭するケースと、警察が直接自宅や職場に訪れるケースです。
1. 警察からの電話による呼び出し(任意出頭・同行)
警察から「話を聞きたい」と電話で呼び出され、そのまま警察署で逮捕される流れは少なくありません。任意出頭は法律上の強制ではありませんが、拒否し続けると逃亡のおそれがあると判断され、逮捕状請求の理由になります。
実際の流れとしては、警察署に赴いて取調室で事故当時の状況を説明している最中に逮捕状を提示され、そのまま留置場へ収容されるケースがあります。警察から電話があった時点で、弁護士へ相談しましょう。
2. 警察が自宅などへ直接来る(通常逮捕)
逃亡を防ぐため、警察が予告なく自宅や職場を訪れて身柄を拘束するのが通常逮捕です。重大事件やひき逃げ事件では事前連絡によって証拠を隠滅されるおそれがあるため、突然の訪問で身柄を確保するのが実務上の流れです。
朝の通勤時間帯に警察官が数名玄関先に現れ、家族の前で逮捕状を読み上げられるケースもあります。職場で逮捕される場合もあり、周囲への影響が大きくなりやすい点が通常逮捕の特徴です。
交通事故で逮捕されたあとの流れ5つ

交通事故で逮捕された場合、釈放または起訴されるまでに複数の手続きを経ることになります。各段階には法律で定められた時間制限があり、最終的に有罪・無罪が決まるまでには数週間から数ヵ月かかるケースもあります。
1. 警察による最長48時間の取り調べ
逮捕直後の48時間は、警察が主導して事故の基本事実を確認し、供述調書を作成します。
刑事訴訟法第203条により、警察官は逮捕から48時間以内に釈放するか、検察官へ送致する手続きを終えなければなりません。
第二百三条 (前略)留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
外部との連絡は遮断された状態で、事故の原因や当時の速度、注意力の欠如について取調室で詳しく聴取されます。
ただし、弁護士だけは面会できます。取り調べで不用意な発言をすると、後の裁判で不利に働くケースがあるため、逮捕直後に弁護士へ連絡を取ってアドバイスを受けましょう。
2. 検察官への送致と最長24時間の取り調べ
事件が警察から検察に引き継がれると、刑事訴訟法第205条に基づき、検察官は24時間以内に身柄拘束を続けるべきか判断します。
第二百五条 検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
検察官には起訴権限があり、身柄を確保し続ける必要があるかどうかを判断するのが法的役割です。警察車両で検察庁へ運ばれた後、検察官による取り調べがおこなわれます。
反省の態度や事故に至った経緯を改めて説明する機会になるため、弁護士の助言を受けた上で臨むのがおすすめです。
3. 検察官による勾留請求と裁判官の決定(最長20日間の拘束)
検察官の請求を裁判官が認めると勾留となり、さらに10日間(延長を含め最大20日間)の身柄拘束が可能です。
刑事訴訟法第208条に基づき、複雑な事故原因の究明や関係者への聴取など、短期間では終わらない捜査のために必要な拘束期間が認められます。事故現場での現場検証のやり直しや車両の損傷箇所の鑑定がおこなわれる間、留置場から出られない状態が続きます。
会社や学校への出席も一切できないため、早期釈放を目指すなら弁護士による勾留阻止の申請が有効です。
4. 検察官による起訴・不起訴の処分決定
勾留期間が終わるまでに、検察官が裁判にかける起訴か、釈放して手続きを終わらせる不起訴かを判断します。
日本では検察官だけが起訴できる仕組みになっており、証拠の十分さや被害者との示談状況をもとに判断されます。十分な反省と示談が成立していれば不起訴となって釈放され、過失が重いと判断されれば裁判へと進む流れです。
被害者への誠実な対応と早期示談が、処分の軽減につながります。
5. 刑事裁判の実施(有罪・無罪および刑罰の決定)
起訴された場合、裁判所で公判が開かれ、有罪・無罪の判定とともに拘禁刑や罰金といった刑罰が言い渡されます。
憲法により、全ての刑事被告人は公開の裁判を受ける権利があり、法に基づいた適正な処罰が決定されます。たとえば「過失運転致死傷罪により禁錮2年、執行猶予4年」といった判決が出た時点で前科が確定する仕組みです。
執行猶予が付けば直ちに収監されませんが、前科の記録は残るため、就職や資格取得に影響する可能性があります。
交通事故で逮捕されなくても刑事罰を受ける可能性はある
交通事故を起こしても逮捕されないケースは多いです。ただし、逮捕されなかったからといって、刑事手続が終わったわけではない点は注意しなければなりません。
逮捕されずに捜査が進む在宅事件とは
在宅事件とは、身柄を拘束されずに日常生活を送りながら、警察や検察の要請に応じて出頭し捜査を受けることです。
刑事訴訟法は身体の自由を尊重しており、勾留の必要性がない場合は身柄を拘束しないという原則に基づいています。自宅で生活しながら仕事も続けられますが、警察からの呼び出しには必ず応じなければなりません。
捜査の進捗次第では、解決まで半年から1年かかるケースもあります。
逮捕されない=前科がつかないわけではない
逮捕の有無は前科の成立に直接影響しません。在宅事件であっても、有罪判決が出れば前科となります。
前科とは裁判で確定した刑罰の履歴を指し、捜査過程で逮捕があったかどうかは前科の成立要件に含まれません。一度も手錠をかけられず留置場にも入らなかったとしても、裁判で罰金刑が確定すれば検察庁のデータベースに記録されます。
前科は就職・資格取得・海外渡航などに影響する可能性があるため、不起訴処分を目指して弁護士へ相談するのがおすすめです。
交通事故で逮捕された際に弁護士へ相談すべき4つのケース
交通事故で逮捕された場合、弁護士に相談するタイミングが早いほど、その後の手続きで取れる選択肢が広がります。ここでは特に効果が大きい場面を4つ紹介します。
1. 逮捕直後に接見(面会)し、外部との接触や助言を得たい場合
逮捕後72時間は家族でも面会できないことが多いですが、弁護士だけは即座に面会して適切な助言を伝えられます。
法律により、弁護士には立ち会いなし・時間制限なしで被疑者と面会できる接見交通権が保障されているためです。警察の誘導に乗って不利な調書を作成されないよう、黙秘権の使い方や供述の注意点を取り調べが本格化する前に直接確認できます。
逮捕直後に弁護士へ連絡を取るほど、その後の手続きで取れる選択肢が広がります。
2. 早期釈放や不起訴処分を得て前科を避けたい場合
弁護士は勾留の回避を求める働きかけや示談の締結を迅速に行い、身柄の早期解放と前科阻止のために動いてくれます。
検察官や裁判官に対し、逃亡の恐れがないことを証明する書面を提出できます。被害者との和解を成立させて処罰感情がないことを伝えられるのも、弁護士に依頼する強みです。
解雇リスクを下げるには、逮捕から数日以内の釈放が重要です。裁判所に勾留決定の取り消しを求める不服申立を行い、在宅捜査への切り替えを目指せます。逮捕後に動ける時間は非常に短いため、家族が早期に弁護士へ連絡することが重要です。
3. 示談金が高額、または被害者感情が強く交渉が難航している場合
加害者本人や家族では難しい被害者との直接交渉を弁護士が代行と、妥当な金額での早期解決が期待できます。
被害者は加害者側との接触を拒むことが多いですが、第三者である弁護士なら話を聞いてもらいやすく、法的な相場に基づいた冷静な協議が進めやすいです。
たとえば被害者が高額な慰謝料を提示した場合でも、弁護士が裁判例をもとに適切な金額で交渉し、示談成立の可能性を高めることができます。
4. 起訴された後に保釈や減刑(執行猶予など)を目指したい場合
裁判が避けられない場合でも、弁護士は保釈の手続きや有利な証拠の提出を通じて、実刑回避と社会復帰を支援してくれます。
保釈金を納めて一時的に自宅へ戻れるよう手配したり、法廷で具体的な再発防止策を提示したりすることで、執行猶予付き判決を目指せます。
逮捕直後だけでなく起訴後でも弁護士が動ける場面は多いため、タイミングを問わず早めに相談しましょう。
交通事故の逮捕に関する相談はベンナビ刑事事件
交通事故で自身や家族が逮捕された場合、刑事事件に強い弁護士を即座に探せるベンナビ刑事事件の活用がおすすめです。逮捕後の接見や示談交渉はスピードが重要で、対応が遅れるほど選択肢が狭まります。
ベンナビ刑事事件では地域別や得意分野別で弁護士を検索でき、24時間受付・初回相談無料の事務所も多数掲載されています。
逮捕の不安がある段階からでも相談できるため、問題が深刻になる前にまずは相談しましょう。
弁護士に依頼して交通事故による事件が解決した事例
交通事故で逮捕されたあと、弁護士に依頼することで早期に釈放された事例を2つ紹介します。
事故の内容や逮捕の経緯はそれぞれ異なりますが、弁護士への相談が解決につながりました。
解決事例1:死亡事故で逮捕→誠意ある対応によって不起訴を獲得したケース
通勤中に交差点で相手車両と衝突し、被害者が死亡。依頼者の女性はその場で現行犯逮捕されました。
翌日に釈放後、ご家族とともに事務所へ来所。聴き取りの結果、相手方にも3〜5割の過失が認められる可能性が判明しました。気の弱い依頼者が誘導尋問で不利な調書を取られるリスクがあったため、取り調べ対応を徹底的に準備した上で受任。
取り調べ前の入念な打ち合わせと、被害者遺族への謝罪対応を並行して実施。弁護士が携帯番号を伝え、精神面のサポートもおこないました。警察に事実を正確に伝えた結果、依頼者だけに過失があるとは言えないと判断され、不起訴処分を獲得しました。
解決事例2:道路交通法違反で逮捕勾留されたが、準抗告により早期に釈放された事例
交通事故を起こして被害者にけがを負わせたにもかかわらず、救護せずに立ち去ったケースです。後日出頭したものの、そのまま逮捕・勾留されたため、弁護士へ相談がありました。
逮捕直後の面会時、依頼者は深く反省しており、被害者への謝罪・治療費や慰謝料の支払い意思を示していました。家族や勤務先への影響も気にかけており、関係者へ誠意を伝えたいとの希望から受任しています。
依頼者本人に謝罪文・反省文を作成してもらい、家族には身元引受書と嘆願書を用意してもらいました。任意保険の保険証券も提出し、賠償対応に問題がないことを明示。これらの書類をもとに準抗告を申し立て、勾留の必要性がないと認められ、早期釈放が実現しました。
交通事故の逮捕に関するよくある質問
交通事故と逮捕に関して、特に疑問を持ちやすい点をまとめました。事故後の不安を解消するために、正確な知識を確認しておきましょう。
交通事故で逮捕される基準は何ですか?
主な基準は過失の「重さ・悪質性」と「逃亡・証拠隠滅のおそれ」の2点です。
刑事訴訟法では、証拠隠滅や逃亡を防止するために逮捕の必要性が認められています。警察・検察がこの2つの要件を判断した上で、逮捕に踏み切るかどうかを決めます。
以下のようなケースが、逮捕される基準に該当しやすい行為です。
- 飲酒運転・無免許運転による事故
- ひき逃げ
- 被害者が死亡または重傷を負った重大事故
交通事故で逮捕される場合とされない場合の違いは何ですか?
逮捕されるかどうかは、逃亡や証拠隠滅の恐れがあるかどうかが重要です。身元が安定しており捜査に協力的であれば、在宅事件となる可能性が高まります。
刑事訴訟法上、身柄拘束は必要最小限に限られており、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断された場合は在宅捜査となる傾向にあります。逮捕されやすいケースとされにくいケースの違いは以下のとおりです。
| 逮捕されやすいケース | 逮捕されにくいケース |
|---|---|
| ・住所不定、身元不明 ・嘘の供述をする ・被害者を威迫する |
・定職があり家族と同居している ・現場で警察の呼び出しに素直に応じる ・捜査に誠実に協力している |
交通事故で逮捕された場合、何日間拘束されますか?
起訴・不起訴の判断まで、最大で23日間身柄が拘束される可能性があります。刑事訴訟法により、定められている期限は以下のとおりです。
| 段階 | 期間 |
|---|---|
| 警察による拘束 | 最大48時間 |
| 検察による拘束 | 最大24時間 |
| 勾留 | 最大10日間 |
| 勾留延長 | 最大10日間 |
| 合計 | 最大23日間 |
軽傷で証拠が明白なケースでは数日で釈放されることもあります。一方、重大な死亡事故で容疑を否認している場合は、23日間フルで拘束されるリスクがあります。
交通事故で逮捕されたその後、釈放されるまでの流れはどうなりますか?
釈放されるまでには以下の手続きを経て、不起訴または刑の確定により釈放されます。
- 警察での取り調べ
- 検察への送致
- 裁判官による勾留決定
- 起訴・不起訴の判断
刑事手続の各段階で、検察官や裁判官が拘束を続ける必要があるかを都度判断します。途中で釈放される主なケースは以下のとおりです。
| 釈放されるケース | 内容 |
|---|---|
| 勾留請求なし | 検察官が勾留の必要なしと判断した場合 |
| 勾留取り消し | 弁護士の働きかけにより裁判所が認めた場合 |
| 罰金刑の納付 | 略式命令による罰金が確定し納付した場合 |
交通事故で逮捕される際、手錠はかけられますか?
原則として、逃亡防止および自傷・加害防止のために逮捕される際には手錠や腰縄が使用されます。
自宅や現場での逮捕時、警察署から検察庁へ移動する送致の際にも、周囲の目に触れる形で手錠がかけられる可能性があります。
逮捕自体を回避したい場合は、早期に弁護士へ相談して在宅事件として捜査が進むよう働きかけることを検討してください。
まとめ
交通事故で逮捕されるかどうかは、事故の重大性・悪質性・その後の行動によって決まります。物損事故では原則として逮捕されませんが、人身事故やひき逃げ・飲酒運転では現行犯逮捕の可能性が高まります。
逮捕を免れた場合でも、在宅捜査を経て起訴・有罪となれば前科がつく点は注意が必要です。
事故後の対応が処分の重さを左右するため、警察から連絡があった時点で弁護士への相談を検討しましょう。
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